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2004/09/28

ハイチ ハリケーン関連

 ハイチ関連の情報 (概要)

 
1)ハリケーンによる洪水等の死者は2000人以上にのぼるものと推定されています。

この背景に関して、過去の森林伐採等も指摘されていますが、ハイチの国家としての脆弱さが、自然災害への対応の弱さを生み出しているように思えます。 
 
2)しかし行政当局の欠如、武装集団の強奪、洪水後の混乱などで、緊急食糧などの配布などにも大きな障害。現在ハイチに展開している国連軍すら、食糧配布に関わる秩序維持を行えていないような状況とのこと。
 

上記1,2に関しては以下のものなど
 
 http://www.haitiglobe.com/
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/3694816.stm
http://www.haiti-info.com/article.php3?id_article=2596
 http://www.cnn.com/2004/WEATHER/09/24/haiti.jeanne.ap/index.html
http://edition.cnn.com/2004/WEATHER/09/26/haiti.jeanne.ap/index.html


3)日本国内で民間の緊急援助等は特に行われているようではありません。
  インターネット上で検索する限り、把握できていません。 (9/28 21時現在)
下記二団体で現地情報の報告有り
ハイチ友の会 http://friendsofhaiti.home.mindspring.com/
  ハイチ里親運動 http://www1.bbiq.jp/haiti/

  JICAが約1260万円の緊急援助物資を供与
  http://www.jica.go.jp/activities/jdrt/040924_2.html
 
 
 4)国際的な民間団体では
 
   CARE と OXFAMが動いているようです。
 http://www.oxfamamerica.org/newsandpublications/press_releases/
press_release.2004-09-22.2482691916
 
 http://www.careusa.org/newsroom/pressreleases/2004/sep/09232004_
haitifloodappealpr.asp

 ちなみにCAREは今後3ヶ月で300万ドルを投入するそうです。
 

● 日本の小規模な民間組織で何ができるのか、真剣に考えなくてはならないと思います。
 資金力のない、日本の団体が有効に機能できるレベルではないように思えますが、現状の問題として、

 ① 日本からの支援の弱さ、情報の不足
 ② JICA・外務省の関心の低さ

 が上げられるかと思います。

 日本国内の民間団体が動いていく可能性としては、対象地域を絞った活動を行っている団体の、継続的な関係性を基盤に支援していくこと、長期的にハイチ国家の強化につながる支援をしていくことが重要ではないかと思います。
 

テーマは少し変わりますが、8月に過去の人権侵害事件の首謀者が、拙速な裁判で無実とされ釈放されています。
(この裁判の背景として http://homepage3.nifty.com/CADE/LA/Latin%20America.htm参照)
  アムネスティ・インターナショナルは、この対応を強く非難。
 http://web.amnesty.org/library/Index/ENGAMR360532004?open&of=ENG-HTI
 

 ハイチ社会の民主化への真摯な取り組みが必要とされています。


6)おまけ 

*こんなイベントがあります。
 ハイチ独立200周年記念 HFW 講演会  2004年11月3日(水・祝)
 http://www.hungerfree.net/event041103.html

 青西

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2004/09/22

市民組織及び先住民族法(ボリビア)

市民組織及び先住民族法
 
 ボリビアでは、今年12月5日に予定されている地方自治体(ムニシピオ)選挙に向けて、先住民族や市民組織に政治参加の道を開く新しい法律が公布された。
 2004年7月6日に公布された「市民組織及び先住民族法」は、これまで政党のみに開かれていた政治参加の枠組みを、市民組織や先住民族にも大きく広げるものである。これによって、選挙参加を目的として法人格の認可を受けた市民組織や先住民族(組織)は地方自治体だけではなく、大統領選挙、国会議員選挙への参加も可能となる。

 選挙管理委員会は既に900を超える第一次登録の受付を終え、現在、各組織は法人格の認可のために構成員名簿の整備などに取り組んでいるようである。(対象自治体の直近の選挙における有効投票数の2%の署名を集める必要がある。)今後、10月6日までに、必要な要件を満たし、候補者名簿を提出することで、正式に今回の地方自治体選挙への参加が認められる。
地域の先住民族(組織)に加え、ボリビア低地を中心とする先住民族組織であるCIDOBや高地を中心とするCONAMAQなど広域に広がる先住民族組織も今回の選挙に向けて既に一時登録をすませているようである。

 この「市民組織及び先住民族法」で、ボリビアにおける先住民族の政治参加がどのように実現されていくか、非常に注目される。

 青西
 
http://www.cne.org.bo/ このアドレスで”LEY DE AGRUPACIONES CIUDADANAS Y PUEBLOS INDÍGENAS”は入手できます。 

補足 

 中米のグァテマラでは、「コミテ・シビコ」という名称で、既に市民組織の政治参加の道が開かれているが、この「コミテ・シビコ」の場合には、選挙のために結成され、選挙後は法的には存在しえないこと、政治参加が地方自治体政治に限られていることなどの問題が上げられている。

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2004/09/18

先住民族の権利宣言

 米州機構における先住民族の権利宣言案の審議プロセスに関して短い記事を書きました。
 先住民族の10年ニュース 第107号です。
このニュースレターを発行しているのは「先住民族の10年市民連絡会」です

 あお

http://indy10.at.infoseek.co.jp/newsletter.htm

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2004/09/10

ニッケル鉱山と先住民族(グァテマラ)

ニッケル採掘関連

グァテマラ、イサバル県エル・エストールでは1960年代からニッケル鉱山の開発が進められてきた。当時エル・エストールで操業していたのはインコ社というカナダ資本の配下にあったエクスミバル社という鉱山会社である。エクスミバル社は、土地囲い込み、汚染された鉱滓の放置、人権侵害など様々な問題を引き起こしたまま1981年に操業を停止する。

 しかし、近年ニッケルなど稀少な金属資源への需要が拡大し、ニッケル価格も高騰したことから、再びこの地域に鉱山会社の目が向きつつある。

1)ニッケルと私たち

独立行政法人である石油天然ガス・金属鉱物資源機構のホームページによると、全世界でのニッケルの年間生産量は114万トンのうち、日本は18万トン、約15%を消費しており、その全てを輸入に頼っている。またその採掘可能年数は約40年と推定されている。「私たちの豊かな生活は、金属資源が安定的に供給され、産業活動が維持されることによって約束されています」、この金属鉱物資源機構のホームページ*1が伝える、この事実から私たちは逃れることはできない。ニッケルの消費量の65%はステンレスの原料として使われているが、それ以外にも、ニッケルは、充電池、蓄電地や携帯電話のアンテナなどにも使われている。
 「環境に優しく」、電気自動車や充電池を使おうとした瞬間から、私たちはグァテマラのケクチ民族の環境へ心を寄せる必要が出てくるのである。もちろん、グァテマラ以外でも世界中で稀少金属の採掘が様々な問題を引き起こしていることは言うまでもないが。  

2)エル・エストールにおけるニッケル開発の歴史*2 

 エル・エストールにおけるニッケル鉱山開発は、グァテマラ軍政下に不透明な形で進められた。カナダ資本であるインコ社(Inco Ltd)は1960年代に米国系のハンナ鉱山会社(Hanna Mining Company)と提携してグァテマラに参入し、エクスミバル社(Exploraciones y Explotaciones Mineras Izabal, S.A. (Exmibal))を設立する。1965年にはインコ社の役員自らが草稿を作成したといわれる鉱山法が公布され、その数ヶ月後には、この新鉱山法のもとでの、最初の採掘権の認可を受けるのであった。
 この最初の認可がエル・エストールにおけるエクスミバル社である。エクスミバル社は365平方キロおよそ、エル・エストール市のほぼ1割に当たる面積の40年にわたる採掘権を認可された。しかしこの採掘権契約は、エクスミバル社に不当に利益を提供するものであり、政府との汚職が追求されることとなる。
 内戦のさなかに、サンカルロス大学ではこの契約に関する特別調査委員会を設置し調査を開始したが、1970年、この委員会のメンバーであった大学教員のフリオ・カメイ・エレーラは殺害され、同僚のアルフォンソ・バウエル・パイスもマシンガンでの銃撃で重傷を負ったものの一命をとりとめた。 *3
1971年に、グァテマラ政府とエクスミバル社は正式に採掘に関する合意に至り、エクスミバル社は操業を開始する。しかしその囲い込んだ土地に対する補償もなされず、グァテマラ政府に税金が納められることもなかったという。
1981年にニッケル価格の低迷から操業を停止したエクスミバル社は、地域に不当に囲い込まれた土地と、どのように処理されたのかもわからない廃棄物を地域に残して姿を消した。

3)ニッケル鉱山の再開発の危険

 この地域のニッケル鉱山の再開発に最初に触手を伸ばしたのは実は日本企業であったのかもしれない。内戦が終結する前の1993年、既にインコ社と住友金属鉱山、東京ニッケル社(インコ東京ニッケル社であろうと思われる)は実現可能性調査を実施している。

 1998年、カナダ系のチェスバー・リソーシーズ社(Chesbar Resources Inc.)はグァテマラ資本であるマヤ・アメリカ鉱業(Minera Mayamerica S.A)との資本提携を元に、グァテマラでの地下資源探査を開始する。その後、このマヤ
・アメリカ鉱業のを完全に配下に収め、グァテマラでの地下資源開発にさらに重点を置いていると思われる。このチェスバー・リソーシーズ社が2003年にジャガー・ニッケル社(Jaguar Nickel inc.)という、「会社の新しい焦点をよりよく反映した」! 企業名に改名する。
 このジャガー社は既にエクスミバル社の採掘地域の周辺8カ所に、1998年頃から、新鉱山法に基づいて探査のための認可を受けている。(前身の会社としての許可も含む)総面積は約300平方キロに及んでおり、既に3カ所で積極的な探査が進められているようである。*4
 こうした動きに加えて、インコ社の所有するエクスミバル社のニッケル鉱山再開発がもくろまれているのである。既に言及したように、インコ社と住友金属鉱山は1993年に実現可能性調査を行っている。その後、2003年にジオスター社(Geostar Metals Inc)はエクシミバル社の鉱山に関して、AMEC社に調査を委託する。しかしその調査が同年9月にはスカイ・リソーシーズ社(Skye Resources Inc.)に移管され、2003年12月よりスカイ・リソーシーズ社はインコ社と採掘権譲渡に関して独占的な交渉を続けている。
 現在スカイ・リソーシーズ社とインコ社は、採掘権に関わるいくつかの問題に関してグァテマラ政府との協議を待っているようである。*5「グァテマラ政府、インコ社、スカイ・リソース社はみな、この採掘権供与がグァテマラ政府の要件を満たし、周辺コミュニティの必要を充足し、高い環境基準を達成することを目指している」といっているが、鉱山の再開発、またこうした話題がそもそも先住民族コミュニティの協議の対象となっていないことなどに、強い反発がある。


4)鉱山開発に反対するマヤ先住民族の動き

 エクスミバル社が操業していた当時も、地域の先住民族による反対運動は展開されたが、武力で弾圧されるという経験をしてきた。しかし近年再びこの地域の鉱山再開発の動きが進む中で地域住民からの反対運動も広がっている。その中心となっているのは、 AEPDI( Asociacion Estorena Para el Desarrollo Integral : 統合的開発のためのエストール住民アソシエーション)である。

 この住民組織は昨年、以下のような声明を発表している。
1) 鉱山採掘許可に関する断固たる拒否。これまでこうした政府による承認は一方的に行われ、コミュニティの住民に情報開示されたことはない。またこのような活動は、我々の生活、文化そして全ての自然を脅かすものであり、承認できるものではない。
2) 我々、ケクチ民族は、自然、人そして全体との均衡と尊重に基づく独自の哲学と原則を有しており、大地を傷つけ、水と空気を汚染し、山を破壊し、野生生物を絶滅に追いやるようなことは、大量虐殺そして民族虐殺の政策と戦略の継続だと考える。なぜなら全ての自然がわれわれの生活の一部であるからである。
3) エクシミバル社の操業時には、水や空気を汚染し、また誘拐や虐殺、先住民族コミュニティの強制退去など我々を抑圧してきたことを告発する。
4) インコ社の鉱山採掘の再開は、この地域に居住する先住民族の集団的な権利への侵害であり、和平協定、ILO169号条約、及びその他の国内あるいは国際的な条約や合意に違反するものである。

5)終わりに 

 こうしたなか、2003年12月に、ブエルト・バリオスの人権擁護官が、鉱山採掘権及び探査に関わる承認をILO169号条約に違反するので停止すること、との通達を出したことは重要な一歩である。*6しかし人権擁護事務所の通達の後、政府が鉱山開発の許認可を停止しているのかどうかも明確な情報はない。
 そもそも1996年に169号条約に批准したにもかかわらず、1997年に公布された鉱山法に169号条約の規定に関連する条項は一つもないことは大きな問題であるが、この新しい鉱山法に基づいて数百の採掘及び探査に関する認可が行われているのである。もちろんILO169号条約の規定に限界がないわけではない。
しかし最低限、この条約に則って、鉱山法の見直しなどを行うことが急務であろう。
 
 国際社会からは、地域との組織の連携を高めつつ、積極的に関係機関に働きかけていくことが重要であろう。
 
 青西
 
 *1 石油天然ガス・金属鉱物資源機構「私たちの暮らしに欠かせない金属」
 
  http://www.jogmec.go.jp/mmaj/page/html/gaiyou/kurashi-kinzoku.html

*2 主として”Canadian Mining Companies Violating Indigenous Rights in Guatemala The Case of Inco in El Estor”   
 Andy Astritis, Rights Action[1] October 22, 2003 - No. 193 を参考にする。
 出典はRigths Action のWebではなく、以下のWebである。
http://www.cpcml.ca/tmld/D33193.htm

*3 Organizing and Repression In the University of San Carlos, Guatemala, 1944 to 1996
Paul Kobrak 6. 1963-72: Militarization and the University
http://shr.aaas.org/guatemala/ciidh/org_rep/english/part2_6.html
*4 ジャガー社ホームページによる http://www.jaguarnickel.com/index2.htm  
いくつかの探査地域はアルタベラパス県にもまたがっている。

*5 スカイ・リソーシーズ社のホームページ。交渉に関わるニュースリリースと、プロジェクトの調査報告が入手できる。
http://www.skyeresources.com/news/2004/index.php/str=10,mod=cnt,act=cnt,id=29
http://www.skyeresources.com/_resources/Projects/Dec%202%202003%
20Technical%20Report%20pdf.pdf

*6  ILO 169号条約 「先住民族及び種族民に関わる条約」では第15条にて
1)当該民族の土地に属する天然資源に対するこれらの者の権利は特別に補償されるべきであること。これらの権利には、当該資源の利用、管理及び保全に対するこれら民族の参加の権利を含む
2)国が鉱物または地下の資源の所有権、もしくは土地に属するその他の資源についての権利を保有する場合には、政府は、これらの民族の土地に属する当該資源の探査もしくは開発のための計画に着手しまたは認可する前に、これらの者の利益が損なわれるかどうか、またどの程度に損なわれるかを確認することを目的として、これらの民族と協議するための手続きを確立し、維持しなければならない。(後略)


その他 OXFAM AMERICAのページでも、現地の組織であるAEPDIの情報にアクセスできる。
http://www.oxfamamerica.org/advocacy/art7269.html
http://www.oxfamamerica.org/advocacy/art5304.html

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2004/09/07

金鉱山開発への反発(グァテマラ)

 金鉱山開発をめぐって、住民、教会、環境保護団体から強い反発

 環境保護団体であるMadre Selva(母なる森)によると現在、グァテマラでは21の鉱山開発が行われており、このほかに385カ所で地下資源開発・探査の申請がなされているという。
 こうした地下資源開発が引き起こす環境破壊、またその開発許可の手続き・決定において地域住民、地域の先住民族の存在を無視していることなどから、各地で反対運動が高まりつつある。カトリック教会もこうした鉱山開発に強い危惧を抱いており、首都教区の大司教ケサーダ・トルゥーニョも鉱山開発に反対する声明を発表している。また先住民族組織は、グァテマラも批准しているILO169号条約に違反するものだ、と訴えている。

 特に、今大きな注目を集めているのが、グァテマラ北西部、メキシコとの国境にも近い、サンマルコス県における金鉱山開発と、ニッケル鉱山の再開発が目指されているイサバル県エストールである。

 サンマルコス県

 サンマルコス県のサン・ミゲル・イシュタウアカンとシパカパでは、米国のグラミス・ゴールド社=モンタナ鉱山開発が1999年に採掘権を得て、「マルリン」という鉱山名で既に鉱山開発を進めている。 この鉱山では、金と銀の採掘が見込まれており、両方で約400万オンスの採掘を計画している。この鉱山は2006年から本格的な採掘を開始しする予定で、中米でも最大の規模のものとなる。(注:2002年にカナダのフランシスコ・ゴールド社を吸収合併した際に「マルリン」の採掘権を入手した)

 以下、4月にグァテマラのプレンサ・リブレ紙に投稿されたロドリゴ・レイ・ロサの記事を訳出します。 後日、イサバル県エストールの報告は整理します。 

 シエラ・マードレの宝
 ”コミュニティの人々が使っている川の水は、たぶんもう飲めなくなるだろうし、作物への水やりにも使えないだろう” 
 ロドリゴ・レイ・ロサ  (グァテマラのプレンサ・リブレ紙に2004年4月1日と2日に掲載された文章の翻訳である)

 去る2月中旬、露天掘りによる金採掘に反対するグァテマラで初めてのデモ行動が、遠く離れたサンマルコス県シパカパ市において行われた。そこでは、カナダ(まま)の企業であるグラミス・ゴールド=モンタナ鉱山開発社が「マルリン」と名されるプロジェクトを開始したばかりである。
 鉱山は、サンマルコス住民と世論の信頼と好感を勝ち得るために惜しみない努力をしているようであるが、地域コミュニティ住民や抵抗する環境保護グループとの対立は避けようがない。
 朝9時のシパカパの町には人影もなかった。町のメインストリートでは40人ほどの警官で構成された反乱鎮圧部隊がデモ隊を待ち受けていた。1時間も過ぎたころ、埃にまみれる長い道を中央公園に向けて進む、人群れがやってきた。
 「青酸など欲しくはない」、「我々の命は金よりも価値がある」、「出て行け鉱山」と標した横断幕を高々と掲げ、デモに協力しているカトリック教会の地域教区、農業労働者運動、アフ・チュモル、先住民族女性の擁護団体、母なる森などの団旗をはためかせる。千人ほどが、広場に向かって隊列を組んで行進する。
 地方自治体の役所の前で、選出されたばかりの新市長が人々に脱帽と静粛を求めて、セレモニーは開始された。マヤ民族の様式に従い、先祖と神に加護を求める時間である。
 続いて、いくつもの演説が繰り広げられた。市長は鉱山の利益の前に住民の利益を擁護することを約束し、環境保護団体は、住民に対して自分たちの権利を行使するように力説した。その後、アフ・チュモルのリーダーが言葉を継いだ。
 最も雄弁な語りは次のように述べた。「たぶん、会社に土地を売った者は、他の土地で生活するために出て行くことができるだろう。しかし女性たちは、全ての金が採掘された後も、そこで生き続けなければならない。鉱山が粉砕することを計画しているその山には、青酸で汚染されたがれきだけが残されるだろう」(鉱山会社は10年間に渡って毎日1万4千トンの岩を”溶解”する計画である)
 女性は続ける。「どうしてわずかな数の住民と役人の利益が、残される村人の破滅を決定することが出来るだろうか!」 グァテマラ国家は総販売額の1パーセントの採掘権料を受け取れるという。仮にこの採掘権料が大きいとしても、この「マルリン」計画が包含する7千ヘクタールの周辺に生活する農民にとって、鉱山開発は有害な影響を永遠に残すものである。

 演説の終わりに抗議の署名集めが行われ、何百というシパカパ住民が名前を記すために広場で列を作り、遠い村々からやってきた人々は散っていった。
環境保護運動家や新聞記者、テレビのレポーターなどよそ者たちは、教区での食事に招待された。食後の時間に、広場で集められた署名が数えられたが、およそ400ほどであった。シパカパで選挙権を有する約6千人のうち10%の署名を集めれば、前市長の時代に鉱山会社に認可された免許に対して住民からの異議申し立てを行うことが出来る。わずか200の署名が足りないだけである。
 食後のデザートは楽観主義を裏切るようなメモで終わりを告げた。2人のテレビのレポーターは、モンタナ社が操業拠点を建築し始めた場所への向かった。そこはシパカパの町から30分ほどのところであったが、そこで市長を驚かすこととなった。ちょうど市長は「先祖への加護」と民衆の擁護者としての短い演説を終わり、鉱山会社との会談に向かうところであった。
 市長はもうインタビューを受け入れず、リポーターにカメラを留めるように命ずると、後から、ホンデュラスのサン・イグナシオ鉱山を訪問するための、グラミス・ゴールド=モンタナ社の招待を受け入れたことを明かした。

注)この鉱山では青化法と呼ばれる、シアン化合物で金を溶解、抽出する方法をとるものと思われる。

http://www.prensalibre.com/pl/2004/abril/01/85147.html

 ”我々の鉱山法の改正が早急に必要だ”
 
 グァテマラ・シティに戻ると、モンタナ社の環境室長とのインタビューを取り付けた。生来の山師という風の、コスタリカ出身の地質学者は、鉱山開発に対する反対があることを理解せず、非常に高い利益をもたらすものだと考えていた。
 私は、シパカパとサン・ミゲルでの10年間に渡る鉱山開発でどれだけの水を利用するのか知りたかった。グラミス-ゴールド社が言うように、1トンの鉱石あたり3.5グラム含まれているとして、250万オンスの金を抽出するためには、2200万トンの砕石を青酸化合物を利用して浸出する必要がある。
 「どれだけの水を必要とするのですか」、と彼に尋ねると、室長はその質問には答えられないと言うばかりであった。しかし「マルリン」計画の環境影響調査によると、鉱山は1時間に25万リットルもの水を使用すると記されている。(サン・マルコスの1家族は月に平均して6千リットルほどを使うだけである)
 「溶解プロセスの中で地域の水を汚染する危険性はどれぐらいあるのでしょう」(「マルリン」計画は、青酸を含む水を1時間に1万7千リットル排出することとなっている)。 室長は、「ごくわずかだ」、と断言した。「私たちは米国の環境基準に則り、厳格な処理をしますから。」
 多くの人々が、米国の鉱山開発に関する規則をモデルとして利用すべきだと述べている。しかしカナダ系企業であるペガサス-ゴールド社のモンタナ州ゾートマン-ランダスキ鉱山では、住民が露天での新規鉱山開発の禁止を勝ち取っている。米国内の規制も十分ではないのである。このゾートマン-ランダスキ鉱山は、青酸化合物をまき散らした鉱山開発地の回復のための経費として3千万ドルの保証金を失っている。しかし、米国の行政官は、環境への被害を回復するためには、ペガサス社の保証金以上、3千350万ドルは必要だろうと明言している。
 ホンデュラスにあるグラミス・ゴールド社のサン・マルティン鉱山の付近では、周辺コミュニティで子どもの脱毛や皮膚病などがみられるという。
 「こうした問題が、排出される大量の青酸化合物にあることをとは考えないのですか」、「その調査は存じ上げない」と室長は肩をすくめて反論するだけであった。
 
 私たちは完全ではないし、こうした問題を避けるために技術も改善させていかなければならないのだろう。しかしグァテマラのシエラ・マドレ山脈には100以上の金鉱山計画が存在する。現在の熱病を終わらせるために、世界中で金価格が下落することを期待するのは不当なことだろう。
 環境活動家が要求するように、露天掘りでの鉱山開発に対して与えられた免許を見直し、我々の鉱山法を改正することは急務である。
 価格上昇の中で、非再生資源に対する採掘権譲渡に伴う採掘権料が低いことは別としても、「マルリン」計画において、鉱山に対して環境被害に対する保証金が義務づけられていないことは明記しなくてはならない。環境省で承認された環境影響調査自体が(それの作成にはモンタナ社の責任ある人物が少なくとも一名は参加していたわけだが)、「プロジェクトマルリンはカテゴリーA」つまり、最も高い環境へのインパクトと危険を有するとされているにもかかわらずである。

 http://www.prensalibre.com/pl/2004/abril/02/85205.html


今回ついでに、探してみた鉱山関係のwebです。
Oro sucio ”汚い金”と名付けられたWeb。南米を中心として、鉱山開発に反対するニュースなどが集められています。(ちょうど今回トップページに出ていたのは、日本とも関係あるエクアドルのコタカチ市における鉱山開発に反対する話題)
 http://orosucio.madryn.com/

Mines & Communities Website このサイトでは世界中の鉱山開発に関わる問題、ニュースが集められています。国ごと、企業名でも検索できます。リンクも階層が深くなっていますが、相当集められています。
http://www.minesandcommunities.org/index.htm

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2004/09/06

南米の大豆生産と森林破壊

大豆生産と森林破壊
南米における大豆生産というのは、別に新しい話ではなく、これまでもずいぶん伝えられてきたように思います。ブラジルだけでなく、ボリビアやパラグアイでも日系移民の人たちもずいぶんと参入していますし、重要な換金作物となっていることは間違いありません。
 しかし、こうした大豆生産の拡大が、農業フロンティアの拡大を引き起こし、森林破壊につながっているのもまた事実です。驚くべきは、それがいまだ「問題」のままで解決されていないことなのかもしれません。

 その上、今後、経済の自由化が更に進み、資本の移動速度も更に増していけば、投機的な農業が拡大し、森林破壊が拡大していく可能性も否定できません。
 
 先日(2004/09/03)、BBCのWebを見たところ、WWF(世界自然保護基金)が南米の大豆生産が引き起こす森林破壊など生態系への影響について、報告書を刊行したことが取り上げられていました。

Managing the Soy Boom:Two scenarios of soy production expansion in South America 
Commissioned by WWF Forest Conversion Initiative
http://www.panda.org/downloads/forests/managingthesoyboom.pdf

The Impacts of Soybean Cultivation on Brazilian Ecosystems
http://wwf.ch/images/progneut/upload/Impacts_of_soybean.pdf


ちなみに日本の国際援助でも、ブラジルセラード地域における大豆生産拡大への協力を長年行ってきました。
そのJICAのセラード開発に関する報告書は以下のアドレスです。
「日伯セラード農業開発協力事業」合同評価調査 総合報告書 2002年1月発行
http://www.jica.go.jp/evaluation/etc/brazil.html


 この辺ちゃんと読み込んで、世界一の大豆消費国として、自分たちの食べているものについて考えないといけないな、と思います。(日本の輸入に占めるブラジル産は大体17%、輸入量は消費の94%)
 あお

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2004/09/02

農村での強制排除

 再び、暴力的な強制排除が行われる。
 
 8月31日、グァテマラ、チャンペリコ(太平洋岸)のヌエバ・リンダ農園を占拠していた農民グループに対して強制排除が行われ、農民側・警官側あわせて9人の死者と24名の負傷者がでるという事件が起きた。
 
 政府側は、占拠していた農民グループは「犯罪者集団」で武装していたと述べており、確かに農民グループ側が武装していたことも事実のようであり、強制排除に際して、双方からの火器の使用があったことは、これまで報告してきた農園占拠-強制排除とは異なるケースである。
 
 
 しかし現場にいた新聞記者の証言によると、強制排除を行った警官側にも違法な暴力行為があり、超法規的殺害が行われたとも言われている。また警官は取材に当たっていた記者にも殴る蹴るの暴行を加え、カメラ等を剥奪した。
 
 ペリオディコ紙によると、警官は負傷した農民に暴行を加え、発砲したという。また記者に対して「写真を撮ったら、このように殺してやる」と発言も行われ、また記者に銃口を向けて、撮影機材を奪い、もう一名の殺害現場を記録したビデオも破壊したという。
  
 この農民グループは、CONICやCUCという農民組織には参加していなかったものの、近郊のモンテ・クリスト農園を土地運動の後に手に入れた。しかしその後このグループのリーダーが失踪したことに抗議し、この失踪事件の解明を要求して昨年9月からヌエバ・リンダ農園を占拠していた。
 
 この失踪したリーダーは、ヌエバ・リンダ農園の元管理人で、ヌエバ・リンダ農園の農園主はこのことに反発していたとのことであり、その後リーダーはこの農園のガードマンと出かけたまま失踪している、とのことである。

 失踪した元農園管理人と農園主の関係、また地域で動いているといわれる麻薬組織と農園主との関係など、この事件の背景には不明な点も多い。また農民の生存のための農園占拠とはまた異なる事件である。
 
 
 しかしこの事件は、今年6月に政府と農民組織で結ばれた「交渉による解決」という合意に反しているとともに、警察側による不当な暴力の行使が行われ、また超法規的殺害が行われた可能性もある。 
 
 紛争の平和的解決、警察による過剰な暴力の排除と責任追及、基本的人権の擁護を求めていく必要がある。
 
 あお

http://www.prensalibre.com/pl/2004/septiembre/01/index.html 
http://www.elperiodico.com.gt/
http://www.sigloxxi.com/default.asp

webは日が変わり、更新されると、この記事は出てこないと思います。
過去の記録から9月1日付の記事を探してください。

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