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2008/09/04

グアテマラ:鉱山開発問題の動向

 グアテマラにおける最近の鉱山開発関係の動向を整理する。グアテマラにおける鉱山開発は不透明なところがあるものの、見直しに向かうのではないかと思われる。

1)エストールにおけるニッケル開発
 グアテマラ東部のイサバル県エストールにおけるニッケル鉱の採掘権を有していたスカイ・リソーシーズ社は、やはりカナダ系のHudBay Minerals社に合併され、エストールのフェニック・プロジェクトもHudBay社の元に入った。スカイ・リソーシーズ社は米国の金融危機などから投資を先送りにしてきたため、この合併で開発が動き出すのかどうか定かではない。[1]
[1] HudBay Minerals toma el control del proyecto Fénix(el Periódico 08/08/20)http://www.elperiodico.com.gt/es/20080820/economia/66608/

2)アルタ・ベラパス県のカアボンにおけるニッケル鉱などの開発
 上のエストールに隣接するアルタ・ベラパス県のカアボン、セナウ、パンソスにおいては、マヤニッケル社による資源探査に対して住民の抗議行動が高まっている。BHP Billiton社の子会社であるマヤ・ニッケル社に対して、操業を中止して、この地域から出ていくように要求しているとのこと。[2][3]
 6月23日付けのペリオディコ紙は、この地域におけるマヤ・ニッケル社の探査事業が、法に定められた環境影響評価を実施していないことを告発している。環境・自然資源省(MARN)はこの探査に関して、マヤ・ニッケル社に罰金を科しているが、企業側は対抗措置をとっているとのことである。記事では環境団体の声を引用して「罰金を科すというのは歴史的な行為である」と指摘している。[4]
[2]Pobladores de Santa María Cahabón se oponen a minería(Cerigua 08/07/11)http://cerigua.info/portal/index.php?option=com_content&task=view&id=1650&Itemid=2
[3]Se agudizan tensiones entre pobladores y compañías extractivas(08/08/29) http://www.noalamina.org/mineria-argentina-articulo1572.html
[4]Empresa minera acusada de operar sin Estudios de Impacto Ambiental(el Periódico 08/06/23) http://www.elperiodico.com.gt/es/20080623/investigacion/58638/

3)脅迫を受ける環境・自然資源省大臣
 これまで非常に弱い立場に置かれていたMARNであるが、コロム政権下、フェラテ大臣を迎えて積極的な行動を取りつつある。上に挙げたマヤ・ニッケル社に対する罰金もその一つである。
 フェラテ大臣はプレンサ紙のインタビューの中で、環境影響評価を強化し、法を公平に適用していくと発言している。しかしその一方で、直接の脅迫も受けていることを明らかにしている。また現行の鉱山法について、見直す必要があることを明確に発言している。[5]
[5]Luis Ferraté: “Debo proteger la vida de todos”(Prensa Libre 08/08/03)http://www.prensalibre.com/pl/2008/agosto/03/253102.html

4)鉱山法に対する違憲判決
 憲法裁判所は6月19日、鉱山法の第19条、第20条、第21条、第 24条, 第27条, 第81 及び第75条が違憲であるとの判決を下している。この判決では、第19条、第20条にある、影響緩和策、環境影響評価に対して30日以内に承認しない場合には、自動的に承認されたものとみなすという点、第75条における排水に対する責任の曖昧さ、第81条における廃棄物や騒音を「可能な範囲で」避けることとしている規定などを違憲と判断している。[6]
 違憲審査を請求したグアテマラの環境団体CALAS(社会・環境に対する法的アクションセンター)はこの判決を「歴史的な先例であり、特定の利益よりも公共の利益が優越することを、また環境に対する権利がグアテマラ社会の生活と健康のための優先的なものであることを明確にしている」と評価している。[7]
[6]Expediente 1491-2007, Corte de Constitucionalidad
[7]El Comunicado de CALAS EN FIRME SENTENCIA DE INCONSTITUCIONALIDAD DE ARTÍCULOS DEL DECRETO 48-97 “LEY DE MINERÍA” DE LA REPÚBLICA DE GUATEMALA(08/06/20)

5) サン・マルコス県
 サン・マルコス県では鉱山開発に拒否の姿勢を示す「住民投票」が続いている。6月12日にタフムルコで、また7月4日にはサン・ホセ・オヘテナンで「住民投票」が行われている。[8]しかしながら、既に操業を開始しているマルリン鉱山の問題については動きは停滞している。家屋への被害等についても鉱山側は責任を否定したままである。こうした中サン・マルコス県の先住民族組織はラテンアメリカ水法廷において鉱山開発による水系汚染の問題を訴える予定である。[9]
[8]COPAE, El Roble Vigoroso #17, 15/07/08
[9]Guatemala: inquietud por fiebre del oro 08/08/21)http://news.bbc.co.uk/hi/spanish/business/newsid_7574000/7574484.stm
[10]El Centro Pluricultural para la Democracia -CPDSotzil,Demanda contra el Estado de Guatemala y la empresa minera Montana Exploradora de Guatemala, S.A. por minería a cielo abierto y subterránea en los Municipios de San Miguel Ixtahuacán y Sipacapa http://www.albedrio.org/htm/documentos/DemandaTLASanMiguelySipacapa.pdf

 最近の動きで最も重要なものはやはり違憲判決であろう。この判決を受け、今後の新規の鉱山開発には新しい鉱山法を制定せざる得ない(はずである)。更に厳密な環境影響評価の要求は、今後の野放図な開発への歯止めとなることが期待される。しかしながらコロム大統領の積極的なイニシアティブを見ることはできない。

 開発と権利のための行動センター
 青西靖夫

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