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2008/12/27

コロンビア:大規模なデモ行進を率いた先住民族組織の車両銃撃事件に高まる 疑惑

 12月16日にコロンビア、カウカ県の道路をポパヤンに向かっていた先住民族組織(カウカ先住民族地域審議会:CRIC)の車両が軍の銃撃を受けるという事件が発生した。この事件で車を運転していたエドウィン・レガルダ氏が複数の銃弾を浴び、病院に運ばれたもの死亡した。
 死亡したエドウィン・レガルタ氏はCRICのリーダであるアイダ・キルクエ氏の夫であり、銃撃を受けたCRICの車両は、アイダ・キルクエ氏が日々移動に利用していたものであることから、この銃撃事件がアイダ・キルクエ氏の殺害を狙ったものではなかったのか、という疑いが強まっている。アイダ・キルクエ氏は、10月から11月にかけて行われた先住民族による大規模なデモ行進を率いたリーダーの1人であり、この事件の数日前にジュネーブの国連の場で、コロンビアの人権状況について報告を行い、帰国したばかりであった。
 この事件について、軍は銃撃を認めているものの、検問を設け、停止を呼びかけたにもかかわらず、通過しようとした車を銃撃したと述べているようである。しかし当時そのような検問は存在しなかったという証言も行われているとのことである。
 この事件に対して、国際社会も注視しており、国連[1]や欧州連合[2]も懸念を表明するとともに、真相究明と責任者の処罰、また人権活動家の擁護を求める声明を発表している。
[1]http://www.nacionesunidas.org.co/?apc=i1-----&x=56701
[2]  http://www.consilium.europa.eu/ueDocs/cms_Data/docs/pressData/en/cfsp/104930.pdf 

 開発と権利のための行動センター
 青西

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2008/12/23

南米諸国連合、ボリビア、パンド県における農民虐殺を人道に対する罪と断罪

 これまでに何度かブログでもお伝えしてきました、ボリビアのパンド県において9月11日に発生した虐殺事件についての続報です。

 南米諸国連合(UNASUR)が任命した真相究明委員会による、ボ゛リビアのパンド県における事件の報告書が、12月3日エボ・モラレス大統領に提出された。この委員会は2008年9月11日にパンド県で発生した農民虐殺事件の真相を究明するために設置されたもの。奇しくも9月11日は35年前、ピノチェト将軍によるクーデターによって、チリのサルバドール・アジェンデ政権が倒された日である。南米諸国連合の議長を務めるチリのバチェレ大統領は、9月15日に緊急に首脳会談を開催し、アジェンデ大統領が殺害されたモネダ宮において、モラレス政権の全面的な支持、農民虐殺事件への強い非難、真相究明委員会の設置などを盛り込んだ「モネダ宣言」を採択した。 
 
 この「モネダ宣言」に基づいて、アルゼンチン人の弁護士であるロドルフォ・マタロージョを責任者とする委員会が設置され、証人からの聞き取りなどの上で報告書が作成された。[1]  
 この事件は、集会に向かうモラレス政権支持派の農民や学生が、反政府派の県知事支持者などによって足止めを受けた上に、 銃撃を受けて多数が殺害されたものである。報告書では、正確な死者数は把握できないとした上で、少なくとも20名の農民が殺害されたことを確認されている。また病院に運び込まれた負傷者が引きずり出され殺害されたとのことである。 
 更にこの行進に参加していた若い学生が県知事支持者に捕まり、耳を切り取るといった拷問を受けた上に殺されたという証言もあり、このことは検死報告でも明らかにされている。 
 こうした事件について、報告書は、組織的に農民が殺害されたこの事件を、「虐殺」であり、人道に対する罪であるという判断を下している。また当時、警察がこの殺害事件を止めようともしなかったことも告発している。 
 
  ボリビアの大手新聞や野党などはこの報告書に対して、「偏向している」、「政府よりだ」として反発をしている。しかし無防備な農民に対して一方的に銃撃を加えた事実を前に、拷問が行われた事実を前に、なすべきことは多々あるであろう。流血事件のさなかに、拘束した農民(もしくは学生)に対して、「金で買われたのだろう」と脅迫しながらマイクを向けていたパンド県庁の広報職員が、この国では望まれているジャーナリスト像であるように思われる。[2] 
 開発と権利のための行動センター
 青西

1]報告書は次のサイトに本文のみが公開されている。 
 COMISION DE UNASUR PARA EL ESCLARECIMIENTO DE LOS HECHOS DE PANDO(2008.11) 
http://www.abi.bo/abi/banner_240_240/informe_unasur.pdf
 
[2]次のサイトの映像による 
http://www.abi.bo/abi/banner_240_240/documental_pando.swf
 

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2008/12/22

バイオ燃料:ビルマの事例

 行動センターは中南米を中心に活動しており、アジアの情報には疎いのですが、南米ウルグアイを経由して、地球をぐるりと回って入ってきた、ビルマにおけるバイオ燃料政策の問題を指摘した報告を紹介します。
 報告書は今年5月に公表されたもののようですが、世界熱帯雨林行動(WRM)の12月のニュースレターでスペイン語でも概要が紹介されています。(Boletin 137 del WRM - Diciembre 2008:HPはまだ更新されていないようで、136号までしかアクセスできません http://www.wrm.org.uy/inicio.html
   
  ビルマにおけるジャトロファ生産の問題を指摘している概要記事はタイの Foundation for Ecological Recoveryのサイトに掲載されている”Biofuel by Decree”に基づくもので、the Ethnic Community Development Forumが作成しています。
 資料は次のサイトからダウンロードできます。
  http://www.terraper.org/key_issues_view.php?id=17

 「ビルマでは2005年にジャトロファ生産の全国キャンペーンが開始され、320万ヘクタールの植え付けが計画された。この計画の中で、強制労働、土地収用、食糧供給の不安定化などの問題が発生した。
 2006年からはジャトロファ植え付けに多くの農地が差し向けられ、また教員も学生、看護士、農民、公務員なども動員され、道路沿いや学校、また以前米作に利用していた農地などにも植え付けが進められた。
 土地や労働力への過剰な要求の結果、2008年には「ジャトロファ難民」も生み出された。
 食糧生産用農地との競合、遠隔地への農地拡大、強制的なジャトロファ生産による自身の農業に従事する時間の不足などから食糧安全も脅かされている。」(抜粋)

 行動センターのブログでも数行ですが、以前ビルマの話も紹介しています。
 
 バイオ燃料:フィリピン・ミンダナオ
 http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/03/post_25c9.html

 またビルマにおけるジャトロファ推進には日本企業も関与している。
http://jbedc.com/jbedcsservice-2.html#3

 なんにしても原油価格の下落や金融危機で、バイオ燃料ブームもしばらくは落ち着くと思いますが、動きの速い市場に振り回されるのは、土地に根付いて生活してきた農民だと思います。きっと農村部では、資本の撤退や買い付け停止などあれこれ起きているのではないかと思いますが、具体的なニュースなど入ってきましたらお伝えします。

 開発と権利のための行動センター
 青西

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2008/12/15

 IIRSA(南米地域インフラ統合イニシアティブ)に対する先住民族からの提言

 IIRSAは南米地域の統合を目指すインフラ整備計画であるが、南米諸国の先住民族組織は、各国政府及びCAF, BNDES, Unión Europea, Fonplata, Santanderといった融資機関に対して声明を発表。
 
 Propuesta Indígena Andina sobre la IIRSA(2008/12/05)
 
 IIRSAは「統合と開発」という名目で、輸送、エネルギー、通信などの分野、計507のプロジェクトを689億ドルの投資をもって行おうとするものである。しかしこれは私たちの国を多国籍企業のための一次産品供給者という従属的な役割に押しとどめるものであり、社会・経済・環境・文化に大きな影響を引き起こし、また人権侵害と、アマゾン・パンタナル・アンデス・チャコの破壊を引き起こすものである。また先住民族のテリトリーや沿岸部や流域のコミュニティに害を引き起こし、数千という人々の移転を強い、生物多様性の喪失を引き起こす。さらには生計手段を奪い、貧困を深化させ、未来の世代の生存を危うくするものである。
  
  私たちは母なる自然の子どもであり、主人でもなければ支配者でもなく、またそれを売り払う者でも、破壊する者でもない。私たちの生活は自然に頼っているのであり、だからこそ、社会、自然、精神性、生活の間の調和という「良い生き方」に基づいてネオ・リベラリズムとは異なるオータナティブを築きつつあるのである。それは私たちの土地を、商品の経由地に、鉱山の採掘跡に、石油で死んだ川にしようとするIIRSAとは遠いところにある。インフラは必要である。しかしそれは「生活」のためであって、多国籍企業のトラックや船が通過するためのものではない。私たちの生産活動と、コミュニティにおける社会的必要を優先すべきであって、アスファルトやセメントや鉄による偽りの開発のために対外債務を増やすべきではなく、それは私たちの国にとって違法な対外債務となるものである。

 こうしたすべてのものが透明性をもって議論されていないことはスキャンダルである。国際的な融資を得るために、実際の影響を世論から隠し、いくつかの成功したと称する怪しいケースのみを紹介している。多国籍の銀行に対して警告する。こうした投資は深刻な社会的紛争の上になされる危険があることを。

 諸政府に対して次のことを提案する。

1)IIRSAについて、独立した、技術的かつ公の討議を行うこと。影響を受ける先住民族コミュニティに対して、ILO169号条約と国連の先住民族の権利宣言に基づき、事前の、十分な情報に基づく、誠実な協議と同意に基づいて、統合的に再構築すること。
2)IIRSAは、人類にとって重要なエコ・システムと私たち先住民族が守ってきた先住民族文化の破壊を引き起こす、地球的な環境破壊の共犯者となるべきではない。
3)南米に計り知れない影響を引き起こすこのようなプログラムの責任は、最大限の政治的・社会的コントロールの元に置かれるべきである。
4)BIDとCAFという多国籍銀行によってリードされてきたIIRSAの管理は失敗したのであり、IIRSAを市民社会と先住民族の参加に基づいた上で南米諸国連合に移すこと。

 私たちの提言について話し合い、また透明性を高めるためにIIRSAの政治的責任者、南米諸国政府、またCAF, BID, Unión Europea, Fonplata,BNDES, Santanderといった融資機関ととの対話は急務である。

CAOI – Coordinadora Andina de Organizaciones Indígenas Confederación Nacional de Comunidades del Perú Afectadas por la Minería, CONACAMI * Confederación de los Pueblos Kichwa del Ecuador, ECUARUNARI * Organización Nacional Indígena de Colombia, ONIC * Organización Nacional de Pueblos Indígenas de Argentina, ONPIA * Confederación Campesina del Perú, CCP * Asociación Nacional de Maestros en Educación Bilingüe del Perú, ANAMEBI * Consejo Nacional de Ayllus y Markas del Qollasuyu, CONAMAQ * Confederación Sindical Única Trabajadores Campesinos de Bolivia,CSUTCB * Federación Nacional Mujeres Indígenas Originarias Bartolina Sisa * Confederación de Pueblos Indígenas del Oriente Boliviano, CIDOB * Consejo de Todas las Tierras (Chile) * Organización Indígena Chiquitana, OICH * Asociación Comunidad Motilón Bari, ASOCBARI (Santander, Colombia) * Convergencia Nacional Maya Waqib ‘Kej * Coordinadora Quechua Aymara del Sur del Perú.
 
 http://www.minkandina.org/spip.php?article157 

このブログでもIIRSAについては何度か報告しているので、右側のブログ内検索でIIRSAを入れてみてください。
 IIRSAによるインフラを利用して、先住民族のテリトリーを横断してくる一次産品の中には当然日本に運ばれてくるものも入っています。

 開発と権利のための行動センター
 青西

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エクアドル 新憲法の内実が問われる新鉱業法

1)鉱業法関連
 エクアドルでは、国家で審議中の新鉱業法に対する抗議行動が続いているが、11月17日に行われた大規模な抗議行動[1]に続いて、今週にも再びストライキが実施されるとのことである。
  「生命と主権の擁護のためのナショナル・コーディネーター」は採掘企業へのコンセッションの廃止、新鉱業法の廃案などを求めている。新鉱業法は、「新憲法に定められた水、健康、自然、そして食糧主権への権利を侵害する」ものであると告発してい る。[2]
 開発のための収入源として鉱物資源の利用に前向きのコレア大統領は、「責任ある鉱業」を実施するとして、今回の鉱業法を議会に提出しているが[3]、先住民族組織などは、憲法に定められた権利を侵害しているとして告発している。
(12/27追記:12月22日、エクアドル各地で新鉱業法に反対する抗議行動が展開された。関連映像はこちらhttp://www.ecuavisa.com/Desktop.aspx?Id=958&e=4483


[1]Alrededor de 20 mil indígenas protestan contra Ley Minera
http://www.hoy.com.ec/noticias-ecuador/alrededor-de-20-mil-indigenas-protestan-contra-ley-minera-319090.html       Ecuador mobilises against draft Mining Bill - Jornada nacional de lucha contra proyecto de ley minera
 http://www.minesandcommunities.org/article.php?a=8952        
[2]CNDVS RATIFICA PARO GENERAL DE COMUNIDADES AFECTADAS POR LA MINERIA Y DE ORGANIZACIONES POPULARES EN RESISTENCIA
http://www.nomineria.tk/
[3]Correa ratifica impulso a la minería responsable en Ecuador
http://www.hoy.com.ec/noticias-ecuador/correa-ratifica-impulso-a-la-mineria-responsable-en-ecuador-321601.html

2)食糧主権に関する法
  「食糧主権に関する法」においても、憲法で定められた遺伝子組み換え植物導入の禁止の規定をなし崩しにする危険があると言う指摘がなされている。エクアドル憲法第401条では例外規定は残されているものの、基本的に遺伝子組み換え作物及び種子を排除することが定められている。しかし現在審議中の「食糧主権に関する法」では、例外規定として定めている手続きが、通常の遺伝子組み換え作物導入手続きとなんら変わらないものとなっているとのことである。[4]
 
 エクアドル憲法で展開されている新しい理念をどのように法制度の中に組み込んでいけるのか、あるいは個別の法律において抜け穴が次々と作られていくのか、せめぎ合いが続いていくものと思われる。
[4] Ecuador: transgénicos y la Ley de soberanía alimentaria
http://www.biodiversidadla.org/content/view/full/46244
 
 開発と権利のための行動センター
  青西

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2008/12/08

いくつか海外の情報紹介:バイオ燃料・食糧関連

 ここ数日、少し整理したい作業があり、ブログの方に手が回っていません。
いくつか重要と思われる記事を紹介します。

<バイオ燃料関連>
1)大規模な植林プランテーションの拡大にさらされる中でのエクアドル女性の声
Mujeres, comunidades y plantaciones en Ecuador
Testimonios sobre un modelo forestal social y ambientalmente destructivo
スペイン語・英語http://www.wrm.org.uy/paises/Ecuador/Libro_Mujeres.html
2)森林地域におけるバイオ燃料プランテーション:生物多様性も気候をも危険に晒す。
Biofuel Plantations on Forested Lands: Double Jeopardy for Biodiversity and Climate
 森林地域におけるオイル・パームプランテーションの拡大を批判的に検証
http://www.cifor.cgiar.org/
関連記事
Palm oil offers no green solution
http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/7758542.stm

<食糧・農業>
3)食糧・金融危機の中で世界中で土地の囲い込みが進む
Seized: The 2008 land grab for food and financial security
http://www.grain.org/nfg/?id=610
 世界中で「土地神話」が立ち現れるかもしれない・・・

 青西

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