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2010/06/29

ペルー:ブラジルとのエネルギー協定に反発

1)ペルー・ブラジルのエネルギー協定に対する憤り [1]
(インターナショナル・リバーズのサイトに掲載されたプレス・リリースの抄訳)

 ブラジルのルラ大統領とペルーのガルシア大統領は16日、ペルー・アマゾン地域における6つの水力発電所建設計画を含むエネルギー協定に調印。
国家環境審議会の元長官、マリアノ・カストロ氏は「この協定は再生可能なクリーン・エネルギーを保証するものではなく、環境や社会にネガティブな影響を多数引き起こすも、のであり、ペルーの5県において、先住民族の移転と森林破壊を引き起こすものである」と告発している。
 エネ川のパキツァパンゴのダムは約17000人のアシャニンカ民族に影響を及ぼし、アシャニンカ民族の共有保護地も脅かすことになるという。アシャニンカ民族のリーダーであるルス・ブエンディア・メストキアリは「パキツァパンゴ・ダムは、影響を受ける民族との対話なしに政府が計画したものであり、エネ川は私たちの大地の魂であり、この川が私たちの森や生き物、植物、作物、そして私たちの子どもたちを育んでいるのだ」と語っている。
 マードレ・デ・ディオス川に計画されているイナンバリ・ダムも、この2国間の協定に含まれているが、このダムは46000ヘクタールを水没させ、15000人に影響を及ぼすとみられている。ペルーの環境団体のアルフレッド・ノボアは「ペルーは5万メガワットほどの再生可能エネルギーの開発可能性を有しており、こうしたダムを必要としていない。この2国間協定は、ブラジルの利益になるだけであり、こうした協定を許すことはできない」と語っている。
 
 しかしブラジルにおいてもこの協定には懸念が示されており、サン・パウロ大学のセリオ・ベルマン教授は、「ペルー・アマゾンの生態系に回復できない影響を引き起こすものである一方、利益はブラジル企業や国際的な鉱業会社や精錬企業に流れるばかりであり、一般の人々にとって役立つものではない」と警告している。

 またこの協定には、プロジェクトによって影響を受けるコミュニティへの利益やその権利、受益への参加などについては言及していない。

[1] Press Release:Indignacion ante el Acuerdo Peru - Brasil Sobre Energia(英語・ポルトガル語あり、協定全文にもアクセスできる
http://www.internationalrivers.org/en/2010-6-17/indignacion-ante-el-acuerdo-peru-brasil-sobre-energia

2)パキツァパンゴにおける水力発電所建設計画に対するエネ川流域のアシャニンカ民族の声明(抄訳)
 アシャニンカ民族のサイトでは、パキツァパンゴ・ダムに反対する声明を出している。またビデオのアップされている。

-我々の歴史は度重なる蹂躙に満ちている。ゴム景気の時代には奴隷とされ、テリトリーから追われ、1980年代の社会的暴力の時代には残虐な暴力を被り、真相究明委員会は6千人のアシャニンカ民族が殺害もしくは誘拐され、1万人のアシャニンカ民族が強制的に土地を追われたことを報告している。また自警団を組織し、我々の血と命を持って和平に貢献したのである。今、我々はこのテリトリーに戻り、平安の中で生活することを望んでいる。
- エネ川は我々のテリトリーの魂であり、森や生き物、植物、作物、そして我々の子どもたちを育んでいる。アシャニンカ民族にとって、「パキッサパンゴ(ワシの家)」は聖なるものであり、重要な文化的・精神的財産であり、我々の根幹をなすものである。
-アシャニンカ民族はオティシ自然公園の設立とアシャニンカ民族共有保護区の設置にも参加してきた。バッファーゾーンに位置する我々のコミュニティは、地球上でも豊かな生物多様性を維持する土地である。

-こうしたことにも関わらず、政府は我々を再度脅かしている。聖なるパキツァパンゴにダムを建設するためのコンセッションを行ったのである。このダムは強制的な移転と我々のテリトリー及び自然保護区に重大な影響を引き起こしかねないものである。
-我々のテリトリーに対するこうした蹂躙は、我々の生命と民族としての存在を直接に脅かす暴力である。
-我々、アシャニンカ民族はILO169号条約や国連の先住民族の権利宣言に定められている権利を有しており、国家は事前の協議を行わなくてはならない。しかし政府は我々の権利を無視し続けている。
-政府はエネルギ-鉱業省の省令N°546-2008-MEM/DMによって「パキツァパンゴ・エネルギー社」にダム建設の実現可能性調査のコンセッションを与えている。このコンセッションは我々の10のコミュニティに被さるものであるが、情報を提供することも、協議を行うこともなく与えられたものである。我々のテリトリーを保護する対策も定められず、我々が開発の独自の優先度を定めることもできないままに、計画に参加することもなく。
-ペルー政府が我々の生活と権利を尊重していないことをあらためて明らかにした。またペルーとブラジルのエネルギー協定におけるダム建設について交渉していることに憤慨している。

 こうしたことから、エネ川のアシャニンカ民族は次のように宣言する
1. 上記省令及びパキツァパンゴダムの建設を拒否する。これはアシャニンカ民族のコミュニティに情報を提供したものでも、協議を行ったものでもない
2. このプロジェクトにアシャニンカ民族の言葉であるパキツァパンゴを用いることを拒否する。この言葉はアシャニンカ民族の精神と文化的意味を持っている。
3. ペルー政府に対して、ILO169号条約、国連の先住民族の権利宣言に定められている先住民族の権利の尊重を求める
4.. 先住民族に対する、事前の情報を提供した上での自由な協議の実施を要求する
5. 国内移転法の改悪をやめること
6. ペルー国家に対して、エネルギ-自給を確保するためのエネルギー計画の策定を求める
7.ブラジル国がペルーの先住民族のテリトリーに関わる交渉を行っていることに疑念を表明する。
 我々が平和に生きる権利を防衛する。
 2010年5月8日

PRONUNCIAMIENTO DE LAS COMUNIDADES ASHANINKA DE LA CUENCA DEL RIO ENE FRENTE AL PROYECTO DE REPRESA HIDROELECTRICA EN EL LUGAR DE PAKITZAPANGO
http://ashanincare.org/Documenti/PronCARE2010.pdf

3) ペルーのジャングルにブラジルに供給するためのブラジルのダム[2]
IPSに6月17日に掲載された記事は、エネルギー供給という点に焦点を当てている。この協定では、ブラジルに対して30年間にわたって一定量の電力を供給することとなっており、更に15年間は見直しもできないこととなっているという。
「国内需要も検討しないままにこのような協定を結ぶなどと言うことは考えられない」と現地NGO、DARのセサル・ガンボア弁護士は語る。
 
Brazilian Dams in Peru's Jungle, to Supply Brazil By Milagros Salazar
http://ipsnews.net/news.asp?idnews=51866 

4)次のサイトにも情報がまとめられているので紹介する。
Sociedad Peruana de Derecho Ambiental (SPDA)
http://www.actualidadambiental.pe/
まとめ、訳
開発と権利のための行動センター
青西

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