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2008/04/15

ボリビア:土地を巡って、政府職員や先住民族と大地主などが衝突

 ボリビア東部のサンタ・クルス県で5月4日に計画されている自治憲章承認のための住民投票を前に、サンタ・クルス県の状況はますます混沌としてきました。
 サンタ・クルス県の南西に位置するカミリでは、グアラニ先住民族コミュニティの土地所有権確定手続きを進めるために地域に入っていた農地改革庁の職員やグアラニ先住民族と、手続きを妨害するために道路封鎖を行っていた地域の大農園主や大牧畜家が衝突、グアラニ、政府職員を中心に40人以上のけが人が出る事態となったとのことです。
 現場でどのような衝突が起こったのか、メディアによってあまりに報道姿勢が異なるので、正確なことはわかりません。既にこの地域では2月末にも、農地改革局の職員による大農園所有者の土地所有面積確定等の作業が妨害され、暴行を受ける事件が起きていましたが、それを再開しようとしていた政府側と再び衝突になったものです。
 政府側はこの地域の土地が法に基づく経済・社会的機能を果たしているかの確認、また44コミュニティ、1000家族以上が、大農園主に従属した状態に置かれていると見られているグアラニ先住民族の状況を調査し、TCO(先住民族コミュニティ地)を設定することを目指していました。一方、地域の市民組織(コミッテ・シビコ)の代表や自治推進派の東部農業会議所は、政府側が5月4日に予定されている自治憲章に関わる住民投票を前に、地下資源の豊かなこの地域に対してTCOを制定しようとするものだと見なし、妨害しているものです。しかし、この地域のTCO設置の要求は12年も前から行われていたものであり、問題はこれまで放置されてきたことにもあります。
 
 地下資源に対する影響力を確保するために、住民投票を前に政府側が先住民族コミュニティへの土地引き渡しを進めようとしているという見方もされていますが、大農園主など経済エリートに支配されているサンタ・クルス県の自治推進派が、権益を確保するために自治を進めている事実も如実にされています。土地が奪われ、不平等に分配され、また隷属状態に置かれている先住民族の人々がいるという事実を前に、土地への支配権を確保し続けようとする姿は、地下資源を有する地域での植民地支配を続けようとしているものと言えるでしょう。こうしたエリートに支配された自治が進められた後に、先住民族の権利を十分に認めた土地分配が行われると考えるのは難しい話です。

追記4/17:この地域の取材を行うために移動していたジャーナリストとグアラニ民族支援の弁護士が拘束された上に暴行、拷問を受けた事件、ジャーナリストへの脅迫なども伝えられています。
http://www.abi.bo/index.php?i=noticias_texto_paleta&j=20080416230719&k=

 開発と権利のための行動センター
 青西

注1)衝突の記事は
El Gobierno denuncia cruel e inhumana agresión a guaraníes en Cordillera
http://www.abi.bo/index.php?i=noticias_texto_paleta&j=20080414214529
Estalla el conflicto en Cordillera; hay heridos
http://www.eldeber.com.bo/2008/2008-04-14/vernotanacional.php?id=080414020015
Choques por la tierra en Bolivia
http://news.bbc.co.uk/hi/spanish/latin_america/newsid_7347000/7347426.stm
など
注2)国連の先住民族の権利に関する特別報告官であるロドルフォ・スタベンハーゲンは昨年の視察の後、暫定版の報告においてボリビア東部におけるラティフンディオの存在が多くの場合、法に違反しており、また先住民族との紛争を生み出していること、人権侵害を引き起こしていることを指摘していた。
  http://daccessdds.un.org/doc/UNDOC/GEN/G07/151/50/PDF/G0715150.pdf?OpenElement
 また同報告官は4月10日特別に声明を発表し、サンタクルス県のチャコ地方において、現在でも多くが農奴の状態に置かれている先住民族地域で、先住民族の伝統的土地所有権確定手続きを進めていた公務員とグアラニ先住民族に対して暴行がなされたことに憂慮の念を示すと共に非難している。
http://www.unhchr.ch/huricane/huricane.nsf/FramePage/country%20Bolivia?OpenDocument&Start=1&Count=7&Expand=1
注3)米国出身のラルセン家は57144haを有し、その他5家族でこの地域の約15千haが所有されているという。ラルセンの土地は登記されていないこと、またボリビアの市民権も国籍も取得していないという報道もなされている。
http://www.bolpress.com/art.php?Cod=2008041102
http://www.bolpress.com/art.php?Cod=2008040701  

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