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2008/04/11

食糧価格高騰問題/世銀「食糧価格高騰:政策オプションと世銀の対応」

 英国ガーディアン紙によると、ブラウン首相が食糧価格高騰とそれを引き起こしているバイオ燃料政策に関してサミットで議題として取り上げるように福田首相に文書にて要請したとのことである。
 http://www.guardian.co.uk/environment/2008/apr/10/biofuels.food
 また世界銀行は4月9日、「食糧価格高騰:政策オプションと世界銀行の対応/Rising food prices: policy options and World Bank response」という政策ノートを公表。この中で食糧価格高騰の主因として、バイオ燃料による穀物需要増加を指摘している。またこの高価格が短期的なものではなく、中期的に継続すると分析している。
 対策として、貧困層に打撃を与えている食糧価格高騰に対して、脆弱な層への現金給付、食糧のための労働プログラム、学校給食による栄養供給など、セイフィティ・ネット強化の必要性を指摘。また食糧価格の引き上げにつながっている、国内生産振興のための輸入農産物への課税を引き下げることを提起。その一方でいくつかの国でとられている輸出規制などが市場を歪めるものであると問題視している。
 中期的には、高価格に誘導される形での農業生産の強化、農業向け投資拡大、インフラ整備による輸送コストの削減などを必要としている。 
  http://siteresources.worldbank.org/NEWS/Resources/risingfoodprices_backgroundnote_apr08.pdf

 世界銀行の方針は、あくまで世界的な市場経済の確立を柱に考えられているものであり、国内における自給能力の強化のための政策は排除されるべきものと見なされている。しかし果たしてそれが解答であろうか?ここ数十年にわたり、市場開放が進められてきたのは確かであろう。しかしその上で世界は今回の食糧危機のような不安定さを示している。市場メカニズムによる調和的世界などではなく、「単に一国の政策」が世界中の食糧価格に大きな影響を引き起こしうる、そのような不安定な社会に置かれているのである。そして緊急時の対策は、「セイフィティ・ネット」として、非市場的に供給されざるを得ない。(更に一体「緊急時」は何年続くことになるのか?)

 小農民にとって、完全に市場向け生産に巻き込まれるのではなく、自給用生産物を確保することがどれだけリクス回避につながるか。逆に輸出向け大規模プランテーションの労働者であったときにどれだけ食糧価格高騰の影響を受けるか。また国内の自給基盤確保の政策や輸出規制措置などの政策が可能な国と、食糧供給が完全に市場に委ねられている場合とでは、リスク回避のための政策オプションは大きく異なるであろう。
  
 日本に住んでいても、格差社会の根本的な原因として、生活を支えるために必要な給与すら支払われていないことが問題となっている。こういう時代に、食糧品価格が1.5倍、2倍になったらどういうことになるか。飢えるか?暴動が起こるか?これに対してどのような「保険」をかけるべきか?それが当てにならない市場を通じて得られるものなのか?非市場的なメカニズムを通じて確保すべきものなのか?非市場的な「保険」を、市場に乗せたふりをしてごまかすか?

 また地球温暖化への危機感の高まりの中で、世界経済のあり方、世界的な土地利用のあり方は、全く新しい方向を求められている。(はずである)必要なことは車を走らせるためのバイオ燃料生産ではなく、地域の生態系に基づく、安定的な農業生産の確立ではないだろうか。

 日本はこの難しい時に、サミットとアフリカ開発会議を迎えることになり、新しい枠組みを提起することが必要とされている。(はずなのだが???)

 開発と権利のための行動センター
 青西

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