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2008/01/22

NAFTA 発効から14年

 NAFTA 発効から14年

 2008年1月で、北米自由貿易協定(NAFTA/TLCAN)が発効して14年になり、農産物に対して例外的に認められていた取り扱いが撤廃され、農産物貿易が完全に自由化されました。
 既に昨年のメキシコにおける主食であるトルティージャ価格の高騰をはじめとして、世界的な穀物価格の高騰など、農産物貿易は世界的に不安定化しています。こうした中でNAFTAの結果を改めて見直し、食糧安全保障にあり方について考えていきたいと思います。
 とはいえ、インターネットでざっと情報を探してみましたが、大変な作業になりそうなので、ぼちぼち手を付けられるところからやっていきます。
 今回はサイト紹介並びにレポートを一つ紹介の予定。

1)サイト紹介  La Jornada del campo #1 から#4
メキシコのホルナーダ紙の増補版で、昨年10月から月一回のペースで発行されています。
#1  http://www.jornada.unam.mx/2007/10/10/delcampo
#2  http://www.jornada.unam.mx/2007/11/13/delcampo.html
#3  http://www.jornada.unam.mx/2007/12/18/delcampo.html
#4  http://www.jornada.unam.mx/2008/01/15/delcampo.html

2) bilaterals.org
 このサイトは自由貿易協定に批判的な立場から様々な国や地域における自由貿易協定に関するレポートなどが投稿されています。 この中でNAFTAも取り上げています。
http://www.bilaterals.org/rubrique.php3?id_rubrique=14

3) メキシコにおける食糧主権キャンペーンサイト トウモロコシなくして国はない。
 la Campaña Nacional en Defensa de la Soberanía Alimentaria y por la Reactivación del Campo “Sin maíz no hay país y sin frijol tampoco; pon a México en tu boca”
 http://www.sinmaiznohaypais.org/
 
4)TLCANの14年とトルティージャ危機 Ana de Ita、 Catorce años de TLCAN y la crisis de la tortilla (anotado)
  http://www.ircamericas.org/esp/4721 (2007/11/11)
英語(http://americas.irc-online.org/am/4879
 このレポートでは、14年間におけるメキシコ農業の変容特に、農産物貿易の変容について整理するとともに、2007年のトルティージャ危機について分析している。
(1)TLCANによって米国との農産物貿易は拡大したが、農業セクターは期待されたほど成長していない。
(2)第一次産業就業者人口は急激に減少し、1991年の820万人から2006年の610万人まで減少。(就業者人口中の26.8%から14.6%へ減少)都市部への人口移動が発生。
(3)メキシコからの輸出の73%はトマト、野菜、豆、果物、牛で占められている。(しかし生産者数は穀物生産者と較べて少数である)
(4)メキシコの輸入産品はトウモロコシ、大豆、油糧作物、ソルゴー、小麦、米、綿花が60%を占めており、特にトウモロコシの輸入量の伸びは著しい。
(5)食品については、輸出品はビールとテキーラでそれぞれ26%と10%を占め、その他野菜や果物の加工品が続く。その一方、畜産物を始め、多様な食料品の輸入が拡大している。
(6)食料品を統制してきた国営企業が廃止されたスペースを米国資本を中心とする多国籍企業が占めている。国境の両側において米国系の多国籍企業によって穀物の取引が支配されている。
(7)外国資本の直接投資が進み、食品加工業、製粉業、食肉分野などで米国系の多国籍企業の支配が進む。
(8)メキシコの穀物の海外依存が高まり、米国の輸出先としてメキシコはトウモロコシでは日本についで第二位、小麦、大豆は第三位の位置を占めている。
(9)トウモロコシ生産農家の作付けの転換は進まず、競争力がないと見なされていたはずのトウモロコシの生産量は増加傾向にある。これは実現可能なオータナティブが欠如していることにもよるであろう。
(10)1990年の規制撤廃以降、飼料向けのトウモロコシ輸入量が増加を続ける。
(11)穀物流通の寡占化が進んだことで、トウモロコシ及びトルティージャ価格に対する企業の影響が拡大している。
(12)メキシコで消費されトルティージャの49%がトウモロコシの粉から生産されるが、この市場の73%を一社が独占し、残りに3社が参加している。またこうしたトルティージャのほとんどが大規模小売店を通じて流通している。
 

---ここまで見てきたように、自由貿易協定の中で、米国への穀物の依存、巨大企業の市場支配が強まったことがわかります。また極めて重要な食糧穀物であるトウモロコシが今後、国際市場と更に強くリンクしていくことも想定されます。メキシコではトウモロコシの生産量が維持されている一方で、増加する都市住民は国際市場に振り回されることになっていくのでしょう。
 このように自由貿易で生み出されたのは、公平な相互依存関係ではなく、力の偏在のもとで、米国企業の穀物戦略の枠組みに取り込まれた従属関係といえるでしょう。大規模生産者のトウモロコシは必要に応じて国際市場に吸い上げられ、また消費者は購買力と関係なく、国際市場の定める価格でトウモロコシを買わざる得ない時代に向かっています。
 ですが、まだまだ存在する中小のトウモロコシ生産者を基盤として食糧主権の確保を進めることも可能なのではないでしょうか。

 開発と権利のための行動センター
 青西

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