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2007/04/09

メソアメリカでの自然保護区と地域住民

 中米ホンジュラスの大西洋岸、ガリフナ民族の住む島嶼帯に設定された海洋保護区への批判です。
この文章をグアテマラのイサバルでの活動の中で出会ったケクチの人々の声を思い出しながら読んでいました。本当に同じようなことがあちこちで起きています。
 http://homepage3.nifty.com/CADE/guatemala/CONIC.files/0609repIsabal.pdf
開発と権利のための行動センターでは「先住民族と自然資源への権利:「未来を決める権利はだれのもの」というテーマで今年も活動を行っていきます。
 http://homepage3.nifty.com/CADE/news.htm#indigena
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2007/04/post_154b.html

メソアメリカの自然保護区での「リアリティ・ショー」
リリアン・キャロル・リバス
Organización Fraternal Negra Hondureña (OFRANEH)
http://alainet.org/active/16618〈=es

 1990年代に引きおこされた自然保護区における先住民族や黒人系民族の居住環境の変容は、現在は国際機関や封建主義エリートの「開発主義的」計画に服従させられている。彼らは我々民族のテリトリーへの権利を否定した挙げ句に、現在は我々のテリトリーを単なる商売の道具とし、以前は題目のように唱えていた自然保護の本質からはほど遠い、大規模プロジェクトを促進しているのである。 
 プエブラ・パナマ計画に含まれているようなインフラ計画の実施は、数えきれぬほどの自然保護区を破壊し続け、また「メソアメリカ生物回廊」などと呼ばれていたものも、所詮は広大なテリトリーを略取し、インフラ整備の影響地域に含むためのシステムであったことが明らかになりつつある。
 ホンジュラスのパトゥカ、ティグレダム(ホンジュラス・エルサルバドル)、ボルーカ(コスタリカ)、テリベ(パナマ)などのダムはエコシステムに大きな変容を引きおこし、タワカ、ミスキート、レンカ、ブリブリ、テリベなどの諸民族に直接的に大きな影響を引きおこしている。そしてこうした諸民族はこうしたプロジェクトについて協議を求められることもなく、さらにはこれらのプロジェクトに対して強い抗議の姿勢を示していたにもかかわらず、そうした拒否の姿勢は考慮されることもなかったのである。
 また、カリブ沿岸一帯では石油の探査・開発が進められようとしており、これはカリブ沿岸の湿地帯にパイプラインが引かれ、またパナマにプエブラ・パナマ計画に含まれる巨大な精油所が建設されることにつながるであろう。またカルタヘナ・パナマ間パイプラインはベネスエラの石油の輸出に使われることになるであろう。
 プエブラ・パナマ計画は新自由主義に基づくグローバル経済のモデルの縁取られており、それは自然を単なる商品とみており、それは最も高い値をつける入札者次第なのである。これは厳格な環境主義者のプロセスを取ってきた「メソアメリカ生物回廊」が唱えてきたレトリックとも対峙するものであるが、「メソアメリカ生物回廊」も地域住民の権利をほとんど尊重せず、地域住民の管理計画のデザインや実施プロセスへの参加を拒絶してきたし、多くのケースで我々の食糧への権利を押さえつけてきたのである。

 90年代の初頭には、国家には適切な管理を保証することができないという題目の下で、指定されたばかりの自然保護区の民間財団への引き渡しプロセスが始められた。ホンジュラスにおいては、企業家であるStephan Schmidheinyがコチーノス島嶼帯の一部を獲得し、それが後にスイス市民の投資によって自然保護区となるに至った。この保護区はその後、管理のためにスミソニアン協会(*1)に引き渡されたが、この協会によって一世紀にわたって管理されているパナマのバーラ・コロラド島のような排外的公園を設置するつもりであったという。
 スミソニアン協会によるコチーノス島嶼帯に居住するガリフナ・コミュニティーの排除政策は、地域住民とスミソニアン協会の間で数多くの摩擦を引きおこし、ガリフナ民族の権利を踏みにじるものであった。
 1996年、スミソニアン協会は突如、産業的潜水ゾーンを設置した。これはこれまでの伝統的な潜水システムとは技術的に大きく異なるものであり、このことが甲殻類の略奪を悪化させ、ガリフナ民族がかって知らない生態的破壊を引きおこしたのである。
 2000年にはWWF(世界自然保護基金)(注2)が管理のために入ってきて、伝統的潜水漁を禁止したのである。これはガリフナ民族の人権の侵害に他ならない。
 WWFはAVINA(注3)とともに、コチーノス島嶼帯の新しい管理計画を策定し、伝統的漁労地区なるものを計画している。これが新たな人権侵害をもたらすことは明らかである。既に軍による漁民や潜水漁漁民に対する法律違反行為が引きおこされているが、これまで適切に調査がなされたことはなく、このことはコチーノ島嶼帯のガリフナ民族に不信感を広げている。
 しかし2006年の間、軍の駐屯地を維持したことに対して、昨年の9月にはコミュニティはコチーノ島嶼帯の非軍事化を要求した。その圧力の中で、軍は流血の事態を避けるために、最終的に撤退している。

 「コチーノス島嶼帯モニュメント」と名付けられた自然保護区の管理において最も一貫性のないのは、昨年9月13日から行われたイタリア人グループによる「リアリティ・ショー」への参加であろう。これは、ウミガメの産卵地の聖域として、人為的介入を禁止し、完全に排他的地域とされてきたパロマ島で実施されたものである。3週間にわたってこの「リアリティ・ショー」の撮影は行われ、それもカメの産卵時期に行われ、ウミガメの再生産に悲劇的な結果を引きおこすこととなったのである。10年以上の間、この島嶼帯の保全という名目のもとで、パロマ島はガリフナ民族すら船を乗り付けることを許されないという厳しい管理の下に置かれてきたにも関わらず。

コチーノス島嶼帯に引きおこされたような、管理計画を執行するために地域住民が抑圧されるという事態は、メソアメリカの自然保護区で数多くみられることであろう。現在は、プエブラ・パナマ計画の実施のために、保護という題目は薄められ、先住民族や黒人系民族のテリトリーからの略奪戦略は更に精緻化されつつある。しかし我々は何世紀にもわたって我々の生活環境を保全してきたのである。

 WWF,AVINA、Fundación Cayos Cochinosなどの来訪によるコチーノ島嶼帯での「リアリティ・ショー」が続く一方で、イタリア人、コロンビア人そしてその他の外国人が我々の生存を弄びに来るのである。諸島に住むガリフナ民族は、そうした彼らの活動を記録するテレビカメラも持たず、経済的・文化的な生き残りのために戦い続けているのです。説明がされることもなく押しつけられた管理計画に縛り付けられ、守るべき法をないがしろにすることにたけている軍隊に銃口を向けられつつ。

 ラ・セイバ (2007/03/30)
 リリアン・キャロル・リバス
Organización Fraternal Negra Hondureña (OFRANEH)
http://alainet.org/active/16618〈=es


*1 スミソニアン協会
米国において世界有数の博物館など計19の学術施設を運営管理している。今年三月公費乱用の疑いから会長が解雇されたのがニュースになっている。会長の年収は約1億円だったという・・・
http://www.cnn.co.jp/business/CNN200703270019.htmlhttp://www.sankei.co.jp/kokusai/usa/070328/usa070328001.htm

*2 WWFのサイトではコチーノス島嶼帯でのロブスター漁について次のような文章を掲載している。
http://www.panda.org/about_wwf/what_we_do/marine/news/stories/index.cfm?uNewsID=2633
*3AVINA
http://www.avina.net/web/avinawebsite.nsf/page?open
1994年に文中にも出てくるスイス人実業家Stephan Schmidheiny によって設立された団体であり、資金もこの実業家から多くが出ているようである。現在中南米全域で活動しているようである。
http://www.stephanschmidheiny.net/officialwebsite/cmtsts.nsf/page?open

また関心のある方へ
ガリフナをはじめとして、アメリカ大陸のアフリカ系住民についての資料としてはこちらをどうぞ(スペイン語)、ラテンアメリカのアフリカ奴隷の歴史から、各国の状況、法的な整備状況まで解説されています。 http://www.unicef.org/lac/manualafrodesc2006(1).pdf

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