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2006/11/10

エストールにおける土地回復運動

エストールにおける土地回復運動

9月17日よりエストール周辺の7か所で土地占拠が開始された。そのうち一つはエストールの町に住む土地なし住民が住居を建てるための土地を求めて自治体の遊休地の占拠を行ったもの。もう一つはやはり町の土地なし住民が住居建設用地を求めて、所有者の不明確な遊休地を占拠したものである。
 また、エストールから車で1時間ほどのチチパテ近郊のレボルシオン地区とエストールに隣接するパンソスのケブラーダ・セカ地区では鉱山会社が不法に囲い込んだ土地の回復を求めて土地占拠が行われている。

1)チチパテ・レボルシオン地区
 地域住民によると、現在回復運動を行っている土地はもともと彼らの、彼らの先祖のものであったという。この地域で耕作もしていたし、教会も一時は建設したのだという。しかし1960年にニッケル鉱山を開発していたエクスミバル社に土地を奪われ、現在生活しているチチパテの方に移ったという。
 また1980年代には当時土地の分配・登記を担当していた政府機関であるINTA(土地変革局)に対して土地を求める運動を行っていたが、1981年にそうした土地問題の解決に取り組んでいた村のリーダーが暗殺されるという事件も発生している。
 現在150家族が土地を回復するために、組織し土地占拠を行っている。
  
2)アルタ・ベラパス県、ケブラーダ・セカ
 エストールに隣接するケブラーダ・セカもチチパテと同様の問題を抱えている。この地域の人々もエクスミバル社に土地を奪われた上に、ここ4年は耕作する土地がなく、グァテマラニッケル会社(CGN)の土地を借りて農業を行っている状況である。
 そこでこの地域でも65家族が参加して土地回復運動を行っている。
 
3)バリオ・トレス・ケブラーダス
 エストールの町から徒歩30分ほどのところに位置する自治体の遊休地を占拠しているのは、エストールに住む約200家族である。これらの家族はエストールの町に住み、出稼ぎや借地農業で生計をたてているとのことであるが、町の生活は借地であり、家を建てることもできず、また土地を買うとなると6万ケッツアル(90万円)近く必要になるとのことである。(一日の収入は500円程度)
 
4)ラ・ピスタ
ここも町中の土地なし住民約80家族が占拠したものである。彼らが占拠している土地の所有者ははっきりしない。

 問題の所在
 エストールでの土地運動の目的は「土地の回復」と「生きていくための土地の確保」である。
 今回土地占拠が行われている地域は、北部横断帯(FTN)に位置し、軍政時代に開発を名目に、軍人などに不法に土地分配が進められた地域である。また石油資源やそのほかの鉱物資源の存在から多国籍企業の食指も動き、エクスミバル社への採掘権の認可も行われたところである。
 大きな問題は、そもそもこの地域に住んでいた先住民族であるケクチの人々の占有していた土地の権利が認められないままに、土地分配が行われ、土地所有権が不正に確定されていったことにある。またこれらの「私的」所有地も、その境界が明確にされることもなく、多くの場合に不当な囲い込みが行われている。
 更にはこうした土地の上に地下資源の採掘権が重なっているが、こうした採掘権の認可プロセス、また実際の認可面積などにも不透明な部分が多々見られる。そもそも地域住民には知らされることなく採掘権の認可が行われている。
 その一方で、今回の土地占拠に関して、親会社のスカイ・リソース社は「その所有地ではない」との見解を表明しているとのことであり(9月29日インフォプレス)、そもそも誰の土地であるのか?
 実際には誰の土地であるのかわからないままに・・・囲い込まれ、牛がノンビリと草をはむ。

 その一方で「生きていくための土地」を必要とする多くの住民がいる。トウモロコシを蒔き、収穫を得て生きていくための土地、とりあえず生活をするための土地。日々の生活をしていくにも苦労をする人々がいる横で、有刺鉄線で広大な土地が囲われ、数頭の牛が土地を利用しているに過ぎないという現実がある。私的所有権が「生きることに優越するのか?」
 豊かな国であれば、公的な住宅が提供されたり、低利の融資制度が存在したり、また雇用機会も多いであろう。しかしそのような制度が欠如するグァテマラの農村部において、マヤの人々にとっては、まず土地を確保することが最低限の生活の保障であり、生活の基盤である。土地さえあれば、屋根を掛け、またトウモロコシを得ることができる。
 
 開発と権利のための行動センター
 青西靖夫

 5分ほどの映像資料をまとめたビデオはこちらから
>>> http://homepage3.nifty.com/CADE/estor.wmv

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エストール土地問題続報    9月より土地占拠が続いていたエストールで、11月 [続きを読む]

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