« 7月6日 対談会:琵琶湖とグアテマラをつなぐ-地域の視点から環境を考える | トップページ | 中南米 環境関連 »

2008/06/26

食糧価格高騰と農地の集中他

1)食糧価格高騰と農地の集中
 食糧価格高騰の中で、国際的な農地の確保競争が進んでいます。いくつかの記事の中で「日本は東南アジア・中国・南米など世界各国に1200万ヘクタールの農地を確保している」という記載まで見られますが(1)(2)、これは日本が海外に依存している作付け面積であり(3)、お金がなければこの農地から生産される農産物を買い付けて来ることはできません。しかし日本の2.5倍の農地から生み出される海外の農産物に依存している生活をしているのが現実です。
 今、食糧価格高騰の中で農産物だけではなく、「農地」が大きな焦点となっています。日本の商社がブラジルの農地を押さえ、直接生産を開始する報道は昨年ありましたが、それ以外にもアラブ首長国連邦の企業がパキスタンの土地購入を、中国がアフリカと南米で、という報道もなされています。(4)、(5)、(6)、(7)
  国策として「国」が乗り出すという状況以外にも、農地は企業の投資対象として買い上げられ、集中が進みつつあります。南米のウルグアイでは2000-2006年にかけて国土の4分の1相当が米国やブラジルなどの投資家に買い上げられていと報道されています。しかしこれを規制する法律もなく、ウルグアイの国土はますます海外の投資家の手に渡っていくことになりそうです。(8)

 南米、アルゼンチンやパラグアイでの土地集中については既にこのブログでも取り上げています。(9)

 またこうした中で脅かされるのが、小農民の土地であり、生産性が低いと見なされてしまう土地です。この問題について、以前のブログの記事で紹介した  Fuelling exclusion?-The biofuels boom and poor people’s access to land , FAO and IIED, 2008が取り上げています。(9)
 ”「遊休」の概念に疑念を持つ必要がある。「遊休地」、「低利用」、「マージナル」あるいは「放棄」されていると政府や巨大な民間企業によってみなされている土地は、貧困層や脆弱な人々にとっての生計の基盤を提供しているケースが多々ある”
  そこでこうした地域住民が生計を依存している土地から排除されることがないよう、「遊休地」の概念を明確に定義することを求めています。

 農地改革を求め続けてきた農民運動を尻目に、土地集中の動きが加速しています。この点についても継続して情報収集・発信を続けていきます。 

(1) 世界的な食糧危機、なすすべのない韓国(下)(朝鮮日報08/03/09)
http://www.chosunonline.com/article/20080309000026
(2) Para salir de la crisis alimentaria、(Grain 08/06/05) http://www.grain.org/nfg/?id=582
(3) 【データon あふ】日本は、海外にも農地がある!? 農林水産省
http://www.maff.go.jp/j/pr/aff/0706/mf_data.html
(4)UAE investors buy Pakistan farmland   (Financial Times 08/05/11)
http://www.ft.com/cms/s/0/c6536028-1f9b-11dd-9216-000077b07658.html?nclick_check=1
(5)China eyes overseas land in food push (Financial Times 08/05/04)
 http://www.ft.com/cms/s/0/cb8a989a-1d2a-11dd-82ae-000077b07658.html
(6)食糧危機:きしむ世界/2 農地がダイヤになる
http://mainichi.jp/select/world/news/20080603ddm002030045000c.html
(7)食糧危機:きしむ世界/3 「胃袋」拡大、細る農地 (毎日新聞 08/06/04)
  http://mainichi.jp/select/world/news/20080604ddm002030077000c.html
(8)Uruguay cada vez menos uruguayo (BBC-Mundo 08/06/17)
 http://news.bbc.co.uk/hi/spanish/business/newsid_7450000/7450442.stm
(9)開発と権利のための行動センター カテゴリー<食糧・農業・大豆>
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/cat1687545/index.html

(9)  Fuelling exclusion?-The biofuels boom and poor people’s access to land , FAO and IIED, 2008
    http://www.iied.org/pubs/pdfs/12551IIED.pdf
   この資料は土地へのアクセスという視点から、事例を検証しつつ、地域社会・地域住民にどのような問題が起きているかを分析している。アフリカのケースも検討されており、参考資料も含めて有用である。


2) 米国、保全休耕プログラム下の土地を耕作認可へ高まる圧力
 ニューヨークタイムズ紙は保全休耕プログラム下の土地の耕作認可に向けて圧力が高まっていることを伝えている。ちなみにニューヨークタイムズ紙は昨年4月の社説にて、保全休耕プログラムの見直しに警鐘を鳴らしている。
U.S. May Free Up More Land for Corn Crops(08/06/21)
http://www.nytimes.com/2008/06/21/business/21ethanol.html?_r=1&ref=science&oref=slogin
The Consequences of Corn(07/04/05)
http://www.nytimes.com/2007/04/05/opinion/05thu3.html
 またニューヨークタイムズ紙は、トウモロコシによるエタノール生産振興政策の見直しも求めている。
  Rethinking Ethanol  (08/05/11)                        
  http://www.nytimes.com/2008/05/11/opinion/11sun1.html?scp=8&sq=&st=nyt
 
3) 資料紹介
OECD-FAO Agricultural Outlook: 2008-2017 (2008/05)
http://www.oecd.org/document/32/0,3343,en_36774715_36775671_40444896_1_1_1_1,00.html
OECD-FAO Agricultural Outlook 2008-2017 HIGHLIGHTS
http://www.oecd.org/dataoecd/54/15/40715381.pdf
Biofuels: Strategic Choices for Commodity Dependent Developing Countries, Common Fund for Commodities(07/11)
 http://www.common-fund.org/download/actualiteit/07Biofuels.pdf

 開発と権利のための行動センター
 青西

|

« 7月6日 対談会:琵琶湖とグアテマラをつなぐ-地域の視点から環境を考える | トップページ | 中南米 環境関連 »

バイオ燃料」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

食糧・農業・大豆」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/50657/41651759

この記事へのトラックバック一覧です: 食糧価格高騰と農地の集中他:

« 7月6日 対談会:琵琶湖とグアテマラをつなぐ-地域の視点から環境を考える | トップページ | 中南米 環境関連 »