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2009/03/21

グアテマラ:鉱業法に関する議論・鉱山による健康被害

<鉱業法>
 現在、グアテマラでは2006年8月に提案された法案3528に基づいて、鉱業法の改定についての審議が進んでいる。この法案が今年1月22日にエネルギー・鉱業委員会における審議のうえで、同意的な意見書をもって議会に報告されたことから、これに反発する議論が高まっている。[1]
 原案からの改定も行われているとのことで、現在審議されている法案の正式な文面は把握できていないが、現行法にある免税措置が維持されているとのこと、ロイヤルティが3パーセントに押さえられていること、先住民族への協議についての規定に問題があることなどが指摘されている。(ロイヤルティは4.5あるいは3-7パーセントという報道もなされている)

 ロイヤルティについては、ルイス・フラテ環境大臣は現行の1パーセントから少なくとも12パーセントまで引き上げるべきだと指摘している。[2]カトリック教会も、ハイ・レベル委員会で提案した12パーセントまで引き上げるべきだと反発している。[3]
 
  先住民族に対する協議、あるいは鉱山開発に際しての住民投票については、法案3528では次のように定めるにとどまっている。
-都市農村開発審議会における代表を通じて協議を行うこと
-情報を提供すると共に、当該民族は影響を受けると思われる問題について意見を表明し、あるいは提案に対して合意を結ぶことができる
-表明された意見については、それを考慮し、技術的・合理的にその損害を特定し、その点について修正する[4]
 
 この点について、ウエウエテナンゴやサン・マルコス県キチェ県などの先住民族組織の連合体である西部先住民族審議会は2月24日に声明文を発表した声明文の中で、この改定はILO169号条約や先住民族の権利宣言などに定められている権利を踏まえておらず、コミュニティによる協議という権利を侵害しているとし、あらためてコミュニティによる協議が拘束力を持つという、伝統的な意思決定のメカニズムと社会的組織の正統性を主張している。[5]

 こうした中で、2月17日、ロサ・マリア・デ・フラデ議員は、現行法の問題を指摘し、半年間のモラトリアムを定める法案を提出した。[6]また環境大臣もそれを支持するコメントを発表。[7]環境NGOであるCALASの代表のユリ・メリニも政府公報のコラムでモラトリアムを支持。[8]更に3月19日、CALASや西部先住民族審議会などは、国会のエネルギー・鉱業委員会の議長に新鉱業法の審議について公開された審議を求めて意見書を提出。
 次のような点を指摘している。
-鉱業は世界中で社会的・環境的に高い影響を与えている。グアテマラでもいくつものコミュニティやテリトリーで高いレベルの紛争をひきおこす可能性がある。
-既に50万近いグアテマラ国民が住民投票に参加し、受け入れがたい開発モデルであるという意思を表明している。
-新しい鉱業法の審議と承認のプロセスにおいては公開討論を行うように求める。
-こうした審議は影響を受けるコミュニティがアクセスしやすい場所で、また様々なフォーラムや公聴会についてより広範にマスメディアによって伝えられることが不可欠である。[9]

 更にロイヤルティを最低でも10%にすること、またその使途を植林や上水整備、保健などに定めること、住民への協議を定めること、鉱山の閉鎖手続きを明確にし、20年後にその影響が残らないことを保証することなどを求めている。[10]
 
 2008年6月に、憲法裁判所が現行の鉱業法のいくつかの条項に関して違憲であるという裁定を出していることから改正を進めざる得ない状況にあり、今後の推移を見守っていく必要がある。 

[1]http://www.prensalibre.com/pl/2009/febrero/02/292313.html
[2]http://lahora.com.gt/notas.php?key=44943&fch=2009-02-26
[3]http://www.prensalibre.com/pl/2009/febrero/25/297690.html
[4]Iniciativa de ley 3528
[5]Declaración del Consejo de Pueblos de Occidente (2009.02.24)
[6]Iniciativa de ley 3988
[7]http://www.prensalibre.com/pl/2009/febrero/27/298269.html
[8]http://dca.gob.gt:85/archivo/090313/opinion2.html
[9] Convocatoria de Prensa
[10]http://www.prensalibre.com/pl/2009/marzo/20/302862.html
   
<鉱山による健康被害>

 サン・マルコス県マルリン金鉱山周辺での健康被害の報道がいくつかなされている。皮膚に発疹ができるというものである。
 Canadian mine accused of causing skin infections  
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/7934513.stm
 上の記事は   Rights Action の下記の報告を参考にしている
 HEALTH HARMS IN SAN MIGUEL IXTAHUACAN WHERE GOLDCORP Inc. OPERATES AN OPEN-PIT, CYANIDE LEECHING GOLD MINE(2009.2.20)
  http://www.rightsaction.org/articles/San_Miguel_022009.htm
 政府公報であるDiario de Centro Americaでもこの件について報道しており、鉱山労働者の血液中にも有害物質が検出されていると報じているが、どのような対策を講じるのか政府関係者のコメントすら報道されていない。
  http://dca.gob.gt:85/archivo/090311/nacional2.html

 開発と権利のための行動センター
 青西

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2009/03/17

内戦が終わったにもかかわらず、いまだ「戦争中」なのか:グアテマラ

 内戦終結から13年がたった今、グアテマラの人権状況は危機にある。人権擁護団体は、相次いで、現在の状況を戦争と例える報告書を発表している。36年間にわたって続いた武力紛争がただ名前を変えただけで、「戦争」が続いている、「新しい戦争だ」と指摘している。
 
 ここではミルナ・マック財団が昨年12月に公表した報告書「グアテマラにおける<新しい戦争>の枠組みの中での、不安定と治安面での統治能力の喪失」の抄訳に、いくつかの資料の情報を加えて現状を報告する。(1)

I.<新しい戦争>
 強力に武装した犯罪組織が現在の「戦争」の主役である。彼らは上納金を要求し、誘拐し、そして公共交通機関の運転手を次々に殺害している。彼らは違法に、闇市場で入手した武器を利用しているが、政府は防衛省内部に武器弾薬管理局という専門部局を設けているにもかかわらず、そのコントロールができずにいる。犯罪組織は犯罪による資金と、正規市場あるいは闇市場を通じて容易に武器が入手できる状態の中で、暴力集団を育て上げ、縄張りを支配し、権益を防衛し、住民を脅かしている。こうした闇の治安組織は、組織犯罪の権益を邪魔する者を、コミュニティ・リーダー、新聞記者、政治家、そして司法当局者を脅迫し、殺害し続けている。
 このような闇の組織は、軍人や、現役そして汚職で解雇された警察官をリクルートし、闇の治安部隊を組織している。特に膨大な資金を投入して育てている軍の特殊部隊、カイビレスのメンバーが利用されている。
 この他に、マラスやパンディジャス(ならず者)がいる。彼らも武装し、首都の街区で恐怖をまき散らしている。ゆすり、要求に応えなければ殺害し、自分たちの縄張り内に住む若い女性たちを暴行し、仲間に入ることを強要する。
 これらの犯罪組織には武器が容易く供給され、そして疑うことなく利用されている。武器の流通にはほとんどコントロールが効かない状況であり、犯罪組織はどのような武器も容易に入手することができる。1999年から武器弾薬の管理に関する法案が議会で審議されているか、業界団体の圧力の下、いまだ法律は制定されていない。

付記1)Instituto de Enseñanza para el Desarrollo Sostenible(IEPADEZ)の報告書は、グアテマラにおいて正式に所有されている火器は25万丁にのぼるという。これ以外に違法に所持されていると思われる火器が約80万丁存在すると指摘している。殺人事件の死者の8割はこうした火器によるものである。(2)
                                                                                
 しかし現在のグアテマラには、このような犯罪に立ち向かっていくことができる司法制度も治安制度も存在していない。警察は脆弱で、汚職にまみれている。警察機構は国家に見放され、住民からは猜疑心と怯えをもって突き放されている。確かに、ここ18ヶ月間、犯罪に手を染めてきた警察官の浄化の取り組みが進められてきたが、それは不十分であり、ほとんどの場合は、せいぜい解雇されるだけで、法的な処罰すらなされていない。大衆の前にその腐敗しきった姿をさらしただけのことである。

II.暴力と犯罪の様相
 この「新しい戦争」の中で、一般犯罪、組織犯罪、マラス、そしてパンディジャスは暴力と犯罪をはびこらせ、治安制度を崩壊に導き、更に中央政府の不安定さの一因となってきた。2008年1月から11月に約5000人が殺害され、ここ5年間の平均で10万人につき46人が殺害されている。(日本は10万人に約1人であり、グアテマラは中南米でも最も殺人件数が高い国の一つである)影響の大きな犯罪に直面する中で、癒しがたい影響が引き起こされつつあり、個々人の安全と生命、財産が危険にさらされているだけではなく、民主的な政治モデル自体が危機にひんしている。

III.特記すべき事件
 このような暴力や犯罪はここ12年余りで広がってきたものであるが、現在最もおぞましいのは公共交通機関、バスの運転手や助手の殺害であるが、この他にも誘拐、ゆすり、麻薬密売、そして闇の部隊による処刑などの問題も存在している。

付記2:2月に公表された人権組織GAMの報告書によると、ここ14ヶ月で155人の運転手が殺害されたが、逮捕された容疑者は3人にすぎないという。さらにマラスによるゆすりの対象として教員が狙われるケースが出てきており、この2ヶ月で8人の教員が殺害されたという。(3)

 麻薬密売も広がりつつあり、グアテマラは域内でも主要な密売ルートとなり、関連する暴力も増加し、また若者への麻薬汚染も広がりつつある。ここ最近のいくつかの事件がこうした状況を白日の下にさらすこととなった。
1-2008年3月25日、サカパ県にて麻薬密売人同時の銃撃事件があり、12人が死亡
2-2008年11月8日、同じくサカパ県にて、ニカラグア人観光客15名と1名のオランダ人の乗ったバスが焼かれる。
3-2008年11月30日、ウエウエテナンゴ県のサンタ・アナ・ウィスタでの密売人同士の抗争で、17人が死亡
 
 これらに加えて組織犯罪と結びつき、なおかつ相互につながっている事件として次のものがある
1-2007年2月 エルサルバドルの中米議会の議員殺害
2-2007年2月 この事件に関与しているとされて逮捕された元警官の刑務所内での処刑
3-2008年4月  誘拐対策局の(元)局長殺害
4-2008年7月  これらの事件を扱っていた予備検事の殺害
5-2008年10月 前記の元警官処刑に関与したと見られる若者の逃亡を幇助した女性が刑務所内で殺害される
6-2008年10月 上記の事件の数日後、同じ女性刑務所の所長殺害
7-2008年10月 刑務所内暴動のさなかに、元警官処刑に関与したとされる容疑者の刑務所内での殺害

 マラスや組織犯罪の広がり、国家制度の弱体化は多かれ少なかれ中米域内各国で見られるものである。しかしグアテマラにおいて問題を深刻化させているのは、犯罪組織のメンバーが治安関連の政府機関、司法府、行政府、立法府に浸透していることである。こうして汚職の構造と不効率が再生産されていくのである。

付記3:GAMの報告書によると、2006年1月から2008年10月のここ34ヶ月間に公訴された数は671889にのぼるが、裁判で判決まで出された事件は6パーセントにすぎない。(3)

 もう一つの暴力の問題としては、移民に関連する事件がある。国境を越えて職を得ようとするもの、特に女性と子どもは深刻な人権侵害にさらされる。奴隷的な状況に置かれ、売春を強要されといった非人間的な搾取を受けるのである。

IV.現状と戦略の乖離 
 こうしてグアテマラでは年間に6千人近くが殺害されているが、ここ3ヶ月ほどの間に、治安・司法面において国家が統治能力を喪失し、また信頼感も急速に失われている。和平協定以来、司法部門の強化などに多くの資金が投入されたにもかかわらず、改善はされなかった。1997年に設置された国家文民警察の設置と改革プロセスは2000年には停滞し、専門的な人員は欠如し、公共秩序を保証する能力はない。

V.危機の中での政策と前進 

 警察を管轄する内務省ではこれまでも改善に取り組んできたがうまくいっていない。警察の強化のために警察学校の増加、人員増、などが必要とされている。現在18000人程度の警官の数を3万人にまで増やそうという計画もあるが、一朝一夕に実現するものではない。しかし十分な予算もなければ、給料も安く、危険な職業である警官を志す者も多くはない。

 また制度の脆弱さに加えて、警察の弱体化を狙った計画的な動きも存在するのではないかと思われる。この中で内務省や警察の権威失墜とともに、軍や民間警備会社のスペースを広げるといった狙いがあるのではないか。


付記4:民間の警備会社は5万から6万、非正規のものを入れると15万にも達するという。こうした規制やコントロールも十分ではない民間の警備会社の増加は、権利の保障が不平等になるだけではなく、容易に組織犯罪と結びついていくこととなる。(4),(5)

 V.I 軍と市民の安全
 治安の悪化を前に、治安維持のための軍の参加を求める声がある。しかし軍の参加による治安維持という方向は避けるべきである。治安維持への軍の参加はあくまで一時的、側面的なものに限定し、明確に規定すべきである。警察の弱体化を放棄し、軍に委ねていく、あるいは民間のサービスに委ねていくという方向に陥ることは避けなければならない。安全を保証するというのは国家の重要な役割であり、これを放棄することなく、文民警察の強化に取り組みことが重要である。

付記5.軍に対して172の自治体から出動要請が出ているという。しかしこの背景には元自警団等の声が反映されているという指摘もある。(6)

 まとめ:開発と権利のための行動センター 青西

この記事は1)の報告の抄訳を中心に、その他の資料を利用して整理したものである
1)Inestabilidad y pérdida de gobernabilidad en el sector seguridad,en el marco de una “guerra nueva” en Guatemala   Fundación Myrna Mack,2008.12
2)Armas pequeñas y desarrollo en sociedades post conflicto,IEPADEZ,2006  http://www.iepades.org/Publicaciones.html
3)Informe sobre la situación de derechos humanos y hechos de violencia durante los meses enero y febrero 2009,  GAM, 2009.2
http://www.gam.org.gt/public/publi/pdf/Informefebrero2009.pdf
4)10 years without war…waiting for peace:The State of Compliance with the Peace Accord on Strengthening Civilian Power and the Role of the Armed Forces in a Democratic Society, PBI,2007
http://www.pbi-guatemala.org/field-projects/pbi-guatemala/publications/special-reports/?no_cache=1
5)" Empresas de seguridad privada proliferan en tiempos de Paz",Inforpress Centroamericano. 2007.03.30
http://www.albedrio.org/htm/articulos/s/sgiron-015.htm
6) "Seguridad interna: fuerzas castrenses ganan terreno",Inforpress Centroamericano. 2008.02.27


 3/21付記:議会で審議されていた武器弾薬の管理に関する法は再び審議が中断しているとのことである。ラ・オラ紙によるとライセンス当たり月400発で合意された弾薬の購入上限が、月1200発に密かに改変されたとのことである。
http://www.lahora.com.gt/notas.php?key=46052&fch=2009-03-19
http://www.prensalibre.com/pl/2009/marzo/20/302864.html

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2009/03/13

グアテマラへようこそのご案内

開発と権利のための行動センターでも発行に協力しております、「グアテマラへようこそ」のメールマガジン第52号が発行されました。
 目次のみ掲載します。
メールマガジンのバックナンバー、登録は次のサイトから
http://archive.mag2.com/0000151310/index.html
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           グアテマラへようこそ メールマガジン
              2009年3月13日発行  第52号
                     発行部数:252(3/13現在)
              発行:グアテマラへようこそ@ねっと
          http://homepage2.nifty.com/Guatemala/index.htm
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 グアテマラへようこそ ●目次●
●1 イベント案内
1-1 セルバンテス文化センター「線路と娼婦とサッカーボール」
1-2 南米連続勉強会 -2月21日エクアドル
●2 グアテマラ短報(2/10作成)
2-1 危険にさらされるバス運転手
2-2 禁煙法施行へ
2-3 性的暴行や搾取に対する法の成立
2-4 グアテマラで大規模開発の背後に潜む殺人グループ
2-5 悪化する治安状況を前に、再び広がりつつある軍の影
2-6 その他
●3 関係団体から
3-1 グアテマラ支援に関する意見交換会
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2009/03/11

エクアドルの環境団体に対して政府の圧力

 3月9日、エクアドルの環境団体であるアクシオン・エコロヒカが政府からその法人格を剥奪されました。報道によりますとコレア大統領は、NGOは「好き勝手を行い、不適切に政治に介入している」とみなし、また「国内には三万のNGOなど非営利組織が存在するがその95%が法的な手続きを満たしていない、こうしたものを排除するのだ」と語っているとのことです。[1]
 これに対し、アクシオン・エコロヒカは「設立目的を逸脱している」という名目で法人格の剥奪を命じられたとのことで、政治的弾圧だと告発しています。HPにおいてアクシオン・エコロヒカは次のように訴えています。
「アクシオン・エコロヒカは、エクアドルの新憲法にも定められている、自然資源を守り、健康な環境を保全し、自然の権利を擁護するという目的と原則にそって活動してきたのであり、これは健康への権利も含んだ"BuenVivir "(良き生き方)に到達する基盤でもある」
「1986年に法人格を取得して以来、年次報告といった義務を果たしてきており、いまだかって一度も観察意見等を受け取ったことはなく、対話もない今回の手続きは正当な手続きとは言えない」
「これは単なる行政的な整理ではなく、アクシオン・エコロヒカが様々な組織と行ってきた、特に鉱業法と大規模な鉱山開発に反対する活動への報復であることは明らかである」[2]

 エクアドルでは新憲法制定後に定められた鉱業法が、憲法に定められた権利を侵害し、また多国籍企業を優遇するものであるという批判が高まっており、NGOや先住民族組織と、鉱業法に基づき鉱業開発を促進したいコレア大統領との溝が深まっていました。世界も最も環境に配慮している憲法の一つであろうエクアドル新憲法下で、このような形で環境団体へ圧力がかけられるということは非常に残念な出来事です。
 また昨年来凍結されていた二つの鉱山の操業が許可されたという報道もあり、環境と鉱業開発を巡って、また4月26日の総選挙に向けて緊張が高まっていくことが予想されます。
追記:この件について、アクシオン・エコロヒカのサイトにはエドゥアルド・ガレアーノやノーベル平和賞受賞者のアドルフォ・ペレス・エスキバルなどの声明が掲載されている。

[1]http://www.expreso.ec/ultimas-noticias/?codigo=2009310142752 他
[2]アクシオン・エコロヒカ http://www.accionecologica.org/index.php

開発と権利のための行動センターでも現在対応を検討中である。

 開発と権利のための行動センター
 青西

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2009/03/07

グアテマラで大規模開発の背後に潜む殺人グループ

  グアテマラで鉱山開発や水力発電ダム建設に伴う人権侵害事件が相次いでいる。1月23日にはウエウエテナンゴ県のサン・イデルフォンソ・イシュタウアカンにおいて、鉱山開発による先住民族の権利侵害を訴えていた若者のグループ、モホマヤスのサンティアゴ・ペレスとマリア・デ・ラス・メルセデスの2人の若い活動家がむごたらしく殺害される事件が起きている[1]。しかしこの事件以外にも各地で脅迫や暗殺予告が相次いでおり、2人が所属していたモホマヤスでは2月23日、改めて声明を発表し、各地で鉱山開発やダム開発に伴って多数の脅迫事件などが起きていることを告発している。
  声明文は次のようなケースを指摘している。 
 キチェ県、シャララ・ダム計画地域のコポン川においてダム開発反対運動を続けているドミンゴ・コックおよびフェルナンド・コックに対する脅迫。 
 2008年8月、キチェ県、サン・フアン・コッツアルの市長が、地域の水力発電ダム計画に反対しているペドロ・サンブラノとバルタサル・デ・ラ・クルスに対し、反対運動を続ければ殺害するとピストルを手に脅迫。 
 2008年11月から12月にかけて、先住民族の集団的権利確立のためのプロジェクトを推進しているホルヘ・モラーレスを電話で脅迫。12月14日には事務所から尾行し、路上で銃口を突きつける。 
 2009年2月2日、アルタ・ベラパス県のカアボンにおいて、鉱山開発やダム開発の文化的・環境的な影響調査の支援作業を行ったネリ・ロメオ・コック・チョックを誘拐。車に押し込んで、殺害すると脅迫。更に所有していた報告書のコピーを強奪。 
 こうした事件を踏まえ、先住民族組織では司法当局などに対して厳正な調査、特に暗殺団の解明と解体を要請している。[2] 
 現在、グアテマラでは新鉱業法が議会のエネルギー・鉱業委員会で審議されているが、企業に対する免税措置が維持されるなど鉱業促進の色が強く出ている。先住民族組織は新しい鉱業法案について、先住民族の権利を十分に保障していない上に、憲法に定められている基本的な人権を侵害していると告発している。[3] 
 司法制度が脆弱化し、犯罪者が野放しになっているグアテマラではあるが、地域住民の権利を十分に尊重した法律を施行し、それを履行することがこのような人権侵害を防ぐためには不可欠であろう。(0902.27)

 付記:[1]の事件についてはいまだ調査も行われず、当時検死すら行われなかったと報告されている。この事件について、厳正な調査を要求するレター文例>>>090307%20carta.pdf090307 carta.pdf 
 説明文書入りA4バージョン090307%20A4%20carta.pdf090307 A4 carta.pdf

 開発と権利のための行動センター
 青西
 

[1]この事件については日本の連帯組織なども声明文を発表しており、日本の14団体が抗議の声をあげている。 
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2009/01/post-ae49.html
[2]La Coordinadora Nacional de Viudas de Guatemala CONAVIGUA,El Movimiento de Jovenes Mayas MOJOMAYAS, La Coordinacion y Convergencia Nacional Maya  Waqib’ Kej, LA PERSECUCION DE LIDERES INDIGENAS QUE LUCHAN POR LA DEFENSA DE LA MADRE TIERRA EN GUATEMALA, 2009.2.23 
[3] Declaracion del Consejo de los Pueblos de Occidente, 2009.2.24 
 

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2009/03/03

グアテマラの悪化する治安状況を前に、再び広がりつつある軍の影

  36年間にわたる内戦の中で、政府軍による大規模な虐殺が繰り広げられたグアテマラでは、1996年の内戦終結に際して締結された和平協定において、軍の役割は国境防衛に限定されたはずであった。しかし軍の兵員数削減の一方で、2006年より開始された警察支援という名目での軍による治安維持活動は、麻薬組織など組織犯罪の広がりや、文民警察の限界、汚職や腐敗を前に足場を固めつつある。
 2月16日付けの現地のプレンサ・リブレ紙の記事によると、軍に対して国内362の街区や村などから治安維持のための出動要請があげられているという。さらには軍による激しい弾圧にさらされたグアテマラ北部、キチェ県イシル地域でも駐屯地が再開されるという。
  一方、2004年まで派遣されていた国連グアテマラ和平検証団の最後の代表であったトム・コニックスは、今年2月8日にグアテマラを訪問した際のインタビューにおいて、こうした軍の展開に懸念を表明している。コニックスは1996年に締結された和平協定の最も重要な成果の一つとして、民主的な社会における軍の機能が定められ、その人員が半分に削減されたことに言及する一方で、現状のグアテマラにおける治安の問題、脆弱な文民警察の問題を指摘している。しかし治安の悪化の中で、軍が市民社会を守るとして、道路に展開することの危険性を指摘し、必要な数の文民警察を育成し、配置することの必要性を訴えている。[1]
 こうした中、警察と軍の参加によって行われた農民排除における過剰な暴力に対する反発も強まっている。アルタ・ベラパス県では、2月11日、不法占拠とされた農民が、警察に加えて100名余りの軍部隊に弾圧され、1名の死者が出る事件が起きている。これに対してグアテマラの農民組織は「グアテマラ軍は国境を防衛するかわりに、権利を要求する先住民族のコミュニティを弾圧している...和平協定によって民主社会における軍の役割は国家主権を守ることに限定されたはずであるにもかかわらず、内戦期のように再び弾圧を行っている。それも今は農園主と寡頭支配層を擁護するためにだ」と告発している。[2]
 1月末にもペテン県のラグーナ・デル・ティグレ国立公園に侵入しているとされたコミュニティが弾圧を受け、軍のヘリコプターなどからも銃撃される事件がおきている。人権団体は軍の命令に従わなかったとして射殺された者もいると告発している。[3]

 今年度には軍事予算の増加、増員なども既に計画されており、麻薬対策の名目で軍による人権侵害が広がらないよう国際社会の目が必要とされている。(2009/2/19 青西靖夫)


[1]Centro de Estudios de Guatemala, ENTREVISTA A TOM KOENIGS, ULTIMO JEFE DE MINUGUA,Guatemala, 2009/2/8
[2]CONIC, "CONIC CONDENA ENERGICAMENTE EL DESALOJO DE LA COMUNIDAD LOS PINOS, SAN MIGUEL TUCURU",Guatemala,2009/2/11
[3]  Convergencia por los Derechos Humanos, "COMUNICADO DE PRENSA-Laguna del Tigre",Guatemala,2009/2/10
                       

 

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