« 2007年9月 | トップページ | 2007年11月 »

2007/10/28

アルゼンチン、IICA 他バイオ燃料関連

バイオ燃料関連情報整理

1) Agrocombustibles, Argentina frente a una nueva encrucijada
 アルゼンチンの環境団体が「アグロ燃料:新しい分岐点の前で」という報告書を刊行
http://www.pas.org.ar/index.php/2007/10/19/encrucijada-de-los-agrocombustibles/ 
http://www.pas.org.ar/wp-content/uploads/2007/10/agro-final.pdfアルゼンチンのような農業生産大国では、環境へのインパクト、温暖化への貢献どうこうはさておき、大豆の市場が広がり、高値で売れるとなれば生産を拡大しようという大企業の動きがあり、それに対して環境団体が「ちょっと待った・・・誰のために作っているのか?何のために作っているのか?」と問いかけている資料です。

2) Agroenergy and biofuels Atlas of the Americas: i. ethanol
米州農業協力機構(IICA)が中南米のバイオ燃料に関する報告書、「アグロ燃料とバイオ燃料:中南米諸国アトラス 1エタノール」を刊行
 これはバイオ燃料振興のスタンスから作成されたもので、社会・環境へのインパクトには触れてはいません。地域全体の状況と国別の報告から構成されています。
 ニュースブリーフ    http://www.iica.int/noticias/detalles/2007/CP38-2007_eng.pdf
IICA バイオ燃料サイト http://www.iica.int/Agroenergia/default.asp
(ここから文書はダウンロードできます。)

3)LIFE CYCLE ASSESSMENT OF ENERGY PRODUCTS: ENVIRONMENTAL ASSESSMENT OF BIOFUELS
 - Executive Summary -
 これは現代思想の2007年10月号「特集-温暖化の真実」のP71で引用されている表を見て、元データを探したものですが、EMPA(スイス素材試験所?)のサイトではリンクを見つけることができず・・・次のサイトでダウンロードできます。
http://www.bioenergywiki.net/images/8/80/Empa_Bioenergie_ExecSumm_engl.pdf
これをちらちらと眺める限り、作物を利用したバイオ燃料を「環境に優しい」と見なすことはやはりできないというのが明らかです。
 ちなみにこの報告書を紹介した記事はこちらに日本語であります。
 http://www.swissinfo.org/jpn/front/detail.html?siteSect=105&sid=7850105&cKey=1179993182000

4)BioenergyWiki http://www.bioenergywiki.net/index.php/Main_Page 3)のサイトを探しているときに見つけたものです。本当にあちこち情報はあふれかえっているようで・・・

 ちなみに開発と権利のための行動センターのブログにも「バイオ燃料」のカテゴリーを作成しました。
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/

 開発と権利のための行動センター
 青西

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007/10/25

開発と権利のための行動センター報告会のご案内(10/27)

直前となりましたので再度広報します。

「グアテマラの先住民族―環境保全と開発の狭間で」

中米グアテマラの人口の半数以上は先住民族です。しかし人々の生活は外部から押し付けられる鉱山開発や、自然保護区などに翻弄されています。今回のセミナーでは、グアテマラの先住民族の置かれた現状、押し付けられる鉱山開発に対して進められる独自の住民投票の取り組み、自然保護区の自主的な管理への動きについて、またそうした動きの中での「開発と権利のための行動センター」の活動について報告します。

日時:2007年10月27日(土) 11:00から11:50
会場:横浜国際フェスタ2007 セミナー会場 2F E-201
パシフィコ横浜 展示ホール2階

http://www.pacifico.co.jp/promoter/facilities/exhibition/pop_2f.html
(みなとみらい駅 or 桜木町駅 下車 徒歩)

入場料:無料!

会場の詳細などはこちらのサイトへhttp://yokohama-festa.org/

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

中南米鉱山開発関連サイト

鉱山開発関連サイトの紹介 

 1)中南米における鉱山開発を巡る紛争監視
  スペイン語ですが、中南米、特に南米諸国における鉱山開発と紛争に関する記事を集めてあります。
  http://www.conflictosmineros.net/al/html/index.php

 2)独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構
このサイトの中に戦略的鉱物資源確保というページがあり、中南米ではパナマ、エクアドル、キューバ、ブラジルの投資環境調査の報告書がダウンロードできます。それぞれローカル・コンサルタント任せで作成しているのでしょうが、エクアドルの報告書は社会・環境面の記述などひどい報告です。こんなのを読んで参入する企業があるとすれば・・・あるのだろうか?・・・地域社会と対立が生じるのが当たり前という気がします。しかしあちこちで問題が起きているというのは、こういうのが鉱山開発関連企業の常識なのかもしれない・・・
http://www.jogmec.go.jp/mric_web/strategic/
 
開発と権利のための行動センター
 青西

| | コメント (0) | トラックバック (0)

中米における観光開発を巡る問題-パナマ・コスタリカ 

中米における観光開発を巡る問題-パナマ・コスタリカ 

 夏以降、中米における観光開発を巡る記事がいくつか届いたので、報告します。
一つはパナマにおける先住民族と観光開発を巡る問題で、これは外国資本による観光開発を前にして、先住民族の自治組織内部での意志決定のあり方も問題となっています。
もう一つはコスタリカの事例で、こちらは拡大を続ける観光業が地域の自然環境に問題を引き起こしているという報告です。コスタリカを環境保全の先進国と妙に理想化せずに、大規模観光開発による環境破壊の現状をモニタリングしていく必要があるのでしょう。

1)パナマ先住民族居住地区と観光開発-パナマのノベ・ブグレ・コマルカにおけるダマニ・ビーチ観光開発を巡る対立
 
 ノベ・ブグレのコマルカ(先住民族区)は3つの地域に分かれており、その一つがNo Kribo地域である。このNo Kribo地域の伝統的権威が、米国系のダマニ・ビーチ社と観光開発に関する合意を結んだという話を発端に、この地域での観光開発を巡る対立が生じている。 
 6月17日に地域議会が、このダマニ・ビーチ社と観光開発に関する合意を結んだとのことであり、これがNo Kribo地域を構成するKusapín y Kankintúの住民の反発を招いたとのことである。
http://www.estrelladepanama.com/web/main/ver.php?idnews=55297
その後、合意文書はいくつか修正を受けているようであるが、その開発コンセッションが45年、更に40年の延長可能と長期にわたることの問題、また地域議会にはこのような合意を締結する権限は認められていないこと、海岸線の開発コンセッションに関する国の権利への抵触など、この合意に至る手続の違法性も指摘されている。更には、実際に開発されることになった場合には地域の生態系へ大きな影響を及ぼすことは避けられない。
http://www.nodo50.org/caminoalternativo/boletin1/152-15.htm

 この問題はどうもはっきりしない点が多いので、関心のある方はこちらの情報をお読みください。
http://burica.wordpress.com/2007/07/17/comarca-ngobe-bugle-vendida-a-consorcio-damani-beach/(このサイトのコメントも興味深いものです。地域を離れた若者がこのコマルカの開発を考えてコメントを書き込んでいたりする。)
http://www.turismo-responsable.org/denuncia/0708_tierras_panama.html
http://www.thepanamanews.com/pn/v_13/issue_18/business_03.html
INFORPRESS CENTROAMERICANA Proyecto turístico genera malestar entre indígenas
Edición : 1726 Publicado : 19/10/2007

ちなみにこのノベ・ブグレにおいては鉱山開発利権も存在しており、地域の先住民族の反対で一度は中止に追い込まれたセロ・コロラド銅鉱山の再開発が目指されているようである。(パナマ共和国の投資環境調査 JOGMECP6) 
http://www.olca.cl/oca/panama/mineras01.htm
http://www.jogmec.go.jp/mric_web/strategic/panama2006/panamaindex.html


2)コスタリカにおける観光開発への批判

 2007年8月に発行されたWRM(世界熱帯林運動)のニュースレターに近年のコスタリカにおける観光開発の問題点が取り上げられている。要約すると次のような問題が上げられている。

-近年の停電が、自然保全地区における水力発電や地熱発電プロジェクトの口実に使われていること。
-しかし市民に対しては節電や節水を呼びかける一方で、観光業者やもっとも乾燥した地域にであるグアナカステの五つ星のホテルにはそのようなことは言われない。乾期のゴルフ場への散水の中止やプールの水替えの中止は要請されない。そしてグアナカステの高級ホテルやコンドミニアムの建設がどれだけの水を利用するか、既に地域のコミュニティは建設業者が河川を干上がらせていると告発しているという。
-もっともいい場所は私有地に、そして外国人の手に渡り、また国家の自然財産がインターネットで売り払われている。ゴルフィート野生生物保護区では高い土地に豪華な建築物が作られ、展望を得るために傾斜地の木々が伐採されている。下方の村は土砂崩れの危険に直面している。
-パパガヨ・観光拠点プロジェクトではホテルやゴルフ場のために沿岸乾燥林が伐採され、バウラス公園のバッファーゾーンのタマリンドでは”タマリンド保全社”が、数百ヘクタールにおよぶ「エコロジカル住居プロジェクト」のために既にマングローブの伐採が進んでいるという。
-渡り鳥の渡来地でもあり、残されたわずかな湿地帯であるニコヤのサマラ海岸でも観光開発のための開発が進みつつある。
-ドミニカルからパルマルにおける沿岸部においても観光プロジェクトによる森林や生物多様性の破壊が進んでいる。
-しかしこの話は決して新しいものではなく1993年においても既に「最も偽善的な観光開発」だと、環境団体から指摘されていたという。
 関心のある方はこちらへ
  http://www.feconcr.org/index.php?option=com_content&task=view&id=133&Itemid=27
http://www.wrm.org.uy/countries/CostaRica.html

 大規模観光開発が環境にネガティブな影響を引き起こすのは明らかであり、コスタリカといえども例外ではないということであろう。更に、この報告に出てきた「グアナカステ」と「ゴルフィート」は、JICAがコスタリカ政府観光局と行った「コスタ・リカ国沿岸地域 観光土地利用計画調査」で扱われている地域とぴったり一致しています。
http://lvzopac.jica.go.jp/external/library?func=function.opacsch.mmdsp&view=view.opacsch.mmindex&shoshisbt=1&shoshino=0000002932&volno=0000000000&filename=11634144.pdf&seqno=1
この調査結果がこうした事態を引き起こすきっかけになったのか?あるいはこの調査が実際には活用されなかったからから問題が起きているのか?現場も知りませんし、この調査報告書もちゃんと読んでいないので何とも言えませんが・・・この点も納税者としては見ていかなくてはならないのではと考えています。

 またグアナカステにおける開発問題(長期滞在者向け別荘?の拡大)について、FECON(コスタリカ環境保全連盟)のサイトに次のような記事も掲載されています。
http://www.feconcr.org/index.php?option=com_content&task=view&id=154&Itemid=70

 開発と権利のための行動センター
 青西

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007/10/18

世界食糧デーとバイオ燃料

世界食糧デーとバイオ燃料

 10月16日は世界食糧デーでした。それにあわせていくつかの報道がなされていますので紹介します。

1)食糧への権利のための国連特別報告者であるジャン・ジグレール(Jean Ziegler)がバイオ燃料に関してモラトリアムを要請
http://www.swissinfo.org/spa/portada/detail/Jean_Ziegler_pide_moratoria_en_biocarburantes.html?siteSect=105&sid=8307635&cKey=1192178989000&ty=st
 この報道によると食糧への権利のための国連特別報告者は、トウモロコシやその他の穀物を利用したバイオ燃料生産は食料価格を高騰させるとともに、世界の飢餓を深刻化させる危険があるため、食用作物を利用したバイオ燃料生産に5年間のモラトリアムを求めているとのことである。
 この期間に、経済的権利や環境に対するバイオ燃料のインパクトを評価するとともに、第2世代のバイオ燃料への技術開発に投資すべきと考えている。またこの第二世代バイオ燃料は穀物価格の高騰を避け、飢餓を避けるために、非食用作物、農業廃棄物、作物残渣などを利用して生産されるべきであると述べている。
 また50リットルの自動車のタンクを満タンにするためのバイオ燃料は約200キロであり、これは1人分の一年間の食糧に相当するとのことである。さらにブラジルにおけるサトウキビ生産について、サトウキビの拡大が食糧生産コストを引き上げているとともに、10ヘクタールの食糧作物生産が7-10人の雇用を創出する一方で、サトウキビ生産では雇用は一名に過ぎないとののことである。
 
2) 増え続ける飢餓人口
 同じくジャン・ジグレールは世界食糧デーに際して声明を発表し、食糧への権利を侵害されている人々の数が減少していないこと、飢餓に苦しむ人口は1996年以降増え続ける傾向にあり、その数は8億5千万に上ると推測されている。5秒に一人世界で飢餓や栄養不良で10才以下の子どもが死んでいっているという。しかし世界はこれまでになく豊かになり、世界中の人口の倍の人数が食べるだけの食糧が生産されているという。
 また国際機関にも不一致があり、FAOが食糧への権利を確立するために取り組んでいる一方で、IMFや世界銀行、世界貿易機関などが反対にその権利を切り崩していると批判している。また各国の政策も、世界食糧サミットで食糧への権利を認めているにもかかわらず、ネガティブな影響のある貿易政策を採用している国があると述べている。
 さらに、女性や先住民族など脆弱な状況に置かれている人々の排除や差別、食糧システムへの多国籍企業の野放図な権力、砂漠化、武力紛争そしてバイオ燃料といった問題を提起している。トウモロコシや小麦、砂糖、パームオイルなどを燃料にしようなどというひどい思いつきは、惨事を導くことになると述べ、食糧と燃料の競争を生み出すリスクがあり、このことは開発途上国における食糧・土地・水価格の高騰をもたらし、貧困と飢餓を残すことになると批判している。

http://www.unog.ch/80256EDD006B9C2E/(httpNewsByYear_en)/6173E6CDDA0EBBECC1257376002FB352?OpenDocument

以下 世界食糧デーとは関係ありませんが、バイオ燃料関係の情報です

3) Oil Palm. From Cosmetics to Biodiesel :Colonization Lives On 2006年9月発行
 まだ目を通していませんが。(英語、スペイン語)
http://www.wrm.org.uy/plantations/material/BookOilPalm2.html
  
4) ナショナル・ジオグラフィック 10月号 
シリーズ「地球の悲鳴」 バイオ燃料 実用案にもお国柄
ブラジルでいち早く取り入れられ、いまや世界中の注目を集めるバイオ燃料。地球温暖化を緩和できるのか。各国での研究の最前線をレポートする。
 http://nng.nikkeibp.co.jp/nng/magazine/0710/feature01/index.shtml

5) Global Bioenergy Partnership (GBEP) なるサイトができています。中身未確認
  http://www.globalbioenergy.org/
 
開発と権利のための行動センター
青西

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2007/10/17

強行されるダム開発(グアテマラ・イシュカン)

強行されるダム建設プロジェクト


Xalalagif

 9月25日、グアテマラのキチェ県北部、イシュカンに建設が予定されているシャララ水力発電所計画の入札が開始された。このダムはチクソイ川にかかるもので、発電量は180メガワット、グアテマラでも2番目の規模となる。また総建設費は4億ドルに上るものと想定されている。入札では外国企業が80%の投資を行うことが求められており、20%をグアテマラの国内企業が負担し、開発業者は30年間にわたって、グアテマラ電力公社に電力を発電コストを元にした金額で販売することとなる。
 (開発業者向けにはご丁寧にも次のサイトまで作ってあるが、どこを見ても水没予定地域もわからなければ、環境や社会への影響などについては言及していない。http://www.inde.gob.gt/xalala/
 またこの計画は国内需要の増加に対応するためという名目ではあるが、当初から中米・メキシコの送電線結合の実現後には海外への売電も視野に入っているものである。(Inforpress 07/04/27, 07/09/28) そして居住権の擁護のための活動を行っているCOHREの報告書によると、ダム建設によって34コミュニティ、約15000人もが水没による影響を受けるプロジェクトなのである。(下記報告書 P76)
http://www.cohre.org/store/attachments/Informe%20de%20Mision.Mexico.Honduras.Guatemala.Jul07.pdf

 しかしこのダム建設は今年4月に地元住民より明確な拒否の声を突きつけられている。地方自治体が実施した「住民投票」には大人も子ども含め、2万人近くが参加し、90%ほどが拒否の態度を示している。成人の参加者に限っても、は選挙人登録者、非登録者を含む成人投票者は11953人で、うち86%が水力発電計画を拒否した。(ちなみに 9月の総選挙での選挙人登録者総数は23372人、投票者数は14481人であった。)またこの住民投票は、グアテマラ政府の人権擁護委員会もその実施プロセスを支援し、かつ地方自治体が主体的に実施したものであり、その正統性は明らかである。
しかし水力発電を管轄する鉱山・エネルギー省は、住民投票を「拘束性」がないとしたこれまでの憲法裁判所の判例をもとに、地域住民の意思表明を無視し、開発を進める方針をとっている。更には今後も住民と協議をするのではなく「意識化」を進めるとしている。(07/09/26 プレンサリブレ紙 http://www.prensalibre.com/pl/2007/septiembre/26/183432.html:なおこれが前回のこのブログの報告におけるフアン・ティネイの憤りにつながっていると思われる。)
 
 グアテマラ政府は、「住民投票」を拘束性がないものとして看過しているが、国内法と同等の性格を有するILO169号条約において、土地からの移転に関しては、「自由かつ十分な情報を受けた上での同意を得た場合のみ行われる」という規定が基本となっている。この点からも政府は果たすべき手続を踏んでおらず、その責任を履行していないと考えられる。
 
行動センターの関連記事はこちらから
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2007/04/post_7a36.html
また上で紹介したCOHREの報告書が法的側面からの検討を行っている。

開発と権利のための行動センター
 青西

| | コメント (0) | トラックバック (0)

先住民族の権利宣言とグアテマラ

 先住民族の権利宣言採択に関して

 2007年9月13日、国連で「先住民族の権利に関する国連宣言」が採択されました。
日本の新聞でもいくつか報道されましたが、「先住民族の10年市民連絡会」が発行する「先住民族の10年News」第138号(10月13日発行)でもこの宣言採択が特集されています。宣言の日本語訳もできあがり次第掲載されるとのことです。http://indy10.at.infoseek.co.jp  及びニュースレターより。
 
 宣言文の本文は国連の下記のサイトで見ることができます。(英語以外の言語へのアクセスできます)
http://www.un.org/esa/socdev/unpfii/en/declaration.html
 次のよくある質問(FAQ)も参考になります。
  http://www.un.org/esa/socdev/unpfii/en/declaration.html


 中南米においては10月12日にボリビアで「世界の先住民族の歴史的勝利を祝う世界大会」が開催され、この宣言の採択を祝うとともに、声明文が公表されています。(こちらも後日抄訳し、10年ニュースの方に掲載の予定)
http://www.movimientos.org/12octubre/show_text.php3?key=11076


 この採択に関し、開発と権利のための行動センターのグアテマラでのカウンターパート組織であるCONIC(グアテマラ先住民族・農民全国調整委員会)のフアン・ティネイは次のように語っています。先住民族のテリトリーにおける、先住民族の意向を無視した鉱山開発などの問題を抱えているグアテマラの状況への危機意識とともに、対抗していくためのこの宣言の重要性が伝わってきます。

 以下 2007/9/28聞き取り
 
 国連におけるこの宣言の採択は非常に重要な一歩です。これは私たちの仲間の真摯な闘争の成果なのです。しかしこの採択には大きな障害がありました。力を持った大国が、先住民族のテリトリーにおける自然資源の搾取のための投資に利害を持つ国々が反対に回っていたのです。
 これは私たちの勝利ですが、宣言と現実は大きく異なることでしょう。ですから私たちが闘争を続けていくことは重要なことなのです。しかしこの宣言があることは、私たち先住民族が自然資源やテリトリーの問題に立ち向かっていく重要な道具となることでしょう。
 私たちの国では資源、水や石油や鉱物資源などに触手が伸びています。そうした中で先住民族のテリトリーを承認し、それを守っていくこと、そしてそのテリトリーにある水、森や大地を守るための闘いを続けていかなくてはなりません。しかし貧困の中にいる人々にとって、多国籍企業の見せつけるお金は莫大なものです。そこで自分たちの小さな土地に2万ケッツアル(約30万円)とか言われたら、喜んで売ってしまうことになります。しかしそれで全て、次の世代の生活も含め、全て終わってしまいます。そのあとに来るのは破壊と略奪だけなのです。
 先住民族に対する「協議」も重要な課題です。「協議」も重要な議論のテーマとなっています。それはコンセッションなどに先んじて先住民族の承認が必要だ、ということを意味しています。しかし政府は最初から多国籍企業の言うなりで、資源をただでばらまいているのです。更にコミュニティとの「協議」どころか、行われているのは「意識化」です。黙って土地を引き渡して出ていかせるための「意識化」です。
 これは土地からの排除なのです。暴力は伴ってはいなくても、歴史的な、そして全ての生きる時間における土地からの排除なのです。都会に出たり、他の国へ行ってしまうことになるでしょう。しかし二度と自分の土地に戻ることはできないのです。これを土地からの排除といわずなんと言えるでしょうか。
 これがグアテマラ国家の態度なのです。何も変化はありません。だからこそ、この宣言を手にして、闘争を継続していかなくてはなりません。

 開発と権利のための行動センター
 青西

 10/27は報告会です。詳細はこちら
 http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2007/10/1027_f505.html

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2007/10/11

開発と権利のための行動センター報告会のご案内 10月27日

開発と権利のための行動センター報告会のご案内

「グアテマラの先住民族―環境保全と開発の狭間で」

中米グアテマラの人口の半数以上は先住民族です。しかし人々の生活は外部から押し付けられる鉱山開発や、自然保護区などに翻弄されています。今回のセミナーでは、グアテマラの先住民族の置かれた現状、押し付けられる鉱山開発に対して進められる独自の住民投票の取り組み、自然保護区の自主的な管理への動きについて、またそうした動きの中での「開発と権利のための行動センター」の活動について報告します。

日時:2007年10月27日(土) 11:00から11:50
会場:横浜国際フェスタ2007 セミナー会場 2F E-201
パシフィコ横浜 展示ホール2階

http://www.pacifico.co.jp/promoter/facilities/exhibition/pop_2f.html
(みなとみらい駅 or 桜木町駅 下車 徒歩)

入場料:無料!

会場の詳細などはこちらのサイトへhttp://yokohama-festa.org/

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

グアテマラ 鉱山開発問題のその後(071011)

グアテマラ 鉱山開発問題のその後

 今回、グアテマラを訪問した際に、サンマルコス県のサンミゲル・イシュタウアカンやシパカパで採掘が進む露天堀のカナダ資本の金鉱山であるマルリン鉱山についてもインタビューを行ってきました。そのインタビューを整理して報告します。

1)現地の先住民族組織であるアフチモルは次のように鉱山開発に関わる問題を整理してくれました
-井戸の水量低下、水の枯渇
-排水池の汚染水によるとおもわれる家畜や鳥の死亡
-周辺住宅における振動等による壁面のひび
-汚職の蔓延(鉱山会社が政治家や地域のリーダ-を買収していくことによる)
-暴力事件の拡大
-コミュニティ内の対立の深化(鉱山で雇用されている人、されていない人)
-地域のアイデンティティーの崩壊、先住民族差別(鉱山の職場内で先住民族言語を利用できないなど)

2)地域の鉱山開発に関するレポート(Foto -Reportaje :La Mina Marlin,COPAE 2007.8)ではひびの入った家屋の写真を紹介しているが、鉱山近郊の57の家屋で壁面へのひびなどが発生しているという。しかし鉱山側は全く補償を行う態度を見せていない。更には 鉱山開発によって家のすぐしたまで岩盤が削り取られている状態も報告されている。
Sm1_2
Sm2_2
 また鉱山の側の公共道路には次のような看板が掲示されている。「鉱山工事中につき危険:自己責任とリスクで運転するように」。
Sm3_2


 ・・・・このような横暴が許されるものであろうか?地域住民に対する暴力であり、立ち退かせるための脅迫であある。また企業側は危険防止に果たすべき責任すら負わず、企業の私有地の如きである。グアテマラ政府は、住民の実力行使を批判するために「法治国家」なる表現を多々利用するが、このサンマルコスで起こっている事態は「無法地帯」そのものではないだろうか。

 以下ここまでの関連情報
 関連情報は次のサイトからどうぞ(英語・スペイン語)
http://www.resistance-mining.org/english/index.php
開発と権利のための行動センターのスペイン語情報提供サイト
http://homepage3.nifty.com/CADE/Espanol/mineriaindex.html
次のサイトは日本語です。(ジェームス・ロドリゲスのブログ)
http://mimundoj.blogspot.com/2007/09/blog-post.html
写真はFoto -Reportaje :La Mina Marlin,COPAE 2007.8より。ダウンロードは次のサイト
http://www.resistencia-mineria.org/espanol/fotos/fotoreportaje-marlin-0807.pdf


3) 鉱山問題を扱う、カトリック教会サンマルコス教区の「平和とエコロジー委員会(COPAE)」の活動
 現在 COPAEでは4つの活動を中心的に行っている
―水系汚染に対する環境モニタリング
―調査・コミュニケーション
―法的支援
―抵抗と連携
―(開発のためのオータナティブ)

1)水系汚染モニタリング
 最終的にメキシコ湾まで流れこむ、鉱山周辺の河川の水質モニタリングを行っている。自然資源・環境省(MARN)が行うべき業務であるが、脆弱であり、まったくできていない。実施しようという政治的意思も欠如している。企業はお抱えの環境モニタリング会社を通じて、地元住民による環境調査を組織しているが、試料は企業の手に渡り企業の分析室において分析されるのであり、中立性、信頼性を欠いている。
 水系への影響はすでに出ている。アルミや銅、鉄といった金属の検出量が国内外の規定を上回っている。髪が抜けたり、家畜や鳥が死んだというケースも報告されている。汚染がないという方がそもそもありえない。
 今後水質モニタリングのデータをコミュニティに渡し、住民が適切な情報を持つことを支援していく。また科学的な分析のベースラインを作っていくことを目指している。
「国際的な環境モニタリングの専門家の来訪を期待している」
2)調査・コミュニケーション
 コミュニティ出身のレポーターを養成し、鉱山開発に伴い、何が起きているかを報告してもらう。そういう情報に基づいてビデオやポスターを作成。また今後、ラジオでの放送も始める。
 これ以外に専門的な調査も別途行う。

3)法的支援
企業に対して、損害に対する責任をもとめる訴え、また国際的な司法機関にこの問題を提訴するといった活動の実施。

4)抵抗と連携
 孤立した運動を展開するのではなく、鉱山開発の問題を抱えるグアテマラのウエウエテナンゴ県やイサバル県とも連携することを目指している。またコミュニティの強化に取り組み、住民による協議を進めるといった活動も行っている。

まとめ
 開発と権利のための行動センター
 青西
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007/10/06

グアテマラ選挙結果について

2007年グアテマラ総選挙について
 
 グアテマラ総選挙が9月9日に行われ、アルバロ・コロムを大統領候補に据えたUNE(国民希望党)が28.23%の得票率、続いてオットー・ペレス率いるPP(愛国者党)が23.51%と続き、この両者で11月4日の決選投票が争われることとなった。
 国際社会から注目を集めていたリゴベルタ・メンチュウ(グアテマラのための出会い党)は3.09%にとどまった。
 11月の決選投票、また来年以降の国会運営を考えても、どのように連立を組んでいくかが重要な点となるが、UNEにとっては連立は難しい選択であろう。その一方、PPはGANAを巻き込み、その後いくつかの政党を巻き込めば過半数に達することができる。またUNEは重要な票田である首都で集票力が弱く、PPの27.25%、GANAの23.84%に続く20.3%の得票率に過ぎない。この点からも決選投票でオットー・ペレス優位の声もある。
その一方UNEは地方自治体の首長を104の自治体で押さえたのに加え、地方自治体での支持拡大を目指している。これまでに計243の新首長の支持を取り付けたという(periodico紙20071005)
 今後に向けて重要な鍵を握るのはGANAであろう。都市部での票を維持し、国会議員も37人押さえ、更には地方自治体でもUNEに次ぐ第二党となっている。GANAの動向が決選投票の動向を握っていると考えられる。

 内戦終結後拡大していた地方市民政党(コミッテ・シビコ)の拡大傾向は終わり、19の首長選で選出されたのみであり、前回の27自治体から大きく後退している。

左派が躍進した南米諸国などと較べ、グアテマラでは左派の衰退も続いている。前回選挙では元ゲリラ勢力などによるANNが4議席、URNGが2議席を確保したが、今回はURNG-MAIZが2議席を獲得したに留まり、またやはり元ゲリラ勢力によるANNは一議席も取れることなく政党として消滅することとなった。
 中道左派とみられるEGは、前回選挙でANNから出馬したニネット・モンテネグロを全国区のトップに据え、都市部を中心に4議席を確保した。しかし自治体選挙含め、地方での票は伸びず、支援に動いた農民組織も地方選挙における動員力の弱さを再確認することとなった。

 青西

Resultadosele

 
 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007/10/05

自然保護区と先住民族の取り組み(グアテマラ)3

自然保護区と先住民族の取り組み(グアテマラ)3

<サンタクルス山域候補地域>

 イサバル県西部、イサバル湖とペテン県に挟まれるサンタクルス山域は1989年に公布された4-89法(保護区法)の第90条において「特別保全地区」として指定され、自然保護区としての制定候補地となっている。
 しかしこの地域の土地問題は不透明な歴史を持っている。1990年6月、当時のセレソ大統領の子息であるマルコ・ビニシオ・セレソ・ブランドンは環境NGO「FUNDAECO」を設立。その半年後、大統領の任期切れの直前の12月に、国有地(チョコン・ナシオナル農園)がこのNGOに対して、環境保護を名目に2500ヘクタールに渡って譲渡されるのである。ここからこの地域の土地問題が混乱を深めていく。地域のコミュニティが10年以上にわたって進めてきた土地所有権確定手続きはここで一度頓挫する。

 しかしコミュニティの人々による土地回復運動が高まる中、2000年以降、この環境NGOはその所有地の一部を国に返還し、その後土地分配を担当する「土地基金」によって土地の一部がコミュニティに分配された。しかしコミュニティが本来要求していたコミュニティの土地全域ではなく、コミュニティの住民の耕作地に当たる部分のみの所有権確定を受けることとなった。環境NGOの主導で作られた土地利用区分に基づき「保全地区」、「多目的利用地区」と指定された「コミュニティ」の土地は、環境NGOの私的所有権のもとに従属している。不透明な手続きのもとで土地を確保した環境NGOが「コミュニティの土地」の所有者として居座っているのである。現在、「多目的利用地区」における植林補助金等の手続き管理等は環境NGOの手に握られている。またFUNDAECOでは、今後のサンタクルス山域の保護区設定に向けて着々と準備をしている。  
 
 地域住民は2000年頃より土地問題解決の支援を求め農民組織であるコニック(CONIC)と活動してきた。と同時に「地主」であるFUNDAECOとの活動も続けている。植林や呼称栽培などのプロジェクトを彼らと行っている。しかし地域住民はよそ者のNGOが自分たちの土地を、資源を管理することには明確なNoの姿勢を堅持している。
 こうした活動の中でコミュニティのリーダーは「チョコン・ナシオナル保全コミュニティ間審議会」を設置、その後、「イロル・キチェ・アソシエーション(<森の守り人>の意)」としての登録手続きを進めている。将来的には環境NGOを通じてではなく、自分たちで、自分たちのテリトリーを、自然資源を管理したいと考えている。
 しかしこのアソシエーションが自主的に地域を管理していくためにはまだまだ力が足りない。会計能力やプロジェクトのマネージメント能力の強化、近隣の住民組織との連携などやるべきことは山積している。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「開発と権利のための行動センター」では、現在、グアテマラのイサバル県の住民アソシエーションの強化のための活動実施を支援しています。
 また全国レベルの農民・先住民族組織であるCONICとも連携し、自然保護区と先住民族の関係や国内での取り組みを共有するためのセミナーなども実施しています。
 10月にはCALASやサルストゥンの地域住民リーダーなどを招いて、経験を交流するワークショップも実施する予定です。

 行動センターでは今後も次の大きな二つの方向性での活動を継続していきますので、ご支援頂きたくお願い申し上げます。

1)地域先住民族組織・住民組織強化支援:組織強化、関係機関との連携強化
2)先住民族組織強化支援:経験共有と戦略策定支援

寄付金振込先はこちら

寄付金口座
◆郵便振替口座:00230-5-131472
◆口座名   :開発と権利のための行動センター

 開発と権利のための行動センター
 理事 青西靖夫

| | コメント (0) | トラックバック (0)

自然保護区と先住民族の取り組み(グアテマラ)2

 自然保護区をめぐる先住民族の取り組み 2

<イシル生物圏ヴィシス・カバ保護区の事例>
キチェ県北部のネバ・チャフル・コッツアルの三つの自治体はイシル語を話す先住民族が居住している地域である。この中のチャフル(chajul)に位置する「イシル生物圏ヴィシス・カバ(Visis Caba)保護区」はその設立以来、地域内での対立・紛争が続いている保護区である。
この保護区は1997年7月に政令40-97によって「イシル生物圏 ヴィシス・カバ保護区」として制定されたものである。しかしこの保護区の設定は地域住民の十分な同意を得ないままに、域外の環境保護団体と地域の一アソシエーションを中心に進められたために、地域の住民の中に対立を引き起こすものとなった。

 もともとヴィシス・カバはチャフルの自治体所有の共有地であり、また伝統的な聖地でもあった。ヴィシス・カバにあるフイル山(Cerro de Juil)はその中でも重要な聖地である。また地域住民はこの共有地でカゴや蔓細工を行うための材料を採集しつつ、長年にわたって森林を守ってきたのである。急峻な地形にも助けられ、豊かな森林以外にもジャガーやピューマなども生息しているという。
 その一方、この地域はグアテマラ内戦の中ですさまじい弾圧を受けた地域でもある。1975年のグアテマラ貧民軍(EGP) によるチャフル北部のペルラ農園での農園主殺害以降、この地域では地域のコミュニティに対する激しい弾圧が繰り広げられ、弾圧から逃れた住民が山中にCPR(抵抗の共同体)を組織し、集団で軍の弾圧から逃れていた。

 1989年に保護区法(4-89)が制定された時点で、既にこの地域は将来的な保護区の候補地として挙げられていた。1995年頃から外部の環境保護活動家が保護区設置のための動きを進め、地域の開発事業や有機コーヒー生産を行っていたチャフル住民アソシエーション(Asociación Chajulense)や自治体の首長マヌエル・アシコナ(Manuel Asicona)を巻き込んでいく。そして1996年にCONAPに対して自治体当局、住民アソシエーション、地域コミティ」の名前で保護区設置の要請がだされる。それに並行する形で環境保護団体であるマードレ・セルバ(Madre Selva)が技術報告書を作成し、その中でチャフル住民アソシエーションを管理事業者とすることにコンセンサスがあるとして推薦している。
 1997年7月、法40-97によって、保護区設置法が公布され、正式にヴィシス・カバ保護区設置が決まるとともに、その中の第5条でチャフル住民アソシエーションが管理業務者として指定されることも規定された。
しかしこの保護区設置は、地域で活動していた先住民族の権利擁護組織であるデフェンソリア・マヤなどをはじめとする地域住民から大きな反発を受けることとなる。大きな問題は、この保護区の設定プロセスにおいて住民側のコンセンサスが欠如し、住民に情報がいかないままに保護区が法的に制定されたという点である。こうした情報の欠如もあいまって、このヴィシス・カバの共有地が国に売られた、外国の企業に売られたという噂も広がっていたようである。
 またこの反発には、歴史的に存在する国家機関への不信感、地域の共有地に対する外部からのルールの押し付け、利用してきた自然資源へのアクセスが不可能になる可能性があること、更には内戦時の避難民の土地確保問題と共有地からの排斥を狙う地域住民との利害の対立など様々な要因が存在していた。
 保護区設置そしてそれを進めた自治体に対する反対運動がふくれあがる中で、1997年12月には管理業務者への支援機関である「地域技術審議会」にコミュニティ代表、デフェンソリア・マヤ、国内難民委員会を含めるという法改正が行われた。しかし自治体との対立は続き、また国の担当機関である保護区管理審議会(CONAP)も地域への担当者の配置をあきらめることとなった。
こうしてCONAPも実質的にはこの地域を保護区としての管理することを諦めることとなり、またチャフル住民アソシエーションも現在は保護区の件には関与していない。
 
 -現在の動き-
 2年ほど前から環境法・社会アクションセンター(CALAS)が新しくこの地域での活動を展開しつつある。地域住民に対して保護区を押し付けるのではなく、地域住民主導で保護区について考え、判断していくための情報を提供し、集まりを調整していくファシリテーターとしての役割に専念している。「保護区」という用語の使用も避け、まず地域住民主導のワークショップで、既存の規範の把握・共有を行うとともに、保護区法のイシル語への翻訳も進めている。
 地域の言語で情報を提供していくこと、考え、意見交換を行う場を組織すること、その上で、住民主体で方向性を定めていくことを目指している。こうした、言ってみれば当たり前の作業がやっと前進しつつある。また「ドナーの時間」ではなく、地域の時間を見据えて、10年がかりで活動を進めていこうという方針を持っている。
 またCALASとしては保護区法の改正のためのロビーイングを行い、管理カテゴリーに「共有管理地区」という定義を入れていく方向を目指している。これによって地域住民主導の自然保護区設置に向けての法的裏付けを固めていく方向である。

注)この報告は現地での聞き取りに加え、Bettina Durocher,Los Dos Derechos de La Tierra: La Cuestion Agraria en el Pais Ixil,2002 も参考にした。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

自然保護区と先住民族の取り組み(グアテマラ)1

 自然保護区と先住民族(グアテマラ)

 9月にグアテマラを訪問し、開発と権利のための行動センターの活動地域また関連する取り組みの視察などを行ってきました。
 グアテマラにおける「自然保護区と先住民族の取り組み」というテーマで3回に分けて報告を掲載していきます。

 開発と権利のための行動センター
 青西靖夫


自然保護区をめぐる先住民族の取り組み 1

<サルストゥン流域自然保護区>
イサバル県北東部を流れるサルストゥン川の流域に保護区(正式名は「サルストゥン川多目的利用保護区」)が設定されたのは2005年3月のことである。グアテマラ国内の環境NGOである「FUNDAECO(フンダエコ)」が積極的に設立に向ける準備を推し進め、「技術報告書」を作成し、保護区管理にかかわる法案を作成し、国会での審議に持ち込んだ。地域住民がこの事実を知った時には、法案は採択される寸前であつた。
 このことに驚いたのは、地域に住むケクチ民族のコミュニティの人々であり、また地域のコミュニティの土地登記を支援してきたカトリック教会の土地司牧会である。この地域に住むケクチ民族のコミュニティは、生活してきた土地の所有権を確定するために、30年以上にわたって手続きを続け、あと少しで土地登記の手続きが終了するところまでたどり着いていた。数年前に活動を始めたリビングストン教区の土地司牧会は、土地の測量、土地基金との交渉など、この土地登記のための手続きを支援してきていたのである。
 しかし自然保護区に設定されると土地登記の手続きを進めることはできない。「自分たちの土地」であり、「自分たちで守ってきた土地」を、自分たちのコミュニティのものとして登記することができなくなるのである。
 また地域住民の意向を聞くこともなく、協議を行うこともなく作成された法律に書き込まれた保護区内のゾーニングは、地域住民の生活を反映したものとはなっていない。いくつかのコミュニティはその土地の半分以上を、立ち入ることもできない「不可侵ゾーン」に指定されてしまったのである。

 地域コミュニティの連合体である「Asociación Amantes de la Tierra(土地を愛する者アソシエーション」では、まず法の採択の延期、改正を求めて運動を開始した。しかし保護区設置法は国会で採択されてしまう。そこで次にこの保護区制定にかかわる法12-2005を違憲として憲法裁判所に提訴した。コミュニティの反対運動に直面する保護区は、その設置法に書き込まれた3名のコミュニティ代表を含む地域の関係者を含んだ管理委員会を立ち上げることもできないまま頓挫している。
 このアソシエーションでは、保護区の制定そのものに反対の姿勢をとるのではなく、まず土地の登記手続きを終わらせること、地域住民が計画そして決定のプロセスに参加すること、そして自然保護区の設定による利益を享受できるようにすること、この3点を強く求めている。
 また 硬直した状況の中で、地域のアソシエーションと環境NGOが連合体を結成して、今後の保護区を実現しようという動きも検討されつつある。連合体の中で同等の権利を持って参加することを通じて、保護区における活動や資金の動きを管理していこうというものである。この動きは重要な一歩となりうるであろう。しかしこの動きを現実のものとするためには、新しいリズムが必要とされる。コミュニティにケクチ語で報告すること、法案や関係文書をケクチ語に翻訳していくこと、コミュニティの参加に基づく決定を可能とする時間を確保すること。これまでのドナーとの関係に目がいったプロジェクト管理の時間の流れにこだわれば、結局は一部リーダーしか分かっていない表面的な参加にとどまることであろう。
 また地域住民が保護区の管理に入っていくことも必要とされている。この地域には石油開発や鉱山開発の利権も存在している。法案にもともと石油開発の抜け道を用意していた、という批判受けているような環境NGOのみに任せておけば、地域内に石油開発の認可が与えられてしまう可能性すらある。
 このことは土地所有権を確立することとの重要性にもつながっている。保護区内といえ国有地のままに置かれたままであれば、「多目的利用ゾーン」において地下資源の開発権が政府によって認可されてしまえば、その動きを止めることは難しい。地域全体の開発のあり方に関与していくためにも保護区の管理に参加することが重要となるのである。

 今回のように環境NGOは必ずしも地域住民と密接な関係を持つわけではなく、一方的に「環境保全」を押し付けるケースが少なくない。しかしそのような環境NGOにも国際的な大型環境NGOや諸外国政府から資金が流れ込み、そうした資金を利用して地域での活動を進めていく。
そうした中で地域コミュニティは「受益者」として従属していくのである。自分たちの生活改善、自分たちの自然保全のために、いくらの資金が流れ込み、どれだけの技術者が雇われ、どれだけの給与が支払われているか、知らされないままに、単に水道の改善や植林やその他の生活改善プロジェクトの「受益者」に留め置かれるのである。もちろん「コミュニティの強化」や「組織強化」という名目での活動もないわけではない。しかしその資金は限られている。
 また国際協力機関などの資金供給者と、そうした資金供給者の資金を無難に消化し報告を上げてくれる環境NGOは共存関係にある。その一方で、お金の管理の仕方から、一つ一つ積み上げて学んでいかなければならない地域住民のアソシエーションに届く資金は限られている。しかし彼らがこうした外部のNGOに対抗する力を持つためには、一つずつ積み上げ、その経験を通して力をつけていく必要がある。

<1 終わり>

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007/10/04

バイオ燃料関連記事のリスト

バイオ燃料関連記事のリスト
 今年は、メキシコのトルティージャ高騰の話しに始まり、それ以来少しずつバイオ燃料関係の情報を中南米を中心にフォローし、掲載してきました。
 また各地でバイオ燃料関連作物の拡大による環境破壊や土地問題の深化といった報告もなされています。また単一作物の大規模プランテーションが拡大すれば、それによる環境や社会への影響は、「バイオ燃料」であろうとその他の作物であろうと基本的には同様に存在しています。

 またバイオ燃料の問題は、地域的な課題として捉えるのではなく、地球全域での土地利用のあり方、基本穀物への公正なアクセスの確保という視点から見ていく必要があるのではないでしょうか。
 農業者、消費者とも、世代を超えて、持続的な社会の実現に貢献し、また公正な食糧へのアクセスを確保していくという、社会的な責任を担っているのだと思います。 
 みんながまともに食える社会、というのを歴史的に確立できたこともないのに、高く売れるからと「燃料用作物」を植え付けることの正統性、倫理というのが問われているのではないでしょうか、また同時に金があるからと世界中の食べ物を買いまくっていた日本の生活も問われているのではないでしょうか。 

 開発と権利のための行動センター
 青西靖夫

 以下これまでのバイオ燃料関連記事のリスト
 現地報道からの情報、また国際機関等の報告書などを紹介しています。

9/4  手を結ぶ鉱山-バイオ燃料利権(グァテマラ)
8/12 中米 バイオ燃料関係動向
7/12 先住民族とオイル・パーム生産他 バイオ燃料関連
5/25 中南米 バイオ燃料動向(パラグアイ)
5/12 中南米バイオ燃料関連情報
4/28 バイオ燃料関連続報 バイオ燃料と中南米
4/24 バイオ燃料の方向性を考える
4/15 中南米 バイオ燃料関連
4/9 バイオ燃料・エタノール 中南米でのニュースなどから
3/11 バイオ燃料は環境に優しいのか・・・
1/30 バイオ燃料ブームが中米各国に引き起こしつつある影響
1/15 メキシコでトルティージャ価格高騰

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2007年9月 | トップページ | 2007年11月 »