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2010/04/24

REDDと先住民族

気候変動に関するラテンアメリカ先住民族フォーラムの声明

 2010年3月29日から31日にかけて、コスタリカのサン・ホセにおいて、ラテンアメリカの先住民族によって「気候変動に関するラテンアメリカ先住民族フォーラム」が開催された。ここには次のような組織が参加。el Consejo Indígena de Centro América CICA, el Consejo Indígena Mesoamericano CIMA, la Alianza Mundial de los Pueblos Indígenas y Tribales de los Bosques Tropicales, la Coordinadora de Organizaciones Indígenas de la Cuenca Amazónica COICA, la Red de Mujeres Indígenas sobre Biodiversidad, el Enlace Continental de Mujeres Indígena Región Sud América, la Cátedra Indígena itinerante y el Foro Internacional de Mujeres Indígenas,
 気候変動に対する諸政府の提案を分析し、COP16に向けて先住民族諸組織として次のような声明を発表している。

1.諸政府や国際的NGOによって提案されている市場メカニズムに基づく解決策、クリーン開発メカニズム、REDDの提案などは、国際法によって保障されている先住民族の権利を脅かす、新しい地政・経済的な様式である。
 これらのイニシアティブの名の下で、国家や多国籍企業はダム建設、アグロ燃料の推進、石油開発、植林プランテーション、モノカルチャーなどを進みつつあり、これらは私たちのテリトリーを奪い、また破壊するものである。更に、テリトリーを守ろうとする先住民族諸の兄弟・姉妹たちが犯罪者とされ、果ては殺害されている。
2.気候変動に立ち向かう解決策は、全体的、調和的かつ人権と母なる大地の権利を尊重するものでなくてはならない。また西洋社会の科学的知識のみに限定されるのではなく、伝統的な知識や先住民族の創意工夫、実践を取り入れなくてはならない。私たちは歴史的にも私たちのテリトリーにある生態系と生物多様性の保全に取り組んできたのである。
3.諸政府やいくつかのNGOがREDDに向けて提案している地域の大半は先住民族のテリトリーに位置している。私たちのテリトリーには保全されている森林地帯の大半が集中していることからも、諸政府やNGOが提案するREDDは国連の先住民族の権利宣言に記されている私たちの権利、特に、テリトリーへの権利、自己決定、事前の自由な情報に基づく合意といった私たちの権利の行使を全面的に保障するものでなければならない。
4.先住民族は気候変動の直接の責任者ではないにも関わらず、影響を受けている人類集団の一つである。気候変動によって砂漠化や強制的な移住、生物多様性の喪失、アイデンティティーの喪失、飢餓などの影響を受けている。このことからも、私たちは私たちのテリトリーにおける物的・人的な被害への補償を要求するための行動を取る必要があると考えている。それは同情からではなく、補償であり、社会的・環境的な正義の要求である。
5.人権特に先住民族の権利、また母なる大地の健康に寄与することを目指す多国籍機関、二カ国間機関、NGOなどに対し、気候変動に対するラテンアメリカ先住民族フォーラムへの支援をその戦略的な優先課題として据えることを求めたい。
3.先住民族の地域的なネットワーク(Enlace Continental de Mujeres, COICA, CAI, CIMA, CICA, Red Latinoamericana de Mujeres sobre Biodiversidad, Alianza Mundial de Bosques Tropicales) は気候変動に対する国際的、国内的あるいは地域での働きかけまた政治的・技術的な提案のために、あらためて協力して活動していくことを確認する。これらのネットワークは、気候変動に関連する課題の中で先住民族の権利の行使が全的に保障されることを求めて、その能力、経験、資源を持ち寄って活動することを約束するものである。

Resultados del Foro Indígena Latinoamericano sobre cambio climático
http://www.ecoportal.net/content/view/full/92087
http://www.redd-monitor.org/2010/04/08/latin-american-indigenous-forum-rejects-carbon-trading/?utm_source=feedburner&utm_medium=email&utm_campaign=Feed%3A+Redd-monitor+%28REDD-Monitor%29

-REDDは、開発途上国における森林の破壊や劣化を回避することで温室効果ガス(二酸化炭素)の排出を削減しようとする取り組み
  Reduced Emissions from Deforestation and forest Degradation
 Sign on to the Durban statement: “No REDD! No REDD Plus!”
http://www.redd-monitor.org/2010/04/14/sign-on-to-the-durban-statement-on-redd/
 REDDに対して、気候変動に対する解決策として有効ではないとして、反対の声が上げられている。
 上記の声明文から短く整理する。
 大きくは京都メカニズムも含めた排出量取引が有効なのか、という問題意識と、REDDの実施時に、その地に居住する人々、特に先住民族の権利が侵害されるのではないかという問題意識がある。
 排出量取引への疑念は、REDDを認定することにより、先進工業諸国がクレジットを買いあさり、自国の削減努力を怠り、根本的な化石燃料依存社会からの脱却が遅れるだけではないかと考えることによる。京都議定書で定められたクリーン開発メカニズムにしても、化石燃料依存社会からの脱却をはかるのではなく、そこへの変化を先送りにするインセンティブとなっており、温暖化に拍車をかけるもの見なしている。京都議定書がどの程度実際に温室効果ガスの削減に役立ったのか?より安価な方法はなかったのか?検討されなければいけない課題であろう。
 REDD実施メカニズムの問題としては、保護手段を講じたとしても、REDDが地域住民の権利を侵害し、土地や森林管理の権利が海外企業の手に移行される危険性があるという指摘である。先住民族が土地から排除される危険もあると考えている。既に自発的排出量取引の中で行われている類似プロジェクトでは、土地簒奪、暴力的な土地からの排除、軍事化、土地へのアクセスの排除、汚職など様々な問題が発生していることを根拠としている。

開発と権利のための行動センター
青西

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