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2010/03/26

グアテマラ:先住民族の権利確立を求める国連諸機関の勧告

人種差別撤廃に関する委員会、また国際労働機関の専門家委員会から、相次いで先住民族の権利確立を求める勧告が公表されている。
 人種差別撤廃に関する委員会の第76回会議では、先住民族の土地からの排除が続いていることを指摘するとともに、協議の適切な実施を勧告している。また国際労働機関の条約履行に関する専門家委員会は、鉱業法など既存の法律を、ILO第169号条約と整合させること、先住民族の社会的・文化的・経済的な統合を保障することが政府の義務であることを鑑みて、誠実な対話を行うために早急な対策を取ること、関連する活動(サカテペケスにおける鉱業開発など)を即刻停止し、先住民族の参加の下で、対話と評価を行うことなどを求めている。
 
 ILOの専門家委員会の勧告の内容についてはあらためて分析したいと考えているが、ここでは人種差別撤廃に関する委員会の勧告の一部を紹介する。

参考資料
1) OIT: Aseguran que se viola el Convenio 169, Instan a suspender excavaciones mineras
http://www.lahora.com.gt/notas.php?key=63777(La Hora 2010/3/10)
2) Informe de la Comision de Expertos en Aplicacion de Convenios y Recomendaciones
http://www.ilo.org/global/What_we_do/Officialmeetings/ilc/ILCSessions/98thSession/ReportssubmittedtotheConference/lang--es/docName--WCMS_123426/index.htm
3) CERD/C/GTM/CO/12-13 (2010/3/16)
Examen de los informes presentados por los Estados partes de conformidad con el artículo 9 de la Convención
http://www2.ohchr.org/english/bodies/cerd/cerds76.htm

<人種差別撤廃に関する委員会は2010年3月8日に開催された委員会において、グアテマラの状況に関する見解を採択したが、ここで一部を整理して報告する>

1)司法へのアクセス
 先住民族の司法へのアクセスが困難であることを憂慮する。これは特に、先住民族の法的システムの承認と適用の欠如と、(現行の)司法手続きにおける十分な通訳の不足と二言語の担当官の不足によるものである。
 そこで先住民族の伝統的司法システムを国内の司法システムの中で承認し、また人権に関する国際法の基準に基づき、先住民族による伝統的な司法システムを尊重することを勧告する。更に、司法手続きにおける通訳や二言語の弁護士、担当官といった適切なシステムに先住民族がアクセスできるよう保証すること。
2)政治への参加
 政治プロセスへの参加、特に議員としての参加、政府機関の中での先住民族の参加、特に女性の参加が限られている問題がある。
 先住民族、特に女性の意思決定への参加を保証するために国家が尽力することを勧告。
また意思決定への参加という点で、都市・農村開発審議会法の適切に履行すること。 
3)自然資源へのアクセスとILO169号条約
 自然資源の開発を巡って、先住民族との緊張が高まっていることを憂慮する。特に歴史的に先住民族の土地であったところからの排除に憂慮する。これは土地が適切に登記されていたとしても起こっていることである。そのテリトリーにおける自然資源の開発に先立って、協議を受ける権利が尊重されていない。また伝統的な土地所有あるいは占有形態が国内法で認められておらず、行政的にも対応していない。
そこで開発プロジェクトや自然資源の採掘に先立って、自由な合意を得るための協議を行うために、ILO169号条約及び先住民族の権利宣言に基づき適切なメカニズムを設置すること。また先住民族組織より提案されている先住民族への協議に関する法の採択プロセスを進め、また鉱業法にも事前協議に関する条文を入れる改正を行うこと。
4)移転が必要とされるケース
 例外的な事例として、先住民族の移転とその補償が必要とされる場合には、ILO169号条約の16条、2項及び先住民族の権利宣言の第10条の規定を尊重し、移転の理由に関する全面的な理解と自由な同意に基づき、また正当かつ公平な補償及び基本的なサービス、水や電気、学校、保健サービスなどが整えられた移転地を確保すること。  
5)水へのアクセス
グアテマラに存在する38の流域の90%で水系の汚染が見られ、このことが上水への適切なアクセスを妨げている。このことは特にサンマルコス県、ウエウエテナンゴ県、キチェ県、ソロラ県で見られる。更に、下水の不備は、それによる病気の発生も引き起こしており、先住民族コミュニティが特に影響を受けている。
 委員会は、特にこれらの県における上水へのアクセスを早急に保証するための対策を取ることを求めるとともに、水の汚染を防ぎ、汚染を監視するための適切な制度を整えるとともに、汚染が見られる水系においては、適切な処理を行うことを勧告する。また全てのコミュニティにおける上水へのアクセスを保証する国内法の整備を勧告する。
6)識字
 2004-2008年にかけて、国家統合識字戦略が実施されてきたが、農村部ではいまだに61%が非識字者である。更に女性の場合には87.5%が非識字であり、43%が小学校を終えるに過ぎない。
 この非識字率を引き下げるために、短期・中期・長期的な対策を取るとともに、和平協定の先住民族合意に定められている教育改革の履行を勧告する。 

このほか、人口センサスにおける先住民族の把握改善、人種差別の扇動や行為を罰すること、保健サービスへのアクセスの改善などが勧告されている。

開発と権利のための行動センター
青西
 

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