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2008/05/29

グアテマラ:農村部の若者の問題と地域の動き

 開発と権利のための行動センターの青西です。現在、グアテマラにてプロジェクトの調整、関連調査を行っています。行動センターのこれまでの活動とは直接の関係はありませんが、サン・フアン・コッツアルで聞いた話を紹介します。
 
 San Juan Cotzalでの問題と若者グループの活動 1 (2008/5/27 インタビュー)
 
グアテマラのキチェ県北部、イシル地域は36年間にわたる内戦の被害がもっとも大きかった地域の一つです。しかし再びこの地域を暴力が支配しようとしています。地域における”マラス”の問題です。
 グアテマラでは近年”マラス”といわれる、若者たちの暴力集団が問題となっています。マラスは中米各国にも広がっていますが、都市部だけではなく、グアテマラの農村部でも問題が広がっています。
イシル地域のサン・フアン・コッツアルでも多くの若者がマラスとして徒党を組み、グループ間での抗争での殺害事件、参加していない若者への脅迫、商店主へのゆすり・たかりなどの問題が起きています。村人はこの問題を語るときには声を潜め、あたりに目をやり、地域に恐怖による支配が再び広がっていることを感じさせます。

 サン・フアン・コッツアルの女性は次のように語っています。
 若者の暴力の問題はとても心配です。どうしていくか考えなくてはなりません。サン・フアン・コッツアルには二つのグループがあり、町のなかにグループの縄張りがあり、対立を続けています。3時、4時になると若者が集まり始めます。危なくて外に出られません。
 こうした若者グループができたのはもう15年ぐらい前になります。首都へ働きに行ったあとに、こうしたグループを組織し始めたのです。でも昔は、素手や棒でけんかをしているぐらいで、死者は出ませんでした。今はピストルが出てきます。流れ弾で死んでしまった人もいます。また小さい子どももこうしたグループに巻き込まれているのです。
 村の中でどうにか問題を解決しようという呼びかけもありましたが、人は集まりませんでした。みんなが動かなければ解決できる問題ではありません。自治体の首長も、選挙前には対策を取るといっていましたが、まだ何もしていません。

 政府広報の記事によると、2つのグループに計325人の若者が参加しており、それに対して警官は7名しかいないとのことです。また警察側は「支援がありません。村の住民は怯えて告発せず、また脅されています。人的にも足りない中でなにもできません」と語っています。
http://dca.gob.gt:85/archivo/080402/nacion_pagina_5.html  

 内戦の中で、政府軍はこの地域をはじめとして、グアテマラ中に恐怖の種をまき散らしました。政府軍による村人たちに対する拷問、処刑、虐殺。こうした歴史が現在の問題につながっていることを否定することはできないでしょう。数多くの命が失われただけではなく、多くの人々が村を追われ、また多くの子どもたちが親を失い、村落社会の、そしてまた家族の結びつきが分断されてしまったのです。


San Juan Cotzal 2 若者たちの活動

 こうした状況の中で、若者たちの教育や参加の機会を拡大し、問題の解決に取り組んでいこうというグループもあります。Coordinadora de Jovens Mayas Cotzalence por la Paz(マヤ・コッツアルの若者たちの平和のためのコーディネーター)もそうした団体の一つです。
 コナビグア(連れあいを奪われた女性たちの会)が2000年にこの地域で開始した、若者たちの社会参加を進めるための研修に参加した者たちを中心にこのグループが作られました。
 社会的な問題への意識を高め、社会的な公正、男女平等、地域の自然の保全などに取り組んでいける地域社会の将来のリーダーを育成することを目指しています。若者が、自分の生活する地域や自治体あるいは県そして国や国際的な活動に積極的に参加していけることを目指しているのです。
 またここでは「学びながら教えること」に取り組んでいます。活動の中で学んだことを、また他の若者に教え、実践することをモットーにしています。他の機関と連携して、製パンや理髪など若者が手に職をつけ、収入を得られるようにするための研修活動にも取り組んでいます
 更に親の世代に対しても、先住民族の権利を認めているILO169号条約や先住民族の政治参加の強化につながる分権化法などについての研修も行っているとのことです。

リーダーは次のように語っています。
 多くの若者たちが、どこに向かっているのか、将来の見えない日々を送っています。どこかで人生が終わるにしても、より尊厳のある生活を送っていくために取り組んでいく必要があると考えています。これ以上暴力や問題を生み出すのではなく「平和」のために活動していく必要があると考えています。もっと若者たちのスペースを広げていく必要があるのです。 
 
 この地域では若者の暴力が広がっています。5年前ぐらいからひどくなっています。多くの若者が死んでいます。2007年から2008年の今までに70人から75人ぐらいが死んでいます。イシル地域の中でもこの地域がもっとも深刻な状態です。誰が殺したのか、どう死んだのかわかりません。悲しいことにその中で多くの孤児が生み出されています。15年先には更に問題は複雑になることでしょう。どうやってこうした子どもたちの生活を支えていくのか?暴力を防がないことにはどうにもなりません。そのためには真剣な取り組みが必要ですし、様々な支援が必要です。
 私たちの文化とアイデンティティを救う必要があります。このままでは20年先には私たちの地域のアイデンティティを持った若者はいなくなってしまうでしょう。

 
 
 Coordinadora de Jovens Mayas Cotzalence por la Paz(マヤ・コッツアルの若者たちの平和のためのコーディネーター)では地域での若者に対する活動を広げていくために、1台から2台のパソコンを必要としています。パソコンは中古でもいいとのことですが、現地で新品でも1台6万円程度から購入できると思います。 
 開発と権利のための行動センターでも支援の可能性について検討していく方向ですが、有志の方でご寄付頂ける場合にはcade-la@nifty.comあるいはYHY13002@nifty.comまで一報頂ければと思います。
(6月20日までグアテマラ滞在の予定で、地方に出ることも多いので、すぐにご返事できないかもしれませんがその点ご了承ください)

追記(6/23) 開発と権利のための行動センターでも正式にキャンペーンを展開していくこととなりました
詳細はこちらへhttp://homepage3.nifty.com/CADE/campaign/cotzal.htm
 開発と権利のための行動センター
 青西 
 (帰国後に加筆する予定です)

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