ボリビア:グアラニ民族の状況
ボリビアにおけるグアラニ民族の状況
4月13日に、政府職員やグアラニ民族組織の一行が、グアラニ・コミュニティの一つを訪問しようとしたところ、大農園主とその取り巻きの武装グループなどと衝突になり、多数の負傷者がでた事件について報告した。
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この背景についていくつか関係資料などを含め紹介する。
グアラニ民族は現在10万弱の人口であり、ボリビア南部、サンタ・クルス県、チュキサカ県、タリハ県にまたがるチャコ地方を中心に居住している。しかしグアラニ民族のうち少なくとも600家族あるいは7000人近くが農園主に隷属した状態-奴隷に類する状態に置かれているのである。ILOの報告書は「1950年代の農地改革までボリビアに存在していた半封建的な関係」への類似を、米州人権委員会(CIDH)の報告書は「債務によって隷属状態に置かれており、奴隷制に類似した状態」と指摘している。
グアラニ民族の農園労働者は長時間の過酷な労働に曝され、服従しない態度を見せれば体罰を受けることもある。賃金を物納で受け取り、あるいはわずかな現金を受け取っても、農園主を通じて高価格の日用品を購入することで債務に縛られる。債務がある限り農園に縛り付けられる。時には債務の支払いを通じて、他の農園主に引き渡される。子どもは学校へ行くために、農園主のもとで働かされ・・・
これに対して「奴隷」など存在しないという声もある。先日も野党議員による「調査」が行われ、存在していないという報告を提出しているようである。しかし前述の事件の発生が示しているように、明らかに自由を奪われている先住民族が存在しているのである。法に認められた権利の履行、そのための行政当局者とのコンタクトが暴力的に妨害される、農園外部とのコミュニケーションが農園主側のバリケードなどによって妨げられることなど自体がグアラニ民族の基本的な権利が侵害されていることを示している。
2005年のILOの報告書が書き記すように、「大農園主と地方当局者との権力関係が、囚われているグアラニ農民が政治的な支援を受けることを妨げ」、大農園主は地域の政治権力を握り、また中央政府も何もしてこなかったのである。大農園主=地域の権力者たちは、問題とされているその姿を改めてさらけ出しているにことにすら気づいていないようである。
農園内で囚われ、債務によって奴隷状態に置かれている農民がいることは、2005年のILOの報告書や2007年のCIDHの報告書によって明らかになったわけではない。法務・人権省も1999年には調査を行っている。しかしその調査報告書は内部の機密文書とされていたとのことである。(2005:ILO)
こうした状況に風穴を開けたのがエボ・モラーレス政権である。2007年10月には省庁間審議会が設置され、労働条件の改善、土地供与などを含んだ行動計画が策定される。また農地改革省も、2008年に入って正式に先住民族テリトリーの確定に向けて手続きに入った。十分な社会的機能を果たしていない土地の収用を可能とした改正農地改革法などをそろえ、政治的な意志を持って動き出したモラーレス政権に対してあわてふためいているのが、地域の権力者たちである。
しかしながら実施しているのは昨年公表されたCIDHの報告書にある勧告と並べてみても大きく異なるところはない。CIDHは「強制労働と隷属状態を根絶するために、土地所有権の承認と登記のプロセスを強化すること、農村部における労働権と社会的な権利に関するすべて柔軟な対応を排除すること」、「奴隷と類似の隷属状態と強制労働に関して、このような状況に置かれている人数や家族数の把握も含め、早急に調査を実施すること」などを勧告している。
当たり前のことがやっと動き出した。単にそれだけの話に過ぎない。こうした中でアルタ・パラペティにおける衝突が起きたのである。土地を失うことを恐れる大農園主の暴力の前に、コミュニティに入っての調査もできない状況にある。そしてこうした反動的な大農園主の動きとサンタ・クルス県の「自治」はつながっている。旧態依然とした大土地所有制度を保持し、地下資源へ権益を確保するためには「自治」しかない。
軍政期、特に1970年代のバンセル政権期に進められた土地分配が現在のサンタ・クルスの経済エリートの経済的な基盤を確立したといわれているが、この当時1万ヘクタールを超える土地が個人を対象に分配されている。このような中で生み出された経済構造を維持していくためには、「自治」しか残されていないのである。
参考文献
Acceso a la justicia e inclusiòn social:el camino hacia el fortelecimiento de la democracia en Bolivia,CIDH-OEA,2007
Contemporary form of slavery in Bolivia, Bhavna Sharma, Anti-Slavery International,2006
Enganche y Servidumbre por Deudas en Bolivia, OIT, 2005
Los barones del Oriente El poder en Santa Cruz ayer y hoy、.Soruco Ximena 他、Fundaciòn Tierra, 2008
新聞記事
Cautivo Guarai en el Chaco, La Prensa,2006.11.26, Dominical
サンタクルスの「自治」について次の記事などもどうぞ
En busca e un gobierno propio "Dueño de Santa Cruz", el Juguete rabioso, 6 al 19 de febrero 2008, (Fundaciòn Tierraのサイトからダウンロード可能)
4M ¿Nace un nuevo estado?, Pulso, 2008.05.11(自治推進派、反対派などが異なる視点からの分析をしている)
開発と権利のための行動センター
青西
(現在グアテマラにおり、インターネット上でのリンクサイトや過去の新聞記事についての情報が提供できないので、後日追記、修正します)
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