« グアテマラにおける「先住民族の協議」 | トップページ | グアテマラで環境活動家への脅し »

2007/01/30

バイオ燃料ブームが中米各国に引き起こしつつある影響(2007/01/30)

 バイオ燃料ブームが中米各国に引き起こしつつある影響(2007/01/30)

 バイオ燃料のブームが広がりを見せている。BBC-Mundoでは「バイオ燃料:ラテンアメリカを救うのか?」と題して、バイオ燃料の話題を継続的にフォローするようである。
http://news.bbc.co.uk/hi/spanish/specials/2007/etanol/

 さて、その一方で、エタノール生産によるトウモロコシ需要の拡大など、バイオ燃料の拡大は様々なインパクトを引き起こしつつある。
1)メキシコではトウモロコシ価格の高騰により、主食であるトルティージャの価格も大きく跳ね上がっている。
  http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2007/01/post_570a.html

2)中米グアテマラでも、トウモロコシ価格の高騰が伝えられている。1月27日付の現地ペリオディコ紙によると、天候不順による野菜価格の高騰に加えて、トウモロコシ価格の高騰が伝えられている。この記事ではエタノール需要の拡大が飼料用トウモロコシがここ10年で最も高い値段となっていると伝えている。その一方で食用のトウモロコシ価格の高騰は主要国内産地のペテン県における虫害を要因として挙げている。
http://www.elperiodico.com.gt/look/article.tpl?IdLanguage=13&IdPublication=1&NrArticle=36156&NrIssue=1068&NrSection=1

 既にNAFTAを通じて米国市場と国内トウモロコシ市場が結びつきを深めていたメキシコで食用のトウモロコシ価格が高騰したのと比べ、食用トウモロコシ市場が外国市場に対して比較的閉ざされているグアテマラでは影響の出方が異なっていると考えられる。今後、米国との自由貿易の深化の中で国内生産基盤を保全することが重要であろう。

3)畜産物価格の高騰。中米各地の畜産物価格が高騰している。輸入トウモロコシに依存する加工畜産がトウモロコシ価格の高騰の影響を受けている。
 グアテマラ:http://www.prensalibre.com/pl/2006/diciembre/16/158727.html
エルサルバドル:http://www.laprensagrafica.com/economia/699636.asp
コスタリカ:http://www.nacion.com/ln_ee/2007/enero/24/economia970381.html

4)ニカラグアでのアブラヤシの生産拡大
 ニカラグアの大西洋岸ではバイオ・ディーゼル用のアブラヤシ栽培が計画されているとのこと。http://www.magfor.gob.ni/servicios/noti1.html

5)米国投資家がニカラグアでのトウモロコシの生産拡大とエタノール向けに米国への輸入を検討。http://www.elnuevodiario.com.ni/2007/01/19/economia/39204

6)グアテマラでのエタノール向けサトウキビやアブラヤシ・プランテーションが、土地の再集中を引き起こす。グアテマラ、インフォプレス紙1688号(2007/1/19)によるとポロチック流域でのアブラヤシやサトウキビの生産の拡大に伴い、新規に土地を取得した農民から土地が買い集められているとのことである。
http://www.inforpressca.com/

7)メキシコ:トウモロコシ価格高騰の背後で触手を伸ばすモンサント社
 1月24日付メキシコ、ホルナーダ紙によると、トウモロコシの供給に問題を抱えるメキシコの状況をうけて、モンサント社は「遺伝子組み換え」によって生産性の問題は解決することができるのであり、今年には試験的栽培が承認されることを望んでいると述べているとのことである。モンサント社はこのメキシコのトウモロコシ危機をきっかけに、遺伝子組み換えトウモロコシの市場を拡大するために積極的に動いているようである。
http://www.jornada.unam.mx/2007/01/24/index.php?section=politica&article=009n2pol

//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

 農業生産余力がある国々で、穀物価格の高騰を背景に穀物生産基盤を再確立することは重要なことであろう。しかしこの中で土地の集中、投機的な土地取引などが進めば、地域の持続的な生産基盤、小農民の生活基盤を破壊することにつながりかねない。
 またトウモロコシの重要な遺伝子資源を保全するメキシコから中米地域において遺伝子組み替えトウモロコシの導入が積極的に進められる危険性もある。このことに対してはメキシコのグリーンピースも警鐘を鳴らしている。
 http://www.greenpeace.org/mexico/news/monsanto-y-autoridades-pretend
またトウモロコシ価格の高騰が自給生産基盤を持たない都市の貧困層を直撃することはいうまでもない。
 
また、主たるエネルギー源である石油を輸入に頼っている中米各国が代替燃料源を確保することは重要であろう。しかしアブラヤシ栽培の拡大がネガティブな影響を引き起こす可能性を忘れることはできない。どのような土地にプランテーションが開かれるのか、自然林の破壊はないのか、農民が土地を奪われることはないのか、直接的にプランテーションが森林破壊を引きおこさない場合でも、トウモロコシ作付地や放牧地が外延的に広がる可能性もある。
(ホンジュラスでは農地改革で作られた協同組合がアブラヤシを重要な収入源としているようなケースもあり、アブラヤシ生産が大資本によるプランテーションにつながる訳ではない。また森林伐採のあとに粗放的な放牧地が広がっているよりは、まだアブラヤシの方が土壌保全につながるケースもあるだろう。しかしその場合でもモノカルチャーであることのリスクや生態系への影響がなくなるわけではない)
 
 既にみたように、京都議定書にかかわるCDM(クリーン開発メカニズム)による小規模水力発電計画が地域住民の同意を得ていないケースなどもグアテマラでは報告されている。http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2006/12/cdm_ce01.html 地球温暖化防止にかかわる様々な取り組みを否定するものではないが、そのしわ寄せを他者に押しつけることのないよう注視していくことが重要であろう。今後も関係ニュースをフォローしていきたい。

 開発と権利のための行動センター
 青西靖夫

   「未来を決める権利は誰のもの!」

 開発と権利のための行動センターでは「未来を決める権利は誰のもの!」という視点から、グアテマラにおける鉱山開発の問題を考えるキャンペーンを展開してきました。情報を持ち、判断をし、決定のプロセスに参加していくこと、これがグアテマラでは非常に重要だと考えています。
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2006/12/__8442.html************************************
 開発と権利のための行動センターでは、現地での活動のための寄付金をお願いしております。
詳しくはこちら>>>http://homepage3.nifty.com/CADE/news.htm

寄付金口座
◆郵便振替口座:00230-5-131472
◆口座名   :開発と権利のための行動センター
************************************

|

« グアテマラにおける「先住民族の協議」 | トップページ | グアテマラで環境活動家への脅し »

バイオ燃料」カテゴリの記事

中南米」カテゴリの記事

環境」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/50657/13714892

この記事へのトラックバック一覧です: バイオ燃料ブームが中米各国に引き起こしつつある影響(2007/01/30):

« グアテマラにおける「先住民族の協議」 | トップページ | グアテマラで環境活動家への脅し »