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2008/03/30

バイオ燃料最近の話題

 1年以上にわたってバイオ燃料関係のニュースを追いかけてきましたが、バイオ燃料促進よりも優先して行うべき事は山ほどあるだろうという思いを強くしています。その一つの方向として食糧問題をブログのテーマにいれました。
 「 更新中:食糧価格高騰と食糧暴動 ・食糧危機(追記版)」ではアフリカの食糧価格高騰関連のニュースなどを適宜追記しています。
   http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/03/post_69df.html
  
  バイオ燃料関連(見出しのみ紹介)
1: Mozambique
NGO Warns That Biofuels May Threaten Forests(080326)
http://allafrica.com/stories/200803260902.htm
Partnership to Produce Bio-Diesel(080328)
http://allafrica.com/stories/200803281179.html

2:U.N.'s Pachauri urges caution in biofuel use  (080326)
http://www.guardian.co.uk/feedarticle?id=7413471
 "We should be very, very careful about coming up with biofuel solutions that have major impact on production of food grains and may have an implication for overall food security," Pachauri, chairman of the U.N.'s Intergovernmental Panel on Climate Change, told a news conference.

3:Indian minister attacks biofuels
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/south_asia/7315308.stm

4:Agrocombustibles: Una vía para el despojo de los campesinos de Colombia(080328)
http://www.ecoportal.net/content/view/full/77262

 開発と権利のための行動センター
 青西

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2008/03/27

食料価格高騰と政治的対立の深化(ボリビア/アルゼンチン)

 食料価格の高騰に伴う対応が、政治的対立を激化させる事件が南米で続いています。

 ボリビアでは食用油の値上がりが続く中で、3月19日、政府は食用油の一時的な輸出禁止措置を取りました。食用油は昨年は77%、今年に入っても39%も価格が上昇したとのことです。しかしボリビアは植物性食用油の材料となる大豆等の生産国であり、食用油は国内消費量が7万トンであるのに対し、輸出量は35万トンに上ります。*1)
 ボリビアの大豆生産はサンタ・クルス県を中心に行われており、既に新憲法や地方自治の問題を巡ってサンタ・クルス県と政府の対立が続く中で、この輸出禁止令はまさに火に油を注ぐこととなっています。更に、食用油生産は少数の企業の手に握られており、その一つは現政権への最大の反対勢力であるサンタ・クルスのコミッテ・シビコ(地域の自治政治運動体)の代表の兄弟が所有する会社であり、政府の規制が反政府勢力をねらい打ちにしたものだという反発もあります。
 この輸出禁止措置に対して、サンタ・クルスの大豆生産業界は反発を強め、関連産業の操業を停止するとともに、「自治」を口実に、政府の規制を無視して輸出するという態度を示しています。*2)

1)http://www.laprensa.com.bo/noticias/20-03-08/20_03_08_nego1.php
2)http://www.laprensa.com.bo/noticias/26-03-08/26_03_08_poli4.php
 http://www.laprensa.com.bo/noticias/26-03-08/26_03_08_poli5.php
             
  一方、アルゼンチンではクリスティナ・フェルナンデス政権が、大豆、ひまわりの輸出税を引き上げ、トウモロコシ、小麦に対しては引き下げる方針を打ち出したことから、農村部で反発が広がり、2週間近くもストライキが続いています。政府側は農村部の雇用を縮小させる過度な大豆生産の拡大を抑制し、自給用の農産物など、バランスのある農業生産を目指しているとのことです。
 しかしこの政策に対して農業団体が反発し、ストライキを続けています。これに富裕層を中心として支持を表明するデモが行われる一方で、貧困層のデモ隊と対立するという状態も招いているようです。また都市部の食料品の供給も不足してきているとのことで、今後の階級間の対立の深化が懸念されています。
 アルゼンチンは農産物輸出大国でありながら、輸出向け大豆生産の過度の拡大などにより、国内消費向け農産物生産が圧迫を受け、十分な供給がないという事態になっているとのことです。

 参考資料
 Anunciaron modificaciones en las retenciones a la exportación de granos  http://www.casarosada.gov.ar/index.php?option=com_content&task=view&id=1772&Itemid=66
  BBC:Argentina: escasez de alimentos   http://news.bbc.co.uk/hi/spanish/business/newsid_7291000/7291979.stm
  BBC:Argentina: campo desafía a Cristina    http://news.bbc.co.uk/hi/spanish/latin_america/newsid_7303000/7303470.stm
  Jornada:Rechaza Cristina Fernández paro de productores rurales http://www.jornada.unam.mx/2008/03/26/index.php?section=mundo&article=031n1mun

 農産物価格高騰の中で、経済的に大きな力を持つ輸出向けの大規模農業生産者が更に力を強め、政府の介入を弱め、自由に富の追求を行うことを目指しています。単に利益を求める農業は、極論すれば、国内で飢え死にする人がいても、売れるものを作り、高い値で買ってくれる業者に売り渡すものと言えるでしょう。
  しかし農産物輸出国でありながら、国内での食料価格高騰や食料の不足が顕在化する中で、適切に市場をコントロールして、人々に食料を安定的に供給することは不可欠となっています。ボリビアとアルゼンチンでは、そうした政策に対し、力のある経済セクターが対立していくという構図が共通しています。サンタ・クルスで主張される「自治」も、言ってみれば、貧困層への配分を逃れられる「資本主義特区」を作ろうとする「自治」に過ぎないと言えるでしょう。
 一国内での食料問題を解決するとともに、高騰する世界の農産物価格を軟着陸させ、より安定的な世界農業のあり方を打ち出すことこそ、サミットの最大の課題ではないでしょうか。
  
 開発と権利のための行動センター
 青西靖夫

 追記:3/30 アルゼンチン関連情報など
1) Comunicados de prensa del  Movimiento Campesino de Santiago del Estero (MOCASE Vía Campesina) y luego el Movimiento Campesino de Córdoba (MCC)
http://www.ecoportal.net/content/view/full/77224
2)  El kirchnerismo con la soja al cuello http://www.adital.com.br/site/noticia.asp?lang=ES&cod=32308 
3)  No al modelo de agronegocios actual(el Movimiento Nacional Campesino Indígena (MNCI) http://www.adital.com.br/site/noticia.asp?lang=ES&cod=32308
4) A no confundir “el campo” con “los campesinos” http://www.ecoportal.net/content/view/full/77238 
5) EL GRR FRENTE AL PARO AGRARIO
http://www.grr.org.ar/documentos/paro%20agrario%202.htm
5)http://www.grr.org.ar/documentos/paro%20agrario%202.htm
6) BBCのサイトのParticipe でアルゼンチンの問題について様々な意見がかわされています。関心のある方はどうぞ。(スペイン語) http://newsforums.bbc.co.uk/ws/thread.jspa?sortBy=1&forumID=5791&start=30&tstart=0#paginator

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2008/03/26

グアテマラ:イサバル県における土地紛争

 マリオ・カアル・ボロンが警察や軍によって処刑される。

 グアテマラのイサバル県では、2月14日に地域での土地運動を率いてきた農民リーダーが逮捕されて以来、紛争が続いている。21日から22日にかけてはリーダーの解放を求めて、農民グループが警官を拘束するという事件が起き、今度は3月14日には旅行者が拘束される事件が発生した。交渉の後、翌15日に解放されたが、このプロセスの中で警察・軍による深刻な人権侵害が引き起こされた。

 グアテマラの農民組織であるCONICの声明文によると、上記の誘拐事件とは無関係なマヤ・ケクチ民族のマリオ・カアル・ボロン(27歳)が、捜索活動の中で警察もしくは軍によってプンタ・アレナで拘束され、殴打された後、絞殺されたとのことである。また事件と関係のない農民3名が不当に拘束され、拘束されていた旅行者と(人質)交換がなされたという。これらの事件についてCONICは強く非難している。
 またこれらの事件に関しては、旅行者の解放交渉を行っていたグアテマラ人権オンブズマン事務所も、現行犯でも逮捕状によるのでもない違法拘束について告発するとともに、超法規的処刑について調査を行う方針を示している。

 今回の事件とは直接関係のないCONICであるが、近隣地域では参加コミュニティがやはり土地問題を抱えている。25年あまりに渡って土地問題の解決、土地の所有権の確定を求めて手続きを進めているにも関わらず実現していないコミュニティ、また保護区にするということで土地を譲渡された環境NGOであるFUNDAECOによって、20年以上に渡る土地所有権確定の手続きが中断しているコミュニティも存在する。
  
  CONICは声明文で次の点を要求している。
-大統領及び検察に対し、超法規的処刑の真相を究明し、責任者を処罰すること、紛争解決のための適切な手段を探し、迫害をやめること、土地紛争を迅速に解決すること。
-議会に対し、マヤ・ケクチ民族に影響を与える自然保護区について見直しを行うこと。自然保護区を制定する前にコミュニティとの協議を行うこと。そうでなければこれは新しい土地剥奪のメカニズムとなること。
-検察に対し、この地域の紛争を深化させているFUNDAECO,CONAPによる不法行為を調査すること。
-マヤ・ケクチ民族コミュニティに対し、挑発に乗ることなく、組織され、真摯かつ責任ある態度で、紛争解決のための適切なメカニズムを探すべき事。

 今回の事件について、グアテマラの農民組織や社会運動グループも、旅行者を違法に拘束するといった行為に同意してはいない。しかし今回の事件の背景にある土地紛争、政府の土地問題解決への意志の欠如、大地主など権力者におもねる司法制度、問題を複雑化する自然保護区の設定といった問題にしっかりと向き合うことを要求している。
  
  農民組織の連合体である農業プラットフォームは「要求のあるところに、否定されてきた権利がある」と題する声明文で次のように述べている。「アルバロ・アルス政権に対し、企業セクターに対するのと同じ注意をもって、正義を求める先住民族や農民の声に耳を傾けることを要求する」
 
 開発と権利のための行動センター
 青西

 関連サイト
行動センターブログ 2008/02/29 自然保護区と農民 /歪められた現地報道
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/02/post_f9a9.html
行動センターブログ 2007/10/05 自然保護区と先住民族の取り組み(グアテマラ)3
CONIC 声明文 原文  http://homepage3.nifty.com/CADE/Espanol/CONIC2008.htm
AVANCSO 声明文  Comunicado de prensa Donde hay un reclamo hay un derecho negado(08/03/14)
http://www.avancso.org.gt/index_noticias.php?id=269
El Periódico Oficina del PDH y Gobernación sostienen versiones encontradas
http://www.elperiodico.com.gt/es/20080319/pais/50759/ 2008/03/20

追記:Mi Mundo Org.のレポート
Crisis a Orillas del Río Dulce: Muerte de Mario Caal 
Aldea La Ensenada Puntarenas. Livingston, Izabal, Guatemala.
18 de marzo de 2008
http://mimundo-jamesrodriguez-esp.blogspot.com/2008/03/crisis-orillas-del-ro-dulce-muerte-de.html

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2008/03/20

遺伝子組み換え作物を巡って

遺伝子組み換え作物について(追記版3/21)

遺伝子組み換え作物を巡る動きがいくつかありますので参考までに

1)メキシコ: 遺伝子組み換え作物の環境での利用に関する規則公布
 2005年に施行されたバイオセイフティ法に基づき、2008年3月19日、環境中での試験利用・商業的利用に関する施行規則が公布されました。
 Reglamento de la Ley de Bioseguridad de Organismos Genéticamente Modificados expedida el 19 de Marzo 2008
http://www.cibiogem.gob.mx/Normatividad/Reglamento_LBOGM.pdf
 CIBIOGEM(GMOのバイオ・セイフティに関する省庁間委員会)のサイトを見ると、環境中での利用に関する申請は多々あるようであり、この施行規則によって遺伝子組み換え作物が雪崩を打って承認される危険性もあります。
 一方、バイオセイフティ法では「種の起源と遺伝的多様性地区」を定め、特定の種に関する遺伝子組み換え作物・生物の導入の禁止地区を定めることとしています。(法 86,87,88条)しかしこの禁止地区に関しても今回の施行規則で届け出事項が定められたにとどまっており(施行規則 第49条)、まずこの禁止地区設定の手続きが先行することが不可欠です。

 いずれにせよ遺伝子組み換え作物の導入による在来品種の遺伝子攪乱の危険性は極めて高いと言えるでしょう。  
参考サイト: CIBIOGEM http://www.cibiogem.gob.mx/ 
参考記事: Mexico approves rules to begin planting GM corn
http://uk.reuters.com/articlePrint?articleId=UKN1935401720080320

2) フランスではLe monde selon Monsanto というドキュメンタリーが製作されたようです。公式サイトはこちらhttp://www.arte.tv/monsanto 
  また関連サイトはこちらCombat Monsanto http://www.combat-monsanto.org/

3)遺伝子組み換えトウモロコシの導入を進めようという動きについて
韓国が初めて遺伝子組み換えトウモロコシ輸入へ」というニュースも報道されました。 http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-30529220080227
 3/17日のヘラルド・トリビューンには次の記事が掲載されています。
U.S. farmers up the ante on Japan's struggle against modified corn http://www.iht.com/articles/2008/03/17/business/corn.php

4) Friends of the Earth「誰がGM作物で利益を得ているのか?」“Who Benefits from GM Crops?”という報告書を刊行しました。(英語・スペイン語・フランス語) http://www.foe.co.
 このブログでの紹介記事はこちら
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/03/post_ac4f.html

5)アルゼンチンにおける大豆生産拡大の影響
 当ブログでの紹介記事
 http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/03/post_b4ea.html 

 開発と権利のための行動センター
 青西
 日本の大豆利用と遺伝子組み換えについての整理soyamodi0905.pdfsoyamodi0905.pdf

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食糧価格高騰と食糧暴動 ・食糧危機(追記版)

こちらの記事の更新情報は次の記事に掲載しています。(-2008/04/07) http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/04/ifpri_78a8.html

食糧価格高騰と食糧暴動 ・食糧危機(追記版)

 2月28日のブログで紹介して以降、IRIN(The Integrated Regional Information Network )のメーリングリストを利用して 少しアフリカのニュースも追いかけています。いくつかの最近の情報を2/28付けのブログに追記してきましたが、下に再度掲載します。
2/28 ブログ
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/02/post_43a9.html 

 アフリカでは食糧価格、燃料価格高騰に端を発して、暴動や政治の不安定化があちこちで起きているようです。
 人々の基本的な生存権を保証することが不可欠です。「お金がなければ食糧があっても買えない」=「飢えるしかない」という社会は誰が考えてもおかしな話でしょう。
 「バイオ燃料」という金になる話に関心が集中し資金が流れ込み、また不安定な株式市場から、石油や穀物の先物に投機的資金が流入して、社会全体の不安定性を高めています。生存権を保証していくという観点から投機的な資金の流れに歯止めをかけることで、市場全体も安定性を取り戻すのではないかと思うのですが。

追加: COTE D'IVOIRE: Government curbs prices after second day of confrontations
http://www.irinnews.org/report.aspx?ReportID=77558
3/31  SENEGAL: Heavy handed response to food protesters
http://www.irinnews.org/report.aspx?ReportID=77539
COTE D'IVOIRE: Food price hikes spark riots
http://www.irinnews.org/report.aspx?ReportID=77538

追加2
3/30 SOUTHERN AFRICA: Feeling the bite of rising food prices
http://www.irinnews.org/report.aspx?ReportID=77505
3/27 PHILIPPINES: Rice shortage hits poor as government grapples for solution 
http://www.irinnews.org/Report.aspx?ReportId=77478
3/18 NIGERIA: Desperate children swamp northern cities as food price hikes bite
http://www.irinnews.org/Report.aspx?ReportId=77349
3/26  Unrest grows in Egypt as food prices soarhttp://www.ft.com/cms/s/0/a35318f0-fb80-11dc-8c3e-000077b07658,dwp_uuid=a955630e-3603-11dc-ad42-0000779fd2ac.html

追加1 
1)2008/3/19 MAURITANIA: Record hunger predicted in 2008
http://www.irinnews.org/report.aspx?ReportID=77366
2)2008/03/17 SIERRA LEONE: WFP warning on food price increases  
http://www.irinnews.org/report.aspx?ReportID=77325 
3)2008/03/17 BURKINA FASO: Cost of living coalition threatens more action
http://www.irinnews.org/report.aspx?ReportID=77319
4)2008/03/17 Kenya: Concerns Mount Over Country's Food Security
http://allafrica.com/stories/200803171195.html
5)2008/03/13   BURKINA FASO: New protests against high food prices planned
http://www.irinnews.org/report.aspx?ReportID=77275
6)2008/3/11  WEST AFRICA: Rising food prices cause for concern  
http://www.irinnews.org/report.aspx?ReportID=77211 

追記分ここまで
7)2008/2/27 カメルーン Anti-government rioting spreads in Cameroon”Anti-government riots paralyzed the Cameroon capital and main port on Wednesday as popular anger exploded over high fuel and food prices and a bid by President Paul Biya to extend his 25-year rule.”
http://www.iht.com/articles/2008/02/27/africa/27cameroon.php
Protests paralyse Cameroon's capital and port city
http://www.alertnet.org/thenews/newsdesk/L27420545.htm
8)2008/2/28 ブルキナ・ファソ BURKINA FASO: Protests on price rises spread to the capital http://www.irinnews.org/Report.aspx?ReportId=77033
9)2008/2/22 ブルキナ・ファソ Burkina Faso: Food Riots Shut Down Main Towns
 http://www.irinnews.org/Report.aspx?ReportId=76905
http://allafrica.com/stories/200802221172.html
 http://africaflak.blogspot.com/2008/02/price-protests-as-goes-bobo-dioulasso.html
10) 2007/11/22 セネガル  SENEGAL: Poverty at the root of violent protests
  http://www.irinnews.org/Report.aspx?ReportId=75455
    http://www.chinapost.com.tw/international/2007/11/23/132026/Shock-riots.htm
11) 2007/11/13 モーリタニア MAURITANIA: High food prices spark protests
   http://www.irinnews.org/Report.aspx?ReportId=75286

 開発と権利のための行動センター
 青西

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2008/03/15

大豆生産と南米ーアルゼンチンにおける大豆生産拡大の影響

大豆生産と南米ーアルゼンチンにおける大豆生産拡大の影響

いくつか目についた報告から抜粋してまとめてみました。もう少し体系的に調べないとわからないことも多いのですが・・・
日本にも入ってきている大豆生産の背景にアルゼンチンの農村部の崩壊と農薬による健康被害があるという事は言えると思います。

1)República Argentina: impacto social, ambiental y productivo de la expansión sojera
 26-02-08, Por Renee Isabel Mengo
 http://www.ecoportal.net/layout/set/print/content/view/full/76397/(printversion)/1
「大豆モノカルチャーの拡大によって、アルゼンチンの農業生産は大きな増加を遂げた。しかしこれは環境劣化と経済の集中、社会的排除を伴うものであった。マクロ及びミクロ経済の会計の中に含まれているべきであった自然資源の過小評価と過剰利用は、国際的、国内的な『近代的』農業生産モデルの効率性と有効性に疑問を投げかける」

<プロセス>
・1990年代後半、米国と並んでアルゼンチンは早い段階で遺伝子組み換え大豆の栽培を許可した。これはアルゼンチン農業が・1980年代より抱えていた土壌流亡の問題への解決策として受け入れられた。ラウンドアップ耐性の大豆が「不耕起栽培」を可能としたのである。また特許権が認められていなかったため、ロイヤリティーを払うことなく栽培できたのも受け入れられた背景にはあった。
・この新しい生産様式は、長期的な構造的危機への対応としての脱工業化の結果として生み出されたものであり、また国家経済を、限られた農作物の一次産品生産国家へ引き込むものとなった。
・このプロセスは、地域の環境に適合した種子という遺伝子資源を農民から奪っていくものであった。長年にわたって開発されてきた、小麦やトウモロコシ、エン麦、レンズ豆などの種子が消えていった。
・60年代よりゆっくりと拡大を続けていた大豆生産は、遺伝子組み換え大豆が認可された1994年以降急速に拡大し、アルゼンチンの穀物生産の半分以上を占めるようになる。

<遺伝子組み換え大豆栽培による問題>
・不耕起での連作が続けられている、ラウンドアップ耐性の大豆のモノカルチャー・システムが土壌の肥沃度と構造にどのような引き起こすのかわかっていない。
・アルゼンチン土壌の生物的な「砂漠化」が進行しつつある。土壌の硬化、未分解な有機物の過剰滞留、土壌温度の低下、土壌生態系の変化が引き起こされている。
・生態系の変化、農薬汚染などにより、野ウサギ、鳥類、チョウ類などの減少、消滅。
・ラウンドアップ耐性雑草の発生
・「Royo de Soja」といった新しい病害が発生してきている

<社会経済的影響>
・大豆の作付面積だけは拡大し、他の農産物の作付面積は減少している
・平均耕作面積は1988年の470haから538haに拡大
・35万ヘクタールの超巨大企業も存在する。
・経営面積の拡大、集中と並行して農村からの農業労働者の排除が進んでいる。
・1991年には農村部に427万人が居住していたが、2001年には260万人まで減少している。
・農村部、内陸の中小都市での失業率増加
・1988年から2002年にかけて10万の経営体(24.5%)が減少。
・生産性の高さは「自然による補助金」によるものであった。これが失われつつある。
・大豆生産によって世界的にも重要な生産物であった、小麦、肉といった食糧生産が衰退しつつある。
・富は集中し、また生産地域外へ運び出され、農村部の開発につながっていない
結論部では大豆依存、多国籍企業への従属を避け、食糧主権と国内市場向け生産の見直し、農村部の社会的つながりの再強化などが提言されている。 

2)Argentina: sojización, toxicidad y contaminación ambiental por agrotóxicos      (2007/09/03)
  http://www.infoalternativa.com.ar/hoy/index.php?option=com_content&task=view&id=5176&Itemid=59
 
ラウンドアップ耐性大豆と不耕起直播というシステムはグリホサート(ラウンドアップという農薬の成分)の無害性に依拠してきた。しかし「大豆化」に伴う農薬パッケージの影響、生態系全体への影響についてはほとんど研究がなされていない。

-大豆生産は1990年代の政治的・経済的・社会的混乱の中で急速に進み、このことに対する十分な社会的議論はなかった。
-しかし大豆生産地域における深刻な健康被害の前に議論が始まろうとしている。
-歴史的に体験したことがない、膨大な量の農薬が散布されているという事態がある。年間に2億リットル以上のグリホサートと2千から2千5百リットルの2-4-D、6百万リットルのエンドスルファン、6百万リットルのアトラジンが散布されている。
-大豆の問題ではなく、他の作物でもあり得る、利用されている生産技術モデルの問題である。またその影響が広範に広がっていることにある。

<健康被害>
-大豆生産地域(Pampa sojera)を訪問すると、ガン、障害児の出産、アレルギーなどが急速に増えているという告発がある。
-農村部での肝臓ガン他、消化器系のガンなどが都市部と較べ増えている。以前は都市部で多かった。
(白血病、ガンなどの増加した地域の事例が紹介されているが、ここでは省略する。原文を参照のこと)
-農薬散布飛行機が、湖や川の上でタンクを空にして、その後大量の魚が死亡するという事件も起きた。
-農薬単体としての毒性ではなく、一緒に用いられた際の毒性については調査がない。
-グリホサートの残留調査はアルゼンチンでは行われていない。
-アトラジンはアルゼンチンでは毒性が低いとされ、規制されていない。
-Barrio ItuzaingoとColonia Lomas Sanesの事例が紹介されている。

3)Argentina: lo que la soya se llevó...Desnutrición y   hambre en el país de los alimentos  (2007/09/07)Por Mariela Zunino 
   http://www.ecoportal. net/layout/set/print/layout/set/print/content/view/full/72703

「大豆生産が急速に拡大しているアルゼンチン北部は40%が貧困線以下にいる」
-チャコ地方で7月から9月までに14人の先住民族が栄養失調や病気で死んでいった。
-チャコ地方には10年ほど前から農業フロンティアが拡大し、大豆生産が広がってきている。「パンパ化」これは輸出向け農業開発モデルが押しつけられてきていることとなる。
-1990年に5万ヘクタールだった大豆の作付面積が2000年に41万ヘクタールに。2006/07年の作付け期には70万ヘクタールにまで広がっている。
-大豆生産の拡大の中で、小規模な農家は必要な投入資材などを揃えられず消えていった。また雇用も減少。大豆は5分の1の雇用しか生み出さない。地域の所得は増加しない。
-綿花から大豆に転換が進み、農村部の雇用が縮小
-土地の集中が進む。7%の土地所有者が70%の土地を有する。1995年に4百万ヘクタール存在した公有地が66万ヘクタールに。大半は大豆生産者の手に渡った。
-土地が囲い込まれ、家畜の放牧に利用していた道が閉ざされた。
-先住民族や農民に対して体系的な暴力が行使されている。排除や脅迫、意図的な水源汚染など。大豆生産者が地域から住民を排除するために行っている。
-急速に森林破壊が進んだ。
-農民組織の抵抗運動、排除への抵抗運動なども組織されている。新しい交易手法の模索や種子交換なども行われている。

「アルゼンチンで支配的な現在の大豆モデルは、人々を、特に先住民族の人々を、人々の食糧主権や土地、森を打ちのめしてきた。何世代にも渡って生活し、生命の源であった土地は、略奪され、侵略され、今では柵と有刺鉄線がその道を閉ざしている」
「チャコにおける先住民族の死は、第一には政府の無関心や政府機関の機能不全、汚職、政府内に根付く差別などによると言えるであろう。しかしその根底には少数の者の利益に執着し、空腹や貧困、離村を脇に置いてきたことにある」
「大豆のモノカルチャーは多国籍企業による独裁を進めるものである」

開発と権利のための行動センター
青西

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ブラジルアマゾンとセラードにおける気候変動、バイオ燃料と環境-社会インパクト

紹介のみ:
1)Cllulosic energy may trigger dramatic collapse in the Amazon,
Rhett A. Butler, mongabay.com (2008/03/11)
下期文献の紹介記事です。
http://news.mongabay.com/2008/0311-sawyer_amazon.html

2)Climate change, biofuels and eco-social impacts
in the Brazilian Amazon and Cerrado、Donald Sawyer

http://journals.royalsociety.org/content/u45t0416h0224887/fulltext.pdf

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2008/03/14

大豆生産と南米ーパラグアイにおける農村部での人権侵害

 大豆生産と南米ーパラグアイにおける農村部での人権侵害
   
 先日紹介した文書の抄訳をつけます。パラグアイでは大豆生産の拡大に伴って、農園主側の暴力の行使、土地を求める農民運動との対立が激化しているようです。また農薬散布による被害も出ている。
 今回紹介した文書5)以外にもいくつか関連サイトなどの情報を紹介します。

1)A SEED Europe (Action for Solidarity, Equality, Environment, and Diversity Europe) のサイト
-Soy expansion triggers more violence in Paraguay (2006/08/22)
http://www.aseed.net/index.php?option=com_content&task=view&id=276&Itemid=107
Thesis: “The impact of soy expansion: migration and resistance” (本文はまだドイツ語版だけのようですが)
http://www.aseed.net/index.php?option=com_content&task=blogcategory&id=60&Itemid=107
2)la Coordinadora de Derechos Humanos Paraguay (CODEHUPY)の人権状況報告書はこちらのサイト   
  http://www.codehupy.org/www/index.php?option=com_content&task=category§ionid=3&id=10&Itemid=10
下の5)文書で言及しているInforme Chokokueはこちら
http://www.conectasur.org/arquivos/Resumen%20Ejecutivo%20Informe%20Chokokue_2007_07_03_09_01_57_982.pdf
3)Via campesina
  La soja vale más que la vida de las comunidades campesinas e indígenas
(2006/06/06)
 http://www.viacampesina.org/main_sp/index.php?option=com_content&task=view&id=107&Itemid=36
4)FIAN
La Reforma Agraria en Paraguay, Informe de la Misión Investigadora sobre el Estado de la realización de la Reforma Agraria en tanto obligación de Derechos Humanos
 http://www.fian.org/recursos/publicaciones/documentos/la-reforma-agaria-en-paraguay/pdf
 FIANのサイトでは国ごとの情報にアクセスできます。http://www.fian.org/

5)Paraguay: la paramilitarización del campo con la expansión de la soya
 パラグアイ:大豆生産に伴う農村部での準軍事組織の拡大
 (Javiera Rulli、2008/2/25)
 http://www.biodiversidadla.org/content/view/full/39113
 <抄訳>
パラグアイの農村部において、輸出向け大豆生産の拡大に伴って、先住民族や農民に対する暴力事件の増加が報告されている。こうした傾向は南米全体に見られるものであるが、パラグアイの農企業体は特に残酷な顔をもっており、農村部の人々を暴力的に排除しつつあり、また法的にも全く処罰されていない。農村部の軍事化、準軍事組織の拡大は大豆生産の拡大と結びついている。
 2006年に公表されたFIANと VíaCampesinaの視察団の報告書は「節度なき大豆生産の拡大は、警察や準警察組織、民間武装グループなどによる農民リーダに対する攻撃、殺人などを引き起こしている」と結論づけている。また人権組織などは、国家警察の中に処刑部隊が存在しており、これらが18人の農民リーダー暗殺の責任者であると告発している。こうした組織が、農地紛争が激化する中で、抑圧と社会コントロールの装置として違法活動、強制排除、押し入り、拷問、殺人、表現や信仰の自由への侵害などを引き起こしている。
 パラグアイにおける大豆生産拡大の第二期は、遺伝子組み換え大豆の導入とともに2000年頃に始まり、これは近年の土地なし農民の急速な拡大に直接的に反映している。また大豆のモノカルチャーに囲まれて生きているコミュニティは日々脅かされている。大農園の「武装ガードマン」は農村部の「パラミリタリゼーション」を引き起こし、警察力の腐敗と農村部の組織へを脅かしている。
 そして大豆生産は、農薬中毒、「合法」な土地からの排除、国家領域の外部への移転、食糧主権、そして領域への主権の喪失など異なる暴力も引き起こしている。
 パラグアイの大土地所有(ラティフンディオ)が享受してきた歴史的な免責が、農企業体の急速な拡大に良好な環境を提供してきたことは疑いの余地がない。これが外国投資を引きつけるのに不可欠な性格である。資本を得るためだけに来た土地においては、法もなければ、従うべきモラルも持たない。免責状態で活動できる確証と、マフィア的なやり方で事業が立ち上げられればいい。
 1989年に独裁政権が終わりを告げたあとにも、100人以上の農民リーダーが殺害されているが、調査がなされ、犯罪者が処罰されたのは一件だけである。また抗議行動を犯罪と見なすやり方も顕著である。2004年だけで1156人もが拘束されている。それもたった230万人の農村人口の国でである。ブラジルは農村人口が3200万人もいるが、同じ年に拘束されたのは421人に過ぎない。
 
 <選択的殺害>
 2007年のパラグアイ人権委員会la Coordinadora de Derechos Humanos Paraguay (CODEHUPY)の報告書によると、1989年から2005年にかけて75の恣意的な処刑を把握しているとのことである。こうした殺害事件の被害者は土地回復運動に関与した若者や地域のリーダーである。こうした恣意的な処刑は、コミュニティに恐怖を植え付け、抵抗する精神を奪い、組織ベースのリーダーを排除するために行われているという。またこうした犯罪の大半はモノカルチャーの拡大と結びつけることができる。大豆生産は土地へのアクセスを妨げ、さらに組織されている農民への暴力を引き起こしているのである。大豆生産の拡大が著しくなった94年以降、69の恣意的な処刑が記録されている。2ヶ月に一人の割合である。こうした地域は機械化農業のフロンティアのある地域とも一致している。準警察機関、暗殺グループが53の事件の加害者であり、22が警察によるものである。 
 2000年のサンタ・フェ・パラナでは土地なし運動のリーダーであったフランシスコ・エスピノーラがブラジル人が借地をした大農園の武装グループに暗殺されている。2005年にも別のリーダーが殺害されている。これらの事件は、違法に土地を借地している大豆農家の土地の収用を求めて闘っていたパラグアイ農民運動のメンバーが被害者となっている。2002年のブラジル系の企業の土地をめぐっての土地占拠の際にもリーダーの殺害事件が起きている。また2007年にはサン・ビセンテにおいて4人の農民が殺害されている。これは93000ヘクタールを有する大農園の土地に囲い込まれている森に猟に行った際に殺害されたものである。大豆生産の拡大で森林も伐採された上に、自然資源へのアクセスも制限されている。
 
 <土地占拠と暴力>
  強制排除の際にも、農民組織に対して暴行がなされている。パラグアイでは土地占拠闘争によって作られた多くの農民コロニーが存在するが、こうした活動を犯罪とみなすプロセスも継続している。大豆のモノカルチャーの拡大によって土地が枯渇し、また不動産への投機による価格上昇で土地にアクセスできなくなる事態が生じている。このことが土地なし住民に対する強制排除における暴力へつながっている。また刑法の改定によって、不動産への侵入は5年までの収監と定められた。30%の農村人口が土地を持たない国で、土地を持たないが故に、それを求めることで、刑務所に入れようというのである。
 FIANはこうした強制排除は、食糧への権利、住居への権利、また市民としての身体的統合性や自由への権利を侵害するものであると指摘している。 
 (ここから土地占拠に対する弾圧、暴行事件の事例が紹介される。国有地を囲い込んで森林伐採を行って大豆生産をしていた農企業体の土地占拠に対する弾圧、自給用作物の焼き払いなど。本来土地が収用されて然るべきところでも弾圧されている。また強制排除の執行命令がないにもかかわらず検察、軍、警察、武装ガードマンなどが参加した排除も行われている。また銃撃を行い、6名を死傷させた強制排除の後、農民側の勝訴となったケースもある。しかし農園主は逃亡し、法的な追求がなされていない、など)

 <農薬散布に関わる暴力>
 農薬はコミュニティーの生活を悪化させ、作物や家畜そして人間に対して被害を与える、隠された武器となっている。これは人々が耐えきれず、生き延びるために逃げ出すまで続けられるのである。
  (近隣への影響を無視して行われる、大農園による農薬散布の被害が広がっているとのこと。これらによる入院、死者も出ている。結論部では、パラグアイの領域に年間2000万リットルの農薬が散布され、2004年には400人の急性中毒が報告されていると述べている)

 <結論>
 農企業体の押しつけや世界市場への参入がパラグアイ社会の裂け目を深化させている。このような資本の流入が統治できない力へと変化し、汚職や農民への暴力を増やしている。パラグアイ政府はこうした動きの共犯者であり、さらには貧困を犯罪化し、都市への人口流出に寄与しているのである。
 大豆生産による社会的、環境的な影響は技術面のみでは解決できない。既に紛争は環境問題を超えているのである。これは農民に対する戦争の一つである。こうした暴力の背景には、領域を空にして、その後に新しい権力に従順な人々で再入植化しようという戦略がある。新しい住民は融資と市場への従属によって縛り付けられるのである。静かに、隠された戦争である。

 以上、訳・整理は開発と権利のための行動センター  青西
 

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2008/03/13

チリの上院にてILO169号条約承認

チリの上院にてILO169号条約承認

 チリで18年間にわたって審議が継続していたILO169条約批准が遂に実現する見込みです。3月4日に上院で承認され、最終的にバチェレ大統領による批准を待つのみとなります。
 バチェレ大統領は来週にも批准を宣言するのではないかと思われます。
 しかし36対1という圧倒的多数で承認された背景には、この条約の適用範囲を制限することを含意した「解釈宣言」を付属させることで政治的な取引が行われたことにあるようです。

http://www.senado.cl/prontus_senado/antialone.html?page=http://www.senado.cl/prontus_senado/site/artic/20080304/pags/20080304210637.html 

http://www.mapuexpress.net/?act=news&id=2685

マプーチェの先住民族組織は「解釈宣言」を付けぬようバチェレ大統領に要請
http://www.mapuexpress.net/?act=news&id=2686
http://www.mapuexpress.net/?act=news&id=2672
またアムネスティ・インターナショナルも「解釈宣言」を付けずにILO169号条約を承認することが非常に重要であるとする声明を出している。
http://www.amnistia.cl/index_noticias.shtml?sh_itm=82cadc6f5de53e1f474b0e8cd1d7faeb

行動センターの以前の記事はこちら(2008/1/12)
チリにおけるILO169号条約批准への動き(3/12追記)
  http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/01/ilo169_85f6.html

開発と権利のための行動センター
青西

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南米の動向:バイオ燃料、大豆、遺伝子組み換え関連

 バイオ燃料、大豆、遺伝子組み換え関連

あれこれ情報が出てきて、目が通せないので紹介のみ
1)República Argentina: impacto social, ambiental y productivo de la expansión sojera
 26-02-08, Por Renee Isabel Mengo *
 http://www.ecoportal.net/layout/set/print/content/view/full/76397/(printversion)/1

2)Informe de investigación sobre las operaciones de Monsanto en Argentina
 11-03-08, Por Sofía Pérez García y Hernán Medina *
  http://www.ecoportal.net/layout/set/print/content/view/full/76814/(printversion)/1

追記:上記の記事はほとんど次の2本によっているようです。 
Argentina: lo que la soya se llevó...Desnutrición y   hambre en el país de los alimentos  (2007/09/07)Por Mariela Zunino *
   http://www.ecoportal. net/layout/set/print/layout/set/print/content/view/full/72703
Argentina: sojización, toxicidad y contaminación ambiental por agrotóxicos      (2007/09/03)
http://www.infoalternativa.com.ar/hoy/index.php?option=com_content&task=view&id=5176&Itemid=59

3)El mundo según Monsanto' denuncia al gigante de los transgénicos
PARÍS (AFP) — El documental 'El Mundo según Monsanto', difundido este martes por la televisión francoalemana Arte, traza la historia del principal fabricante de organismos genéticamente modificados (OGM), cuyos granos de soja, maíz y algodón se propagan por el mundo pese a las alertas ecologistas.
http://afp.google.com/article/ALeqM5jNNxturQ5JcVLO3wZBWndEaU7vug

Le monde selon Monsanto
フランス語になりますが、こちらが公式サイトのよう
http://www.arte.tv/monsanto

4)Paraguay: la paramilitarización del campo con la expansión de la soya

Este estremecedor relato de la paramilitarización del campo en el lejano pero siempre hermano país de Paraguay es un presagio y una advertencia de lo que puede ocurrir en México, y de lo que está ocurriendo con las diferencias del caso. Ceder tierra y territorio a las grandes empresas y a quienes quisieran recrear el latifundio del siglo 19 es condenar a millones de campesinos al exilio forzado o al envenenamiento por agrotóxicos.
Javiera Rulli - 25-Feb-2008 - num.557
 http://www.biodiversidadla.org/content/view/full/39113

5)Los agrocombustibles y la guerra por los recursos
 El Movimiento del los Trabajadores Sin Tierra–MST, y la Via Campesina que reúnen millones de campesinos en todo el mundo, luchan por una nueva civilización, basada en una relación de armonía entre la humanidad y la naturaleza, en la cual no prevalezca el consumismo y la lógica del lucro y del mercado, que desbasta los recursos naturales, concentra la riqueza y el poder en las manos de pocos, genera pobreza y desigualdad social.Luchan por una sociedad basada en la justicia social y ambiental, en la igualdad, en la solidaridad entre los pueblos fundamentada en valores éticos, coherentes con una sociedad orientada por la sustentabilidad de todas las formas de vida.Coherente con estos propósitos y por lo planteado anteriormente, el MST y la Vía Campesina entiende que la ampliación del uso de etanol como alternativa para minimizar los gases de efecto invernadero no constituyen una medida sustentable y, las condiciones en que deberá ser producido, llevaran a agravar los factores responsables por el calentamiento global.
Delmar Mattes  *Feb/2008
http://www.biodiversidadla.org/content/view/full/39374(スペイン語)
Os agrocombustíveis e a guerra pelos recursos
http://www.biodiversidadla.org/content/view/full/39376(ポルトガル語)

青西

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気候変動と先住民族

 Minority Rights Group International (MRG)が3月11日、年次報告書を発行。先住民族や少数民族は気候変動によって最も影響を受けるグループであるにもかかわらず、十分に考慮がなされていないと指摘。
 また気候変動への対処策として持ち上げられているバイオ燃料用作物の生産によっても影響を受けていることにも言及し、南米のコロンビア、ブラジル、アルゼンチンなどで、バイオ燃料用プランテーションために、時に暴力によって土地を奪われていると指摘している。
 
  事例
-コロンビアにおいて、内戦によって国内難民となったアフリカ系コロンビア人の土地がオイル・パームプランテーションによって奪われ、自分たちのコミュニティーの土地に戻れなくなっている。
注)出典であるThe Internal Displacement Monitoring Centre (IDMC)の資料にはこちらからアクセスできる。
    http://www.internal-displacement.org/countries/colombia
-アルゼンチンのチャコ地方における大豆生産の拡大による先住民族の土地からの排除
-ブラジルにおける小農民や自生植物の採集者の排除
-インドネシアにおけるオイル・プランテーションの問題

MRGの報告書のプレスリリースはこちら
http://www.minorityrights.org/?lid=6140
報告書は次のページからダウンロードできる。
http://www.minorityrights.org/?lid=6138

開発と権利のための行動センター
青西

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2008/03/12

グアテマラへようこそ メールマガジン 第41号

開発と権利のための行動センターでも発行に協力している「グアテマラへようこそ メールマガジン」の第41号が発行されました。
購読はこちらのサイトから
 http://homepage2.nifty.com/Guatemala/index.htm
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 グアテマラへようこそ ●目次●
●1 グアテマラ短報
1-1 みえてこない「マヤの顔」
1-2 「無法地帯」のバス
1-3 保護区と農民運動
1-4 人権活動家への圧力-リオ・ネグロ
1-5 軍の機密文書が遂に公開へ 
1-6 国連人権高等弁務官事務所がグアテマラの人権状況報告書提出
●2 情報あれこれ-インターネットから
2-1 開発と権利のための行動センターのブログから
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●1 グアテマラ短報
1-1  みえてこない「マヤの顔」
 グアテマラ大統領アルバロ・コロムはその就任演説でも「マヤの顔をもった」社会民主主義を標榜していました。しかし就任から2ヶ月が経つにもかかわらず、「マヤの顔」は見えてこない。先住民族組織からは疑問を呈する声が出ています。
 3月3日のプレンサ・リブレ紙の記事によると大臣、副大臣合わせ計51人の中にマヤ民族出身者はわずかに3名。こうした批判に対してコロム大統領は「数の問題」ではない、と語っているとのことですが、「参加によって」計られるべきだという反論もあります。また「先住民族を入れることで、公共政策に変化を引き起こすことができる」という声もあります。
 http://www.prensalibre.com/pl/2008/marzo/03/223032.html
 3月11日の記事においても、先住民族組織の代表であるアントニア・ブチは「見せかけだけに過ぎない。マヤの顔は存在していない」と批判しています。一方、政府広報官は「閣僚の中に先住民族出身者を入れることが代表性を保証するものではない」と述べているようです。
http://www.prensalibre.com/pl/2008/marzo/11/225551.html

3/13 追記:3/11の記事のもととなっているフォーラムの声明文がみつかりましたので以下リンクを紹介
 Guatemala: Foro cuestiona “Rostro Maya” en el gobierno de Álvaro Colom http://www.servindi.org/archivo/2008/3581
――――――――――――――――――――――――――――――――
1-2 「無法地帯」のバス
 2月29日夜、グアテマラ・シティからエルサルバドルへ抜ける街道でバスが崖に転落し、55名の死者がでました(死者数3月4日時点)
 いくつかの報道によると、このバスの運転手はバス運転のための免許を有さず、保険にも入らず、またバスは定員オーバーでした。更にはバスはそもそも正式に登録されていなかったとのこと。
 また3月5日のプレンサ・リブレ紙の記事によると、事故以来900人の運転手の免許を確認し、その結果150人が処罰され、うち39人は有効な免許を有さず、4人が飲酒、2人が未成年・・・こうした報道の間にまた別の事故が起き・・・運転手は逃亡。
 http://www.prensalibre.com/pl/2008/marzo/05/224435.html他
<私自身乗っているバスが事故を起こしたことが数度ありますが、やはり危ないバスからは降りる判断も必要でしょう。とにかく危ない運転手がいます。
しかし近年、乗客が運転手に対して安全運転を要求する雰囲気が出てきています。これは重要な変化です。>

――――――――――――――――――――――――――――――――――
1-3 自然保護区と農民運動
 2月14日、グアテマラ東部で土地運動などを行っていたケクチ民族系の農民グループのリーダーが逮捕されました。容疑は私有地や自然保護区における略取や器物破損などと言うことです。これに対して農民グループが反発し、一時警官を拘束するという事件も起きました。
 裁判は行われていないにもかかわらず、報道はこのリーダーを犯罪者と決めつけ、保護区を破壊したとの報道を続けました。住民側は保護区の制定以前からこの土地に生きていること、訴えを起こした人物がそもそも土地を違法に入手したことなどを訴えています。
 
 この事件についてはグアテマラ国内で非常に偏った報道がなされ、地域のケクチ民族への差別や民族対立を引き起こすことが懸念されます。
 関連情報はこちら。http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/02/post_f9a9.html 

――――――――――――――――――――――――――――――――――
1-4 人権活動家への圧力-リオ・ネグロ
 バハ・ベラパス県、リオ・ネグロで内戦期の軍部による人権侵害を告発してきた「新しい希望財団」の理事長ギジェルモ・チェン氏の家に3月5日銃弾が撃ち込まれるという事件が発生しました。
 現在、リオ・ネグロにおける虐殺に関する責任を問う裁判も進行中。
 アムネスティ・インターナショナルが緊急行動を行っています。
 http://amnesty.org/en/library/asset/AMR34/006/2008/en/bd3ae57a-ec73-11dc-9a27-819d7db3035f/amr340062008eng.html
-「新しい希望財団」のサイトはこちら
  http://www.fne.cosmosmaya.info/
-リオ・ネグロにおける内戦期の虐殺事件についてはMiMundo.orgが記事を
アップしています。
 日本語翻訳ページ「チショイ・ダムとリオ・ネグロの大虐殺」
  http://mimundoj.blogspot.com/2007/08/blog-post.html

――――――――――――――――――――――――――――――――――
1-5 軍の機密文書が遂に公開へ
  2月25日、「内戦被害者の尊厳の日」にコロム大統領は軍の全て
の文書を公開することを表明。これまで2年にわたって警察で発
見された文書の分析・保存作業をすすめていた人権オンブズマン
事務所が軍の文書解析と保存に協力する方向。
http://www.prensalibre.com/pl/2008/marzo/05/224445.html

――――――――――――――――――――――――――――――――――
1-6 国連人権高等弁務官事務所がグアテマラの人権状況報告書提出
 グアテマラに設置されている国連人権高等弁務官事務所が、報
告書を提出。この報告書にはグアテマラの人権状況及び事務所の
活動について記載されています。ダウンロードはこちら
http://www.oacnudh.org.gt/documentos/informes/2008351125360.A.HRC.7.38.Add.1_sp.pdf
(直接開かない場合は、http://www.oacnudh.org.gt/から3月5日の
Comunicadoに入り再度開いてみてください)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●2 情報あれこれ
2-1 開発と権利のための行動センターから
A)2/29にグアテマラ関連情報を掲載しました。
 自然保護区と農民 /歪められた現地報道
   http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/02/post_f9a9.html
B)最近の記事一覧はこちら
 http://homepage3.nifty.com/CADE/

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2008/03/11

バイオ燃料:フィリピン・ミンダナオ

 PANOSのサイトによると、フィリピンで「バイオ燃料法」が制定され、通常のガソリンおよびディーゼル燃料にバイオ燃料を混合することが義務づけられたとのこと。これと並行して政府はミンダナオ島で120万ヘクタールのジェトロファ栽培を推進、また民間投資で40万ヘクタールでの栽培を見込んでいる。このバイオ燃料促進の政策を巡って、フィリピン国内で「食糧か燃料か」という点で議論がわき起こっていると伝えている。
 Food versus fuel in the Philippines (2008/30/07)
 http://www.panos.org.uk/newsfeatures/featuredetails.asp?id=1368

 上記の記事では、ジャトロファの栽培は、非食用であり、また荒廃した山地等の遊休地に植えられるのであるから、食糧との競合は起こらないと推進側は述べている。
 そこでミンダナオ島の面積(6地域計)を調べてみると、約1017万ヘクタール、うち可処分地が約413万ヘクタール、森林が約604万ヘクタール。つまり島の総面積の12%耕作地、居住地等を全て含んでいると想定される可処分地の30%に相当する面積、あるいは「森林」に含まれる面積の20%にバイオ燃料用のジェトロファを作付けするという計画ということになる。
 フィリピン統計局のデータより算出
 http://www.nscb.gov.ph/secstat/d_natres.asp 

 しかし収穫面積を見ると、米・トウモロコシ等の穀物類が約180万ヘクタール、このほかにバナナが22万ヘクタール、キャッサバが12万ヘクタール、コーヒーが8万ヘクタール、マンゴーが6万ヘクタール、ココナツが173万ヘクタールなどとなっている。これ以外にもイモ類などもあり、400万ヘクタールは既に農業的に既に利用されていると言えるであろう。
(耕作面積の統計がインターネットで見つけられなかったので、穀物類については四半期ごとの収穫面積の数値から最上位の値を利用して推計したものである)
 http://countrystat.bas.gov.ph/toc.asp?path=PX/DATABASE/FAO/DETAILS/H_LANDUSE/A_LANDU/A_LANDU.asp

 森林等に含まれている土地がどのような土地かはよくわからないが、果たしてどこから土地を確保するのであろうか?
 また仮に経済的に他の作物より収益が上がるとなったときには、アクセスの悪い山地から作付地が移動する可能性や、民間資本の参入も含め、より大規模に食用作物が転換されていく可能性は否定できない。
 
 関連情報
 Jatropha: What the public should know
  http://opinion.inquirer.net/inquireropinion/talkofthetown/view_article.php?article_id=87461
 GRAIN: Jatropha – the agrofuel of the poor?
  http://www.grain.org/seedling/?id=480

追記:軍が関与するアジアのバイオ・ディーゼル開発
 フィリピンの話に関連してインターネットで検索をしていると、どうもフィリピンだけではなく、アジア各国でバイオ・ディーゼル開発と軍が絡んでいるらしい。上記の開発計画がミンダナオであるという点で軍の戦略との関係も疑いうるであろう。ちなみにフィリピンでは2006年から軍の基地でのジェトロファ苗木生産が行われていたとのことである。
PGMA orders full-scale propagation of Jatropha plant
http://www.gov.ph/news/default.asp?i=15343
ビルマ(ミャンマー)でも
Myanmar to create biofuel plantations on 3.25 million hectares
http://biopact.com/2007/05/myanmar-to-create-biofuel-plantations.html
Military authorities to rework Jatropha project in Chin state
  http://www.khonumthung.com/kng-news/07-news-archive/feb-07-news/military-authorities-to-rework-jatropha-project-in-chin-state/

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2008/03/07

中米におけるダム開発問題など(コスタリカ・パナマ)

 中米におけるダム開発問題など(コスタリカ・パナマ)
 
1)コスタリカの先住民族組織がディキス(Diquís)水力発電計画を拒否
  2009年の着工を目指しているコスタリカのディキス水力発電計画に対して、地域の先住民族は拒否の姿勢を示している。このプロジェクトは中米電力統合の一環であり、中米諸国への電力輸出も視野に入れられている。またこのプロジェクトの環境・影響評価は米州開発銀行が、またファイナンシャル・フィージビリティ・スタディはアメリカ貿易開発局(USTDA)が資金提供することになっている。
 しかし先住民族組織は2月21日に記者会見を開き、このプロジェクトがテラバ、チナキチャの先住民族テリトリーに直接の影響を引き起こし、また間接的にクレ、ボルカ、ウハラ、サリトレ、カバルガの先住民族テリトリーに影響を引き起こすと述べている。また直接また間接的な悪影響に加えて、法的にも国際法、ILO169号条約に違反していることを訴えている。
「協議が実施されていないだけではなく、コスタリカ電力公社(ICE)は、先住民族コミュニティをだまそうとした。彼らはICEの宣伝活動を行い、後にそれが正式な協議であったと言っているのだ」と批判している。
  またテリベ・先住民族文化アソシエーションのリベラ氏は、先住民族にとって聖なるものである歴史的・考古学的遺跡が200カ所以上も水没することになること、また歴史的に営んできた生産活動も継続できなくなることなどを指摘している。
 なおこのプロジェクトは30年ほど前にもボルーカ(Boruca)水力発電プロジェクトという名称で計画されていたが、住民の反対で頓挫した経緯がある。

 関連サイト
Organizaciones Indígenas de Térraba rechazan Proyecto Hidroeléctrico Diquís
http://www.comitespatrioticos.com/index.php/todas/620-organizaciones-indigenas-de-terraba-rechazan-proyecto-hidroelectrico-diquis
Inforpress Edición : 1742 Publicado : 29/02/2008 ”Pueblos indígenas rechazan hidroeléctrica Diquís”
http://www.inforpressca.com      
Costa Rican Archaeology to be Lost?
http://www.costaricaholiday.co.uk/blog/?p=513
米州開発銀行:http://www.iadb.org/projects/Project.cfm?project=CR-T1017&Language=English
アメリカ貿易開発局:
http://www.ustda.gov/news/pressreleases/2007/LAC/Costa%20Rica/CostaRicaHydropower_090507.pdf

2)パナマ:ダム建設に反対する先住民族を逮捕/Arrestos de indígenas Nasos en el Teribe,Changuinola, Bocas del Toro,
 ナソ・テリベ先住民族テリトリーにおけるボンイック水力発電所の建設に反対する先住民族メンバーが逮捕される。
 (2008/02/28)
 http://www.panamaprofundo.org/boletin/represas/arrestos-de-indigenas-nasos.htm

 その他、詳細はわかりませんが、リオ・ガトゥにおける水力発電計画への反対の動きなどもあるようです。
Panamá: rechazan hidroeléctrica en Río Gatú
 http://www.biodiversidadla.org/content/view/full/39254
 http://www.panamaprofundo.org/boletin/mineria/urgente-despacho-de-prensa.htm

 開発と権利のための行動センター
青西

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IIRSA(南米地域インフラ統合イニシアティブ)とは

IIRSAについて
 
  「南米地域インフラ統合イニシアティブ(IIRSA)」は巨大な開発計画であり、これだけの事業が同時に進んだら、先住民族だけにとどまらず、地域社会や地域住民への社会・経済的な影響をしっかり調査し、対応策を検討し、更にそれを実施できるだけの制度がそもそも存在するのか?という疑問が沸いてきますが・・・

 とりあえずどのようなものなのか、全貌をつかむために、まず地域的な展開を見てみます。

1)2005ー2010に向けての合意された実施案
 これはIIRSAのサイトからの転載であるとのことですが、出典を見つけられず、別の資料から転載しています。
 以下のサイトよりダウンロードできるEstudio de Caso Selva Abierta, Carretera Pasto Mocoa e Hidrovía del PutumayoのP39より転載。 
 http://www.biceca.org/es/Article.716.aspx 

Iirsa

2)開発・統合ハブ 
 IIRSAの中で10カ所の地域統合のハブが計画されています。
 詳細はIIRSAのサイトで英語・スペイン語・ポルトガル語で読めます。この中からハブの地図を転載(
クリックするとポップアップで拡大されます)
http://www.iirsa.org/EjesIntegracion_ENG.asp?CodIdioma=ENG

A)アンデス・ハブ
Mapagruposandino_2

B)アマゾン・ハブ
Mapagruposamazonas

C)ペルー・ボリビア・ブラジル・ハブ
Mapagruposperubrasilbolivia

D)中央・大洋間ハブ
Mapagruposinteroceanico

E)カプリコン・ハブ
Mapagruposcapricornio

F)メルコスール・チリ
Mapagruposmerchile

G)サザン・ハブ
Mapagrupossur

H)ガイアナ・シールド
Mapagruposguayanes

地図情報なし
I) パラグアイ・パラナ水路・ハブ
J)南部アンデス・ハブ

3) Estudio de Caso Selva Abierta, Carretera Pasto Mocoa e Hidrovía del Putumayo (28 Feb 2008)
 IIRSAを構成するプロジェクトの一つであるパスト・モカ道路とプトゥマヨ水路に関わる社会・環境への影響についてのケーススタディが出されています。
(未読)
 ちなみにこの地域は先日のコロンビア政府軍によるエクアドル領内への侵犯・FARCへの攻撃の舞台となった場所とも非常に近い地域です。
報告書はこちらのサイトから(スペイン語)
http://www.biceca.org/es/Article.716.aspx
この地域のプロジェクト概要はこちら
http://www.biceca.org/es/Project.Overview.188.aspx
  
開発と権利のための行動センター
青西

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南米の巨大プロジェクトに反発する先住民族組織

 IIRSAに関する先住民族の声明
   現在、「南米地域インフラ統合イニシアティブ(IIRSA)」という南米諸国の経済的統合を目指した巨大なインフラ整備計画が進みつつあります。この中には40以上のメガ・プロジェクトが含まれており、こうした事業の実施に伴う社会、経済、そして環境への影響が懸念されています。

 こうした中、アンデス先住民族組織コーディネーター(CAOI)他が20以上のラテン・アメリカの先住民族組織がボリビアの首都ラパスに会し、IIRSAに関して議論を行い、声明文を発表しています。以下抜粋・抄訳します。
http://www.coica.org.ec/sp/noticias/archivo2008/iirsacaoi.htm
http://www.biodiversidadla.org/content/view/full/39154

「命のための開発を」「商売と死のための開発はいらない」

-IIRSAは私たちの国を巨大な多国籍企業の原料供給国として位置づけ、従属を再強化するものである。
-これらのプロジェクトの実施によって人権が侵害され、社会・環境面でのインパクトを受けつつある。
-IIRSAはアマゾン、パンタナル、アンデス、チャコの破壊を進める物であり、先住民族のテリトリーに被害を与え、生物多様性や生計の手段を奪い、貧困を深化させ、また未来の世代の生存を危機に瀕させるものである。

-私たちにとって、自然と精神世界の均衡のなかで「よく生きる」という正統なオータナティブは、私たちのテリトリーを商品の通過点や廃坑や石油で川を殺してしまうようなIIRSAとは大きくかけ離れている。
-私たちも道や水路が必要である。しかしそれは自分たちの生産物を運び出すためのものであり、多国籍企業のためでもなければ、上に述べたような犠牲を払うべきものでもない。
-識字化、栄養失調、コミュニティの代替の生産といった取り組みを強化すべきである。

-南米諸国の政府は先住民族の権利に関する国連宣言を承認しておきながら、宣言を破り、日々、IIRSAのプロジェクトで私たちの生活、文化、夢を傷つけているのである。

-国連の人権高等弁務官事務所が特別報告官を任命し、早急にIIRSAによる被害について調査を行うことを求める。

-国内法また、先住民族の権利を擁護するILO169号条約、先住民族の権利に関する国際宣言に基づき、法的な告発を組織するものである。

-米州開発銀行、世界銀行、アンデス開発公社、ラプラタ河流域開発基金、欧州投資銀行の総裁に対し、私たちのことを知りもしなければ、協議をすることも、私たちの抗議の声も聞くこともないままに、なぜこのようなプロジェクトに投資するのかインタビューを行うことを要請する。

-ブラジル政府の態度に強い危機感を持っている。ブラジル大統領と経済社会開発銀行総裁との会合の求める。

-先住民族の権利宣言を承認した大陸の進歩的な大統領に対し、IIRSAの見直しを求める。

-ボリビアにおけるチキタノ先住民族のテリトリーに影響を及ぼすサンタ・クルス-プエルト・スアレス間の道路計画の位置づけの変更を求める。またマデラ川のダム計画について先住民族の権利を保護するための必要な対策が取られることを求める。

-南米の先住民族組織とコミュニティにIIRSAに対し警戒し、私たちへの影響についての情報を求めるとともに、私たちの言語で、私たちの地域における、そして私たちの組織を通じての、誠実な、自由で情報に基づく事前の、同意あるいは拒否を要求することを呼びかける。

-IIRSAに対する先住民族組織間の連携を強化すること。

 <補足情報>
-開発と権利のための行動センターでも関連のプロジェクトについていくつか簡単な報告を掲載しています。
アマゾン地域の大規模水力発電計画と先住民族
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/01/post_3d22.html
中南米におけるバイオ燃料の拡大とその問題点
2)ペルー・アマゾンにおける大豆のための道路に先住民族が反対の声をあげる。(07/10/30)
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2007/11/post_8985.html

-IIRSAについて
IIRSA オフィシャルサイト       http://www.iirsa.org/index.htm
IIRSAのモニタリングを行っている国際団体のサイト
http://www.biceca.org/en/Page.About.IIRSA.aspx(英語)
http://www.biceca.org/es/Page.About.IIRSA.aspx(スペイン語)

 開発と権利のための行動センター
 青西

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2008/03/06

大豆価格高騰-遺伝子組み換え作物

 先日から遺伝子組み換え作物の話や食糧価格高騰の話などを取り上げていたこともあり、少し世界の大豆生産や日本の大豆生産の動向について、遺伝子組み換え大豆の話を視野に入れつつ追いかけています。その中で見かけた最近のトピックを紹介します。世界的な流れ+投機的な資金の動きに翻弄されるのは日本にいても同じです。

輸入大豆の価格高騰でお豆腐屋さんピンチ (カナロコ 経済 2008/02/02)
http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiifeb080220/
大豆高騰:佐賀の豆腐業者倒産 九州・沖縄・山口で4例目
http://mainichi.jp/select/biz/news/20080306k0000e040019000c.html(毎日 jp 2008/3/06)
穀物相場の高騰を誘引!非遺伝子組み換えプレミアム  (週刊ダイヤモンド2008/01/23)
http://diamond.jp/series/inside/01_26_002/
USSEC: 非遺伝子組み換え大豆にはより高イプレミアムが必要(アメリカ大豆協会 2007/12/10)
http://www.asajapan.org/news/weekly/2007_12_10.html
外国産高騰でチャンス到来国産大豆に追い風/調達に動き、行政後押し【東北】 日本農業新聞(掲載日:08/02/29)
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/modules/bulletin8/article.php?storyid=4943
道産「スズマル」急騰 納豆需要で引き合い/大豆入札 日本農業新聞(08/03/01)
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/modules/bulletin1/article.php?storyid=1140
東京穀物商品取引所
http://www.tge.or.jp/japanese/index.shtml# 

 青西

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2008/03/03

国際的環境NGO:遺伝子組み換え作物についての報告書刊行

遺伝子組み換え作物について

 穀物価格高騰の中で、遺伝子組み換え作物拡大への戦略が広がっています。メキシコでもトルティージャ価格高騰に際して、遺伝子組み換えトウモロコシの導入を進めようという動きがありました。また数日前には「韓国が初めて遺伝子組み換えトウモロコシ輸入へ」というニュースも報道されました。 http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-30529220080227
 またビジネス・ウィークの2007年12月17日号は「遺伝子組み換え作物、事実上の勝利-安全性への懸念をよそに栽培農家は世界中で急増」という記事を掲載したようです。 http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20071214/143127/
  しかし遺伝子組み換え作物の広がりに疑問を呈する動きも続いています。フランスでは遺伝子組み換えトウモロコシの栽培を禁止しました。毎日新聞(2/10)「フランス:遺伝子組み換えトウモロコシを栽培禁止」 
 http://mainichi.jp/select/science/news/20080211k0000m030041000c.html
 農業情報研究所 「フランス政府 新たな科学的事実でGMトウモロコシ栽培禁止へ 長期的影響の一層の評価も必要」 http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/gmo/news/08011401.htm 
 
 こうした中で国際的環境NGOであるFriends of the Earthは2008年2月に「誰がGM作物で利益を得ているのか?」“Who Benefits from GM Crops?”という報告書を刊行しました。(英語・スペイン語・フランス語) http://www.foe.co.uk/campaigns/real_food/news/2008/february/who_benefits.html

 報告書では主として次のような点を取り上げています。
1:世界的なGM作物の栽培に関する概要
2:米国及び南米における農薬利用量の増加及び耐性雑草について
3:インドに焦点をあてた遺伝子組み換え綿花栽培について

 そこでこの報告書の内容を、補足情報も含め紹介します。
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 この報告書では遺伝子組み換え作物は「環境にも、社会的にも、また経済的にも利益をもたらしていない」という評価を下しているが、以下、この報告書がどのような点を指摘しているかを補足情報も含め紹介する。

1)農薬使用量の減少につながっていない
 報告書によると、米国において、2005年の大豆、綿花、トウモロコシ生産におけるグリホサート使用量は119,017百万ポンドとなっており、これは1994年の7933百万ポンドから15倍という数字になっている。
 また米国農務省のAgricultural Chemical Usage - Field Cropsのデータを利用しつつ、単位面積あたりのグリホサート使用量が増加していることも指摘しており、1994年から2006年において大豆で2.5倍、トウモロコシで2002年から2005年で35%近く増加したことを指摘している。
 このような単一の農薬に依存した農業の危険性の一つが次のような除草剤への抵抗性を持った雑草の出現である。

注)遺伝子組み換え作物の中では「除草剤耐性作物」が広く使われているが、これは、主としてモンサント社が開発した除草剤グリホサート(商品名:ラウンドアップ)という非選択性(多種の雑草に有効)の除草剤に対する耐性を組み込んだ作物となっている。このような遺伝子組み換え作物の利用で「除草剤をまくコストや労力が削減され」「環境にやさしい農業を行うことができます」というのが遺伝子組み換え作物の種子を売り込んでいるモンサント社の宣伝文句である。

注)圃場における使用量の変化については次のサイトからAgricultural Chemical Usage - Field Cropsの元データにアクセスできるので関心のある方はこちらにて確認頂きたい。(英語)
 http://usda.mannlib.cornell.edu/MannUsda/viewDocumentInfo.do?documentID=1560

2) 除草剤-グリホサートへの耐性を持った雑草の広がり
 「除草剤耐性作物」として特定の除草剤に耐性のある遺伝子組み換え作物を栽培し続け、作物には効かないが、雑草には効くという除草剤を散布し続けていることにより、その除草剤では枯れない雑草が増えつつある。
 報告書によると、1976年にグリホサートが導入された後、20年間はグリホサート耐性雑草の報告はなかったという。しかし「ラウンドアップ耐性・遺伝子組み換え作物」の導入以後、急速にグリホサート耐性雑草の報告が増えており、米国では既に8種が報告されているとのことである。
 
注)報告書が引用しているのはWeed Science Society のサイトであるが、ここには除草剤耐性品種のリストが掲載されており、グリホサート耐性の雑草は世界で13種が報告されている。(英語)
  http://www.weedscience.org/summary/MOASummary.asp
注)こうしたグリホサート耐性雑草の拡大については既に農業情報研究所のサイトでも既に報告されている。(日本語)
グリフォサート過剰依存で増える除草剤耐性雑草農業多様化が解決策と豪学者(2005/02)
 http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/gmo/news/05022301.htm
GM大豆はラテンアメリカの”新植民者”ーGM作物導入の影響の包括的新研究(2006/01)
  http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/gmo/news/06031701.htm
-独立行政法人農業環境技術研究所の”GMO情報: 除草剤耐性作物商業栽培10年を振り返る”、農業と環境 No.90 (2007.10)でも取り上げられている。
http://www.niaes.affrc.go.jp/magazine/090/mgzn09008.html
 
3)遺伝子組み換え作物を使っても収量は増加しない。
 これは「遺伝子組み換え作物」の利用が収量の増加を保証するものではないので、ここでは紹介を省略する。

4)種子供給の独占化
 報告書では種子価格の高騰、種子産業の集中、モンサント社による農民への訴訟問題などを取り上げている。

 この報告書ではこの点について十分に掘り下げられていないように思われるが、この点も遺伝子組み換え作物の大きな問題である。農業生産の現場から流通・加工に至まで、独占化、そして画一化が進み、多様性が失われていくプロセスが進行している。
 農業企業体が遺伝子組み換え作物を導入することで、あるいは農民が導入を強いられることで、地域が持っていた種子の遺伝的多様性が失われるとともに、圃場の管理技術も規格化され、在来の農業技術も失われていく。これは世界的な規模で「モノカルチャー」が進行していくことを意味している。既に問題となっている除草剤抵抗性の雑草の拡大もこうした「モノカルチャー」の結果の一つである。世界的な規模で、グリホサート耐性という同じ遺伝子を組み込まれた大豆が栽培され、同じ農薬が散布され続けた時にどのような事態が起こるのか、これは今だかって誰も経験をしたことがない状況である。そして明らかなのは、そうした世界はあまりにリスクが高い世界だということであろう。
 「グリホサート寡占状態は新たな除草剤の研究開発に対するメーカーの投資意欲にも影響するのではないかという指摘もある」、と上記の農業環境技術研究所の報告は触れているが、遺伝子組み換え作物の拡大、それと並行する独占化あるいは寡占化の進行は、種子・技術開発・生産資材・流通といった全ての側面で、市場メカニズムの機能不全を招くとともに、支配とリスクに対抗するための地域社会の人的・社会的な資本も蝕んでいくのである。
 
注)報告書の最初に遺伝子組み換え作物の動向が簡単にまとめられている。また遺伝子組み換え作物の動向については国際アグリバイオ事業団のサイトに世界の遺伝子組み換え作物の商業栽培に関する状況:2007 年という報告書のサマリーが日本語で掲載されている。(この組織は遺伝子組み換え作物の普及を目的としていることを前提として読む必要がある。)(日本語)
 http://www.isaaa.org/Resources/publications/briefs/37/executivesummary/pdf/Brief%2037%20-%20Executive%20Summary%20-%20Japanese.pdf

開発と権利のための行動センター
青西

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2008/03/01

延期:5月4日に予定されていたボリビア国民投票

   追記:4月10日
 サンタクルス県で計画されている自治憲章の承認に関する住民投票は5月4日に強行される予定。政府側は軍の動員などによる投票の阻止は行わない様子。しかし与党支持派の先住民族組織などは道路封鎖など、「違法」な投票実施を妨害する方針を打ち出している。
 

 追記3月8日  ボリビアのプレンサ紙(2008/3/08)によると国家選挙裁判所(CNE)の判断によって、5月4日に計画されていた国民投票は延期。また現政権への反対派を中心とする県レベルの自治憲章に関する住民投票も憲法に違反するとして無効を宣言された。 La CNE aplaza los referendos pero Santa Cruz decide hoyCorte Nacional Electoral (CNE), http://www.laprensa.com.bo/noticias/08-03-08/08_03_08_poli2.php  今後の対応は不明 ////////////////////////////////////////////////////////////////////////////// 昨年12月に立憲議会で承認されている新憲法案が、5月4日国民投票にかけられることとなった。この国民投票では、土地所有面積の限度を5000haとするか、10000haとするかという点及び憲法改正案全体への承認、という二点を問うことになる。http://www.presidencia.gov.bo/prensa/Noticias.asp?id=200802291&p=5 
新憲法案はこちら>>http://www.presidencia.gov.bo/asamblea/nueva_cpe_aprobada_en_grande_en_detalle_y_en_revision.pdf
 一方、現政権への反対勢力であるサンタ・クルス県、ベニ県などの県知事はそれぞれの県の自治憲章を定める住民投票の開催を計画している。これに対して国会は、県には投票を実施する権限がないと判断しているとのことである。
しかしサンタクルス県では5月4日、ベニ県では6月1日に、計画通り実施するとの態度を表明している。
http://www.laprensa.com.bo/noticias/29-02-08/29_02_08_poli1.php
http://www.laprensa.com.bo/noticias/29-02-08/29_02_08_poli2.php

追記(3/7):県での自治憲章を定める住民投票は4/27に前倒しされて行われる模様。
http://news.bbc.co.uk/hi/spanish/latin_america/newsid_7282000/7282667.stm
 開発と権利のための行動センター
 青西

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