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2009/04/23

パナマ:ナソ民族の権利の尊重を求めるインターネット署名

 4月8日付けのブログ記事「パナマ:ナソ民族が土地から排除される」(http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2009/04/post-54cc.html )に関連して現地よりナソ民族の人権、テリトリー、文化への尊重を求める署名がインターネット上で行われています。
 インターネット署名については パナマのALMANAQUE AZUL の次のサイトをご覧ください。(英語・西語)
  http://www.almanaqueazul.org/comunicado-naso/

 この声明文ではサン・サンとサン・ドゥリにおける強制排除の問題を取り上げ、政府に対してこれらのコミュニティの人々の権利の保障、警察の退去、ガナデーラ社の武装した人員が地域に入らないようにすること、ナソ民族のテリトリー(コマルカ)の設置を含めた交渉の開始、今回の警察の行動に関する責任を明らかにすること、また検察庁長官に対して今回の事件に関与した公務員の職権濫用に関して調査を行うことなどを求めています。

 またコミュニティの2名の女性が、政府の真摯な対応をもとめハンストに入っているとのことです。

 開発と権利のための行動センター
 青西

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2009/04/22

コロンビアにおける土地からの排除と国内難民化

 コロンビアにおける土地からの排除(Desplazamiento)と国内難民化(Desplazados)について、いくつかの記事を紹介し、現状を知る手立てとしたい。
 コロンビア:増え続ける国内難民
 4月22日、コロンビアの人権組織CODHESから”Víctimas emergentes: desplazamiento, derechos humanos y conflicto armado"と題する報告書が公表された。この報告書によると国内難民は増え続けており、昨年一年間で380863人、76172家族が土地を追われ、国内難民化したという。これは2007年と較べて24%の増加を示している。
 2006年以降強制的な土地からの排除/国内難民化は増加する傾向にあり、非合法武装グループが支配を確立し、農民が軍事的な目標となり、その土地や財産が戦利品とみなされるようになってきたという。
 また2008年には13500人の先住民族が土地を追われている。これは国内難民の3.5%を占めている。こうした事態が、先住民族コミュニティの消滅や分断に拍車をかけている。
 女性に対する性的な暴力も、国内難民化を引き起こしている。2100人への調査結果によると17%の女性が国内難民化の原因に性的な暴力をあげているという。
 こうした土地から強制的な排除されるという事態は、領域への支配を巡って引き起こされるだけではなく、合法・非合法、また国内外の経済集団の利害、巨大プロジェクトや自然資源の採掘、紛争地帯におけるアグロ燃料生産のためのモノカルチャーの振興などとも関係しているのである。暴力に支配された状況が、経済的なモデルを押しつける絶好の機会となり、その中で先住民族やアフリカ系民族のコミュニティの存在などが邪魔になっているのである。

  Crece número de desplazados por conflicto armado(Aditalに掲載された記事)にほぼ依拠している。
 http://www.adital.com.br/site/noticia.asp?boletim=1&lang=ES&cod=38351
 報告書原文はこちら:Víctimas emergentes: desplazamiento, derechos humanos y conflicto armado
  http://www.codhes.org/images/stories/pdf/codhes%20informa%2075.pdf

 ”La tierra, una fuente de poder político y militar ”(土地:政治的・軍事的権力の源泉)カウカ大学の法・政治・社会学部のハイロ・エルナン・オルティス・オカンポ氏は、テリトリーへのコントロールを巡って土地からの排除が進みつつあると指摘している。

 国内難民は2006年の約24万人から2007年に約18万人に減少した。(注:上に紹介した情報とは異なっている)現在多いのは太平洋岸地域、アルト・パティア、そしてピエデモンテであり、これらの地域は武装ゲリラ組織(FARC,ELN)の活動地域であり、また Organización Nueva Generación、 Los Rastrojos、 Los Machosと言った新しいパラ・ミリタリーが現れつつある地域でもある。
 CODHESのデータによれば、32の県から毎日743人が移住を強いられているという状況である。 2002年から2007年にかけて、約131万人が国内難民となり、1997年からの10年間で285万人が土地を追われたこととなる。
 国内難民の75%が農村部から生み出されており、ここ15年間に武装グループ及び麻薬組織によって農民から5百万ヘクタールの土地が奪われたのである。これはコロンビアの国土面積の3分の1に相当する。国内難民の54%が土地所有者であったが、そのうち72%は土地を放棄し、13%のみが微々たる金額にせよ売却することができた。

 コロンビアにおける紛争は領域支配を巡る闘争という共通の性格を有する。コロンビアの政治に暴力は常につきまとっていたが、歴史的にも土地集中と結びついてきた。歴史的な農地問題について考えることで、暴力という現象についても理解することができる。暴力は国内各地に広がっており、それらは土地に対してそれぞれ異なる役割を与えてきた。しかし共通することは土地が政治的、軍事的な権力の源となってきたということである。今日では単なる土地所有を巡るだけではなく、戦略的な価値を持った領域のコントロールが目されている。住民の排除は土地の独占、すなわちその土地の資源や巨大な開発プロジェクトに隣接すると言ったことから生じる利益による戦略的な領域管理と関係している。土地からの強制的な排除が国の特定の地域で進んでいるのは偶然ではない。土地集中の高い地域で進んでいるのである。

 土地からの強制的な排除は、軍事紛争の結果ではなく、戦略的な資源のある領域から人を排除するために武装グループによって取られている戦略なのである。戦争があるから国内難民が生み出されているのではなく、住民を排除するために戦争が行われているのである。そこで軍事的な要衝以外でも住民の排除が進んでいるのである。
 
 麻薬密売は一部地域においては、土地集中の最大の要因である。「ナルコ大農園」は国内の優良農地うちの4百万ヘクタールを確保している。違法な経済活動を展開するために行われる領域コントロールのための闘争が強制的な土地からの排除の主要な原因である。

 「テリトリーの剥奪」。先住民族組織ONICによると17の先住民族が、土地からの排除などによって絶滅の危機にある。文化、自然資源、テリトリーと深い結びつきを保ってきた先住民族にとって、テリトリーを奪われるあるいは放棄せざる得ないことによる影響は更に深刻である。社会的な結びつきをずたずたにされるのである。 

 土地からの排除はそれぞれ異なる条件で進み、また異なる結果を引き起こしている。違法な(コカ)栽培に対する無差別な農薬散布政策、社会的紛争、労働者への需要、権利要求のための闘争、公的なスペースのコントロールなどの文脈の元でうみだされている。またそれは経済・政治・文化的なグローバリゼーションの中で現れているものでもある。巨大プロジェクトの実施、特定の地域や人への地政的な目的の賦与が、テリトリーの剥奪を引き起こしている。つまりテリトリー、文化、生物多様性、資源に対するコントロールを意味しているのである。

La tierra, una fuente de poder político y militar (2009.4.19)から構成
 http://www.elliberal.com.co/index.php/Primera/Politica/La-tierra-una-fuente-de-poder-politico-y-militar.html

 チョコ地方で2千人近くの先住民族が土地から追われる。
 3月19日付けのVERDADABIERTA.COMのニュースは、最近2週間で約2千人の先住民族が土地から排除されたというニュースを伝えている。チョコ県の太平洋岸では、エンベラ民族がRastrojosとゲリラ勢力であるELNとの対立や脅迫によって土地から追われているとのことである。
 15コミュニティの先住民族は、Rastrojosの約2百人のメンバーがテリトリーに侵入し、脅迫すると共に、ELNの逃亡グループとの抗争への協力を強いていると訴えている。さらにこの地域では、FARCのアウレリーノ・ロドリゲス戦線の存在があるが、Rastrojosと麻薬密売の取引を分け合う協定を結んでいるとのことである。
 バホ・バウドにおいても千人ほどのエンベラ民族の居住する9つのコミュニティが、二つの非合法武装グループの対立で荒廃させられてしまったとのことである。またメディオ・バウドでも35のコミュニティが複数の非合法武装グループによって避難を強いられているとのことである。
 先住民族は武装グループからの絶え間ない圧力にさらされており、そのテリトリーで狩猟や漁労に従事することが難しくなってきている。先住民族リーダーの一人は、「全ての非合法グループから脅迫を受け続けている。彼らは子どもたちをリクルートしようともしている。」と語っている。
 ACNURのコロンビア代表は、先住民族の保護に取り組む必要を強く主張している。
 この地域ではÁguilas Negras とlos Rastrojosというパラミリタリーまたゲリラ勢力であるFARC-EPとELNが先住民族テリトリーのコントロールを巡って対立を続けており、先住民族が土地から追われている。
 コロンビアでは27の先住民族グループが絶滅の危機に瀕しているが、内戦と強制的な土地からの排除の結果である。人々の生存は伝統的なテリトリーに居住しつつけることができるかどうかに大きく委ねられている。しかし不幸なことに多くの先住民族が土地を追われ、国のあちこちに散らばってしまったのである。
Cerca de 2 mil indígenas desplazados en las dos últimas semanas en Chocó  
http://www.verdadabierta.com/web3/conflicto-hoy/50-rearmados/1048-cerca-de-2-mil-indigenas-huyen-de-amenazas-y-violencia-en-colombia-

 3月13日付けのVERDADABIERTA.COMのニュースも同様にRastrojosによる先住民族の土地からの排除について伝えている。
 この記事ではRastrojosが麻薬搬出ルートを確保するためにドゥバサ川とカトゥル川の流域を押さえようとしていると伝えている。更にELNと麻薬ルートを押さえるために対立しているとのことである。Rastrojosはエンベラ民族をゲリラ勢力の支持者とみなし、暗殺対象者のリストを持って村に侵入してくるという。
 更に、Rastrojosは川岸に検問を設置し、通行する農民や先住民族から金品を取り上げ、銃床で殴りつけているという。こうした圧力で近隣のカトゥルの町に900人ほどの先住民族が避難しているという。
 更にこの記事は “Los Rastrojos”についても説明をしている。記事によるとRastrojosは麻薬密売組織の私兵集団としてはじまったとのことであり、現在1200人ほどのメンバーを有するとのことである。 
"Rastrojos" desplazan 500 indígenas embera en el Chocó
http://www.verdadabierta.com/web3/conflicto-hoy/50-rearmados/1018-rastrojos-desplazan-500-indigenas-emberas-en-el-choco

 チョコ地方の土地を奪った者たち
 セマーナ誌に3月14日に掲載されたこの記事も同じくチョコ地方における土地問題を扱っている。この地域では1997年に発生した軍とゲリラの戦争の中で、大規模な難民が発生し、バホ・アトラト地方で1万5千人あまりが土地を離れることになったという。またパラミリタリーもやってきては脅迫をし、殺害事件を引き起こした。
 その後10年近くたって、状況も落ち着いたらしいということで元の村に戻る人が出てきたが、村は破壊され、かわりにオイルパームの農園が広がっていたという。村の墓地にまでオイルパームが植えられていた。2万9千ヘクタールがもともと村の土地であるが、7000ヘクタールにわたって違法にオイルパームが植栽されている。更にこうした農園は政府の補助金を受け、警察に守られ、またパラミリタリーとも関係があるという。
 こうした問題に対して立ち上がったリーダー達は暗殺され、また脅迫を受け続けている。
 Los usurpados del Chocó
  http://www.semana.com/noticias-nacion/usurpados-del-choco/121717.aspx

 Asesinan campesinos que buscan sus tierras  
 自分の土地を回復しようとする農民の殺害-土地を取り戻そうとする農民たちが、殺され、拷問を受け、脅迫されている。補償政策は失敗し、血なまぐさい形で反農地改革が強化されつつある。
 この記事は農民から土地が奪われるプロセスを報告するとともに、土地補償の政策、法制度がうまく機能していないことを伝えている。
 土地に対して、パラミリタリーは長期的な計画を持っている。ピストルを手に、もう20年近くにわたって、農民を土地から排除し、土地を奪い、あるいは土地を安い価格で買いたたくといったことを続けているのである。政府機関や司法制度を悪用して、すべて正規の手続きにしようとしている。農地改革を逆行させ、地域を政治的に支配し、経済エリートとして君臨するために血が流れることを厭いもしない。
 
  国全体で38万5千家族が土地を追われ、550万ヘクタールの土地が放棄され、奪われててきた。今、土地を取り戻そう、村に戻ろうという人が脅迫され、家を焼かれ、殺されている。ウラバ地方だけで既に4人のリーダーが殺害された。コルドバでは多くの人がコカの違法栽培から土地を取り戻すことを諦め、またバージェでは麻薬組織は政府から土地を受け取った農民の土地が再び銃を持って奪われている。

 土地をめぐる新しい紛争は脆弱な平定地区を再び危機にさらしている、更に農業大臣のアドバイザイザーはこの問題は法治国家をも揺るがせるものであると指摘している。また「金を払って土地を得るかわりに、弁護士に金を払っているのである。土地から追放しておいて、合法的なものに見せかけるために洗練された手法を利用しているのだ」と告発している。

 麻薬組織、パラミリタリー、大土地所有者が農民を土地から排除するために次のような手を使っている。
-頭に銃口を突きつけ、価格交渉をするというものである。
-正式な土地所有権を持つにもかかわらず、武装グループなどに占拠されていて戻れないケース
-難民や農民間での土地所有権の重複:5年以上放棄した場合には、他の人が所有権を得ることができる。これによって重複が発生するケース(2007以前の法による)
-帰還を可能とする条件が整っていないため放棄されたままの状態にあるケース。モンテス・デ・マリアでは地域の企業主がこうした土地を大量に買い集めるケースがあった。

 http://www.semana.com/noticias-nacion/estan-matando/121735.aspx
http://www.verdadabierta.com/web3/conflicto-hoy/50-rearmados/1028-los-estan-matando-semana

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コロンビアの状況について(リンク紹介など)

  コロンビアには足を踏み込んだこともなく、積極的に動きを見てこなかったのですが、昨年のカウカ地方での先住民族運動とそれに対する弾圧の報道に触れて、行動センターでも人権尊重を求める声明文を発表するという形で動くことができました。知らない地域の話であり、直接面識のあるグループなどでもないのですが、グアテマラで行ってきた活動を通して、他人事ではなく感じるとともに、「何か動くべきじゃないか」と思ったのです。
 これまで活動をしてきたグアテマラでなら何かアクションを取るであろう事態を前に、コロンビアの場合には見て見ぬふりをするというのはおかしい話でしょう。
 こうして少しづつ「他人事」を減らしていくことができるのかもしれません。さて、その後時々コロンビアの新聞をインターネットで見たり、ちょうどコロンビアから来日していたイレーネさんと話をする機会を持てたりということで、コロンビアの状況に触れることも増えてきました。

 全体像はこの週末の勉強会で学ばせて頂くこととして、どうも土地紛争というのが大きな焦点になりつつあるようです。武力紛争の歴史の上に、新しい武装グループの形成、オイルパームの拡大が重なって、農民の土地からの排除が続いているようです。この点について次の記事でいくつか目に付いた情報を紹介します。

 またここまでに利用してきた情報サイトなどを少し整理します。(網羅しようという意図ではありません。念のため)
先住民族組織
Organización Nacional Indígena de Colombia  http://www.onic.org.co/
Consejo Regional Indígena del Cauca        http://www.cric-colombia.org/
La Consultoría para los Derechos Humanos y el Desplazamiento -CODHES(人権・国内難民) http://www.codhes.org/
verdadabierta.com (内戦・武力紛争・国内難民などに関する多数のニュースが整理・掲載されている。)
http://www.verdadabierta.com/web3/
Red de Hemandad y Solidaridad-Colombia http://www.redcolombia.org/
Colombia Journal http://www.colombiajournal.org/index.htm
CENSAT-Agua Viva(環境団体) http://www.censat.org/

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2009/04/21

気候変動に関する先住民族サミット

INDIGENOUS PEOPLES’GLOBAL SUMMIT ON CLIMATE CHANGE
4月20日~24日にかけてアラスカで気候変動についての先住民族のサミットが開かれているとのことです。
http://www.indigenoussummit.com/servlet/content/home.html
1. BACKGROUND DOCUMENTSのサイトから関連情報にアクセスできます。
http://www.indigenoussummit.com/servlet/content/background_documents.html

青西

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2009/04/20

アルゼンチン:グリフォサートの毒性について調査結果が公表される

 アルゼンチンで近年大豆生産が拡大しているが、そこで広く使われているグリフォサート(商品名ラウンドアップ)が神経系や心臓に変形を引き起こす可能性がある、という報告書が公表されたというニュースがアルゼンチンのパヒナ12紙に掲載された。[1]
この研究はブエノスアイレス大学薬学部の「分子発生学研究所」が両生類の胚を利用して行ったものであり、グリフォサートが胚の正常な成長に影響を及ぼすことが確認されたという。研究所はこの結果は人間においても比較しうるものであると述べ、早急な使用の制限と長期的な影響調査を行うことが重要であると指摘している。
 アルゼンチンでは大豆生産の拡大に伴って急速に農薬使用量が増えているとのことであり、1996年に3千万リットルだった使用量が2007年には2億7千万リットルにまで急増している。[2] 特にモンサント社のグリフォサート耐性を組み込んだ遺伝子組み換え大豆の広がりによって、広範にグリフォサートが利用されるようになったのである。こうした中で先住民族組織や農民組織などは農薬の健康被害について告発を続けてきていた。 
 
 
[1]El tóxico de los campos
http://www.pagina12.com.ar/diario/elpais/1-123111-2009-04-13.html
[2]Venenos en alza
http://www.pagina12.com.ar/diario/elpais/subnotas/123111-39358-2009-04-13.html
<参考>>
GRUPO DE REFLEXIÓN RURAL というアルゼンチンのNGOでは農薬の空中散布に反対するキャンペーンを展開しつつづけている。  http://www.grr.org.ar/campanapdf/index.php
今年一月にも「農薬を撒かれる人々」と題された報告書を発行している。
Pueblos Fumigados:Informe sobre la problemática del uso de plaguicidas en las principales provincias sojeras de la Argentina
http://www.grr.org.ar/trabajos/Pueblos_Fumigados__GRR_.pdf
また開発と権利のための行動センターのブログでもアルゼンチンにおける大豆生産関係として次のようなニュースを紹介している。
大豆生産に追われるアルゼンチンのウィチ民族
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2009/01/post-2c51.html
大豆生産と南米ーアルゼンチンにおける大豆生産拡大の影響
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/03/post_b4ea.html

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2009/04/16

コロンビア:憲法裁判所が先住民族への協議の必要を認定

 コロンビアの憲法裁判所は3月18日、昨年10月に行われた全国規模の先住民族運動、MINGA(先住民族の共同運動)が廃止を要求していた「農村開発法」に対し、違憲の判決を下した。先住民族はこの法律は「大農園への土地集中を可能とし、先住民族の土地を奪うものである」として反対してきた。
 憲法裁判所は判決C-175/09において、「農村開発法」(法第1152号)の制定にあたり、先住民族及びアフリカ系民族のコミュニティに対して行うべき事前の協議を行わなかったことが憲法に違反していると判断し、この法律は執行できないという裁決を下した。 
  コロンビアが批准している国際労働機関の第169号条約の第6条に定められている、先住民族に直接影響する立法に際して先住民族に対して行われるべき協議が、「誠実」にという原則をはずれていたと判断したのである。[1] 
 大農園への土地集中を可能とし、先住民族の土地を奪うものであるとして、この法律に反対してきた先住民族組織は、今回の判決を大きな一歩と評価している。更に「民衆のための国を作るためには、剥奪のための法律、自由貿易協定、どん欲な多国籍企業を基盤とする開発モデルを打ち倒さなくてはならない。そして私たちにそれができることが示されたのである」、「グローバリゼーションの鎖で自らを縛り上げ、私たちのプロセスや豊かさを引き渡す時代ではない、私たちは鎖を断ち切り、解放される時なのだ」と述べている。[2] 
 
[1] http://colombia.indymedia.org/news/2009/03/99949.php
[2] http://nasaacin.org/noticias.htm?x=9714

開発と権利のための行動センター
青西靖夫 
 

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グアテマラへようこそ53号のご案内

 当会も協力しております、グアテマラへようこそのメールマガジンが発行されました。目次のみ掲載します。内容は次のサイトで読むことができます。
 http://archive.mag2.com/0000151310/index.html
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
           グアテマラへようこそ メールマガジン
              2009年4月16日発行  第53号
                     発行部数:252(4/16現在)
              発行:グアテマラへようこそ@ねっと
          http://homepage2.nifty.com/Guatemala/index.htm
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 グアテマラへようこそ ●目次●
●1 イベント案内他
1-1 4/17 NHK 世界遺産への招待状
  「マヤ文明 緑の仮面発 赤の神殿行」
1-2 南米連続勉強会 -4月25日コロンビア
●2 グアテマラ短報(2/10作成)
2-1 オートバイの二人乗り禁止に議論沸騰
2-2 もっと「マヤの顔」を、コロム大統領にマヤ司祭
2-3 UNEとGANAの連立
2-4 武器弾薬の管理に関する法律を承認
2-5 農民組織のデモと先住民族法の要請
2-6 内戦の記憶をよみがえらせる誘拐事件
●3 関係団体のニュースから
3-1 内戦が終わったにもかかわらず、いまだ「戦争中」なのか
3-2 鉱業法に関する議論・鉱山による健康被害

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2009/04/15

チリのサケ養殖における抗生物質利用について

 3月16日、チリ、経済省は水産養殖業における「抗生物質の利用と管理計画」という報告書を発表。サケ養殖における抗生物質の利用を管理、規制するための計画を発表した。この計画は水産養殖衛生基準(RESA)に組み込まれるという。
 この計画では、養殖密度、オール・イン/オール・アウト、強制的休閑、死亡個体の除去、予防目的での抗生物質の利用禁止、登録薬品の利用、抗生物質利用に関する報告システムの整備などが含まれているという。[1](これを読むとこれまでは全くの野放し状態であったように読めるのだか・・・) 
 国際的な海洋NGOであるOCEANAはこの計画を歓迎する声明を発表する一方で、キノロン系の抗生物質の利用が禁止されていないことに遺憾を表明している。また今後この計画をどのように履行していくかが重要であると指摘している。[2]
 開発と権利のための行動センター
 青西
[1]Ministerio de Economía da a conocer informe sobre uso de antibióticos en la industria del salmón
http://www.economia.cl/1540/article-188515.html
[2]Oceana Welcomes the Chilean Government's Plan for Reducing Antibiotics in Salmon Aquaculture, and Calls for Additional Measures
http://oceana.org/north-america/media-center/press-releases/press_release/0/986/

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2009/04/13

グアテマラ:内戦の記憶をよみがえらせる誘拐事件

 3月25日、中米グアテマラでグラディ・モンテロソさんが12時間余りにわたって誘拐、拘束された上に拷問を加えられる事件が発生した。この事件のあと入院しているモンテロソさんは新聞社のインタビューに対して次のように語っている。
 「このような状況を生きることになるとは想像もしていませんでした。...もう内戦の時代に生きているわけではないのに、この民主主義の時代に、21世紀に、拷問を受けたのです。」[1]
  モンテロソさんは左派政党である「グアテマラの出会い」の首都支部の事務局長であり、また人権オンブズマンの妻でもあったことから、今回の事件の政治的な意図が疑われている。犯人たちは明確な要求をしなかったとのことであるが、モンテロソさん自らが語るように、「グアテマラではもう拷問などしない。金を要求されるか、殺されるのかどちらか」という時代に、この事件は起きたのである。
 「グアテマラの出会い」党は、国会で法案が審議されている、武器・弾薬の取り締まり強化に積極的であり、また人権オンブズマン事務所は事件の前日、24日に過去の警察文書の公開に踏み切ったばかりであった。この文書は2005年7月に発見されたものであり、内戦期に行われた国家による人権侵害、誘拐、失踪事件などの真相を明らかにする多数の資料が含まれているとみられている。現在の暴力に立ち向かい、また過去の暴力に向き合う動きの中で、今回の誘拐事件が発生したのである。(青西靖夫)
[1] http://www.prensalibre.com/pl/2009/marzo/31/305157.html

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2009/04/08

パナマ:ナソ民族が土地から排除される

 追記:パナマのナソ・ファンデーションから家や農作物を破壊されたサン・サンの人々の生活を維持するための支援要請が届きました。衣服、寝具、食糧などの支援が求められています。    
>>>>>>>>>>>>
 3月30日、パナマ西部に住むナソ民族のコミュニティ、サン・サン、サン・サン・ドルイ、サン・サン・ティグレにおいて警察によって、土地からの強制的な排除が行われ、17家族が家屋を破壊され、子どもを含め多くの住民が野宿を強いられている。警察は住居にいるナソ民族の住民に対して催涙ガスを利用して家から追い出し、ガナデーラ・ボカ社の所有する重機によって家屋そして教会を破壊したとのことである。
 牧畜業者であるガナデーラ・ボカ社が所有権を主張して排除を要求したものと見られているが、排除を受けた住民の1人は「自分の土地で捕虜になっているようなものだ。何も犯罪など犯していないのに、私たちの土地を要求し、ナソ民族のためのテリトリー(コマルカ)の認定を要求しているだけなのに」と述べている。
 この地域で活動しているパナマの環境団体であるACDは、これまでにも先住民族に対する警察の不正規な介入が繰り返され、人権擁護官に告発してきたものの適切な対応は取られてきていないと指摘するとともに、先住民族に対するシステマティックな弾圧政策が展開されていると告発している。[1]
 この事件についてパナマの人権擁護官事務所は4月2日に声明を発表し、今回の排除が適切な手続きを経ていないことを告発し、職権の濫用とみなしている。[2]
 しかしこうした状況に対しても、ナソ民族の若者は「家は再び建て直す。先祖代々のこの土地を離れるつもりはない」と語り、再度の排除に対抗する意思を示している。[3]

4台の重機と100名以上の警官がやってきた

警察は家を囲み、催涙ガスを打ち込んだ。子どもたちも
ガスに巻き込まれた

(来月開所を予定していたナソ文化センター)




ガナデーラ社は出ていけ

[1] INDÍGENAS NASO SITIADOS Y DESALOJADOS FORZOSAMENTE
[2] http://www.defensoriadelpueblo.gob.pa/ActividadesCuerpo.asp?ActividadesID=2142079750
 [3]INDIGENAS NASO EXIGEN PRESENCIA DEL PRESIDENTE MARTIN TORRIJOS
写真提供:ACD
開発と権利のための行動センター
青西

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2009/04/05

中南米の先住民族の状況について-サイト紹介

1)パラグアイの先住民族についてアムネスティ・インターナショナルが報告書
 パラグアイのYakye Axaと Sawhoyamaxaが10年以上前に土地を追われ、不安定な生活を強いられています。米州人権裁判所も土地の返還をするよう裁決を出しているにもかかわらず進んでいません。
 アムネスティ・インターナショナルの報告書は次のサイト (英語・スペイン語)
 Paraguay's Indigenous Peoples in peril
 http://www.amnesty.org/en/news-and-updates/report/paraguay039s-indigenous-peoples-peril-20090331
 こちらに12ページのレポートがあります。
http://www.amnesty.org/en/library/asset/AMR45/005/2009/en/adf2e581-3962-426d-91b3-fb0378a385b5/amr450052009en.pdf (英語) http://www.amnesty.org/en/library/asset/AMR45/005/2009/en/e36c487b-31a1-4b69-985c-d1d4511df15a/amr450052009spa.pdf(スペイン語)

2)サバイバル・インターナショナルのサイト
-ブラジル・Enawene Nawe 民族
マット・グロッソ州に住むEnawene Nawe 民族がダム開発に脅かされています。映像もあります。http://www.survival-international.org/tribes/enawenenawe
-ペルー・アマゾン地域での原油開発ブームと先住民族
 http://www.survival-international.org/news/4377
 http://www.survival-international.org/news/4350

3)ブラジルのマデイラ川でのダム計画への反対運動
http://www.omal.info/www/article.php3?id_article=2057
http://www.bicusa.org/es/Article.aspx?id=11077
http://www.redlar.org/noticias/2009/3/19/Comunicados/Represion-a-las-protestas-por-represas-financiadas-por-el-Banco-Santander/  
http://www.gloobal.net/iepala/gloobal/tematicas/?entidad=&id=6826&desde=0

(いちばん最後のサイトはスペインの一自治体が資金を出しているようなのですが、どんな仕組みでこういうサイトが可能になっているのか、関心のある方はこちら。ここから右下のリンクをたどってみてください)
http://www.gloobal.net/iepala/gloobal/hoy/index.php?cajas=info2

開発と権利のための行動センター
青西

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2009/04/03

連続勉強会:コロンビア 4月25日(土)

南米連続勉強会:先住民族運動、社会運動の今と、政治動向

  新憲法の制定などを通じて社会改革を目指すボリビアやエクアドルの政治。
またその中での先住民族運動や社会運動。混乱する世界の中で、未来を模索する南米の動きは目が離せません!
 参加希望の方は事前に開発と権利のための行動センター
   E-mail  :cade-la@nifty.comまで連絡をお願いします。

第三回:「コロンビア:慢性化した紛争状況の中で生きる人々」
日時:4月25日(土) 午後2時半から
講師:千代勇一(せんだい ゆういち)
上智大学大学院在籍。北部アンデスの文化人類学を専攻。現在はコロンビアにおけるコカの代替開発を研究。著書に『アンデス高地』(共著)、『エクアドルを知るための60章』(共著)、論文に「コロンビアにおける違法コカ栽培と政府の対策」、「コロンビアにおける右派ウリベ大統領の再選と左派勢力の伸張」などがある。
会場:人権ライブラリー 多目的スペース
   東京都港区芝大門2-10-12 KDX芝大門ビル4F
http://www.jinken.or.jp/houjingaiyou/access 
資料代:500円(各回同じ)

第四回:「コロンビア・先住民族の人々とともに-コロンビア南部・カウカ県の先住民族の状況とエクアドルへ避難するコロンビア先住民族」

日時:5月13日(水) 午後6時半~8時まで
講師:柴田大輔(しばた だいすけ)
フォトグラファー
1980年茨城県生まれ。大正大学中退。日本写真芸術専門学校二部卒業。 専門学校卒業後、2004年より1年間、ラテンアメリカを旅する 。そこで初めて触れた、先住民族の人々の多様さ、力強さに魅 かれ、2006年より現在は、コロンビアの先住民族を中心に撮影 をしている。
会場:JICA 地球広場 セミナールーム303(予定)
http://www.jica.go.jp/hiroba/about/map.html
東京メトロ日比谷線 広尾駅下車(3番出口)徒歩1分

第五回:「ペルーにおける先住民政治の最近の動向」
日時:5月23日(土) 午後2時半から
講師:岡田勇(おかだ いさむ)
筑波大学大学院博士課程在席
ボリビアとペルーを比較して先住民運動・政治を研究中。論文に「中央アンデス諸国の先住民運動―アイデンティティによる組織化の比較」村上勇介・遅野井茂雄編著『現代アンデス諸国の政治変動―ガバナビリティの模索』(明石書店、2009年)がある。2008年8月から2009年1月まで、ペルーとボリビアに滞在し調査を行なう。
会場:人権ライブラリー 多目的スペース
   東京都港区芝大門2-10-12 KDX芝大門ビル4F
http://www.jinken.or.jp/houjingaiyou/access 

第六回:「南米の政治運動、社会運動のいま(仮題)」
日時:6月20日(土) 午後2時半から
講師:上谷直克(うえたに なおかつ)
ジェトロ・アジア経済研究所
会場:人権ライブラリー 多目的スペース
   東京都港区芝大門2-10-12 KDX芝大門ビル4F
http://www.jinken.or.jp/houjingaiyou/access 

主催:先住民族の10年市民連絡会、
    開発と権利のための行動センター
    日本ラテンアメリカ協力ネットワーク


参加希望の方は事前に下記まで連絡お願いします。
連絡先:日本ラテンアメリカ協力ネットワーク email: recom@jca.apc.org
先住民族の10年市民連絡会 Tel/Fax:03-5932-9515 
email:indy10-Lj@infoseek.jp
開発と権利のための行動センター email: cade-la@nifty.com 

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なぜかグローバルな動きの外にいるサケ養殖の問題

       このブログでも過去に何度か取り上げてきたテーマとしてチリにおけるサケ養殖の問題があります。日本ではどこのスーパーに行ってもチリ産のサーモンを使った塩鮭の切り身を見つける事ができる一方で、チリでは複数のNGOがサケ養殖の問題を取り上げたキャンペーンを行っているにもかかわらずそれが日本でほとんど紹介されていない、このギャップの中でわずかでもと思い、情報発信をしてきました。(チリのカテゴリー参照)

        それでもやはり手が回らないので、なかなかタイムリーな情報発信はできません。どなたかリンクできる情報などありましたら教えてください。
       さて、今日は、養殖サケの問題を扱っているグローバル・キャンペーンのサイトを紹介します。これは米国やカナダ、チリ、ノルウェーなどの組織が過去3年にわたって毎年世界的なキャンペーンを行っているものです。養殖サケが海洋生態系に引き起こす影響なども指摘しています。排泄物や利用される薬品による直接的な汚染だけではなく、養殖サケによる寄生虫や病気の増加、自然界に流出したサケによる拡散などの問題を指摘しています。
        http://farmedsalmonexposed.org/index.html
      世界の10ヶ国、30以上の団体が参加しているこのキャンペーンの組織団体の中に、日本の団体の名称はありません。別にこうしたキャンペーンにくっつかなくても、いろいろな情報が行き渡っているというのであればいいのですが、どうもそうとは思えません。
      この分野の話に詳しいわけではないので、どなたか詳しい方がおられましたら教えて頂ければと思います。

付記(4/7)次のような記事も見つけました。

Acuicultura Insostenible en Chile. El salmón, por el mismo camino que el salitre y el carbón. 29-03-09, Por Dr. Marcos Sommer http://www.ecoportal.net/content/view/full/85031 

参考文献等も掲載されていますので関心ありましたらどうぞ。

       
        開発と権利のための行動センター
        青西靖夫
   
 付記:
   WWFのサイトで関連の話題が取り上げられています。
  http://www.wwf.or.jp/activity/marine/sus-use/index.htm
 海洋生態系関係としては次のような国際NGOが存在するようです
   OCEANA: http://oceana.org/
  Blue Ocean Institute :  http://www.blueocean.org/home

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2009/04/02

コロンビア:気候正義とローカルなオータナティブの再評価を訴える

 コロンビアの環境活動家、イレーネ・ベレス(Irene Velez)さんと語る
 南米コロンビアから、FoE Japanの招きで「途上国における温暖化対策~責任ある支援とは?」 というテーマのシンポジウムに参加するために来日したイレーネ・ベレスさんからコロンビアの状況について話を聞きました。イレーネさんはコロンビアのCENSAT-Agua Vivaという環境NGOに所属し、現在「気候正義:フスティーシア・クリマティカ」というキャンペーンを担当しています。今回はこの気候正義というキャンペーンに加えて、コロンビアの先住民族の動向やアグロ燃料政策についても話を聞きました。

Q:コロンビアの先住民族運動の動向について教えてもらえますか?
 昨年10月の蜂起、ミンガ(先住民族の共同運動)は非常に重要で、また象徴的なものでした。社会に先住民族のニーズに目を開いてもらうだけではなく、ほかの分野で活動する社会運動とつながっていく重要な機会となりました。この運動はコロンビアのカウカ地方の先住民族から始まり、他の地域の先住民族組織に広がっていきました。そして今年は、10月12日、コロンブスのアメリカ大陸「発見」の日、大陸レベルでのミンガが計画されています。ブラジルで開催されていた世界社会フォーラムでもこの方針が確認されています。 
 こうした環境団体と先住民族組織の連携の一環として、気候正義の構築に取り組んでいます。気候的な不正義が私たちに影響を与えています。特に貧困層、マージナルな層が気候変動の被害者となっています。そこに環境運動と先住民族運動を結びつける可能性があります。世界社会フォーラムにおける先住民族宣言も、気候正義の追求を目標として掲げています。
まず3月18日、19日にはコロンビアのポパヤンでボリビアやエクアドル、コロンビアなどのアンデス地域の先住民族を招いて、気候正義のための計画を作成する予定です。そのあとペルーにおいても先住民族組織の集まりがあります。こうした集まりを通じて、様々な社会運動を結びつけ、10月12日に向けて、母なる大地を守るための世界的な動きを作っていきたいと考えています。

Q:気候変動対策の一つとしてもてはやされているオイル・パーム生産はコロンビアではどのような影響を引き起こしているのですか?
オイル・パームはパナマから続くチョコ地方からカウカ、ナリーニョへと積極的に拡大が進められています。これらの地域は熱帯雨林地域で、アフリカ系民族が多く居住する地域です。しかし問題は非常に複雑で、国内における暴力の問題と深く結びついています。背後には軍事的な目的もあります。この地域には強力なパラ・ミリタリーの存在がありますし、地政的なコントロールという目的もあります。麻薬組織にとっても海への出口を確保するという点で重要な位置にあります。こうしたことがオイル・パームの拡大に伴い、この地域では暴力が広がり、同時に大量の国内避難民が生み出されるという問題があるのです。チョコ地方からはカリに多くの避難民が流出しています。
 違法な暴力的なプロセスに加えて、合法的な手段を通じてもオイル・パーム生産は拡大されつつあります。気候変動対策ということで、アグロ燃料生産に政府から植林インセンティブの補助金が出され、またバイオ・ディーゼルの混合を義務化する法律も定められました。
 パラ・ミリタリーとの和平協定もオイル・パームの広がりと関係しています。武装解除に応じたパラ・ミリタリーに対して土地へのアクセスが認められました。しかし紛争の中で土地は既にパラ・ミリタリーに押さえられていたのです。暴力によって既に人々は逃げ出し、残った人たちも恐怖の中で口を開くことはありません。こうした土地でオイル・パームが生産され、この取引はパラ・ミリタリーによってコントロールされています。この地域では人権の問題が、環境への権利と深く結びついているのです。
 またこの地域の人々はオイル・パーム生産に追われているだけではなく、今、気候変動によると思われる洪水にも苦しめられています。人々は気候変動によって2重に苦しめられているのです。

Q:パラ・ミリタリーが土地を得ているのですか?
 パラ・ミリタリーは、市民社会に再統合されるというプロセスを経て、現在は「一般の市民」として土地を得ることができます。その上でオイル・パームへの補助金などを背景に、大地主=元パラ・ミリタリーが土地を拡大するという動きが進んでいます。
 例えばリオ・ミラ地域では、パラ・ミリタリーがコミュニティに土地を売るように要求するというケースがありました。コミュニティの人にとっては、聞かなければ殺害されるわけで、土地を渡しています。こうして大地主は以前よりも大きな土地を所有しています。法的には彼の土地ですが、その背後に暴力的な土地からの排除が存在しているのです。
 また次のようなケースもあります。企業が、(元)パラ・ミリタリーを伴って土地の購入交渉にやってくるのです。今は農園のガードマンだとしても、コミュニティの人たちはそれが誰だか知っています。ですから、命を危険にさらすより、土地を引き渡すことを選ぶのです。

Q:国内避難民(デスプラサードス)の問題は?
 これはコロンビアでも最も難しい課題だと思います。領域の支配と資源の管理をめぐる国内外の様々な思惑、利害から生み出されたものと言えるでしょう。人権問題であり、パラ・ミリタリーとゲリラ双方による暴力の問題であり、領域支配の問題でもあります。鉱業やアグロ燃料生産、コカの生産と輸送など、様々な利害を背景に人々が土地から排除されているのです。
 避難民は増加を続けており、大きな社会問題となっています。避難民は町に流れ込み続けています。政府の支援は当初の3ヶ月間のみで不十分なものです。一部屋の住居を提供し、食糧を援助し、月に120ドルほどの補助金を提供するだけです。しかし3ヶ月が過ぎると、無防備なまま町に投げ出されるのです。こうした状況下で暴力も増加しています。それでも少数の人は仕事を得ることができますが、非常に不安定な状況です。多くの避難民が街角で飴を売るといったインフォーマル・セクターに流れ込んでいるのです。
 こうした事態は出身地での土地を巡る利害によって引き起こされているのです。

Q:どれぐらいの人数の国内避難民がいるのですか?
 政府は昨年、約2百万人の避難民がいるという報告を出しています。しかしCODHESという人権団体の報告は4百万人という数字を示しています。しかしこの数字は大都市への流入数だけで、地方の中小都市にどの程度流入しているのかという正確な数字はありません。この問題は公式数字が示しているよりももっと大きな問題なのです。

Q:避難民としての登録は?
 避難民は、政府に報告することとなっています。しかし誰がちゃんと報告するか、またできるのかという問題があります。多くの人々が脅迫を受けて土地を離れているのです。ですから報告をすれば再び自分を危険にさらすことになります。ですので、多くの人たちが報告をしません。また報告するにしても、どこから来たのか、ということが問題になります。内戦中にあるとされた地域からの避難民だけが正式に認められます。しかし政府がパラ・ミリタリーと和平協定を結んで以来、パラ・ミリタリーの支配地域は法的には「平和」だ、ということにされています。そこで、こうした地域からの避難民は、避難民としては認められないのです。
 更に、避難民に対して十分な情報の提供が行われていないという問題もあります。町のバス・ターミナルに到着しても、そこからどこに行っていいかわからないのです。運よく関係機関の人と出会うことがなければ、そのまま忘れ去られてしまいます。
 しかし登録がなされないと、避難民の子どもたちは教育を受ける機会を奪われたままとなります。さらに学校側が違う環境で育ってきた避難民の子どもたちを差別し、学校に受け入れないということもあります。

Q:元の地域に戻ることはできませんか?
 まだ地域に戻れる状況にはありません。政府はそうした状況が回復されてきているといい、昨年15家族が帰還しました。しかしこれは宣伝にすぎません。何百万人という中で15家族というのはどうやって選ばれたのでしょうか、元パラ・ミリタリーだと考えた方がいいでしょう。また政府は「ファミリア・グアルダボスケ」というプログラムも行っていますが、実際にはオイル・パーム農園のガードマンに過ぎないと考えられます。

Q:シンポジウムの中で「土地の解放が必要だ」と発言されていましたが、どのようなことを考えているのですか?
 これは先住民族やアフリカ系民族とともに取り組みつつある課題です。環境紛争や、社会紛争の多くが、資源の悪質なコントロールに起因しています。こうした流れに対抗するには、自然資源だけではなく、文化、伝統的な財産などを含む「土地の解放」を求める必要があると考えています。土地、テリトリーそしてそこに生きる人々を含む、土地を解放することです。資本主義の欲望を、テリトリーから排除し、人間が再び存在できるようにすることが必要です。コミュニティにおける「良き生き方=Buen Vivir」の実現は、土地が資本主義の欲望から解放されてはじめて実現できるのです。

Q:日本の市民社会へのメッセージをお願いします
 北の国々がこれまでのような大量消費型の社会を続けている限り、社会が変わることは難しいでしょう。南の国々は環境正義も社会正義も実現することはできず、持続的な社会を実現することは南の国々にとっても北の国々にとっても不可能でしょう。生産と消費という現行のシステムを変えなければなりません。鉱物や石油の開発を止めなくてはなりません。地下資源の開発が続く限り、これまで支配され、排除されてきた人たちが、排除され続けることは変わらないでしょう。
オータナティブを考えるときには、新しいものを考えるのではなく、これまでに生み出されてきたものを振り返ることが重要でしょう。何世紀にもわたって、持続的な資源の管理を実現し、平和と尊厳を維持してきた、先住民族や農民のコミュニティの経験が存在するのです。これまでの生き方を振り返ることの中に、危機に対処するオータナティブは存在するのです。こうしたローカルなオータナティブを支援していくことが重要です。
 環境紛争や社会紛争を考える時には構造的な問題、歴史的な不平等や現在の不平等の根本的な原因に目を向けることが必要です。持続的な社会のためには、消費を減らし、ローカルなオータナティブを認めていくことが必要です。
(インタビュー 3月12日)

まとめ 青西靖夫

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高知県梼原町での小水力セミナー報告

短いものですが、2月28日に高知県梼原町で開催した小水力発電に関するセミナーの報告を掲載しました。セミナーのDVD資料の貸出も今後検討する予定です。
 こちらにてお読みください
http://homepage3.nifty.com/CADE/AguaTierra/Aguatierra.htm
開発と権利のための行動センター

青西

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グアテマラ:先住民族の権利法制定への取り組み

 「先住民族の権利に関する一般法」制定への取り組み
 グアテマラの農民、先住民族組織であるCONICと人権組織CALDH(人権法的アクションセンター)、Moloj(マヤ女性政治アソシエーション)によって現在、「先住民族の権利に関する一般法」制定への動きが進みつつあります。
 この法律は、個人的な権利、集団的権利の主体として先住民族の権利の尊重と保障、先住民族の権利を保障する上での国家の責任などを定めるものとなっています。上記の組織などでは今後議会に働きかけるとともに、フォーラムなどを開いて世論に呼びかけていくとのことです。
 CONICなどは3月31日にも大規模なデモ行進を行い、法律の制定の必要を訴えました。 

 法律制定に向けての法的な位置づけとしては次のようなものがあげられています。
1:憲法第66条において、多様な民族グループの存在を認め、その生活様式や慣習、文化、伝統、社会組織形態、先住民族の衣服の利用、言語、方言を承認し、尊重し、促進すると定めていること。
2:憲法第58条で価値観、言語、慣習に基づく個人及びコミュニティの文化的アイデンティティーを認めていること。
3:憲法第67条において先住民族コミュニティの土地所有を保全することを国家の責任とし、更に伝統的・歴史的に土地を保持し、伝統的に特別な様式で管理してきたてきた先住民族コミュニティはそのシステムを維持することができると定めている点。
4:憲法第70条において、「先住民族コミュニティ」について定めた第3章、第66条から69条の内容に関する法律を制定することと定められていること。
5:先住民族の権利について定めたILO169号条約を批准していること及び憲法第46条において、人権に関して、批准している国際法が国内法に優越することを定めている点。
6:ILO169号条約に関連して出されている憲法裁判所の裁定
7:先住民族の権利とアイデンティティーに関する協定

 法案は大きく次の章に分かれています。
第一編  
 第1章  <通則>
 第2章  <国家の統一と憲法の優越>
  第3章 <概念・定義・原則>
  第12条:先住民族コミュニティの伝統的な役職のシステムを通じて使命、選出されたものを先住民族の権威者とする
  第16条(原則):多様性の尊重、調和と均衡、排除と差別の根絶、政治参加の促進、土地・テリトリー・自然資源への権利の尊重、文化・哲学の歴史的な発展の尊重、ジェンダー間の平等
第二編 
 第1章 先住民族の特別の司法権
 第2章  一般的司法権と先住民族の独自の司法権
第三編 
 第1章  <自決権>
 第29条(自治と自決)
 第30条(開発):独自の開発について決定する権利を有する
  第2章  <先住民族女性の権利>
 第31条:政治参加の権利と歴史的な排除を乗り越えるためのメカニズムの確立
 第32条:身体・精神的・性的な安全の保障
 第33条:女性の開発への権利とそれを保障するメカニズムの確立
 第34条:文化・衣服・言語・伝統を尊重した上での尊厳ある雇用への権利
第四編 <自然の富>
 第1章 <土地とテリトリー>
  第2章 <自然の富について>
  第43条:国家は自然資源の利用について、先住民族、その権威と調整すること
  第44条:国家及び地方自治体は水の利用について、先住民族の利用・慣習を尊重すること
  第45条(鉱業と石油):国家は影響を受けるコミュニティの参加を保障し、またこの分野の計画・プロジェクトについて、先住民族の独自の視点を尊重すること。
  第3章 <先住民族の精神性>
  第47条(聖地):聖地の管理を先住民族の役割である
第五編 <政治的権利>
 第1章 <協議を受ける権利>
 第51条:影響を受ける法制やいかなる決定の際にも協議を行うこと
 第53条:協議の結果は法的であり、拘束力を持つ  
  第2章 <先住民族の国家への参加>
  内閣、最高裁判所、控訴院、人権擁護官、検察庁などへの参加割合を定める
第六編 <社会的権利>>
  第1章 <通文化二言語教育>
  第2章 <保健・安全・食糧主権>
第七編 
 第1章 <人種差別・差別>
 第2章 <安全と先住民族>
 第75条 伝統的な社会組織への尊重を保障するため、軍あるいは警察の存在が必要なときは伝統的な権威と調整すること。

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