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2011/04/06

パナマ:ILO169号条約批准に取り組む

 パナマ政府は、国際連合人権理事会において、先住民族の権利を保障している国際労働機関(ILO))の第169号条約を批准すると確約したとのことである。

 これは国連人権理事会のもとに置かれているUPR(普遍的・定期的レビュー)の中で、パナマ政府は、「ILO169号条約について検討を行ってきた上で、批准に向けて法制化を進める」と確約したものである。

 このUPRのプロセス[1]について、先住民族の権利に焦点を当てて、文書にそって概観してみたい。[2]

A)「被審査国の政府が作成する報告書」では、パナマではコマルカ(自治区)が設置されており、先住民族の権利は守られているというような内容が記されている。

B)「人権高等弁務官事務所による文書」は被審査国の国際条約への加入状況などの情報を集約したものである。 ここでは主として国連人種差別撤廃委員会の報告書や勧告に基づいて、先住民族の権利の履行における問題点、事前協議が軽視されている点などが指摘されている。また先住民族の権利に関する特別報告者のパナマ報告書における、ダム建設に際して事前協議が適切に行われなかった指摘などに言及している。

C)「人権高等弁務官事務所が要約した、NGOなどステークホルダーの意見書」
ここには14の主要関係組織などの報告が要約されているが、元になっている報告もすべてWEB上に掲載されている。(肩番号3からリンクしている)カルチャル・サバイバルなど単独で報告を出している組織もあれば、合同で報告書を提出しているところもある。また米国の大学の学生と教員との連名での報告書も含まれている。
 この中では、先住民族の子どもが通文化的な二言語教育を受ける権利を侵害されていること、文化的、言語的な教育を受ける機会を奪われるなど差別を受けていること、資源開発で先住民族の土地が脅かされていること、コマルカ及びコマルカ外の先住民族のテリトリーの一体性が脅かされていることが指摘され、ILO169号条約の批准やナソ民族のコマルカの制定を求める必要性などが記載されている。

D) 追加的質問書
 いくつかの国から追加的な質問が行われている。ドイツは、チャン75ダム建設に関する先住民族の権利に関する特別報告者の結論に言及して、巨大開発事業から市民の権利を守るために何を行っているのか、オランダは協議への権利、また先住民族の権利の領域的な一体性をどのように保障しようとしているのかといった質問を行っている。

E) 作業部会での会議(2010/11/02)
 パナマ政府の代表は、既にILO169号条約批准の可能性について検討する委員会を設置し、この委員会が設置を勧告したことを報告。

 また34カ国の代表が発言し、勧告を行っている。ノルウェー、英国、米国が、昨年のチャンギノーラにおける衝突について憂慮する発言をしている。
 この会議においてブラジル、ノルウェー、エクアドルが、ILO169号条約の批准を勧告しており、2011年3月の第16回国連人権理事会までにパナマ政府が回答することとなった。

F) パナマ政府からの追加的報告(2011/2/17)
 上記の結論や勧告についてパナマ政府が国連人権理事会に先立って回答を行っている。この中で、パナマ政府は既に作業チームを設置して、第169号条約の批准について検討を行い、批准の方向が出され、またそのための法整備を行う政治的意志を有しており、近々法案が閣議に提出されるはずだと回答。

G) 第16回国連人権理事会報告書 草稿 [3]
この文書においては、「作業チームを設置し、作業が終わり、批准に賛成している」と書き込まれた。


 今後、人々の権利を守っていく上でどのようにUPRのプロセスを利用できるのかという点も含め、パナマの事例を検証してみた。市民社会の声はCのプロセスで反映させることができ、その上で、Eの作業部会において、各国の代表からの言及、勧告に含んでもらうことができれば、大きな影響力を持つことができるのだろうと考えられる。
 どの程度の時間での作業になるのかは、あらためて検討が必要と考えている。

 また実際にILO169号条約の批准が行われるかどうかも、注視していく必要がある。

 開発と権利のための行動センター
 青西靖夫

この記事はPanama latest to sign up to tribal peoples’ law (2011/3/26)
http://www.survivalinternational.org/news/7120
Panamá se compromete a consultar a los indígenas por sus tierras http://opinion.eluniversal.com/2011/03/16/panama-se-compromete-a-consultar-a-los-indigenas-por-sus-tierras.shtml
 の裏付けを探る中で、このような形で整理したものである。

[1] UPR(普遍的・定期的レビュー)の概要
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken_r/upr_gai.html
[2]次のサイトより国別、あるいはセッション別の文書にアクセスできる。
http://www.ohchr.org/EN/HRBodies/UPR/Pages/Documentation.aspx
 今回のパナマに関する文書は次のサイトである。
http://www.ohchr.org/EN/HRBodies/UPR%5CPAGES%5CPASession9.aspx
 NGO等の報告書はこちら
http://www.ohchr.org/EN/HRBodies/UPR/Pages/UPRPAStakeholdersInfoS9.aspx
[3]
Draft report of the Human Rights Council on its sixteenth
session*
http://www2.ohchr.org/english/bodies/hrcouncil/docs/16session/DraftReport16thSessionHRC.pdf

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