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2010/02/18

アフロ・コロンビア系のコミュニティに対する土地からの排除に警告

 国連のマイノリティの問題に関する独立専門家、ゲイ・マクドゥーガル氏は2月1日から12日にかけてコロンビアを訪問し、アフロ・コロンビア系のコミュニティの状況を調査。調査終了時の12日にボゴタで記者会見を開催した。コロンビア憲法をはじめとして、法的な整備について評価する一方で、土地からの排除が続いていること、特に大規模な経済開発事業によって、コミュニティの土地からの排除が続いていること、またアフロ・コロンビアの女性に対する暴力や差別が深刻であることを告発した。

 2月12日に公表された報告書の草稿では次のような点が取り上げられている。(抄訳かつ記載順とは無関係に整理している)

-奴隷としてコロンビアに連れてこられたアフリカ系の人々は、逃亡すると、人目につきにくい、条件の悪い、大西洋や太平洋岸の沿岸地方に逃げざるを得なかった。孤立した中でコミュニティを形成してきた。

-コロンビア国は、こうした土地へのアフロ・コロンビア住民の権利を認めている。憲法やいくつもの法律は制定されているが、現在においても、奴隷制の遺産、人種差別は消しがたく残されている。
-憲法において差別の禁止、全ての市民の平等、民族的・文化的な多様性の尊重、政治的参加の促進と議席の保証などを定めている。
-法70号では黒人系のコロンビア人コミュニティの集団的土地所有権と伝統的な資源利用の保護などを定めている。
 しかし法は適切に執行されていない。

-コロンビアにおける極度の貧困層の分布とアフロ・コロンビア住民の分布は重なっている。
-2005年センサスによるとコロンビアにおけるアフロ・コロンビア系住民の人口は10.62%とされているが、コロンビアの人権擁護事務所によると25%近いであろうという。

-武装グループによる暴力の問題、土地からの強制的な移転、農企業、「メガプロジェクト」などによる土地からの排除が続いている。
-政府は既に内戦は存在せず、パラミリタリーも解体されたというが、コミュニティのリーダーの暗殺、土地から逃げざるを得ない話などを多々聞かされている。
-コロンビアでは公式には300万人、市民組織の推定では400万人の国内難民が存在するといわれ、これは世界でも2番目に多い。
-土地に戻ったコミュニティがいくつか存在するが、戻ってみると土地が他の者の手に渡っているケースがある。
-アフロ・コロンビア系のコミュニティは、安全を求めているが、警察や軍の展開は、ゲリラや他の武装勢力の仕返しを引き起こすことになると恐れている。
-人権擁護事務所は、コミュニティの危険に対する早期警戒と評価システムを構築しており、コミュニティの人々は信頼している。しかし、この警戒連絡が治安組織の委員会で排除されることがある。 
-土地からの排除されることによって、生計の手段を奪うだけでなく、文化や伝統の保持も危機に瀕する。

-アフロ・コロンビア系の女性への暴力が続いている。アフロ・コロンビア系であることからの差別、女性に対する差別、国内難民に対する差別、貧困者への差別など様々な差別が折り重なっている。
-男性が誘拐されたり、殺害されたりした後に女性たちがコミュニティのリーダーとして活動してきても、評価されない。
-ゲリラや武装グループによる子どもの強制的な徴発。貧困、脅迫、武装グループの存在、資金提供の約束などによって、子どもがゲリラや他の武装グループの徴発の対象になりやすい。
 
-土地からの排除は暴力と脅迫によって行われているが、コカの違法栽培や麻薬の密売関連などだけではなく、最近ではオイル・パームやバナナ、鉱山開発、林業、放牧など、マクロ・経済開発計画に関連する理由からの排除も多い。
-経済的な利害やメガプロジェクトは、コミュニティの土地所有権を邪魔なものと見なしている。
-ILO169号条約に定められた事前協議は、その実施の規定が明確に定められてない。協議なしで開発が進められている。
-政府はオイル・パームのモノカルチャーなどを進めようと計画している。しかしアフロ・コロンビア系から奪われた土地も融資の対象としているとも言われている。
 
-政治参加、意志決定への参加が遅れている。国会で2議席が保証されているが、その声が政治に反映されているとは言えない。

Minority issues: UN expert calls on Colombian authorities to focus on Afro-Colombians’ plight http://www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=9824&LangID=E

 このサイトから次の文書にアクセスできます。
Statement by the United Nations Independent Expert on minority issues, Ms Gay McDougall, on the conclusion of her official visit to Colombia, 1 to 12 February 2010

Declaración de la Experta Independiente de las Naciones Unidas sobre Cuestiones de las Minorías, Señora Gay McDougall
Conclusiones Preliminares de su visita oficial a Colombia (1 al 12 de febrero) Bogotá D.C., 12 de febrero de 2010


 開発と権利のための行動センター
 青西靖夫

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