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2010/06/17

エクアドル:債務返済の鎖を裁ち切り 新しい持続的な社会へ向けて

3月に来日されたデルファ・マンティージャさんの報告会からのまとめです。
(日本ラテンアメリカ協力ネットワーク のニュースレターに掲載した記事の一部です)

債務返済の鎖を裁ち切り
新しい持続的な社会へ向けて

        
2010年3月、おおさか社会フォーラムに参加するため、エクアドルで債務問題などに取り組むジュビリー・エクアドルからデルファ・マンティージャさんが来日されました。ここではデルファさんの報告から抜粋してお伝えします。

開発のための融資は本当に役に立ったのか

 長年、開発のために先進諸国から借金をするという戦略が使われてきました。市民社会としては融資を利用するということを一概に悪いと言うつもりはありません。しかし私たちの資源は債務の支払いのために奪われ続けてきました。そうした中で、エクアドルだけではなく、南米各国の市民社会は、先進国からのこうした融資が本当に私たちの開発に役立ってきたのか、あるいは私たちの希望を埋葬してきたのかを明らかにするための監査を要求してきました。こうした市民社会からの声に呼応して、エクアドルのコレア大統領は2007年に「公的債務監査委員会」を設置しました。
そこで明らかになったことは債務は貧困の原因であり、私たちの資源は、債務の支払いのために奪われてきたということです。ワシントン・コンセンサスやIMFによる構造調整政策に基づき、国家予算の多くが債務の返済に振り向けられ、保健や教育、住宅など基本サービスへの予算は削られてきました。国家予算(1996-2006年)のうち、65%が債務支払いに向けられ、教育に12%、保健には4%しか使われませんでした。
 またここ30年間にエクアドルが受け取ってきた債務は債務の返済を維持するために使われてきたのです。海外からの融資の4%のみが国内投資に使われ、30年間にわたって受け取ってきた融資の96%は債務の支払いを維持するために使われてきたのです。
 こうして私たちは借りたお金以上の金額を返済することを強いられてきました。これは資金が私たちから先進国に流出していることを意味しています。こうしたことを監査を通じて明らかにすることができたのです。エクアドルだけではなく、ラテンアメリカ諸国はこうした対外債務を既に支払っているということです。

●債務支払いのための石油開発から
 持続的開発のためのヤスニ提案へ


 石油はエクアドルの国家収入の重要な部分を占めています。この石油からの収入は対外債務を返済するために使われてきました。しかし石油開発は、私たちの国民の生活を脅かし、自然を破壊してきました。石油開発によってアマゾン地域の熱帯雨林も破壊されてきました。川や土壌を汚染し、生物多様性を損ない、先住民族の文化も失われてきました。
 アマゾン地域で石油開発を行うことは、地球を殺すようなものなのです。そこで人口たった1200万人の小国であるエクアドルは、世界にむけて新しい提案をしています。アマゾン地域にあるヤスニ保護区における石油開発を放棄することを提案しているのです。生物多様性の宝庫であるヤスニ保護区はユネスコの生物圏保存地域としても登録されていますし、タガエリ、タロメナニ、ニャノメナニという三つの非接触先住民族も居住しています。
エクアドル政府は、先進国が支援してくれれば、このヤスニ保護区における8億5千万バレルの石油採掘を放棄しようと提案しています。これは4億トンの二酸化炭素の放出を放棄することになり、気候変動の緩和にも貢献することができるのです。しかしこれは様々な国々の連帯があってはじめて実現できるものです。
 そこでこれまで大気を汚染してきた先進諸国に共同責任をお願いしたいのです。85%の温室効果ガスは豊かな国から生み出され、ラテンアメリカ諸国は3%を排出したに過ぎません。しかし気候変動はより貧しい人に被害をもたらしています。干魃や洪水の被害も出ています。
 そこでともに地球を守るために、人類を守り、未来の世代を守るために協力していくことをお願いしたいのです。

(まとめ:開発と権利のための行動センター 青西)

・「公的債務監査委員会」の報告書要約
 債務問題や国際金融取引の問題に取り組んできたATTAC-JAPANが翻訳版を作成して販売しています。

・ヤスニでの石油開発をやめようという取り組みについては、ニューインターナショナリストが取り上げています。
 2008 年7月号、NI No.413 & NIジャパン No.101「石油依存社会への提言 ─ エクアドルの新たな試み」 http://www.ni-japan.com/

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