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2005/03/04

グアテマラ内戦被害者への補償

グアテマラ内戦被害者への補償をめぐって
2月20日 ロサリーナトゥユクさんのインタビュー

 2月25日はグアテマラでは内戦の被害者の尊厳の日と定めれています。20万にも上る被害者を生み出したグアテマラ内戦の被害者へのようやく進み始めています。
ロサリーナ・トゥユクさんは、内戦期に連れあいを奪われた女性たちが組織したコナビグアという女性組織の代表でしたが、昨年から政府によって正式に立ち上げられた国家補償プログラムの代表を務めています。
 この記事は2月20日にグアテマラのプレンサリブレ紙に掲載されたものです。
http://www.prensalibre.com/pl/2005/febrero/20/108156.html

補償委員会の仕事をどのように評価されますか

 私たちにとってこの仕事は時としてあまりにも重たいものです。それというのも私たち自身が被害者であるということを忘れることができないからです。ですが、そうはいってられません。これは様々な地域の被害者に補償するための政府の委員会なのです。(この仕事の中には)心理・社会的な、文化的な、経済的なテーマそして尊厳の回復が含まれています。私たちは心理・社会的な側面と文化的な側面から開始しましたが、官僚制度がその進展を妨げています。

36年間の内戦の全ての被害者に補償をするというのは困難な課題では?

もし内戦の全ての被害者を集めるというのであれば、マテオ・フローレス(サッカー場)にも入りきらないでしょう。死者や行方不明者の数はよく知られているかもしれませんが、私たちは現在も生存している人たちのことを話しているのです。

補償の対象となる被害者の数はどれぐらいと推測されますか

わかりません。わからないと言うことははっきりしています。真相究明委員会の報告にある25万人より遙かに多いということは確かでしょう。私たちがインタビューをした人たちの大半はこれまで証言をしたことがありません。恐怖が人々を覆いつくしてきたのです。

この国から亡命した人たちも考慮するのですか

この前も米国のロサンジェルスでカンホバル民族グループの人と出会ったところです。かれらの仲間はこれまで一度も証言をしたことがありませんが、村の虐殺から逃れるためにそこまで逃げていったのです。
(注:グアテマラの先住民族は大きくマヤ、シンカ、ガリフナに分かれるが、マヤ民族の中には約23のグループがある)

委員会を設置してほぼ一年が経過しますが、はっきりした成果はまだないのでは

目に見える成果はまだ少ないです。官僚制度が私たちの障害となっています。政府のお金で補償をするためには責任ある仕事をしなくてはなりません。
内戦の被害者のリストも必要ですし、問題にちゃんと取り組むために内部規定やはっきりした仕組みも必要です。この委員会はゼロからスタートしたのです。

ですが、規則は2004年10月には作成され、この2月に官報で公示されたのでは

確かに委員会は法的な基盤として、補償に関する規定に関して合意を形成したのですが、2月まで公示されませんでした。私たちは何ヶ月も待たされた上に、私たちに相談することもなく、改定が上から行われたのです。

ジェノサイドの規定が補償対象の犯罪から排除されたことに言及されているのですか

グアテマラで虐殺が行われたということは、いまさら議論をするようなことでもありません。ジェノサイドが行われたということは十分に示されているのです。もし政府が委員会の仕事を認めたくないというのであれば意味がありません。これは大半の人々の補償される権利を否定するものであり、更に問題は尊厳の回復という点にあります。
グアテマラでは3回のことなるジェノサイドが行われました。(スペインによる)征服であり、44年(1944年の反革命クーデター)であり、そして最後が内戦なのです。私たちにもっとも近いジェノサイドすら認めることができないのです。

内戦においてジェノサイドが行われたということを公式に認められないというのはどうしてなのでしょうか

これは多くの意味で後退ですが、このテーマは政治的なものです。ジェノサイドの責任者が誰も裁きを受けていない時に、ジェノサイドに関わった多くの者が議員であったり、政府の代表者やアドバイザーである限り、ジェノサイドがあったことを認めるのは難しいのです。ジェノサイドは刑法に犯罪として定められているのであり、それを隠すことには意味はないのです。
真相究明委員会の委員がジェノサイドの存在を認めることにも困難がありましたが、彼らの調査はかれら自身をそこに導いたのです。これは先住民族組織や被害者による取り組みの結果でもあります。

政府による認知があるかないかに関わらず、このプログラムはもう二つのコミュニティに補償をするのですか

もちろんです。私たちは私たちの計画を忠実に実行していきます。このプログラムによる最初の受益者はサン・アントニオ・シナチェとエスタンシア・デ・ラ・ビルヘンです。そこでは組織的に人権が蹂躙されたことが明らかになっています。

プロセスはどうなりますか

私たちは直接的な活動をしてきました。被害者認定の技術部門がコミュニティを訪問しました。人々に何をやっているのか説明し、人々は被害者としてすべての情報を提供しました。ほとんどの人にとって、外部の人間にそれぞれのケースを話すことは初めてのことでした。私たちは既にこの地域のリストを作成し、大半のコミュニティは補償を受けることとなります。最初にはじめるのは心理・社会的なプログラムです。

なぜ心理・社会的な対応が早急に求められるのですか

私たちがインタビューをした人たちは、まず悲しみ、苦しみ、フラストレーションそして孤独をまだ感じていることを示しました。こうしたものが癒されない限りは、その他のことはすべて意味を持たないのです。私たちは長老の助言にずいぶん依拠しました。彼らがこれまで被害者を導く唯一の者だったのです。

次の段階はどうなりますか

尊厳と文化の回復です。とりわけ、自分たちの歴史を取り戻すことに焦点を当てます。書き残され、次の世代にしっかりと引き継がれなければなりません。

なにがしかの集団に焦点を当てるのですか

老人と寡婦をまず最優先としています。戦争は多くの人たちの老化のプロセスを早めていることを理解しなくてはなりません。食べるものもなく、自らの子どもたちがの死を看取り、常に恐怖におびえているということは、大きな傷を引き起こしています。まずそうした人たちに私たちの力を注がなくてはなりません。

被害者が経済的な補償に固執するのではないですか

そんなことはありません。小切手を要求する人はわずかなものです。私たちに近づいてくるのは、このプログラムが行方不明の人たちの情報を得ることが出来るのではないかという期待からです。正義を求めているというのも確かなことです。私たち(委員会)は誰かを裁くという機能は持ってはいませんが、人々は犯罪の責任者を探すという全ての権利を有しています。もしスペインへ行かなければ裁きを行うことができないというのであれば、私はそれもいいと思います。

作成されたリストの中に、自警団として既に補償を受けた人は含まれていますか。

はい、お金に関心があるのはこうした人たちです。

大半の人が愛する人を探したいのだとおっしゃりましたが、国家が捜索の責任を持つべきだと思いますか

もちろんです。国家はこれまで内戦の行方不明者を自分自身のものとは見てきませんでした。被害者自らが遺体を探してきたのです。死者を人々の手に戻すのは国家の責任であり、検察が公務として調査をする責任があります。

ジェノサイドの責任者がグアテマラで裁判にかけられるという希望はまだ持っていますか

グアテマラの司法機関は、政治的な裁定を下すという性格をもっています。歴史や権利への関心ではないのです。しかし将来の世代にこの取り組みは残されるでしょう。

将来、戦後補償委員会は何が出来ると思いますか

存在する全ての問題を乗り越え、補償プログラムの完全なスタートを表明します。人々にこれ以上待つことを頼むことはできません。もう十分待ってきたのです。

「被害者が勇気を持ち、話し始めることを望みます。沈黙は、細菌のように生き延びた者を少しずつ食べ尽くしつつあります。ですからジェノサイドを認めることが重要なのです。これは議論されているべき話でもないのですが。」
「私たちは国際条約に批准しているにもかかわらず、差別のテーマはほとんど盛り込まれていません。差別に撤廃に向けての政策が欠如しているのです。人口の半分(を占める先住民族を)考慮することなく、進歩することはできません。

----------------------------------------------------------------------------------------- グアテマラの内戦と真相究明
 1996年に36年間におよんだ、グアテマラの内戦が終結します。この内戦では、20万人とも言われる死者を生み出し、その大半が非武装市民でした。内戦の終結にあたり、和平協定が結ばれ、その中で真相究明委員会の設置が定められました。この報告書は1999年に公表された。この勧告に基づいて戦後補償プログラムも設置されたものである。
 真相究明委員会報告書はこちら(英文・西文)

ロサリーナさんの活動していたコナビグアの紹介はこちらが導入編
その他に、コナビグアの活動関連のレポートはこちら

グアテマラにおける真相究明とジェノサイド認定の問題などは
狐崎知己、「「平和構築」と正義と補償-中米グアテマラの和平プロセスから」、『平和・人権・NGO』新評論2004年を参考にしてください。本紹介はこちら

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