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2011/01/14

REDDへの懸念:ラオスにおける調査案件

 経済産業省は「地球温暖化対策技術普及等推進事業」として、温室効果ガス排出量削減につながる協力案件、事業化のための調査を昨年公募した。
 公募資料は次の様に記載している。[1]
「2009年末の第15回気候変動枠組み条約締約国会合(COP15)で策定されたコペンハーゲン合意は、先進国の排出総量についての目標を各国それぞれのやり方で設定することを認めるものとなりました。経済産業省では、こうした機会を捉え、現行のCDMの下では国際的に十分に評価がなされていない技術(原子力、CCS、石炭火力等)も広く対象に含める形で、我が国が世界に誇るクリーン技術や製品、インフラ、生産設備などの提供を行った企業の貢献を適切に評価し、その貢献を我が国の排出削減量として換算することを可能とする新たな仕組みを、二国間もしくは多国間の合意を通じて構築していきたいと考えています。」
 原発まで入れているという信じがたい公募であるが、この結果30の事業が採択され、そのうちの4つがREDDに関するものである。[2]
1)王子製紙 ラオス[3]
2) 丸紅   インドネシア[4]
3) 兼松   ブラジル[5]
4) 三菱商事 ペルー

 兼松のプロジェクトはブラジルのセラードにおける大豆農地の拡大に対して、森林を保全するというものであり、地域のパレシ民族と共同で行うということがいくつかの資料に
記載されている。[6]
 また兼松の文書[5]には「主要な森林減少国では、将来のREDD クレジット取得を目的に米国やノルウェー等の先進国によるREDD+プロジェクトの実施に適したサイトの確保が進んでいる状況です。」と記載されており、すでにREDDに向けて森林資源の囲い込みが競争化しつつあることを伺わせる。
 ペルーでの案件については、三菱商事のサイトにはプレス・リリースを見つけることができなかった。ペルーは森林法や先住民族との協議などが、国内紛争の原因ともなっており、REDDの調査を進めるのは現実には難しいのではないかと思われるが、こうした点が情報公開を妨げているのであろうか。 
 丸紅の事業についてはカンクンのCOP16のサイドイベントでも報告されているようである。[7]
ラオスにおけるREDD事業化調査については、「ワールド・レインフォレスト・ムーブメント」のニュースレター、160号に懸念を示す記事が掲載されている。[8]
 この記事では王子製紙がそもそも森林を伐採して植林地を拡大した経緯を踏まえ、それがREDDに組み込まれるということの矛盾、REDDあるいは植林地が農民の土地を奪い、生計手段を奪うことの問題、今回のREDD事業化に向けての調査も、地域住民の置かれた状況を考慮しないものになるのではないかという懸念などが示されている。 

 REDDだけではなく、ゴムプランテーションや大規模植林など、様々な形での農民からの土地の収奪、先住民族のテリトリーからの排除は世界各地で続いている。

 自分たちが排出してきた温室効果ガスの帳尻あわせを各地の農民や先住民族に背負わせるREDDそして排出権取引について、私たちも十分にチェックしていかなければならない。今回の4つの調査案件についてもこれからフォローしていかなければならないと考えている。
 開発と権利のための行動センター
 青西靖夫


[1] http://www.meti.go.jp/information/downloadfiles/c100622b01j.pdf
[2]平成22年度「地球温暖化対策技術普及等推進事業」第1回公募に係る交付先の採択結果について
http://www.meti.go.jp/information/data/c100810aj.html
平成22年度 「地球温暖化対策技術普及等推進事業」第2回公募に係る交付先の採択結果について
http://www.meti.go.jp/information/data/c101020aj.html
[3] 経済産業省「地球温暖化対策技術普及等推進事業」へのラオス植林事業の採択について(2010/10/21)
http://www.ojipaper.co.jp/release/cgi-bin/back_num.pl5?sele=20101021134227&page_view_selected_=1
[4]経済産業省「平成22年度 地球温暖化対策技術普及等推進事業」に係る企画競争募集において、REDD+(レッドプラス)に関する事業委託先として採択された件
http://www.marubeni.co.jp/news/2010/100810b.html
[5]ブラジルにおけるREDD+事業が経済産業省「平成22 年度地球温暖化対策技術普及等推進事業」に採択
http://www.kanematsu.co.jp/LinkClick.aspx?fileticket=OC0MVg1I2Ps%3D&tabid=57&mid=451
[6]日本貿易会月報 2010年12月
http://www.jftc.or.jp/shoshaeye/pdf/201012/201012_4.pdf
ブラジル・マトグロッソ州における森林減少・劣化からの排出削減(REDD)事業調査
http://gec.jp/gec/jp/Activities/cdm/sympo/2010/t2-1_kanematsu.pdf
[7]REDD+ Feasibility Study in Indonesia
http://www.cbd.int/cooperation/pavilion/cancun-presentations/2010-12-2-Tanigaki-en.pdf
[8]Un caso REDD: Destructor de bosques Oji Paper pretende financiamiento REDD en Laos
http://wrm.org.uy/boletin/160/opinion.html#6
A REDD case study: Forest destroyer Oji Paper to carry out REDD feasibility study in Laos
http://www.wrm.org.uy/index.html

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