« グアテマラ:コバンで自然保護区とコミュニティ住民との紛争 | トップページ | パナマ:鉱業法改悪に反対する先住民族 »

2011/02/12

グアテマラ:保護区・麻薬・人権侵害

 前回の記事に加えて、ラグーナ・ラチュア国立公園で起きている人権侵害、社会紛争について検討する記事を紹介する。

Termine con el Estado de Asedio en Alta Verapaz, Guatemala
http://theesperanzaproject.org/es/2011/01/termine-con-el-estado-de-asedio-en-alta-verapaz-guatemala/ (抄訳)

2010年12月19日に、アルバロ・コロム大統領はメキシコから侵入してきた「ロス・セタス」などの麻薬組織の一斉取り締まりを名目に、アルタベラパス県に非常事態宣言を発令。「ロス・セタス」はアルタベラパス県で広範に支配を広げていたという。
 この非常事態宣言の中で多数の武器も押収されたということであるが、基本的人権が制約される中で、麻薬取引人以外が攻撃の対象となるケースとなる事件も勃発。
 CONICによると、麻薬とは何ら関わりのないケクチ民族コミュニティの Se’Job’Cheにおいて1月10日、コミュニティが軍の侵入を受け、住民が逃亡。その間に作物や所持品が破壊されたという。
 CONICは「1月10日、40の軍の兵士及び2名の警官、森林局の資源保護管20名がコミュニティのカルダモモやトウモロコシ、フリホールの栽培地に侵入。対話もないままに射撃を開始。住民は逃亡。部隊はおよそ15ヘクタールのカルダモモ栽培地、15ヘクタールのフリホールなどを破壊。」
「カルダモモの間に隠れていたAdelina Yaxcalに対して、政府機関の代表として来ていたHéctor Arnulfo Ruizが暴行を加えようとし、また森林局のFermín Ayalaがコミュニティ住民に対して、耕作物の保護と引き替えに6000ドル相当の賄賂を要求」
「この事件で20羽の七面鳥と20羽のニワトリ他、個人の所持品が失われたという」

 グアテマラ連帯プロジェクト(Guatemala Solidarity Project :GSP)によると大地主や国際的な企業が、「土地をきれいにするために」この機会を利用しているという。
「1月20日に、Saquimo Setano村は、地主のBenjamin Sotoの家族のものに襲撃し、暴力を加え、家に火をつけ、そこで働いていた米国籍のボランティアにも脅迫を加えた」
 GPSはそれ以来、このコミュニティとの連絡を取れずにいる。

 GPSは「コミュニティは大地主であるBenjamin Sotoとその妻Maria Elena Garcia Icalによって土地を奪われようとしている。昨年の8月31日から9月2日にかけて、コミュニティを襲撃し、家々を焼き払い、脅迫を行った。政府はこうした行為を止めようとはせず、逆にコミュニティのリーダーやGPSを不当に非難している」
 またGPSによると米国政府の資金を受けているバイオ・ディーゼル生産企業の民間ガードマンがMiralvalleコミュニティを襲撃したという情報もあるという。


 このWEB記事に対して、次のようなコメントが寄せられている。
「Jobche(Se’Job’Che)はコミュニティではなく、ラグーナ・ラチュア国立公園内に近年なされた土地占拠地である」
「ANDRES CHUB 他は保護区の担当者を脅迫した」
「Salacuinに家を持っていて、保護区内にカルダモモを植え付けるために侵入した」

 一方のGPSは以下のような反論を掲載。
「CONICともSe’Job’Che’村とも直接関係はなく、上記の事件について証明できるものはないが、他のコミュニティにおける類似の経験から共通するものを感じる。・・・保護区が存在する前から森を守ってきたコミュニティが存在する一方で、保護区の中に政府高官や軍人の農園が存在するケースを山ほど見てきた・・・多国籍企業が保護区の水や森を破壊するケース、ラグーナ・デル・ティグレのように石油開発を認めるケース・・・私たちが一緒に働いてきたケクチ民族コミュニティが政府よりもより適切に森林や環境を守ってきた・・・この非常事態宣言はアルタベラパス県の住民の基本的人権を侵害してきた。直接の暴力的事件だけではなく、集会や表現の自由を侵害している」
「アルタベラパス県では何千人という人々が土地や教育、そして大規模プロジェクトに対して協議を求める権利などについて運動を行ってきた。しかしこの非常事態宣言はこうした先住民族運動を妨げるものとなっている」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 先の2月8日の声明文も含め、現地の状況を詳細に分析することは現在ではできない。
しかし、麻薬対策の中で、麻薬とは関係のない、保護区から居住者排除等の動きが進んでいることは明らかであろう。
 前回の記事で紹介した、CUCのサイトにみられた大地主との土地紛争も存在している。 先住民族コミュニティとの間で様々な社会紛争が存在する中で発動されている「非常事態宣言」が、社会運動の抑圧につながっていることは否定できないであろう。

 次のサイトには人権団体の記者会見も掲載されている。
Guatemalan Human Rights Leaders Oppose State of Siege.wmv
 http://www.youtube.com/watch?v=6tkxltObOpE&feature=player_embedded

 今回の非常事態宣言は一ヶ月延長され、2月18日まで継続されている。

 まとめ
 開発と権利のための行動センター
 青西

Saquimo Setanoでの紛争については次の動画もある。地主との土地問題、リーダーの誘拐に加えて、今回の非常事態宣言が、集会の権利などを侵害している問題も指摘している。

SaquimoSetanoStrugglesAgainstDisappearanceJan242011.wmv
http://www.youtube.com/watch?v=v1EcqpDng9k&feature=related

|

« グアテマラ:コバンで自然保護区とコミュニティ住民との紛争 | トップページ | パナマ:鉱業法改悪に反対する先住民族 »

グアテマラ」カテゴリの記事

先住民族」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

自然保護区」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/50657/50845862

この記事へのトラックバック一覧です: グアテマラ:保護区・麻薬・人権侵害:

« グアテマラ:コバンで自然保護区とコミュニティ住民との紛争 | トップページ | パナマ:鉱業法改悪に反対する先住民族 »