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2009/02/02

ボリビアで先住民族の権利を広範に認めた新憲法承認

 1月25日、ボリビアで新憲法案の承認を問う国民投票が行われ、速報によると約60パーセントの賛成をもって、新憲法が承認されることが確実となった。これを受けてモラレス大統領は、新自由主義、大土地所有そして植民地主義の終わりと新しいボリビアに向けての再構築を宣言した。[1]
 ボリビアにおける新憲法制定は、先住民族のアイマラ民族出身であるエボ・モラレス大統領が2006年1月の就任当初から目指していたものである。しかし制憲議会における新憲法案制定プロセスにおいて、野党勢力との対立が深まり、当初の新憲法案は2007年11月、野党勢力を排除する形で承認されるという異常事態となった。この後も、自治を要求するサンタ・クルス、ベニなどの東部低地諸県と中央政府という形で対立は続き、東部諸県は自治憲章を一方的に制定するという道をとり、一方モラレス大統領は2008年8月10日、自らの信任を問う国民投票を行った。
 この信任投票において、モラレス大統領は67パーセントという圧倒的な支持を得たが、自治を要求する東部諸県では政府機関襲撃などが相次ぎ、9月11日にはパンド県でモラレス大統領支持派の10数名の農民が虐殺される事件が発生した。
 この事件を経て、対話が再開され、国会における新憲法案修正の経て、今回の国民投票が行われたものである。

 今回承認されたボリビアの新憲法において最も重要な点は、先住民族の権利を広範に認めたことにある。
 この憲法では、先住民族の先住性を明記し、国家の統一性の枠内における先住民族の自決権を認め、県やムニシピオ(現在の最小行政単位)と並んで、先住民族テリトリーにおける自治を謳っている。更に、36の先住民族言語を公用語とし、スペイン語と並んで、少なくとももう一つの先住民族言語を利用することを義務づけている。また先住民族の独自の裁判権の行使も認めている。
 先住民族の権利に加えて、調和のとれた共存を目指す「良き生き方」を基本的なモラルとして定めている。経済モデルも、「多元的で、生活の質の改善とすべてのボリビア人がよく生きるためのもの」とされ、経済的な余剰を社会政策を通じて公正に再分配することや、すべての経済組織が尊厳ある仕事を生み出し、不平等の削減と貧困の撲滅に貢献する義務があることが定められている。
  しかし新憲法案に対する国民投票の結果は、先住民族が多数を占める西部高地諸県における圧倒的な賛成と、非先住民の多い東部低地諸県での反対という結果となり、憲法の規定を実現していくプロセスでの困難が予想される。(2008年1月26日)
 開発と権利のための行動センター
 青西

[1]http://www.erbol.com.bo/noticia.php?identificador=2147483914979&id=1

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