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2008/04/02

「責任ある大豆生産」のまやかしを拒絶する

 4月23日、24日、アルゼンチンで第3回目の「責任ある大豆生産に関する円卓会議(The Round Table on Responsible Soy )」が開催されます。これはWWF(世界自然保護基金)や大豆関連企業などによって進められている動きであり、南米における持続的な大豆生産を目指すものとされています。1)、2)
 しかし、こうした動き自体が欺瞞であるとして、南米諸国における大豆生産拡大の問題点を指摘している声もあります。 南米の農民組織、先住民族組織などは、このアルゼンチンで開かれる会議に向けて、アグリビジネス、多国籍企業による支配が進みつつある現状、その中で「企業の社会的責任」という名のものに、企業が犯している犯罪の責任がうやむやにされているとして、この円卓会議を拒絶する声明を発表しています。(部分訳は最後に添付3)
 大豆モデル/遺伝子組み換え大豆のモノカルチャーを基盤とした農産物輸出モデルは、コミュニティの破壊、農村部からの人口流出、農薬による他の農作物への被害、健康被害、生物多様性の喪失、農地改革の停滞、種子への権利や食糧主権の侵害など様々な問題を引き起こしており、このようなモデルを基盤とする「責任ある大豆生産に関する円卓会議」を強く批判しています。また円卓会議のような取り組みがアグロ燃料生産における「持続性」の基準となっていくことに危惧を表明しています。4)
 
 日本は有数の大豆輸入国であり、かつ南米からも大量の大豆を輸入しています。また南米における大豆開発には日本政府や日系企業も深く関わっています。しかしこの円卓会議のような動きについてすら、ほとんど報道されていないことは大きな問題と言えます。しかしこうした「大手」の動きだけではなく、地域のレベルの様々な声に耳を傾け、問題を共有し、つながっていくことが非常に重要なことではないでしょうか。

(5/18 追記 次の報告も出ています。THE ROUND TABLE ON IR-RESPONSIBLE SOY:Certifying Soy Expansion, GM Soy and Agrofuels
 http://www.lasojamata.org/files/RTbriefing%202008_6.pdf)
 
 参考サイト
1)WWF :「RTRSの挑戦!持続可能な大豆生産のために」
http://www.wwf.or.jp/activity/forest/news/2007/2007061801.htm
2)THE ROUNDTABLE ON RESPONSIBLE SOY
http://www.responsiblesoy.org/
3)EN RECHAZO A LA TERCERA REUNIÓN SOBRE SOJA RESPONSABLE i A CELEBRARSE LOS DÍAS 23 Y 24 DE ABRIL EN EL HOTEL HILTON DE BUENOS AIRES, ARGENTINA.
http://www.grr.org.ar/DECLantiSojaResp2008.pdf
(訳は最後に添付)
4)La Soja Mata - Soy Kills 
http://www.lasojamata.org/
5)その他関連サイト
GRUPO DE REFLEXIÓN RURAL
http://www.grr.org.ar/
開発と権利のための行動センター
大豆生産と南米ーアルゼンチンにおける大豆生産拡大の影響
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/03/post_b4ea.html
ブラジルアマゾンとセラードにおける気候変動、バイオ燃料と環境-社会インパクト (資料紹介のみ)
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/03/post_29e7.html
大豆生産と南米ーパラグアイにおける農村部での人権侵害
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/03/post_09c7.html

DECLARACIÓN MARZO 2008
POR TERCERA VEZ RECHAZAMOS LA MENTIRA DE LA SOJA RESPONSABLE
DECLARACIÓN DE ORGANIZACIONES SOCIALES, INDÍGENAS, CAMPESINAS Y MOVIMIENTOS URBANOS DE LA ARGENTINA, LATINO AMÉRICA Y OTROS CONTINENTES,EN RECHAZO A LA TERCERA REUNIÓN SOBRE SOJA RESPONSABLE i A CELEBRARSE LOS DÍAS 23 Y 24 DE ABRIL EN EL HOTEL HILTON DE BUENOS AIRES, ARGENTINA.


「農企業こそ、私たちの土の破壊、森林破壊、水系の汚染、生物多様性の消滅、文化・自然という資産の搾取、そして人々の食べ物を支えていた家族農業の消滅の責任者でもある。大豆のモノカルチャーの拡大は、国家の領域主権、食糧主権、文化的主権、また先住民族や農民の権利を侵害するものであり、大豆モデルは人々の排除と貧困化、健康被害を進めるものである。この土地利用のあり方は、経済的・社会的・環境的な権利を侵害するものである。産業的なモノカルチャーは、生来の暴力的構造をもって農村部を解体しながら広がりつつあり、農村からの移民、都市住民のマージナル化、そして貧困と社会運動の犯罪化を引き起こしている。
 こうした問題にも関わらず、大豆関連産業は、加工食品、加工型畜産、そして「気候変動から私たちを救う」と言って進められているアグロ燃料の市場の拡大とともに強化されつつある。IIRSAによる水路開発、新しい鉄道計画が進められ、また私たちの大地をより迅速に開発するために、遺伝子組み換え作物は増加し、農薬や農業機械の輸入は増加している。
 アグリビジネスの進出が更に進み、私たちの国の状況に対する批判や告発が増加する事態を前に、多くのヨーロッパ政府が安易にWWFによる持続的取引のための円卓にすり寄っていくことに愕然とさせられている。これは持続性のための、特にアグロ燃料生産における、新しい法的基準の成功例と見なされているようである。しかしこれは多国籍企業のごまかしの罠にはまっているにすぎない。
 北、そして南の社会運動は、企業やNGOが、遺伝子組み換え大豆のモノカルチャーに関して、世論の中に「持続性」や「責任」という基準を打ち立てようとする取り組みを拒絶するものである。対話のテーブルと自発的手段による「企業の社会的責任」は、企業が犯した犯罪の責任をうやむやにしようとするものであり、また国家の公的な機能を、民間の援助的政策に代替するものであり、こうしたプログラムに反対するものである。
 また私たちの独自の言説を悪質に歪曲するアグリビジネスによる新植民地主義的な支配のプロジェクトにも抵抗するとともに、認証生産物市場を争うために国際的な企業が使う『緑の装い』を告発するものである。
 中略
 そこで私たちは再びWWFやFondo Mundial de la Naturaleza, AAPRESIDix de Argentina, ABIOVEx, MAGGI y APROSOJA de Brasil, DAP de Paraguay, Bunge y Cargill de Estados Unidos, la banca ABN-AMRO BANK de Holanda y las ONG´s FUNDAPAZ de Argentina, GUYRA (Birdlife) de Paraguay, Solidaridad de Holanda, などによって進められるこのプロジェクトを拒否するものである。食料主権を取り戻し、アグリビジネスの情報操作と誘惑に対抗する、私たちの責務を確認する。私たちの領域をこの犯罪的なアグリビジネスから解放することを要求し、大豆モデルの被害者への正義を要求する!
 モノカルチャーがあるところに、持続性は存在しない!
 アグリビジネスのあるところに、農民は存在しない。

 開発と権利のための行動センター
 青西靖夫

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