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2007/10/17

強行されるダム開発(グアテマラ・イシュカン)

強行されるダム建設プロジェクト


Xalalagif

 9月25日、グアテマラのキチェ県北部、イシュカンに建設が予定されているシャララ水力発電所計画の入札が開始された。このダムはチクソイ川にかかるもので、発電量は180メガワット、グアテマラでも2番目の規模となる。また総建設費は4億ドルに上るものと想定されている。入札では外国企業が80%の投資を行うことが求められており、20%をグアテマラの国内企業が負担し、開発業者は30年間にわたって、グアテマラ電力公社に電力を発電コストを元にした金額で販売することとなる。
 (開発業者向けにはご丁寧にも次のサイトまで作ってあるが、どこを見ても水没予定地域もわからなければ、環境や社会への影響などについては言及していない。http://www.inde.gob.gt/xalala/
 またこの計画は国内需要の増加に対応するためという名目ではあるが、当初から中米・メキシコの送電線結合の実現後には海外への売電も視野に入っているものである。(Inforpress 07/04/27, 07/09/28) そして居住権の擁護のための活動を行っているCOHREの報告書によると、ダム建設によって34コミュニティ、約15000人もが水没による影響を受けるプロジェクトなのである。(下記報告書 P76)
http://www.cohre.org/store/attachments/Informe%20de%20Mision.Mexico.Honduras.Guatemala.Jul07.pdf

 しかしこのダム建設は今年4月に地元住民より明確な拒否の声を突きつけられている。地方自治体が実施した「住民投票」には大人も子ども含め、2万人近くが参加し、90%ほどが拒否の態度を示している。成人の参加者に限っても、は選挙人登録者、非登録者を含む成人投票者は11953人で、うち86%が水力発電計画を拒否した。(ちなみに 9月の総選挙での選挙人登録者総数は23372人、投票者数は14481人であった。)またこの住民投票は、グアテマラ政府の人権擁護委員会もその実施プロセスを支援し、かつ地方自治体が主体的に実施したものであり、その正統性は明らかである。
しかし水力発電を管轄する鉱山・エネルギー省は、住民投票を「拘束性」がないとしたこれまでの憲法裁判所の判例をもとに、地域住民の意思表明を無視し、開発を進める方針をとっている。更には今後も住民と協議をするのではなく「意識化」を進めるとしている。(07/09/26 プレンサリブレ紙 http://www.prensalibre.com/pl/2007/septiembre/26/183432.html:なおこれが前回のこのブログの報告におけるフアン・ティネイの憤りにつながっていると思われる。)
 
 グアテマラ政府は、「住民投票」を拘束性がないものとして看過しているが、国内法と同等の性格を有するILO169号条約において、土地からの移転に関しては、「自由かつ十分な情報を受けた上での同意を得た場合のみ行われる」という規定が基本となっている。この点からも政府は果たすべき手続を踏んでおらず、その責任を履行していないと考えられる。
 
行動センターの関連記事はこちらから
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2007/04/post_7a36.html
また上で紹介したCOHREの報告書が法的側面からの検討を行っている。

開発と権利のための行動センター
 青西

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