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2006/12/13

グアテマラ地域住民とCDM

グアテマラ地域住民とCDM

開発と権利のための行動センターのブログ(2006/12/07)で既に紹介しましたが、サンマルコス県での水力発電計画が反対する住民の声に直面しています。
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2006/12/post_f8dd.html

 この問題についてインフォプレス1685号(2006/12/8)でより詳細に報告されていますので、そこから抜粋して報告します。
 11月27日、サンマルコス県タフムルコで住民総会が開催され、全会一致でコミュニティに水力発電施設の建設に反対を決議しました。この住民総会はコミュニティ開発審議会(COCODE)の要請に基づいて開催されたもので、1992名が参加したということです。参加者はその議事録をタフムルコの市長に手渡し、地方自治体開発審議会(COMUDE)において、このプロジェクトを拒否し、建設許可証を発行しないことを要請しました。これに対しタフムルコの市長イスマエル・ゴメス氏はこの住民による協議の結果を擁護することを約束したとのことです。
 またサンパブロにおいては、この水力発電プロジェクトに関する住民による協議の開催要請を待つ段階であるとのことです。
 
 現在、サンマルコス県ではトレス・リオス水力発電社がサン・パブロのカヌハ川(ríos Canujá)ネグロ川(Negro) およびタフムルコのクツルチマ(Cutzulchimá )に発電プラント建設計画を持っているとのことである。この計画では流域の9割の水量を取水し、3つの小規模発電施設を通して発電する計画でである。この結果もとの生態系には1割の水量しか残らないこととなるうえに、乾期には更に水量が減ることが予想されている。この建設には約78億円~112億円ほどコストが見積もられている。
 このほかにトレス・リオス社は同じくサンマルコス県のカタリーナとマラカタンの間のカブス川(Cabuz)にも発電計画を持っているという。
 トレス・リオス社はこのプロジェクトの便益として、建設に関わる約260名分の雇用、40名の施設稼働時期の雇用、またこれ以外に約1千万円の基金を財源とする財団法人を設置し、地域の道路整備および開発プログラムを行うとしている。このほかに建設認可に関する支払い、付加価値税、不動産税などを支払うとしている。建設許可に際して、タフムルコには約1700万円の収入が見込まれるようである。
 その一方、サンパブロの人権擁護事務所(PDH)のカルロス・マルティネスによると、サンパブロの40%の住民、タフムルコの25%の住民がこのダム計画から直接に影響を受けるであろうとのことである。
 環境保護団体であるマードレ・セルバのホセ・マヌエル・チャコンによると、このプロジェクトは3つの流域を利用するため3つの環境影響調査を行う必要があるが、一つしかなされていないこと、また政府によって認可された発電量を超えた量について言及しているなどの問題があるという。また下流のマラカタンの住民はこの建設で水がなくなるのではないかと心配しているという。

 11月7日にはサンパブロにおいて、サンパブロ、タフムルコの市長、環境保護団体のチャコン、PDHマルティネス、トレス・リオス社社長、所管のエネルギー鉱山省(MEM)副大臣およびCOCODE関係者などが参加しての会議が開催された。しかしここでは水系の利用の許認可権がMEMにあると主張する副大臣とILO169号条約および分権化法に基づく住民の権利をチャコンの主張がぶつかり協議にはならなかったという。
 更にはサンパブロの市長は、サンパブロの55のCOCODESの代表が参加することを要請したという。
 しかしその後、こうした協議に参加することへ関心を示さず、この問題はコミュニティの代表による活動および住民による協議の開催に向いているという。
 記事は、「この調査においてプロジェクトに関する情報を得ることの難しさ、コミュニティ住民や自治体職員の情報を不足を感じたと記している。」 
 またがコミュニティを危険にさらすことなく、利益を確保できるようにCOMUDEにおいて十分に検討される必要があると結んでいる。

 なお12日のプレンサリブレ紙はこの問題に関する情報不足を避けるために、タフムルコ、サンパブロ、マラカタンでは定期的に住民の会議が開催されることとなったことを伝えている。

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 実はこのトレス・リオスの水力発電計画もCDMのプロジェクトとして認可を待つ段階にあることが判明。CDMプロジェクトとしての認可を得るための有効化(Validation)という手続き段階にあります。
http://cdm.unfccc.int/Projects/Validation/DB/OY4SBJZ1MIRQ90913OEMU50O753U8Q/view.html そのためのプロジェクト・デザイン書は2006年7月に作成されていますが、その中でも住民や地域の自治体の理解が得られておらず、遅れてきていると記されている。実際に情報も不足し、住民の同意も得られていないにもかかわらず、今年3月に始めた情報提供キャンペーンの結果、「こうした障害は乗り越えられつつある」と書き込み、このデザイン書はCDMの承認を得るために既に提出されているのです。

 こうした住民無視の態度がグアテマラにおける「開発」の伝統的あり方だといえるでしょう。そして最後はごり押ししていく。かってのようなあからさまな弾圧がなくなったとしても、一握りのエリートが「開発」のあり方を勝手に決めて、押しつけていく手法に大きな変化はない。

 その一方でグアテマラ各地で、住民の声も高くなりつつあります、鉱山開発をめぐる住民投票や住民による協議、先住民族としてILO169号条約の履行を求める声。COCODEやCOMUDEの設置を定めた分権化関連法の存在も含め、「地方自治」、地域住民が未来を決めていく動きは徐々に力を持ち始めています。

 開発と権利のための行動センター
 青西靖夫


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