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2010/03/09

震災後のハイチの状況について

 2月3日から2月24日にかけて、震災後のハイチを取材したフォトジャーアナリスト、佐藤文則氏の報告会が、3月7日横浜市栄区の「あーすぷらざ」にて開催されました。
 長年ハイチでの取材活動を行ってこられた佐藤氏が、震災前の状況との比較なども交えながら,ハイチにおける震災の状況を報告されました。
 
 ここでは、緊急援助の動向と復興にむけての歩みに焦点を当てて、報告及び質疑応答の中からいくつかのテーマをまとめて報告します。

<ローカル・エコノミーの確立>
 援助物資が広範に出回ることで、地域住民の経済、ローカル・エコノミーが壊れてしまうことが問題となってくると思います。貧困住民の多い、シテ・ソレイユでも多くの住民が基本食糧を確保する一方、食堂の営業が成り立たなくなっています。

<現地で必要とされているもの>
 現地で必要とされている資材は大型のテントです。しかしこうしたテントは既に在庫が枯渇しており、入手まで1ヶ月なり待たなくてはならない状況だと聞いています。援助機関では、テントの代わりにビニールシートを配布すると行ったことを行っています。

<トイレ>
簡易トイレはかなり設置されるようになり、だいぶ数は増えてきました。

<ハイチの医療状況>
 現在は、震災での傷病と一般的な傷病の患者数は半々ぐらいだろうという話を聞きました。もともと医療状況が悪かったところで、薬代などもかからずにただで医療サービスが受けられるという点で、過去と比べてもいい状況にあると言えるかもしれません。しかしそれがいつまで続くかはわかりません。病院の再建など医療体制の確立も必要でしょう。

<必要とされる被災民の状況把握>
 テント暮らしも半年ぐらいが限度でしょうから、仮設住宅も必要になるでしょう。既に作っている動きもありますが、何十万という人に住居を提供するというのは不可能でしょう。そのために調査をして、被災状況を調査して、具体的な状況を把握することが重要だと思います。ハイチ政府も家族構成や家の状況などを聞き取り調査を行っているようです。
 被災した方でも,余震による崩壊などを恐れて、テント村で生活している人も多いので、戻れる人には戻れるような支援というのが必要だろうと思います。

<米軍の存在>
 米軍の存在については議論もあるようですが、 米軍については、私自身は今回だけは、どうしようもなかったのではないかと考えています。大量の重機や援助物資や人員をスムーズに輸送・移動できるのは、軍のような組織しかありません。ただ、引き際が重要になってきます。今のところ市民は歓迎していますが、しかし駐留が長引いてくると歴史的な反感が出てくるのではないかと思います。

<国連やNGOの支援>
 国連・NGOも存在感を示しています。しかし多数のNGOが活動しているので、調整作業が大変なようです。またNGOなどもテントで生活するというような状況で支援しているようです。一所懸命がんばっているようです。

<援助物資の分配>
 テント村にいるから、食糧援助が受け取れる、というような状況ではありません。不公平な分配が行われています。受け取れる人もいれば、受け取れない人もいるという状況です。受け取るためのカードもあるのですが、それがどこでもらえるのかがわからない、またいつ、どこで援助物資を分配するという情報が、全員に行き渡らず、委託を受けているのであろう現地のNGOが、身内主義というか、家族や友人に優先して情報を流しているという状況があるようです。こうしたことは、どこの国でも起こりうることでしょうが、より公正に分配できるようなシステムが必要です。

<ハイチ政府>
 ハイチ政府の動きは残念ながらよく見えてきません。CNE(Centre national déquipements:公共事業局)のトラックが瓦礫撤去に動いているのを見かけるぐらいです。それ以外は存在感はありません。
 首相も先日、援助がどのように動いているか把握できていないという発言をしていました。国際社会も、これまでのハイチ政府の汚職がひどいと言うことなどもあり、あまりお金を渡したくないようで、実際にハイチ政府が受け取っているのは10%ぐらいではないかという、話も聞いています。首相も、いったいどれだけの資金がNGOに流れているのかもわからず、フラストレーションを溜めているのだと思います。
 国民の中にも大統領のリーダーシップが欠けるという声もあります。しかし政府に対する非難というのはいつでも起こるわけですし、またハイチの政治機構の脆弱さというのは長年の問題ですから、ここで単に非難するだけではなく、とりあえず顔を立て、そしてサポートすることが重要だろうと思います。

<ハイチの人たちの対応>
 ハイチの人たちは政府に文句を言いますが、最後には自分たちだけでどうにかしてしまいます。長年そうやって生きてきて、ハイチ政府というのもそこに甘えてきたところがあるように思います。
 
<これからの再建にむけて>
 国際社会に加えて、ハイチ人自身の力が必要ではないかと思います。もちろん一般の人は、日々の生活だけでも大変なので、政治家やインテリ層が一緒に集まり、話し合いをしていくことが重要だと思います。
 今回の不幸な出来事をバネに、単に地震からの復興だけではなく、ハイチという国の再建に向かう、いい機会として利用されることを祈っています。

 まとめ:開発と権利のための行動センター
     青西靖夫

フォトジャーナリスト 佐藤文則さんのサイト
http://www.k2.dion.ne.jp/~satofoto/

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