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2011/06/28

ボリビア:食料主権の確立と小農による有機農業振興を目指して

 6月26日、農牧・共同体的生産革命法(Ley 144)が布告された。食料主権と小農民による農業振興を目指したこの法律は、審議過程において、遺伝子組み換え作物をどのように扱うかで先住民族組織や農民組織の間で大きな議論を巻き起こしていた。最終的に当初法案に反発していた先住民族組織なども含めた「統一協定」に参加した諸組織の立ち会いのもと、エボ・モラレス大統領によって布告されたものである

 大統領は「この先、我々はこの新しい法を履行していく責任があります。それぞれの村から、しっかりとした組織を通じて、あなた方が中心となって、食料主権を確立していく責任があるのです。投資を無駄にしないために、生産者である農民組織は、それぞれの自治体で、何のために、どれだけの金額を生産に振り向けるべきかを決めなくてはなりません」と語ったという。
 
 また大統領官房であるカルロス・ロメロは、この法律が遺伝子組み換え作物を推進すものではなく、ボリビアに存在する伝統的な遺伝子資産の価値を認めていくものであり、先住民族の持つ遺伝子資源の開発を通じて、バイオ・テクノロジーの開発を進めるものである」と語っている。
 この法律の15条は、遺伝子組み換え種子の国内持ち込みを禁止しており、また輸入食料は遺伝子組み換え作物を含むかどうか明記しなければならないとのことである。[1]
 
 しかしながら、6月27日にBolpressのサイトに掲載された記事によると、この法律では、遺伝子組み換え作物を全面的に禁止しているのではなく、ボリビアが起源であるか多様性の中心である、あるいは遺伝子資産や生物多様性、健康を脅かしうるような遺伝子組み換え種子を含む技術パッケージを導入しない、と定めているだけであり、近い将来に遺伝子組み換え稲などが導入されてくるであろうと指摘している。[2]


 このように遺伝子組み換え作物を巡っての対立は解消されていないようである。このほか、この法律では、国家による肥料生産、種子生産、農業保険などについても定めているとのことであるが、まだ制定された法律原文を入手できていないので、今後報告したい。

開発と権利のための行動センター
青西 靖夫
 
[1] EVO MORALES PROMULGA LEY DE REVOLUCIÓN PRODUCTIVA QUE GARANTIZA SEGURIDAD ALIMENTARIA EN EL PAÍS SIN TRANSGÉNICOS http://www.vicepresidencia.gob.bo/Inicio/tabid/36/ctl/noticia/mid/471/code/201106261/Default.aspx
[2]¿A qué cultivos transgénicos apunta la Ley de Revolución Productiva Comunitaria?
http://www.bolpress.com/art.php?Cod=2011062707

注:「統一協定」に参加するCONAMAQは22日の段階でも、遺伝子組み換えに関わる法案の15条などに反発する声明を出しており、そこではCONAMAQとして法案に賛成する署名をした覚えはないと語っている。それ以降どこまで歩み寄りがあったのかは定かではなく、火種は残ったままのようである。

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