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2007/10/25

中米における観光開発を巡る問題-パナマ・コスタリカ 

中米における観光開発を巡る問題-パナマ・コスタリカ 

 夏以降、中米における観光開発を巡る記事がいくつか届いたので、報告します。
一つはパナマにおける先住民族と観光開発を巡る問題で、これは外国資本による観光開発を前にして、先住民族の自治組織内部での意志決定のあり方も問題となっています。
もう一つはコスタリカの事例で、こちらは拡大を続ける観光業が地域の自然環境に問題を引き起こしているという報告です。コスタリカを環境保全の先進国と妙に理想化せずに、大規模観光開発による環境破壊の現状をモニタリングしていく必要があるのでしょう。

1)パナマ先住民族居住地区と観光開発-パナマのノベ・ブグレ・コマルカにおけるダマニ・ビーチ観光開発を巡る対立
 
 ノベ・ブグレのコマルカ(先住民族区)は3つの地域に分かれており、その一つがNo Kribo地域である。このNo Kribo地域の伝統的権威が、米国系のダマニ・ビーチ社と観光開発に関する合意を結んだという話を発端に、この地域での観光開発を巡る対立が生じている。 
 6月17日に地域議会が、このダマニ・ビーチ社と観光開発に関する合意を結んだとのことであり、これがNo Kribo地域を構成するKusapín y Kankintúの住民の反発を招いたとのことである。
http://www.estrelladepanama.com/web/main/ver.php?idnews=55297
その後、合意文書はいくつか修正を受けているようであるが、その開発コンセッションが45年、更に40年の延長可能と長期にわたることの問題、また地域議会にはこのような合意を締結する権限は認められていないこと、海岸線の開発コンセッションに関する国の権利への抵触など、この合意に至る手続の違法性も指摘されている。更には、実際に開発されることになった場合には地域の生態系へ大きな影響を及ぼすことは避けられない。
http://www.nodo50.org/caminoalternativo/boletin1/152-15.htm

 この問題はどうもはっきりしない点が多いので、関心のある方はこちらの情報をお読みください。
http://burica.wordpress.com/2007/07/17/comarca-ngobe-bugle-vendida-a-consorcio-damani-beach/(このサイトのコメントも興味深いものです。地域を離れた若者がこのコマルカの開発を考えてコメントを書き込んでいたりする。)
http://www.turismo-responsable.org/denuncia/0708_tierras_panama.html
http://www.thepanamanews.com/pn/v_13/issue_18/business_03.html
INFORPRESS CENTROAMERICANA Proyecto turístico genera malestar entre indígenas
Edición : 1726 Publicado : 19/10/2007

ちなみにこのノベ・ブグレにおいては鉱山開発利権も存在しており、地域の先住民族の反対で一度は中止に追い込まれたセロ・コロラド銅鉱山の再開発が目指されているようである。(パナマ共和国の投資環境調査 JOGMECP6) 
http://www.olca.cl/oca/panama/mineras01.htm
http://www.jogmec.go.jp/mric_web/strategic/panama2006/panamaindex.html


2)コスタリカにおける観光開発への批判

 2007年8月に発行されたWRM(世界熱帯林運動)のニュースレターに近年のコスタリカにおける観光開発の問題点が取り上げられている。要約すると次のような問題が上げられている。

-近年の停電が、自然保全地区における水力発電や地熱発電プロジェクトの口実に使われていること。
-しかし市民に対しては節電や節水を呼びかける一方で、観光業者やもっとも乾燥した地域にであるグアナカステの五つ星のホテルにはそのようなことは言われない。乾期のゴルフ場への散水の中止やプールの水替えの中止は要請されない。そしてグアナカステの高級ホテルやコンドミニアムの建設がどれだけの水を利用するか、既に地域のコミュニティは建設業者が河川を干上がらせていると告発しているという。
-もっともいい場所は私有地に、そして外国人の手に渡り、また国家の自然財産がインターネットで売り払われている。ゴルフィート野生生物保護区では高い土地に豪華な建築物が作られ、展望を得るために傾斜地の木々が伐採されている。下方の村は土砂崩れの危険に直面している。
-パパガヨ・観光拠点プロジェクトではホテルやゴルフ場のために沿岸乾燥林が伐採され、バウラス公園のバッファーゾーンのタマリンドでは”タマリンド保全社”が、数百ヘクタールにおよぶ「エコロジカル住居プロジェクト」のために既にマングローブの伐採が進んでいるという。
-渡り鳥の渡来地でもあり、残されたわずかな湿地帯であるニコヤのサマラ海岸でも観光開発のための開発が進みつつある。
-ドミニカルからパルマルにおける沿岸部においても観光プロジェクトによる森林や生物多様性の破壊が進んでいる。
-しかしこの話は決して新しいものではなく1993年においても既に「最も偽善的な観光開発」だと、環境団体から指摘されていたという。
 関心のある方はこちらへ
  http://www.feconcr.org/index.php?option=com_content&task=view&id=133&Itemid=27
http://www.wrm.org.uy/countries/CostaRica.html

 大規模観光開発が環境にネガティブな影響を引き起こすのは明らかであり、コスタリカといえども例外ではないということであろう。更に、この報告に出てきた「グアナカステ」と「ゴルフィート」は、JICAがコスタリカ政府観光局と行った「コスタ・リカ国沿岸地域 観光土地利用計画調査」で扱われている地域とぴったり一致しています。
http://lvzopac.jica.go.jp/external/library?func=function.opacsch.mmdsp&view=view.opacsch.mmindex&shoshisbt=1&shoshino=0000002932&volno=0000000000&filename=11634144.pdf&seqno=1
この調査結果がこうした事態を引き起こすきっかけになったのか?あるいはこの調査が実際には活用されなかったからから問題が起きているのか?現場も知りませんし、この調査報告書もちゃんと読んでいないので何とも言えませんが・・・この点も納税者としては見ていかなくてはならないのではと考えています。

 またグアナカステにおける開発問題(長期滞在者向け別荘?の拡大)について、FECON(コスタリカ環境保全連盟)のサイトに次のような記事も掲載されています。
http://www.feconcr.org/index.php?option=com_content&task=view&id=154&Itemid=70

 開発と権利のための行動センター
 青西

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