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2009/02/24

南米連続勉強会:3/14 ボリビアの今

 南米連続勉強会
先住民族運動、社会運動の今と、政治動向
  新憲法の制定などを通じて社会改革を目指すボリビアやエクアドルの政治。またその中での先住民族運動や社会運動。混乱する世界の中で、未来を模索する南米の動きは目が離せません!
 
第2回:
「ボリビア:エボ・モラレス政権の取り組みから見る『左派の台頭』」

日時:3月14日(土) 
午後3時から BS世界のドキュメンタリー

「民主主義ボリビア-先住民族の革命」(2007)を上映します。

午後4時から 講師:藤田護(ふじた まもる)
 ラテンアメリカにおいて左派が再び台頭してきていることが近年話題になっていますが、その「左派の台頭」とは具体的に何を意味するかを、安易な議論
やイメージに陥ることなく理解したいと思います。ここではボリビアの場合に、2000年以降の政治の大まかな動きを掴みながら、そこで提示されてきた「左派のアジェンダ」が一体どういうものなのか、昔の左派と何が同じで何が違うのか、最近可決された憲法の条文も参照しながら考えてみたいとおもいます。

在ボリビア日本大使館専門調査員(政務・経済担当)2003年~2006年
現在、東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻 博士課程
資料代:500円 
要事前連絡:参加希望の方は事前に下記まで連絡お願いします。
開発と権利のための行動センター email: cade-la@nifty.com

会場:アイヌ文化交流センター
東京都中央区八重洲2丁目4番13号 アーバンスクエア八重洲(3階) 
地図→ http://www.frpac.or.jp/prf/c_map.html
JR東京駅八重洲南口から徒歩5分

第3回目:「コロンビア:慢性化した紛争状況の中で生きる人々」
日時:4月25日(土) 午後2時半から
講師:千代勇一(せんだい ゆういち)
上智大学大学院在籍。北部アンデスの文化人類学を専攻。現在はコロンビアにおけるコカの代替開発を研究。著書に『アンデス高地』(共著)、『エクアドルを知るための60章』(共著)、論文に「コロンビアにおける違法コカ栽培と政府の対策」、「コロンビアにおける右派ウリベ大統領の再選と左派勢力の伸張」などがある。
会場:人権ライブラリー 多目的スペース
   東京都港区芝大門2-10-12 KDX芝大門ビル4F
http://www.jinken.or.jp/library/library_shozaichi.html

以降、6月まで継続的に実施します。

主催:先住民族の10年市民連絡会、
    開発と権利のための行動センター
       日本ラテンアメリカ協力ネットワーク

連絡先:日本ラテンアメリカ協力ネットワーク email: recom@jca.apc.org 
先住民族の10年市民連絡会 Tel/Fax:03-5932-9515 email:indy10-Lj@infoseek.jp
開発と権利のための行動センター email: cade-la@nifty.com

<終了分>
第1回「エクアドルの資源開発と先住民族運動」

日時:2月21日(土) 午後3時から
講師:新木秀和(あらき ひでかず)

神奈川大学教員:エクアドルの先住民族運動や政治経済状況を研究。編著に『エクアドルを知るための60章』、論文に「政治参加から社会変革へ-エクアドル先住民族の挑戦」、「エクアドル-コレア政権の政策課題」、「エクアドルの石油産業-資源ナショナリズムと対外開放のはざまで」などがある。

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2009/02/23

エクアドル勉強会について

 2月21日に開催しました南米連続勉強会第一回目 「エクアドルの資源開発と先住民族」(講師:新木秀和)はちょうど小会議室いっぱいの9名の参加をうけて、充実した勉強会となりました。この報告会の内容は、共催団体の日本ラテンアメリカ協力ネットワーク のニュースレターに掲載される予定です。
 当日講師の新木さんより紹介して頂いた資料などは次のサイトに紹介していますので、是非こちらからご購入ください。
http://astore.amazon.co.jp/ecuadorlibros-22
  また当日はエクアドルのフェアトレードコーヒーの紹介も参加者より行われましたので、そこへのリンクも掲載します。
  http://www.taharadrink.co.jp/coffee/index.html
 この他、当日は関係機関の資料なども配付しました。

 次回は3月14日(土曜日)午後3時から
 「ボリビア:エボ・モラレス政権の取り組みと政治状況(仮題)」
  講師:藤田護(ふじた まもる)  元ボリビア日本国大使館専門調査員、

 次回はもう少し広い会場となりますが、参加希望者は事前に cade-la@nifty.comまで連絡をお願いします。
  
「南米連続勉強会:先住民族運動、社会運動の今と政治動向」
  新憲法の制定などを通じて社会改革を目指すボリビアやエクアドルの政治。
またその中での先住民族運動や社会運動。混乱する世界の中で、未来を模索す
る南米の動きは目が離せません!
 
3月14日(土)
第2回:「ボリビア:エボ・モラレス政権の取り組みと政治状況(仮題)」
        講師:藤田護(ふじた まもる)
日時:2009年3月14日(土) 午後3時から
資料代:500円 
会場:アイヌ文化交流センター
東京都中央区八重洲2丁目4番13号 アーバンスクエア八重洲(3階) 
地図→  http://www.frpac.or.jp/prf/c_map.html
JR東京駅八重洲南口から徒歩4分。八重洲ブックセンターと新光証券の間入る。

第3回:「コロンビア:慢性化した紛争状況の中で生きる人々」
日時:4月25日(土) 午後2時半から(予定)
講師:千代勇一(せんだい ゆういち)
上智大学大学院在籍。北部アンデスの文化人類学を専攻。現在はコロンビアにおけるコカの代替開発を研究。著書に『アンデス高地』(共著)、『エクアドルを知るための60章』(共著)、論文に「コロンビアにおける違法コカ栽培と政府の対策」、「コロンビアにおける右派ウリベ大統領の再選と左派勢力の伸張」などがある。
(第3回の4月から会場が変更になる予定です。詳細は下記連絡先にて確認ください)

以降、6月まで継続的に実施します。

主催:先住民族の10年市民連絡会、
   開発と権利のための行動センター
     日本ラテンアメリカ協力ネットワーク

参加希望の方は事前に下記まで連絡お願いします。
連絡先:日本ラテンアメリカ協力ネットワーク email: recom@jca.apc.org
先住民族の10年市民連絡会 Tel/Fax:03-5932-9515 email: indy10-Lj@infoseek.jp
開発と権利のための行動センター email: cade-la@nifty.com
http://cade.cocolog-nifty.com/

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2009/02/17

パナマ:先住民族の集団的土地所有をめぐって

 2008年12月23日、中米パナマにおける先住民族の集団的土地所有に関する手続きを定めた法第72号が施行された。これは法案411として審議されてきたものであるが、この法律がパナマの先住民族の間で期待とともに物議を醸している。

 パナマにはノベ民族、ブグレ民族、クナ民族、ナソ(テリベ)民族、ブリブリ民族、エンベラ民族、ウォウナン民族という7つの先住民族が居住し、先住民族人口は約25万人、総人口の約8.4%を占めるといわれている。憲法においては、「先住民コミュニティに必要な土地の留保と集団的土地所有を保障」しており、これまでに5つのコマルカ(先住民族テリトリー)が法によって制定されている。
 最も古いコマルカはコロンビア領であった時代に起源を持ち、大西洋岸に広がるクナ・ヤラ・コマルカである。コマルカは特別の行政区であるが、県と同等のレベルとみなすことができる。同様の位置づけを与えられているのは、1983年に制定されたエンベラ-ウォウナン・コマルカと1997年のノベ-ブグレ・コマルカである。その他の2つのコマルカ、クナ-マドゥンガンディとクナ-ワルガンディは、コレヒミエントという、県より下位の行政区分の位置づけとされている。
 しかしながら残りの先住民族やコマルカ外に住む先住民族に対して、集団的な土地所有あるいはコマルカが認められていないことが問題とされてきていた。人口3000人から4000人といわれるナソ民族は1973年から独自のコマルカの制定を求めてきている。またウォウナン民族は40以上のコミュニティがコマルカの外に取り残されたため、2000年より集団的所有地認定のための法律の制定を求めてきていた。
 こうした中で、先住民族の集団的土地所有に関する手続きを定めた法第72号が施行された。この法は、コマルカという先住民族テリトリー外に居住する先住民族に対して集団的土地所有を認め、そのための手続きを定めたものである。
 この法の概要は以下の通りである。
目的:憲法127条に準じ、先住民族及び先住民族コミュニティが伝統的に占有してきた集団的所有地を無償で取得するための手続きを定める。
手続き:農業開発省に属する国家農地改革局を通じて実施する。農地改革局に対して、先住民族の代表が申請を行う。
必要書類:申請する土地の図面、コミュニティの人口の証明書、内務・法務省の先住民族政策局が発行する当該コミュニティの存在を証明する証明書
集団的所有地:不可侵、移転不可能、差し押さえの対象とも、譲渡の対象ともならない。
自然保護区:土地が自然保護区国家システムの一部をなす場合には、環境省は、コミュニティの伝統的権威と、自然資源と持続的利用とコミュニティ開発のための計画を実施するために、行動と戦略について調整するものである。
事前の同意:先住民族及びコミュニティの、事前の情報に基づく、自由な同意を保証するため、政府及び民間の機関は、その地域で実施する計画・プログラム・プロジェクトについて伝統的な権威と調整するものである。
政府:行政府は内務・法務省を通じて、政令によって、伝統的な組織、文化、また集団的所有地の所有権者として伝統的権威を承認するとともに、これらと、国家の権威者との調整手続きを定める。
資金:国家は土地の境界画定に必要な資金を差し向けるものである。
第17条:内務・法務省は、省令によって、ボカス・デル・トロス県のチャンギノーラ地区のテリベ先住民族コマルカ・コレヒミエントの組織構成を採択する。

 大枠から見ると、既に憲法で定められていた先住民族の集団的土地所有の手続きを定めた法律であり、先住民族の権利の保障という点では前進であると考えることができる。先住民族諸組織も、特別委員会の設置を求め、法案作成に関与してきたという。このような点からもこの法律は先住民族の権利の確立に資するはずのものであった。

 しかしながら審議の後半に入って、突如、上記の第17条が追加されたことがナソ(テリベ)民族の反発を買うこととなった。もともとナソ民族はコマルカの制定を求めており、この法律の審議の早い段階から、この「集団的土地所有に関する法律」の枠内に押し込められることに懸念を示していた。昨年10月末に開催された米州人権委員会の公聴会でも、あらためてコマルカ制定を求めてきた(このことが逆に政府を刺激した可能性も否定できない)。
 こうした中でこの第17条がナソ民族との協議も踏まえずに突然追加されたのである。この条文によってナソ(テリベ)民族のコマルカがコレヒミエント(下位の行政区分)として認められることになったとも前向きに考えることもできるかもしれない。しかしこの条文は法第72号との関係も明記しておらず、さらにはこれまでコマルカがそれぞれ個別の法律で制定されてきたことをかんがみると、極めて拙速な規定に思われる。

 12月12日付けのナソ民族の声明文は次のように伝えている。
「この法律は、私たち民族の伝統的かつ真正な法的原則を踏みにじるものであり、政府が尊重しなくてはならないはずの、私たちの引き継いできた権利を無視し、侵害し、ナソ民族の伝来のテリトリーを奪うものである」
「ナソ民族は、35年以上にわたって、私たちの絶滅を避けるために、独自の文化・伝統・伝統的政治構造に基づいた意思決定を実現しうるようなコマルカの制定を求めてきており、『集団的土地所有』という枠組みに入れられることを拒否する。これはナソ民族の希望を満たすものではないし、憲法に定められた権利を考慮したものでもない」
「コレヒミエントという位置づけは協議されたものでもなく、私たちの自治権の発展を阻害するものである。私たちの伝統的な政治的権威の選出方法を改変するものであり、伝来の習慣や文化、伝統的権威を傷つけ、変化させるものとなる」
「ナソ民族はナソ―テルディ・コマルカの制定を定めた法の承認を求めてきており、この『先住民族の集団的所有』の法に含まれることを望んではいない」

 ナソ民族にとって、ボカス・デル・トロス県の中のコレヒミエントという位置づけでは、民族のテリトリーをカバーすることはできず、伝統的な政治機構の維持が危機に瀕することに加え、ナソ民族にとっての重要な歴史的聖地も外に置かれてしまうという。

 こうした状況に直面し、ナソ民族は1月にも最高裁判所に対して違憲訴訟を起こすということである。この第17条に対抗する取り組みへの支援要請もナソ民族組織から開発と権利のための行動センターに届けられている。

 ナソ民族は、ボンジック川に計画されているダム建設や近隣の牧畜業者によるテリトリーへの侵入と暴力的なコミュニティの破壊など、高まる周辺社会からの圧力に抵抗を続けている。しかし2004年から進められているテリベ川支流のボンジック川におけるダム建設計画は、コミュニティと伝統的な権威の分裂を引き起こしている。またこの1月には牧畜業者である「ガナデーラ・ボカス」社の重機が、ナソ民族のサン・サン・コミュニティに侵入し、住居を破壊するという事件も発生した。
 
 こうした事態からナソ民族を守り、ナソ民族が独自の開発のあり方を模索し、実現していくためにはナソ民族のテリトリーを適切に承認することが不可欠である。

 開発と権利のための行動センター
 青西靖夫

 先住民族の10年News第151号(2009/2/14発行)に掲載した記事の転載です。 
続報(ブログ http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2009/02/post-fa1c.html) 
3:ナソ民族、テリトリーの権利を侵害しているとして法第72号、第17条について違憲審査を求めて提訴。
 2月6日、ナソ民族は新たに制定された法第72号第17条がナソ民族のテリトリーの権利を侵害しているとして、違憲審査を求めて提訴。集団的土地利用を定めた法第72号については、2月14日発行予定の先住民族の10年市民連絡会のニュースレターに記事を投稿している。
    

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2009/02/15

特別セミナー:地域の元気で温暖化を防ごう!高知県梼原町

 「水と大地のネットワーク」としての新しい取り組みです。
http://homepage3.nifty.com/CADE/AguaTierra/Aguatierra.htm

地域の資源を利用した小規模水力発電の可能性
地域の電気と元気で自立した地域社会を目指す
2月28日 高知県梼原(ゆすはら)町

 地球温暖化防止のためには、国際的な取り組みだけではなく、地域からの取り組みが不可欠です。
 今回は地球温暖化対策に先進的に取り組んでいる高知県梼原(ゆすはら)町に協力頂き、日本でも有数の豊かな水資源を有する高知県における、自然に優しい小規模水力発電の可能性について学ぶとともに、小規模水力発電による地域社会の活性化の可能性について、ともに考え、意見を交換しながら、将来の展開に向けてのネットワークを広げていきたいと考えています。
 またそれぞれの地域が有している自然の力を持続的に利用しながら、自立的な社会を築いていくことを通じて、地球温暖化防止のためのモデルを国内外に提起していくことは国際社会に向けても重要な発信ともなります。
梼原町は2009年1月、内閣府の環境モデル都市にも選定されました!

開催日時:2009年2月28日(土) 13:30~
会場  :高知県梼原町役場大会議室
     高知県高岡郡梼原町梼原1444番地1
内容
講義1:小規模水力発電の可能性について考える
     講師:小林久(茨城大学)
講師プロフィール:小林久
茨城大学農学部地域環境科学科准教授全国小水力利用推進協議会理事
専門分野は農村計画学、地域資源学

講義2:梼原町における自然エネルギー/小規模水力発電の取り組み
講師:梼原町環境推進課  岩本直也課長、矢野準也 
講師プロフィール:梼原町
梼原町は全国に先駆け、多様な自然エネルギーの導入に取り組んできた。風力発電や木質バイオマスに加えて小水力発電も実現
現場視察:梼原町小水力発電予定地

参加費 無料

主催:「水と大地のネットワーク」/開発と権利のための行動センター
http://homepage3.nifty.com/CADE/AguaTierra/Aguatierra.htm

協力:梼原町、梼原町森林組合、によど雑木団
連絡先:「水と大地のネットワーク」/開発と権利のための行動センター
古谷桂信(090-1899-8900)furuya-k@cello.ocn.ne.jp

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温暖化対策に関係する問題:メキシコ他

1:CDMの風力発電に土地を追われるメキシコ農民
 1月22日、メキシコ、オアハカ州のフチタン近郊の村ラ・ベントサで風力発電基地の落成式が行われた。[1]この風力発電プロジェクトは地球温暖化対策であるCDM(クリーン開発メカニズム)に登録されているBii Nee Stipa と思われるが、[2]これに対して地域の先住民族の権利を侵害するものだという抗議が続いている。 
 ベントサの農民、テウアンテペク人権センター、フチタンの土地とテリトリー防衛会議などの声明文によると、こうした抗議行動は既にここ何年か続いているもので、土地賃貸の契約はだまされたものであり、このプロジェクトは人々が抱える経済や教育、保健などの問題解決にはつながらない上に、この「開発」プロジェクトで土地は使えなくなり、以前の農民経済に基づく生活より悪化していると訴えている。またこのプロジェクトは十分に情報に基づく協議を経たものではなかったと告発している。[3]

  詳細はよくつかめないが、京都メカニズムが、開発途上国への投資を進め、そのうまみを前に、プロジェクトが十分な協議を踏まえることなく、拙速に進められてきた可能性は否定できないであろう。 
 
[1]http://espanol.news.yahoo.com/s/ap/090123/latinoamerica/amn_tec_mexico_molinos_de_viento
[2]http://cdm.unfccc.int/UserManagement/FileStorage/XEK8BO20M4YPQF3CA1TWZSG67RLNVU
  http://cdm.unfccc.int/UserManagement/FileStorage/B4JV3YNUKHFXF3Y98B4JFJLP6J3LSK
[3]http://www.rmalc.org.mx/principales/manifiesto_parque_eolico.htm
[4]その他関連サイト http://tierrayterritorio.wordpress.com/

2:CDMとダム開発の問題 
 国際的なNGOであるInternational Riversはこれまでも、CDM、特にCDMによるダム開発の問題を取り上げてきていますが、そのサイトではAP発の次の記事を紹介しています。
 China dams reveal flaws in climate-change weapon(2009/1/25)
 http://www.internationalrivers.org/en/node/3780
  http://news.yahoo.com/s/ap/20090125/ap_on_re_as/china_s_golden_dams

3:インドネシアにおける森林管理と農民の土地からの排除
 国際的な農民組織、ビア・カンペシーノはエコシステムの復元という名目で農民が土地から排除されたケースを指摘し、現在検討が進められているREDD(森林減少と森林劣化による排出の削減)も同じような帰結を引き起こすのではないかと懸念を表明している。上記のケースでは大手NGOとローカルNGOが組織したコンソーシアムが、エコシステムの回復のために100年間にわたる一定地域の利用権を認可されたものだという。しかしそこから農民や先住民族が排除され、土地を去ることを認めた文書に署名するように脅迫されたという。
  ビア・カンペシーノは、森は地域住民の手によって持続的に管理されるべきであり、地域の生産を強化し、人々が利用している資源の管理を進めるべきであると提起し、カーボン排出量の取引の中で方向を見失わないように警告している。
 http://www.viacampesina.org/main_sp/index.php?option=com_content&task=view&id=653&Itemid=1
  http://www.viacampesina.org/main_en/index.php?option=com_content&task=view&id=654&Itemid=1

 ちなみにREDDについてはCIFORから次のような報告書が出ている。(紹介のみ)
 Moving Ahead with REDD-Issues, Options and Implications
   http://www.cifor.cgiar.org/publications/pdf_files/Books/BAngelsen0801.pdf


 <思うところ>
 CDMだけの話ではなく、国際社会からの援助資金にしても、民間からの資金にしても、それらは外部から、外部者のスピードに基づいて計画され、投入され、さらに一定期間に結果を出すことを求められる。それが地域に生活してきた人々とマッチすることがないということを十分考えなくてはならない。現場で作業を進めるコンサルタントやプロジェクトを(契約で)実施するNGOは最初から、ドナーや企業との契約期間があってその間に作業をしなくてはならない状況に置かれる一方で、地域の住民にはそのような時間は本来なんの意味も持っていない。
 こうした状況でそもそも誠意ある協議などできると考えることが難しい。外部者がそもそも進めたいという意向をもってやってくるのと対照的に地域の人々にはふってわいた話でしかない。対応しなくてはならない地域の人にとっては、まず何の話かわからないのだから(関心を持ってきた話ではないので、当然「やりたい人」との情報ギャップが大きい)、十分な情報を得るのに1年とか2年とかあるいはもっとかかるであろう。(お金をもらって、仕事としてその分野の本読んだり、視察ばかりできるわけではなく、例えば田畑をみなくてはならないのだから・・・)
 その上で、地域の人たちで相談して、結論を出していく。また1年かかるのか、2年かかるのか?孫子の代まで心配して、決定しなくてはならないのだから、それぐらいの時間をかけて何ら不思議はないであろう。契約期間が終われば、その土地に二度と足を踏むこむことなどない人たちとは大きな違いである。その一方で、3週間で「協議までしてこい」というコンサルタント契約もあるわけで、これがマッチするわけもない。
 先住民族との協議、地域住民との協議、という場合には、その内容だけではなく、その時間を十分尊重することが必要である。
 開発と権利のための行動センター
 青西

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2009/02/14

バイオ燃料:ミンダナオ、FAO他

1.ミンダナオ、ジャトロファによる食糧生産圧迫
 ミンダナオにおけるジャトロファ生産の話は一年ほど前にこのブログでも紹介しました。
  http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/03/post_25c9.html
 ミンダナオの状況について、2ヶ月前の記事になりますが、見つけましたのでリンクを紹介します。
 この記事によるとミンダナオの先住民族であるビラーン民族の女性、ロルナ・モラさんは、ジャトロファの植え付けに土地が使われてしまい、十分な耕作地が残されていない、もう日には三度食べられないと語っています。
 http://services.inquirer.net/print/print.php?article_id=20081210-177076

2.FOOD, FARMERS AND FUEL:Balancing Global Grain and Energy Policies with Sustainable Land Use
ActionAid Internationalが2008年11月に発行した報告書である。ケーススタディとして、ブラジル、グアテマラ、ガーナ、モザンビーク、セネガルが取り上げられています。
 グアテマラにおいてはサトウキビやオイルパームの拡大で土地の再集中が進み、食糧安全を脅かしていること、アフリカ諸国ではいわゆる「マージナルな土地」への圧力が高まり、特に女性の収入に影響が出ていることが報告されています。
  http://www.actionaidusa.org/assets/pdfs/food_rights/actionaid_biofuels_report_nov_08.pdf

3: FAOの報告書  The Right to Food and the Impact of Liquid Biofuels (Agrofuels)
  目を通せていないので紹介のみ。
  http://www.fao.org/righttofood/news18_en.htm
  他にも ”The right to adequate food and indigenous people", Right to Food studyといった報告書もでています。

開発と権利のための行動センター
青西

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WWFが進める水産養殖認証に地域のNGOなどから批判の声

 WWF(世界自然保護基金)は現在、持続的な水産養殖を進める目的でこの分野における認証制度の確立を目指している。[1]しかしながらこれに対して、様々な地域で活動する環境保護団体が異議を唱えている。
 一つには、この動きがエビ養殖の被害を受けている多数の人々を排除して進められていることがあげられている。コロンビアに事務局を置く、Redmanglar Internacional はエビ養殖産業が各地で引き起こしてきた人権侵害や環境破壊を訴えるとともに、こうした問題を引き起こしてきたエビ養殖を認証するということは法的にも倫理的にも受け入れることができないと述べている。またこうした認証制度が、これまでの違法行為に対する法的措置をすり抜ける口実に使われる危険性を指摘している。[2]
 Mangrove Action Project他諸団体による声明文も、この認証制度が産業志向型であり、先住民族や地域コミュニティの、権利を有する人々の声を反映していないことを批判し、WWFに対してこの動きを中止し、影響を受けているコミュニティの参加に基づく真の対話を進めることを要請している。また環境面や技術面だけではなく、社会的な、また権利の尊重を基準にしていく必要を指摘している。[3]
 
 この動きについての詳細はまだ読めていませんが、WWFのサイトにこれまでの「対話」の報告などが産物ごとに掲載されています。[4]
 生産国としても、消費国としても世界で非常に重要な(問題のある)立場にある日本の関係機関がコミットしているのかもわかりません。どうやらかやの外という感じに見えます。
 関心のある方是非動きを教えてください。
 
 開発と権利のための行動センター
  青西靖夫
[1]WWF  WWF To Help Fund Creation Of Aquaculture Stewardship Council
   http://www.worldwildlife.org/what/globalmarkets/aquaculture/whatwearedoing.html
[2] MANIFIESTO PÚBLICO CONTRA EL PROCESO DE CERTIFICACIÓN DE LA ACUICULTURA INDUSTRIAL DEL CAMARÓN(2008/11/3)  http://www.redmanglar.org/redmanglar.php?c=771
[3] PRESS RELEASE: Int'l NGO Network Opposes WWF’s Decision To Form Aquaculture Stewardship Council(2009/2/5) http://www.mangroveactionproject.org/news/current_headlines/MAP_Press_Release_5_Feb_2009
[4]  http://www.worldwildlife.org/what/globalmarkets/aquaculture/publications.html

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2009/02/13

グアテマラ:ラグーナ・デル・ティグレ国立公園における衝突 他

  1:ペテン県、ラグーナ・デル・ティグレ国立公園における農民と警察及び軍の衝突
  1月26日、ペテン県のラグーナ・デル・ティグレ国立公園において、警察及び軍と農民との衝突が起き、2名が死亡し、40名以上が逮捕されるという事件が起こった。
  ペテン県の県知事は、農民によって拘束されていた国家自然保護区審議会(CONAP)の保護管の解放のためであったと今回の介入を正当化し、「農民の大半は武装し、450ヘクタール余りの森林を破壊しての農園設置を請け負っていた」、「逮捕された40名のうち25名は土地分配を受けたにもかかわらずその土地を売却して、土地への侵入を続けている」 と語っているとのことである。[1]
  [1] http://www.prensalibre.com/pl/2009/febrero/03/292807.html 2009/02/07

  一方、農民組織は声明文において次のように告発している。
  1990年に設置されたラグーナ・デル・ティグレ国立公園に存在する37コミュニティの一つであるエル・ベルヘリトは、1月20日に焼き払われ、160家族が家を失った。翌21日、この損害に対する補償とこの地域の問題を根本的に解決するための対話を求め、この放火に関与したCONAPの2名の保護管を拘束。しかし対話は拒否され、26日朝6時、担当判事の命令もないままに、ヘリコプターや装甲車が進入し、発砲し始めた。明らかに過剰な武力の行使である。こうした軍事的介入によって、ロベルト・ディアスとフェルミン・ガルシアが死亡した。このほかにも複数の死者・負傷者がいたが、警察がどこにつれていったのか不明である。またこの26日に44名が逮捕された。
  農民組織は、農民を麻薬密売組織や犯罪者呼ばわりすること、武装していたといった指摘を拒否し、15年以上にわたってこの地に住んでいると明言。一方「保護区」というが、メキシコの伐採業者が、当局と結託して希少な木材を伐採し、考古学的遺品を略奪し、また石油企業が開発を進めていることを指摘。
「トウモロコシを作っている農民がなぜ<保護されている>という土地から追われ、迫害されなくてはならないのか」、国家の最大の責任は「国民を守ることではないのか」と問いかけている。[2]
[2] LAGUNA DEL TIGRE, AREA PROTEGIDA, PARA QUIEN? , CONIC, 2009.2.3

  ペテン県小教区ではカトリック教会はこの事件について次のような声明を発表している。
  社会司僕会と人権擁護事務所では昨年から対話テーブルの設置を助け、政府関係機関と保護区内にあるコミュニティとの対話を促してきた。しかし政府側は対話の意思を見せてこなかった...保護区内に定着した住民を、麻薬密売やテロリズム、誘拐者、不法侵入者と一概に決めつけ、無差別な弾圧を正当化することは許されない。これは過去の弾圧政策の論理となんら変わるものはない...政府自体が組織的暴力に対抗する力がないことを認めつつ、貧困な農民家族に向かっては暴力を発動するのである。ヘリコプターや装甲車を動員し、警察や軍が人々に銃口を向け、商店を略奪し、家々を焼き払い、人々を殺害する。このような行為はいかなる理由を持っても正当化することはできない。
 このような行為を許可した政府に対して、責任者の罷免、自然保護区内のコミュニティに関する対話テーブルの設置、また関係機関に対して、持続的な開発のためのオータナティブを模索することを求めるものである。[3]
COMUNICADO DEL VICARIATO APOSTÓLICO DE PETÉN ANTE LA BRUTAL INTERVENCIÓN DEL ESTADO DE GUATEMALA EN LA LAGUNA DEL TIGRE EL 26 DE ENERO 2009 (2009.1.27)
http://chiapas.indymedia.org/article_161845

 また人権団体の連合体である la Convergencia por los Derechos Humanosは、 死亡したロベルト・ディアスは軍の腹ばいになるようにという命令に従わなかったことで銃殺されたと告発。更に、複数の政府当局関係者や治安関係者、大農園主、コミュニティメンバーや偽リーダーが麻薬密売組織との関係としているとの証言が得られていると伝えている。
 人権組織は、政府に対して今回の事件に関する十分な調査、組織犯罪への対応、環境保護団体や社会組織に対して、対話を進めることなどを要請している。[4]
[4] Comunicado emitido por la Convergencia por los Derechos Humanos(2009.2.10)

2:アルタ・ベラパス県、トゥクルにおける強制排除
 2月11日、アルタ・ベラパス県のサン・ミゲル・トゥクルのロス・ピノス農園において、300人の警察の鎮圧部隊と100人の軍隊が動員され150家族が強制的に排除された。彼らは2007年3月より借地農として居住しており、当初は農園の土地を購入するという話になっていたのを農園主側が一方的に破棄したものであるという。
 この排除で1名が死亡し、複数名が銃撃によって負傷したという。農民組織は十分な調査もなされないままに、排除命令が出されたことを非難し、またグアテマラ軍が先住民族コミュニティの弾圧に関与していることを告発している。
CONIC CONDENA ENERGICAMENTE EL DESALOJO DE LA COMUNIDAD LOS PINOS, SAN MIGUEL TUCURU(2009.2.11)

 軍隊も出動しての暴力的な弾圧に対して強く抗議していく必要があると考えます。

 開発と権利のための行動センター
 理事 青西

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パナマ:先住民族と開発

 パナマの先住民族組織から寄せられた声明文などをもとにいくつか最近の状況をまとめます
1:ノベ民族とダム開発
 AES-チャンギノーラ社によって進められているチャン75ダム開発について、1月30日付けの声明文から
 2009年1月28日よりパナマを訪問している、先住民族の権利に関する国連特別報告者は1月29日、ノベ民族のコミュニティであるチャルコ・ラ・パバを訪問。住民はチャン75ダムへの拒否を表明。人々はこのダムが集団的な権利を侵害していることを訴える。企業は、スペイン語の読み書きをしない人々に内容を説明しないままに、拇印を押すことを求めてきた。また居住する先住民族の権利を無視して、政府が先住民族コミュニティの土地、テリトリーの利用権を企業に認可した問題などを訴えた。また人々はその文化的な生活形態を考慮しない移転政策を全面的に拒否。AES-チャンギノーラ社は人々をまるで二等市民であるかに扱い、その尊厳と権利を尊重しようとしていない。こうした協議を行わず、同意を探さない態度がノベ民族の不満を高め、更に2008年1月3日には暴力的な弾圧を引き起こした。
 地域の先住民族の人々は特別報告者に対して上記のような点について表明。
 先住民族の権利に関する特別報告者がパナマを訪問するのは初めてである。今回の特別報告者のように、国際社会の人々がコミュニティを訪問し、協議されることもなく進められてきたプロジェクトに囲まれている、コミュニティの人々の声を聞くことが求められている。

COMUNICADO DE LA COMUNIDAD NGOBE AFECTADA POR LA REPRESA CHAN 75 PROMOVIDO POR LA EMPRESA AES CHANGUINOLA, Panamá (2009年1月30日より)
    
2:ナソ民族とダム開発
 メデジン公社(Empresa Pública de Medellín)の進めるダム開発計画に脅かされるナソ民族が抵抗を続ける。
 ボンジック・コミュニティに住む、マルティナ・サンチェス、エステバン・トレス、アリシア・キンテーロなどが、テリベ川を通って建設用重機を通過させようとする企業の動きに抵抗。
 マルティナは「農地も川も通らせない。ここは、伝統的な政府を有する私たちのテリトリーなのだ」と断固抗議。エステバン・デュランは「繰り返される権利の侵害と横暴にはうんざりだ。誰がこの土地を通っていいと言ったのだ」。またレオポルド・アギラルは「先住民族が金とクシを交換していたような時代はとっくに過ぎ去った。私たちはナソ民族のこの土地を、文化を、環境を守っていくという、先祖代々の使命を果たしていかなくてはならない」
 コミュニティの人々は環境省に訴え、2月3日、コミュニティの住民は環境省の地域担当者と会合
2009年2月4日付、 RESISTENCIA EN EL PUEBLO NASO CONTRA LA HIDROELÉCTRIC より

3:ナソ民族、テリトリーの権利を侵害しているとして法第72号、第17条について違憲審査を求めて提訴。
 2月6日、ナソ民族は新たに制定された法第72号第17条がナソ民族のテリトリーの権利を侵害しているとして、違憲審査を求めて提訴。集団的土地利用を定めた法第72号については、2月14日発行予定の先住民族の10年市民連絡会のニュースレターに記事を投稿している。

4:ナソ民族のサン・サン・コミュニティ、ガナデーラ・ボカス社の動きを警戒
 1月16日、サン・サン・コミュニティで複数の住居が、牧畜業者であるボカス社に破壊された事件以降、コミュニティの人々は再び強制的な排除が行われるのではないか、とボカス社の動きを警戒している。またナソ民族のテリトリーへの権利を擁護するための政治的な意思の欠如を前に、ナソ民族は疎外感を強めている。環境省はボカス社の重機による河畔やコミュニティの道路の損傷を確認するため職員を派遣する予定であったが、地域の高い緊張感を前に一度は中止、しかしコミュニティ側の要望により1月29日に実施。
 住民は破壊された集会場を再建、家屋の再建にも取り組んでいる。
INDIGENAS NASO SIGUEN EN ALERTA EN DEFENSA DE SU TERRITORIO(2009年1月29日より)

開発と権利のための行動センター
青西

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2009/02/06

ボリビア新憲法概要

 この報告に向けて、この憲法案を全ての条項に渡って、詳細に読み込めたわけではないですが、どのような憲法なのか、興味深い点などを紹介していきます。現在の日本社会のあり方を振り返りつつ読んで頂ければと思います。
(この原稿は日本ラテンアメリカ協力ネットワーク のニュースレター向けに書いたものですが、ニュースレター上では不要な部分の掲載もありましたので、そこを省略して掲載しています)

●多民族共同体の権利に基づく社会的統一国家
ボリビア国が多民族国家であることを明記。 
「植民地国家、共和国、そして新自由主義国家を過去のものとして、私たちは多民族共同体の権利に基づく社会的統一国家を共に建設するという歴史的な挑戦に取り組むものである。」(前文)
 「植民地期以前からの先住民族の存在と、先祖伝来のテリトリーの支配に基づき、国家の統一性の枠内において、自決権を保障」(第二条)

●多言語(第五条)
 スペイン語に加えてすべての先住民族言語(三六)が公用語と認められ、スペイン語に加えて、もう一つの言語を利用することが義務とされる。

●倫理―モラル 「良き生き方」(第八条)
  「良き生き方」というものが、憲法の中でたびたび使われている。これはアンデス地域の先住民族運動が取り上げてきた理念であり、エクアドルの憲法においても重要な要素となっている。よりよい生活という、個人主義的な発展性を目指すのではなく、調和のとれた共存を意味するものと理解される。
「国家は多元的社会における倫理-モラルの原則として次の原則を取りあげ、促進する。ama qhilla, ama llulla, ama suwa (怠けず、嘘をつかず、泥棒をしない)、 suma qamaña (よく生きる)、ñandereko (調和的な生活)、 teko kavi (よい生活)、 ivi maraei (悪いもののない土地)、 qhapaj ñan (高貴なる道)」
 
●国家の役割の拡大
 基本的な権利を保障するための国家の役割と自然資源(地下資源)の利用における国家の役割が拡大。
国家の目的と機能(第九条)
・公正で調和のある社会の構築。多民族のアイデンティティーを確立するため、社会正義の全的な確立に基づく、脱植民地化、非差別、非搾取。
・福祉・開発・安全・全ての人や民族の平等な尊厳の擁護
・全ての人の教育・健康・仕事へのアクセスを保障すること
・自然資源の責任ある利用の促進及びその工業化の促進
 
●平和国家(第十条)
 軍隊及び軍役を保持し(第二四三、二四九条)、また自衛のための武力行使を留保しつつ、平和国家であることを宣言。また外国軍の基地も認めない。
「ボリビアは平和主義の国家であり、平和の文化と平和への権利を促進する」、「紛争や対立を解決するための方策としての武力による攻撃を拒否する」

●多様な民主主義の適用(第一一条)
 直接・参加型、代議制、コミュニティ、三つの民主主義のあり方を明記。

●基本的人権(第一五条から第二〇条)
社会的な諸権利と国家の義務や責任を明記。
・生命と身体的・精神的・性的な統一性への権利。死刑の否定。
・全ての人、特に女性が、家庭内また社会において物理的・性的・精神的な暴力を受けない権利。
・奴隷あるいは奴隷的な隷属を受けない権利。
・水と食糧への権利。また国家は食糧を保障する義務を有する
・健康への権利。国家はアクセスを保障する。
・適切な住居への権利。国家及び全てのレベルの政府は社会的な意義に基づく住居計画を促進する。
・上下水道、電気、ガス、郵便、電話という基本サービスへの平等かつ普遍的なアクセスの権利。
国家及び全てのレベルの政府は、公的もしくは共同事業体、協同組合あるいは共同体を通じて、これらのサービスを供給する責任を有する。
・上下水道へのアクセスは人権であり、コンセッションの対象とも民営化の対象とならない。

●先住民族の権利(第三〇条)
  自決権を明記する一方、協議に基づく「同意」には触れられていない。また自然資源(この場合には地下資源)の開発にかかわるコントロールも明記されておらず、生み出された利益を享受することにとどまっている。
・文化的アイデンティティーへの権利
・自決とテリトリーへの権利
・それぞれの制度が、国家の一般的な構造の一部をなす権利
・集団的な土地登記の権利
・聖地への権利
・独自の通信手段の生成と管理の権利
・その知識に対する集団的な知的所有権への権利
・関係する法的、行政的施策を前に協議を受ける権利
・そのテリトリーにおける自然資源の開発による利益を受ける権利
・再生可能な自然資源の、排他的利用の権利

●先住民族の司法制度の承認
 先住民族の独自の原則、規範に基づく、司法制度を承認し、通常の司法制度と併存するものとしている。(第一九〇から一九二条)

●仕事及び雇用への権利(第四六条)
産業における安全と衛生的かつ健康的な職場における尊厳ある仕事への権利と、公正で満足しうる条件における安定的な雇用への権利。

●子ども及び青少年・高齢者の権利
子どもや青少年が権利主体であること、また、総合的な開発のための権利を有することを明記(第五八、五九条)
また高齢者も尊厳ある老後への権利を有する。(第六七条)

●詳細に規定される地方自治
 第三部「国家の領域的な構造と組織」においては、地方自治のあり方について詳細に定めている。(第二六九条から三〇五条)
 ここではボリビアは「デパルタメント(県)」、「プロビンシア(郡)」、「ムニシピオ」、「先住民族・農民テリトリー」によって領域的に編成されているとされており、更に「デパルタメント」、「ムニシピオ」、「先住民族・農民テリトリー」、及び複数のムニシピオあるいはプロビンシアの連合体によって構成される「地域」における自治が認められている。更にこうした領域的な自治体は、憲法上同じレベルにあるものとされ、相互に従属するものではないとされている。
 特に「先住民族・農民自治」においては、「先住民族の自決権の行使としての自治」が謳われており、先住民族・農民自治体がこれまでの最小行政単位であった「ムニシピオ」と併存することが想定されている。
 またこの部においては、国家及びそれぞれの自治体の権限が列記されているが、金融、通貨政策、外交などに加えて、土地政策、炭化水素、また鉱物資源、水資源、水源などが国家の権限下に置かれることが明記されている。

●再分配と均衡ある開発
 第四部の「国家の経済的な構造と組織」においては、ボリビアの経済モデルは「多元的であり、生活の質の改善と、全てのボリビア人がよく生きるためのものである」とされている。(第三〇六条)
・経済的な余剰を、社会政策を通じて公正に再分配することを通じて開発を保障する。(同右)
・国家の経済的主権を脅かすような私的な富の
集積を認めない。(第三一二条)
・全ての経済組織は尊厳のある仕事を生み出し、また不平等の削減と貧困の撲滅に貢献する義務がある。(第三一二条)

●経済活動における国家の積極的関与
 多元的な経済とは「共同体的、国家、民間、社会・協同組合といった経済組織によって構成される」ものとされ、国家が経済的なアクターとして位置づけられている。国家の役割としては、自然資源(地下資源を含む)の管理及び工業化、上下水道の管理他、直接的な財やサービスの生産などが規定されている。(第三〇九条)

●自然資源と国家
・鉱物資源、水資源、炭化水素、森林、生物多様性などはボリビア国民の所有物であり、国家によって管理される。(第三四八条、第三四九条)
・国家は自然資源の探査・開発・工業化・輸送流通を管理・監督する。(第三五一条)
・炭化水素(天然ガスや石油)は国家管理の下に置かれ、ボリビア石油公社によって生産・流通が行われる。但し特定の事業を私企業と契約によって行うことを妨げるものではない。第三五九条他)
・水は生活のための基本的権利であり、国家は生活のための利用を保障する。第三七三、三七四条)

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2009/02/02

ボリビアで先住民族の権利を広範に認めた新憲法承認

 1月25日、ボリビアで新憲法案の承認を問う国民投票が行われ、速報によると約60パーセントの賛成をもって、新憲法が承認されることが確実となった。これを受けてモラレス大統領は、新自由主義、大土地所有そして植民地主義の終わりと新しいボリビアに向けての再構築を宣言した。[1]
 ボリビアにおける新憲法制定は、先住民族のアイマラ民族出身であるエボ・モラレス大統領が2006年1月の就任当初から目指していたものである。しかし制憲議会における新憲法案制定プロセスにおいて、野党勢力との対立が深まり、当初の新憲法案は2007年11月、野党勢力を排除する形で承認されるという異常事態となった。この後も、自治を要求するサンタ・クルス、ベニなどの東部低地諸県と中央政府という形で対立は続き、東部諸県は自治憲章を一方的に制定するという道をとり、一方モラレス大統領は2008年8月10日、自らの信任を問う国民投票を行った。
 この信任投票において、モラレス大統領は67パーセントという圧倒的な支持を得たが、自治を要求する東部諸県では政府機関襲撃などが相次ぎ、9月11日にはパンド県でモラレス大統領支持派の10数名の農民が虐殺される事件が発生した。
 この事件を経て、対話が再開され、国会における新憲法案修正の経て、今回の国民投票が行われたものである。

 今回承認されたボリビアの新憲法において最も重要な点は、先住民族の権利を広範に認めたことにある。
 この憲法では、先住民族の先住性を明記し、国家の統一性の枠内における先住民族の自決権を認め、県やムニシピオ(現在の最小行政単位)と並んで、先住民族テリトリーにおける自治を謳っている。更に、36の先住民族言語を公用語とし、スペイン語と並んで、少なくとももう一つの先住民族言語を利用することを義務づけている。また先住民族の独自の裁判権の行使も認めている。
 先住民族の権利に加えて、調和のとれた共存を目指す「良き生き方」を基本的なモラルとして定めている。経済モデルも、「多元的で、生活の質の改善とすべてのボリビア人がよく生きるためのもの」とされ、経済的な余剰を社会政策を通じて公正に再分配することや、すべての経済組織が尊厳ある仕事を生み出し、不平等の削減と貧困の撲滅に貢献する義務があることが定められている。
  しかし新憲法案に対する国民投票の結果は、先住民族が多数を占める西部高地諸県における圧倒的な賛成と、非先住民の多い東部低地諸県での反対という結果となり、憲法の規定を実現していくプロセスでの困難が予想される。(2008年1月26日)
 開発と権利のための行動センター
 青西

[1]http://www.erbol.com.bo/noticia.php?identificador=2147483914979&id=1

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生物資源略取に対抗するペルー地方政府の取り組み

 アンデス、インカ帝国の首都であったクスコでは、2009年1月6日、地方政府が生物資源略取(バイオ・パイラシー)に対抗するための条例を公布。この条例は「クスコ地方における、遺伝子資源や生物多様性に関連する農民や先住民族の知識、慣行また革新に対してアクセスする活動」に関して定めたものであり、コミュニティを基盤に生物資源略取を防ぎ、訴追するためのメカニズムを定めている画期的な条例である。[1]
 この条例では、遺伝子資源や関連知識に関する調査などを実施する際には、コミュニティの参加に基づく協議を行い、事前の十分な情報に基づく同意を得なければならないと定めている。またその利用方法は、明確に、合意もしくは契約書に記されればならず、いかなる変更あるいは第三者への譲渡に際しても新たな同意が必要とされている。
 伝統的な知識や慣行また伝統的な革新などは、コミュニティあるいは先住民族の文化的財産であることが記され、その権利を不可侵なものと確認するとともに、コミュニティがそのデータベースを作り、管理することができると定めている。更に商業利用、非商業利用とも、利益をコミュニティと分配することを定めている。
 以上のように、この条例では地域の生物資源や関連知識を、コミュニティの管理下に置き、その利用に関してはコミュニティの同意・決定を不可欠とする仕組みを定めている。 
 クスコを中心に活動するNGOであるアンデス・アソシエーションは「各国政府も、世界貿易機関や世界知的所有権機関も、先住民族の伝統的知識や遺伝子資源の保護に失敗してきた。クスコの地方政府によって施行された新しい法は、地方政府がいかに適切な法的・制度的枠組みを生み出すことができるかを示す好例である」と評価している。[2]
[1]条例の原文にはこちらからアクセスできる。
http://www.regioncusco.gob.pe/portal/contenido.php?id=211
[2] http://dglocal10.blogspot.com/2009/01/ordenanza-contra-biopirateria-en-cusco.html

 開発と権利のための行動センター
 青西(2009/1/25 日刊ベリタ掲載記事より一部修正)

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