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2010/06/17

グアテマラ:自然保護区の管理を先住民族の手で

 グアテマラのイサバル県、シエラ・サンタ・クルス自然保護区計画地区では、現在、地域の住民アソシエーションによって、「自分たちの手で、自分たちのテリトリーを守っていこう」という動きが進んでいます。
 国内外の環境保護団体に任せるのではなく、この地域に住む先住民族の手で、自分たちの組織を通じて、この地域の自然を守り、テリトリーを守っていこうとしています。

これまでの経緯などは当会のパンフレットをご覧ください
http://homepage3.nifty.com/CADE/201004leafCADE.pdf
これまでのプロジェクトの流れについては次のサイトにも情報をまとめてあります。
http://homepage3.nifty.com/CADE/guatemala/Guatemala%20indigena%20y%20medio%20ambiente.htm

<森の守り人>アソシエーションがさらにつながって地域連携体を組織

 開発と権利のための行動センターでは、これまでアソシアシオン・イロル・キチェ(Asociacion Ilol K'iche':AIK <森の守り人>の意)の組織強化を支援してきましたが、現在このAIKが中心となって、更に地域の住民アソシエーションをつないでいこうという動きが進んでいます。
 
 最も重要な動きは、シエラ・サンタ・クルス地域の4つの住民組織の連携が動き始めていることです。この動きは2008年2月に地域内の2つの住民組織の連携準備のための会合を開催したことから始まります。ここで2つの住民組織AIKとAj Awinel の連携の動きが始まります。2009年11月からは2組織ではなく、Cerro1019とAPIDHの4つの組織の連携会議を開催してきました。この中でそれぞれの組織は自然保護区の問題にとどまらず、土地問題や地域開発の問題についての取り組みを共有し、地域開発に協同して取り組んでいく方向性を固めつつあります。更に、会議を通じてシエラ・デ・サンタ・クルス先住民族組織コーディネーターを設置し、継続的に連携のための会議を開催しています。

 全体で100コミュニティもが参加する地域住民組織の協力関係は、地域開発に重要な役割を持つこととなるでしょう。重要なことはこうした動きが「地域住民のイニシアティブ」によって生まれていることです。

 行動センターではプロジェクトの一環として、会議の開催を支援してきていますが、その実施はAIKが調整し、会議の内容はAIKやその他の住民組織が考えながら進めています。既に連携の動きは独自の歩みを進めており、会議を設定し、行動センターでお願いしてきたアドバイザーにも直接連絡を取り、会議への参加を要請し、必要であれば謝礼も自分たちで支払っています。また4組織の代表が集まって、首都で議員と交渉するという取り組みも行われています。

 今後、地域住民の組織が十分に力を持っていることを示し、首都のNGOを介在してプロジェクトが実施されるのではなく、地域にむけられるべき資金が直接、地域の住民組織に向けられ、また地域開発についての議論を進める際にも、住民の声をしっかりと取り入れるように要求していこうという方向で活動が続けられています。

 こうした中で、地域のコミュニティや住民組織が集まって、声明文を作成しています。環境NGOなどが主導で「管理」を進めるのではなく、自分たちが主体としてやっていけるのだ、という意思表明です。
 
 開発と権利のための行動センター
 青西靖夫   

以下、声明文

   シエラ・サンタ・クルスの
   ケクチ民族コミュニティの声明

私たちの果実を奪い、枝を打ち払い、幹を焼き払っても、
私たちの根っこを殺すことはできなかった。 (Chilán Balam)

 1854年、私たちの兄弟である「赤い肌」の先住民族の土地を買い上げたいという米国の大統領に対して、彼らはNOと答えた。「この大地のすべてのものは、私たちにとって聖なるものなのです。荘厳な松の木や、羽音とともに生まれた小さな虫たちまで、私たちにとって聖なるものなのです。私たちの死者たちは、このすばらしい大地を忘れることはないでしょう。それは赤い肌の母なのです。私たちは大地の一部であり、また大地は私たちの一部なのです。花々は私たちの姉妹であり、シカやウマやワシは私たちの兄弟なのです。岩肌を見せる頂、草地の匂い、子馬の身体から立ち上る熱気、そして人々、みな同じ家族なのです。」
 
 マヤのケクチ民族のコミュニティの私たちは、私たちの先住民族テリトリーで様々な環境保護団体、国内外の企業や組織が活動し、自然資源、私たちの母なる自然の要素に対して目を光らせていることを知っている。それは経済的な利益を求めるものであり、私たちが長年被ってきた脆弱な状況をさらに悪化させるものである。
 
 国内外の諸組織はこれまで様々な言辞を弄してきた。民主的な参加の強化、決定への参加、共有する力、持続的開発、司法や教育、保健などのサービスへのアクセスなどなど。そして更に、コミュニティを自然資源を破壊した責任者として名指しし、経済的資源の確保を正当化しようとしてきたのである。

 私たちが現在住んでいるマヤ・ケクチ民族のテリトリー、イサバル県リビングストンに位置するシエラ・サンタ・クルス地域を自然保護区として制定しようとする強い意向が存在することを知っている。
 
 そこで、2010年3月20日、リビングストンのルベル・ホ村に集まった27コミュニティの代表は次のように宣言する。

1. グアテマラ国憲法第33条に基づく組織する自由と第35条の思想の自由の保障に基づき
2.世界人権宣言の第19条に定められている「すべて人は、意見及び表現の自由に対する権利を有する。この権利は、干渉を受けることなく自己の意見をもつ自由並びにあらゆる手段により、また、国境を越えると否とにかかわりなく、情報及び思想を求め、受け、及び伝える自由を含む」権利に基づき、
3. 現在私たちが生活するこの土地を自然保護区として宣言することに反対の意思を表明する。
4. 国内外の諸組織が、私たちの自然の構成要素を保護し、利用し、管理するためとして、輸入してきたモデルを実験しようとすることや、文脈を無視した指導や指示を行おうとすることを拒否する。それらは私たちの経験や伝統的な生活を排除し、無視している。
5. 私たちの伝来の原則や価値観は、母なる自然の尊重を促進するものであり、自然資源、母なる自然の構成要素の合理的な利用と保護を進めるものである。
6. 国内外の諸組織に対して、私たち自身に、現在私たちが住んでいるんでいる私たち先住民族のテリトリーを「管理する」能力があることを断言する。
7. 私たちは、金儲けのためではなく、母なる大地への尊重を進めようという考え方でつながっている。

 政府に対して次のように要求する。
a. 私たちが現在住んでいるシエラ・サンタ・クルス地域のコミュニティの土地を自然保護区とする法制化を拒否すること
b. コミュニティの土地の土地登記を進めること
c. シエラ・サンタ・クルスのケクチ民族コミュニティが自然保護区を管理する能力があることを認めること。それはコアゾーン、多目的利用ゾーンや特別な配慮地区を含むものである
d. 法制度化を通じて、コアゾーン他の管理・利用・保全を私たちに委ねること

 国内外の諸機関に対して
a. 裏で利権を探りつつ、自然資源の保護や先住民族の権利の擁護をちらつかせてた情報をもってコミュニティを欺き、操ろうとしないこと
b. 私たちは母なる自然の擁護と共通の富のために同意に基づく戦略を築くためであれば、対話に開かれていることを宣言する。

母なる自然のために
シエラ・サンタ・クルスのコミュニティと住民組織から
リオ・デュルセ、リビングストン、イサバル、2010年3月

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