ペルー:アマゾン地域における衝突を巡って
権利の承認を求める先住民族と弾圧する警察や軍。何度も、どこかで繰り返されたような事態が再び引き起こされてしまった。6月7日付ペルーのレプブリカ紙は政府側の報告として、警察官の死亡者数31人と3人の行方不明者、先住民族側に9人の死者、この他民間人に155人の負傷者、警察官に24人の負傷者という数字を伝えている。一方、先住民族側は30人以上の死者が出たと伝えている。[1]
これらの数字はバグア近郊での衝突に加えて、イマシータの石油基地での警官拘束と解放プロセスの中で生じたものであるが、先住民族側の死者数はいまだはっきりしない。しかしバグアにおける道路封鎖解除のプロセスにおいて過剰な暴力な行使が行われ、警察による実弾射撃によって多数の死傷者が出たことは明らかである。
ところが、この衝突以来数日間の大統領の声明文や大統領府からのプレス・リリースには、今回の衝突で殺され、負傷した多数の市民、ペルーに住む先住民族の人々への謝罪の言葉はまったくない。現れるのは民主主義の敵であり、発展への障害であり、法律を読みもしないで反対している先住民族でしかない。そしてアマゾンの先住民族は急進的な政治家に操られ、国外から扇動されている存在と見なされている。「都市でもアンデスの農村でも支持されなかった極端な方向性をもつ政治家がやっとアマゾンの先住民族を利用することができたのだ」と語り、更に「外部の利益か、根本的な無知によってペルーの進歩を妨げようとするものが攻撃してくるのだ」というのである。その一方で政府は常に対話に向けて開かれていたと弁明する。[2]
しかし50日にも及ぶ抗議行動で求められていたのは対話ではなく政府の真摯な対応であった。アマゾン地域の先住民族組織は昨年夏にも抗議行動を起こし、先住民族の権利を脅かす恐れのある複数の法律の廃止を求めてきた。これらの法律が、ペルーが批准し、憲法と同等の位置づけを与えられている国際労働機関の第169号条約に定められた協議のプロセスを経ていないことから違憲であるという判断は、人権擁護官などからも出されていたにもかかわらず、しかしその要求は省みられてこなかった。更に今回焦点となっていた森林利用に関する法律、第1090号は、5月19日に国会の憲法委員会で違憲との判断がなされにもかかわらず、議会での審議は先送りにされてきたのである。
外部の開発観を押しつけられ、開発される、のではなく、アマゾン地域に住む先住民族の人々には、自分たちの開発の方向を決めていく権利がある。植民地期以来奪われてきたその権利を行使していくことこそ、アマゾンの人々にとって民主主義の根幹であろう。
選挙で選ばれた大統領なのだからと、傲慢な民主主義を押しつけ、民間資本を導入してアマゾンを開発するという自分の開発観を押しつけようとしてきたガルシア大統領は、大きな壁にぶつかり、力でそれを打ち崩そうとした。しかしその壁を暴力で打ち崩すことはできない。
協議をすることもなく制定した法を擁護するために対話があるのではない。すべてを白紙に戻し、アマゾン地域の将来について、その地に生きる先住民族の人々とじっくりと時間をかけて協議するところからやり直すしか道はない。
付記:この事件の後、先住民族組織の連合体であるAIDESEPはこの事件を受けて、道路封鎖を解除し、対話に戻る方向であるとも伝えられたが、トロンペテーロスの空港の占拠や石油基地の占拠が行われているという情報も伝えられている。[3]
[1]http://larepublica.pe/bagua-masacre/07/06/2009/fallecidos-por-violencia-en-bagua-suben-31-con-muerte-de-9-policias-retenid
[2] http://www.presidencia.gob.pe/index.asp 「宣言」他
[3] http://larepublica.pe/regionales/07/06/2009/mil-trescientos-indigenas-toman-aeropuerto-de-trompeteros
開発と権利のための行動センター
青西
以下のサイトに多数の写真が掲載されています。正視できないものも含まれていますが、衝突当時どのような状況であったのか。
http://catapa.be/en/north-peru-killings
これらの数字はバグア近郊での衝突に加えて、イマシータの石油基地での警官拘束と解放プロセスの中で生じたものであるが、先住民族側の死者数はいまだはっきりしない。しかしバグアにおける道路封鎖解除のプロセスにおいて過剰な暴力な行使が行われ、警察による実弾射撃によって多数の死傷者が出たことは明らかである。
ところが、この衝突以来数日間の大統領の声明文や大統領府からのプレス・リリースには、今回の衝突で殺され、負傷した多数の市民、ペルーに住む先住民族の人々への謝罪の言葉はまったくない。現れるのは民主主義の敵であり、発展への障害であり、法律を読みもしないで反対している先住民族でしかない。そしてアマゾンの先住民族は急進的な政治家に操られ、国外から扇動されている存在と見なされている。「都市でもアンデスの農村でも支持されなかった極端な方向性をもつ政治家がやっとアマゾンの先住民族を利用することができたのだ」と語り、更に「外部の利益か、根本的な無知によってペルーの進歩を妨げようとするものが攻撃してくるのだ」というのである。その一方で政府は常に対話に向けて開かれていたと弁明する。[2]
しかし50日にも及ぶ抗議行動で求められていたのは対話ではなく政府の真摯な対応であった。アマゾン地域の先住民族組織は昨年夏にも抗議行動を起こし、先住民族の権利を脅かす恐れのある複数の法律の廃止を求めてきた。これらの法律が、ペルーが批准し、憲法と同等の位置づけを与えられている国際労働機関の第169号条約に定められた協議のプロセスを経ていないことから違憲であるという判断は、人権擁護官などからも出されていたにもかかわらず、しかしその要求は省みられてこなかった。更に今回焦点となっていた森林利用に関する法律、第1090号は、5月19日に国会の憲法委員会で違憲との判断がなされにもかかわらず、議会での審議は先送りにされてきたのである。
外部の開発観を押しつけられ、開発される、のではなく、アマゾン地域に住む先住民族の人々には、自分たちの開発の方向を決めていく権利がある。植民地期以来奪われてきたその権利を行使していくことこそ、アマゾンの人々にとって民主主義の根幹であろう。
選挙で選ばれた大統領なのだからと、傲慢な民主主義を押しつけ、民間資本を導入してアマゾンを開発するという自分の開発観を押しつけようとしてきたガルシア大統領は、大きな壁にぶつかり、力でそれを打ち崩そうとした。しかしその壁を暴力で打ち崩すことはできない。
協議をすることもなく制定した法を擁護するために対話があるのではない。すべてを白紙に戻し、アマゾン地域の将来について、その地に生きる先住民族の人々とじっくりと時間をかけて協議するところからやり直すしか道はない。
付記:この事件の後、先住民族組織の連合体であるAIDESEPはこの事件を受けて、道路封鎖を解除し、対話に戻る方向であるとも伝えられたが、トロンペテーロスの空港の占拠や石油基地の占拠が行われているという情報も伝えられている。[3]
[1]http://larepublica.pe/bagua-masacre/07/06/2009/fallecidos-por-violencia-en-bagua-suben-31-con-muerte-de-9-policias-retenid
[2] http://www.presidencia.gob.pe/index.asp 「宣言」他
[3] http://larepublica.pe/regionales/07/06/2009/mil-trescientos-indigenas-toman-aeropuerto-de-trompeteros
開発と権利のための行動センター
青西
以下のサイトに多数の写真が掲載されています。正視できないものも含まれていますが、衝突当時どのような状況であったのか。
http://catapa.be/en/north-peru-killings
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