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2010/06/19

ペルー:バグアの教訓

 バグアの教訓(2010/06/06)
 ミゲル・パラシン・キスペ(CAOI代表)
 
 既にバグアの虐殺から一年が経ちましたが、この事件はいまだ私たちにとって、評価と検証の中心課題となっています。なぜなら、そこで私たち先住民族は、自分たちで決定するということの価値を示すことができたからです。それは真の団結を築くための唯一の方法なのです。またバグアの虐殺は、政府が生命と権利を全く尊重せず、私たちのテリトリーへの侵略と多国籍企業による自然の富の略奪のためには殺すことをいとわないということを暴き出しました
 
 またバグアは、ペルーのアンデスそしてアマゾン地域の先住民族運動の政治的な力とその有効性を示すことともなりました。今日、私たちは目に見える存在になっただけではなく、私たちの提案と要求が、政治的議題を形作るようになったのです。
 
 バグアのもう一つの教訓は、権利は求めるものではなく、行使するものだということです。私たち先住民族には自己決定の権利があります。それは、私たちには、母なる大地や私たちのテリトリーとの伝統的な関係を維持し、また私たちの独自の政治様式を守っていく権利、自分たちの代表を選び、権限を行使する権利があることを意味しています。これが最初に述べた自分たちで決定することの価値なのです。コミュニティにおいて、合意を持って決定し、そうして村人から与えられた使命を、私たちの代表が遂行していくのです。
 もしこうした形に基づいていなければ、アマゾン地域における運動は、あれほどまでも長く続くことはなかったでしょう。成員による決定であり、闘争であり、そこにリーダーの傾倒と明晰さを伴っていたからこそ、国内外を揺さぶることができたのです。

そのことは同時に国家による暴力的な弾圧を引き起こすことともなりました。政府はアマゾン地域の運動に対する国内、そして世界的な連帯運動の広がりを前に恐れおののいたのです。先住民族に理があり、支配のシステムと略奪モデルが揺らいでいることに気づかされたのです。
 そのモデルとは、アンデスやアマゾンにおいて、鉱業や林業、石油開発のためのコンセッションを拡大し、先住民族から生計の糧を奪いさり、国際条約にも定められている私たちの権利を踏みにじるようなものであり、また国にとって明らかに望ましくない自由貿易協定に署名することで国家主権を弱体化させるものであり、バグアで一年前に軍と警察に対して私たちの殺害を許可したように、私たちの抗議行動を犯罪と見なし、迫害し、処罰し、監獄に放り込もうとする、そういうものなのです。

 アラン・ガルシア政権は、抗議行動を犯罪とするような法令を公布することで、私たちの権利を侵害することを正当化し、米国との自由貿易協定のための一連の法整備への道を開きました。102もの憲法に反する法令を揃えたのですが、それに対し先住民族は憤慨し、闘争への決意と団結そして尊厳を持って立ち上がったのです。

 私たちの闘争は3つの法令の廃止を勝ち取りましたが、そのために34人の命が失われ、世界は心を動かされ、これまでに見たことのない連帯の輪が国内外に広がりました。ペルーでは2009年6月11日の国民抗議行動が、ここ30年あまり見たこともないような歴史的な高まりをみせ、国際的には、国連機関から人権団体、社会運動組織など、地球上の様々な所からバグアにおける虐殺を非難し、私たち先住民族の正当な要求に連帯する声が届けられました。

 ペルーにおいて先住民族が主役として立ち現れたことは、孤立した出来事ではなく、アビヤ・ヤラのすべての先住民族が立ち上がり、連携してきたプロセスにつながっています。私たちの多様性の中で、生命への敬愛、パチャママとの一体感、伝統的なアイデンティティーへの誇りを共有しつつ、私たちの権利の全的な行使と「善き生き方」と共同体的多民族国家という私たちの中心的な提案を協同で築きあげるために団結してきたのです。

 バグアの虐殺の後、国連の先住民族の権利に関する特別報告者であるジェームズ・アナヤ氏や人種差別撤廃委員会は政府に対して数々の提案を行ってきました。その中で特に重要な3点は、先住民族の参加の上で、独立した中立調査委員会の設置すること、先住民族法と事前協議に関する法律を審議し、承認することです。

 この最初の点についてはまだ道半ばです。議会の委員会は既に3つの報告書を公表し、もう一つの委員会は、国家の責任に言及せず、先住民族に責任を押しつけるような曖昧な報告書を出してきました。しかし2名の委員が署名を拒否し、独自の報告書を公表することとなっています。
 
 協議に関する法は議会で審議され、承認されました。ペルーは15年以上前に、ILO169号条約に批准しており、この法律は先住民族組織が長年要求してきたものなのです。しかしバグアの虐殺がなければ、先送りにされ続けたに違いありません。この法律は完全なものではありません。だからこそ、先住民族がその可能性を広げ、また法律を履行させていかなければなりません。既に私たちはそれができることを示してきたのです。

 先住民族法については、CAOI(アンデス先住民族組織調整体)はボリビアや他の国、また先住民族の権利に関する国連宣言などを参考にしながら独自の提案を作っています。

 バグアの虐殺から一年を経て、私たち先住民族はその団結のあり方を考え、強化しています。国家を押し戻しつつ、私たちの存在を無視し続けることはもうできないということを、私たちを抑圧して黙らせることはもうできないことを理解させ、通文化的な公共政策を開発していく道しか残されていないことを理解させるために、決意と団結を持って取り組んでいます。国家に対して、先住民族は私たちの多様性を承認し、評価し、通文化的な公共政策の開発を求めているのです。

下記サイトの記事からの翻訳です。
(訳:青西)
Las lecciones de Bagua
- Miguel Palacín Quispe es Coordinador General CAOI (Coordinadora Andina de Organizaciones Indígenas)
http://alainet.org/active/38693〈=es

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