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2005/12/19

揺れる自然保護区

揺れる自然保護区

 グアテマラのペテン県にあるラグーナ・デル・ティグレ保護区で、地域住民が「侵入者」扱い、「犯罪者」扱いをするなと抗議の声を上げている。
 
 この地域はラムサール条約にも指定されている湿地帯であるが、火入れや耕作地、放牧地の拡大で生態系の変化が進みつつある。さらにはこの地域はメキシコとの麻薬交易ルートとなっているようであり、武装グループがいて危険な地域もあるとのことである。
(プレンサ・リブレ紙2003/05/04)

 こうした状況に対して、環境保護団体などから政府は保護区を守るために真剣に取り組むべきだという圧力がある。こうした中で政府は「侵入者」を排除するために再定住を進めたり麻薬取り締まり対策で軍を配置するといった方策をとることを検討している。(プレンサ・リブレ紙2005/10/20)
 こうした中でこの地域に居住する37のコミュニティの代表は全国的な農民組織を通じては11月30日に次のような声明を発表している。
1)30年以上も前からこの土地に住んでいるのであり、「侵入者」などではない。外国籍でもなく、自国にいるものを「侵入者」などと呼ぶべきではない。
2)37のコミュニティのメンバーは、抑圧、排除、周縁化、人種差別につながる、私たちに対する政策を全面的に拒否するものである。
3)この保護区を救うなどと言うのはまやかしである。何年も前から政府は秘密裏に文化遺産や自然の種を秘密裏に略奪し、権利を譲渡している。また私たちのテリトリーで相談もなく、多国籍の石油企業に広大な開発権譲渡を行っている。この企業は現在でも「保護区」といわれる地域内で私たちの母なる大地と家族を傷つけつつあるではないか。
4)内務省と国防省はこの「(保護区の)救出」といわれるものへの支援を約束し、それを実施しつつある。現在、軍のプレゼンスは高まり、装甲車や戦闘爆撃機も現れる。しかしこれはこの地域に住む民間人に対する暴力的で、痛ましく、かつ憂慮すべき事態である。私たちの尊厳と権利と主権を侵し、また和平協定にも反するものである。
5)11月13日夜9時半にはセクレイ村で軍がロルマン・フランシスコ・ゴンサーレス・クルスの家を急襲し、誘拐しようとした。その中でロルマンと軍人1名が死亡する事件が起きている。

 コミュニティは
政府に対して排除の中止、抑圧と誘拐、殺害をやめるように求めるとともに、次のように要求している。「私たちに対する敬意の欠如と正当な理由もな暴力の行使を強く抗議する。私たちのための開発政策の実現のために私たちは一度たりとも呼ばれたことがない」。

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 グアテマラ社会の大きな問題の一つは、地域住民の存在が非常に軽く扱われるところにある。保護区であろうと、現実的に人々は生活している。その人と対話することもなく、首都で政策が決められ、地域住民のところに突然ふってくるのである。そのプロセスは非常に暴力的なものである。
 そして、地域の住民たちが組織して、農民組織を通じて抗議の声を上げて、はじめて地域の人々は「存在しはじめる」のである。

 この地域の推移も今後見守っていきたい。

 開発と権利のための行動センター
 青西靖夫

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中米の緑肥導入

 ベルベット・ビーンの話し

これまでの行動センターの提供情報とは少し離れますが・・・

 インターネット上で他で作成しているメールマガジン用に情報探しをしていたところ、出会った情報紹介から

1)インターネット新聞『JanJan』のWeb探検というサイトで ”招福豆ムクナの不思議”というサイトにであいました。ここでは中米で土壌保全のためのカバークロップや緑肥として利用されているベルベットビーン(学名でMucuna.Pruriens)の話しが紹介されています。
https://www.janjan.jp/special/econavi/list.php

2)上記の日本語サイトでも紹介されているのがInternational Development Research Centre(IDRC)で発行している本。COVER CROPS IN HILLSIDE AGRICULTURE -Farmer Innovation with Mucuna、Daniel Buckles, Bernard Triomphe, and Gustavo Sain, IDRC/CIMMYT 1998 http://www.idrc.ca/en/ev-9307-201-1-DO_TOPIC.html

 これはインターネット上でも読むことが出来ます。またスペイン語版もあり。
LOS CULTIVOS DE COBERTURA EN LA AGRICULTURA EN LADERAS -Innovación de los agricultores con Mucuna http://www.idrc.ca/es/ev-9307-201-1-DO_TOPIC.html

3)一番上の日本語サイトからもう少し読みたいけど、一冊読むのは大変という方には、こちら。BBCが上記の資料を利用しつつ、番組を制作しています。そのプラグラムのための資料が便利かと思います。
http://www2.essex.ac.uk/ces/ResearchProgrammes/SusAg/TheMagicBean.pdf
 
4)BBCが2001年に作成しているプログラム ”The magic bean”ではちょっと画像の質は悪いみたいですがビデオもついています。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/programmes/correspondent/1363320.stm


私も15年ほど前に、ホンジュラス西部でこのベルベット・ビーンを含め緑肥の試験的な導入に取り組んだこともあり、また最近もイサバル県でケクチの人たちを対象にベルベット・ビーンの導入に関わっていたこともあり、緑肥の話しには関心があります。
 イサバル県では、知っているけど使っていない、種を確保していないので利用できなくなった、同じコミュニティでも使っている人もいれば使わない人もいる、など反応が様々で普及に関わる問題点を調査し、整理しないとわからないところがありますが・・・

 いずれにせよ、前はインターネットも使えず、手探りで情報を探していたのと較べて、今はインターネットの検索にキーワードを入れるだけであれこれ調べられるので本当に時代は変わりました・・・
 私もそのうち、農業技術・普及関連の事例紹介サイトでも作ろうかな。

 青西

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2005/12/12

サンティアゴ・アティトランその後

 サンティアゴ・アティトランその後(12/9)

 現地在住の石川智子さんがサンティアゴ・アティトラン出身であり、現地農民組織リーダーであるペドロ・エスキーナさんと話しをした内容を整理して報告します。

1) ハリケーン後、確かに多くの人や組織がアティトランにやってきたが、「ここには支援が付いている」という印象を持ってそのまま引き取ったケースも多く、具体的な支援に結びついているケースは少ない。

2) 保健・衛生のテーマではテーマでは、OXFAMやHIVOSの援助もあるが、水やトイレ、ゴミなど衛生面に偏り、治療面での支援は不足している。キューバ人の医師団が来たが、医薬品がなく、緊急援助で受けた医薬品は、下痢や痛みの薬などが多く、治療薬がなかった。
 医者にかかり治療を受けることができれば解決できる健康の問題は多くあるだろうが、しかし治療のための資金は全くない。神経科医や、精神的ケアの必要性もあるだろう。
 現在OXFAMの資金で5人の保健プロモーターを雇っており、彼らから被災者の様々な情報を受けられるが、この援助は来年3月まで。あくまで緊急支援であり、その後のフォローは見込まれておらず、交渉していかなければならない。

3)避難所
FONAPAZ建設による仮設住宅が11月19日に竣工したが、240家族分のみ。トータルで600家族ほどの必要があり、現在第2フェーズで200軒を建設中。
ベルシェ大統領が口頭で約束をしても、実際の動きは鈍い。大統領は来年5月にフォーマルな住居を被災者に渡すと言ったが、住宅建設を担当している平和基金(FONAPAZ)は来年4月までに仮設住宅建設を終了し5月からフォーマルな住居の建設を始める、と言うなど、はっきりしていないまま遅れていきそうである。

また、仮設住居に入った240家族には支援が向けられているが、知人の家に身を寄せている家族などに支援が届いていないことが問題である。

3)生産活動
生産活動が最大のテーマである。2006年10月5日までの1年間で、少なくともノーマルな状態に戻さなければならない。援助を待つだけにならないよう、援助が明日から来なくなっても、それぞれが生活を立てることができるようになること。そのための必要最低限の条件整備が緊急の課題である。
しかし、失われた作物や生産手段のセンサスもなく、被災者が、とりあえず経済活動を再開するための最低限の具体的必要性も把握されていない。例えば、薪割りを仕事にしてきた人であれば、斧と多少の縄さえあればすぐにも仕事を始め収入を得られる。「皆に農具が必要」でなく、一人一人の必要性をまとめることが必要だが、現時点では調査すらできていない。
トウモロコシや野菜、果樹、アボガド、コーヒーなど、植えていくための支援が必要なのは明らかだが、同様に、何がどれだけ必要というデータが不足している。来年の植え付けの時期に適切な支援体制が作れていなければ、さらなる飢えと貧困に見舞われることだろう。

4)Santiagoの状況はあまりに深刻で複雑。他の被災地と比べ、被害の大きさ/密度が違う。一つの小さな市にあって、何百家族もが全てを失い、避難所、緊急の食料、医療、水、などのテーマだけでも充足するに至らず振り回されている。生活建て直しの計画に移れていない。

 以上 現地からの報告を整理したもの。

 開発と権利のための行動センターでは13日より現地に当会会員を派遣し、サンティアゴ・アティトランとサンマルコス県を中心に復興支援のための調査を行います。
 この調査結果をもとに、2006年度の復興支援を実施していきますの、今後ともご支援をお願いします。

 開発と権利のための行動センター
 代表 青西靖夫


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