« モノカルチャルな生活はとてもデンジャラス | トップページ | CDMやREDDといった気候変動対策による土地紛争と食料への権利の侵害 »

2010/11/06

ペルー:石油開発・自由貿易協定・先住民族

 ペルーの東部先住民族地域組織(ORPIO)の代表であり、南米のアマゾン地域の先住民族組織の連合体であるCOICAの代表でもあるエドウィン・バスケスさんがCOP10に参加するために来日していた際に、現地の状況を聞きました。
 その一部です(後日、残りは掲載します)

 日本とペルーの経済連携協定、117鉱区への日本企業の参入など、私たちの気づかないところで、ペルーの先住民族への私たちの責任は重いものになりつつあるのです。

 生物多様性条約締結国会議について

 ここでは美しいことが話されていますが、汚い部分は自分たちの国に残しています。そうした私たちの現実を明らかにしなければなりません。
 環境大臣はここにやってきて、REDDのプロジェクトを実施したい、実施には何も問題ない、先住民族に利益をもたらすものだと話をしていますが、そのペルー・アマゾンが緑なのは、そこに先住民族がいて、森を大事にしているからなのです。先住民族にとっては、そこが家であり、テリトリーであるのです。しかし大臣はここで勝手に交渉しています。私たち先住民族としては、先住民族の意見を聞き、尊重し、先住民族の権利を脅かさないように求めます。
 
 生物多様性の保全について

 先住民族は、自然を守ってきたわけで、その分野における専門家だと言えます。そうした私たちの視点からは、まず私たちの土地・テリトリーが守られなければなりません。土地とテリトリーがなければ、先住民族としては生きているとは言えません。テリトリーには魚がいて、動物がいて、畑があり、未来があり、世界観があり、文化があり、過去から未来にわたる私たち自身の存在があります。
 ですからこそ私たちの存在のためにはテリトリーの保全が最も重要なのです。

 自由貿易協定について

 日本との経済連携協定についても、ニュースでは聞いたことがあります。しかしこうした国家間の自由貿易協定の交渉は閉ざされた場所で行われており、誰も参加していません。それは米国との交渉の時も同様でした。
 先住民族のテリトリーに存在する、石油や森林、鉱物など様々な自然資源について、先住民族の存在なしに交渉しているのです。その結果、石油や、材木、鉱物などを狙う多国籍企業を優遇するだけの法律ができて、先住民族の権利が侵害され,奪われるのです。
 先住民族の権利を脅かし、テリトリーや土地への権利を脅かす協定には闘っていかなくてはなりません。
先住民族の存在はお金で換算されるものではなく、土地・テリトリーとともに総体として先住民族の存在が重要なのです。

 117鉱区について

 117鉱区は、アルト・プトゥマヨとアルト・ナポに位置し、セコヤ民族とキチュア民族が生活しています。彼らはこの地域に、先住民族の存在と自然を守るために、コミュニティ保護区を設置するように長年求めてきました。また国立公園の設置も求めています。
 しかしブラジル系のペトロブラスにこの鉱区のコンセッションが行われてしまったのです。先住民族は彼らのテリトリーに、企業が侵入することを許すつもりはありません。この3月と9月にも改めて声明を発表し、改めて、一歩たりとも足を踏み入れさせないと宣言しています。
 
 日本企業が25%の権益を獲得したという話も聞きましたが、この地域には紛争が存在しているということをしっかりを考えるべきであり、権益を放棄すべきです。117鉱区は先住民族の静穏な生活を脅かしているのです。
 そもそも、このコンセッションについて協議は行われていません。コンセッションを与えた後に、企業がやってきて、若干の情報を提供したに過ぎません。これを協議と言うことはできません。押しつけられたコンセッションなのです。

 石油開発と先住民族

 ペルーのアマゾン地域では70年代から石油採掘が行われてきましたが、フジモリ政権下の1995年頃から、石油開発が積極的に進められてきました。この動きに対して先住民族は反対の立場を取ってきました。政府は石油採掘で開発がもたらされると言ってきましたが、それは嘘ばかりでした。石油開発がもたらしたのは、死と破壊、そして汚染だけです。
 2006年にはアチュアル民族が、汚染のない土地とテリトリーを求めて、油井の占拠など抗議行動を展開しました。人々は鉛やカドミウムによる健康被害への調査、健康被害に対応する保健プログラムなども要求しました。[1]
[1] ペルー:先住民、石油会社を提訴へ(2006/08)
http://www.news.janjan.jp/world/0608/0608300329/1.php
 先住民族の要求は政治的意思では実現されてきませんでした。運動によってのみ実現されてきたのです。しかし合意されたものの履行されていないものも多々あります。
現在、アマゾン地域はほとんど100%、コンセッションが出されています。これらはすべて協議を得ていないのです。政府はILO169号条約も批准しましたが、それは守られていないです。
(バグア事件に関して、割愛)
 協議のないコンセッションは続き、石油会社による汚染も続いています。これに対して、10月24日にマラニョン川で5千人の先住民族の仲間による河川(水運)封鎖が行われました。[2]政府や地方政府、企業は先住民族の要求を無視しています。汚染がないというのです。政府は、企業は開発をもたらすとして、企業と争う気はなく、企業は好き勝手にやっているのです。
 私たち先住民族は、様々な問題に対して準備しなければなりませんし、また非先住民からの支援も重要です。

[2] 補足:マラニョン川原油汚染
 今年6月に運搬船から300バリルの原油流出が引き起こされた。企業は飲料水の供給などの支援を一時的に行ったものの、中断。しかし水質が改善されていないこと、魚から汚染物質が発見されていることなどから、先住民族側が抗議行動を展開
関連記事
Reportan heridos y desaparecidos por la toma del río Marañón en Perú(2010/10/29)
http://www.elmundo.es/america/2010/10/29/noticias/1288309066.html
ORPIO Demonstrates Marañón River Pollution By Oil: Video Evidence (2010/9/28)
http://indigenouspeoplesissues.com/index.php?option=com_content&view=article&id=6836:orpio-demonstrates-maranon-river-pollution-by-oil-video-evidence&catid=53:south-america-indigenous-peoples&Itemid=75
Nativos bloquean río Marañón en rechazo a contaminación petrolera
http://diariolaregion.com/web/2010/10/26/nativos-bloquean-rio-maranon-en-rechazo-a-contaminacion-petrolera/
Peru: Thousands Of Indians Blockade The Marañón River - Require Dialogue With Companies And Authorities
http://indigenouspeoplesissues.com/index.php?option=com_content&view=article&id=7285:peru-thousands-of-indians-blockade-the-maranon-river-require-dialogue-with-companies-and-authorities&catid=53:south-america-indigenous-peoples&Itemid=75

まとめ
青西
カテゴリー「ペルー」の関連記事もご覧ください。
  

|

« モノカルチャルな生活はとてもデンジャラス | トップページ | CDMやREDDといった気候変動対策による土地紛争と食料への権利の侵害 »

ペルー」カテゴリの記事

先住民族」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/50657/49948382

この記事へのトラックバック一覧です: ペルー:石油開発・自由貿易協定・先住民族:

« モノカルチャルな生活はとてもデンジャラス | トップページ | CDMやREDDといった気候変動対策による土地紛争と食料への権利の侵害 »