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2007/11/10

バイオ燃料関連 アフリカへ寄り道 2

 バイオ燃料問題を追いかけながらアフリカに寄り道をしたのはじつは「寄り道1」が最初ではありません。2007年初頭にメキシコやコロンビアで食用のトウモロコシ(トルティージャ用の白トウモロコシ)の価格が高騰したときに、輸入先として名前があがっていたのがタンザニアです。映画「ダーウィンの悲劇」の舞台となったタンザニア。

 その時に少し白トウモロコシの国際市場について調べて書きかけたまま投げていたのですが、少しそれをPCの中から発掘してみます。(以下斜体部分は5月に書いた分)

 メキシコやグアテマラをはじめとした国々でトルティージャやタマーレスと言われる形で主食として利用されているトウモロコシはマイス・ブランコ(白トウモロコシ)と総称されています。

  トウモロコシは中米原産であり、この地域の主食でもありますが、アフリカ諸国でも多くの国で重要な穀物として、主食として利用されています。この白トウモロコシの国際的な需給関係が逼迫しつつあるようです。少しその情報を整理してみました。

 米国農務省のデータによると2005年の世界のトウモロコシ生産量は685.2百万トンと見込まれています。うち、米国の生産量が約4割、中国の生産量が2割、残りの4割が中南米諸国、ヨーロッパ、アフリカなどで生産されています。

http://www.fas.usda.gov/psdonline/psdgetreport.aspx?hidReportRetrievalName=BVS&hidReportRetrievalID=884&hidReportRetrievalTemplateID=1

 メキシコの議会付属の研究機関の調査報告書によると、白マイスの世界での生産量は2004年の推計値で73百万トンとされています。世界のトウモロコシ生産量の約10%です。98年の生産量が約71百万トンであり、近年で生産量の大きな変化はないと言えます。”IMPACTO DE LAS IMPORTACIONES DE MAÍZ BLANCO Y DE FRIJOL ORIGINARIAS DE EUA EN EL MERCADO INTERNO DE MÉXICO” http://www.cefp.gob.mx/intr/edocumentos/pdf/cefp/cefp0542004.pdf

 白トウモロコシの生産量のうち、26%がメキシコ、次にエジプトの8%、南アフリカの6%、ナイジェリア6%、エチオピア4%、タンザニア4%と続き、米国も4%を占めるに過ぎません。 

 また96年の少し古いデータになりますが、アフリカ諸国ではトウモロコシ生産国のほとんどが白トウモロコシ生産に特化しています。

 中米諸国とアフリカ諸国では食用穀物としての白トウモロコシは非常に重要なものとなっています。白トウモロコシを生産するアフリカ諸国のほとんどで、それは主食として重要な位置を占めているのです

 

 

EL MAIZ BLANCO:UN GRANO ALIMENTARIO TRADICIONAL EN LOS PAISES EN DESARROLLO (FAO ?年)

 ここまで見てくると、国際で取引される食用トウモロコシは少なく、なおかつそれを食用としているのは購買力の高くない人たちであろうと思われます。自給的小規模生産者を除けば、「儲け話」があるときに、白トウモロコシを生産する生産者は減少する可能性があるといえるでしょう。つまりエタノール向けトウモロコシ生産の拡大やその他のバイオ燃料向け作物の拡大で、白トウモロコシ生産が減少すると、需給関係が逼迫する危険が高いと言えます。

 さて、このタンザニアが食糧援助受給国でありながら、どのように国際的なトウモロコシ市場に参入しているのかを調べているうちに、5月は放棄してしまったのですが、隣接国との国境を越えての取引が重要になっているようです。たぶん、インフォーマルな取引で需給が調整されているのでしょう。(この辺はまた気力のある時に調べてみます)

 いずれにせよ、アフリカ諸国でバイオ燃料生産が拡大すれば、こうした自給用トウモロコシ生産と競合する可能性は否めない。

 次に「タンザニア バイオ燃料」のキーワードで再び検索をすると、日本語で次のような記事が出てきます。「国際慈善団体 バイオ燃料を攻撃 小農民の土地を強奪 植民地拡張時代を偲ばせる」再び農業情報研究所(WAPIC)のサイトです。

http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/earth/energy/news/07070201.htm

 そこではタンザニアのケースについて次のような情報が紹介されています。

 タンザニアでは、バイオ燃料の急速な発展を望む首相が、国内最大級の湿地の一つであるワミ川流域に40万㌶の土地を探すスウェーデンの投資家のために、エタノール生産のためのサトウキビを栽培する便宜を図った。このプロジェクトで、地域の小規模稲作農民の立ち退きが不可避になる。

 ちなみに元のサイトはGRAINのこちら

 The new scramble for Africa http://www.grain.org/seedling/?id=481

   こちらにはAgrofuel関係のレポートがいくつも掲載されています。

 http://www.grain.org/seedling/?type=68

 ちょうどこんなセミナーもあります。以下次のサイトからの転載情報です。

 それでは寄り道2はこの辺で

 http://www.africasociety.or.jp/event.html

●AJF食料安全保障研究会公開セミナー 『アフリカにおけるバイオ燃料問題』

アフリカではバイオ燃料の推進はエネルギーの安全保障と貧困問題解決の機会として、政府が進んでバイオ燃料事業に乗り出しています。今後、未だ問題の多いバイオ燃料が普及していく可能性は高くなっています。

しかし、すでにアフリカの国々でさまざまな歪みが生じてきています。利益を得るのは企業と協定を結ぶことのできる大規模な農場主やエリートに限られていて、小農民は大規模な農地開発のために、立ち退きを迫られてます。さらにすでに食料問題で悩んでいるアフリカ諸国で、食料となるものをバイオ燃料として輸出することは更なる食料問題を招き、食料の値段高騰にもつながり、貧困はさらに広まっていくでしょう。アグロ燃料製品生産と食料生産との競合がすでに始まっています。それだけでなく、アフリカの貴重な生物多様性も農地拡大のために危険にさらされているのです。

まだ、アフリカにおいてバイオ燃料への関心は薄いですが、理解を深めるために、バイオ燃料と食料安全保障問題について詳しい佐久間智子さんにバイオ燃料ブーム全般についての解説、バイオ燃料ブームによる欧米からの主食輸出の減少、アフリカにおけるバイオ燃料原料の輸出向け生産の拡大の可能性などをふまえてのお話しをいただきます。

講師:佐久間 智子さん  女子栄養大学非常勤講師、明治学院大学平和研究所研究員。

日時:2007年12月5日(水)18:30~21:00

会場:環境パートナーシップオフィス EPO会議室

          東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山B2F

          最寄り駅:表参道駅(東京メトロ:銀座線、千代田線、半蔵門線)/渋谷駅(JR、東急、京王井の頭線、東京メトロ)

資料代: 会員500円  一般700円

お申込み方法:名前、所属、連絡先を明記した上、AJF事務局info@ajf.gr.jpへ送って下さい。

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