経済・政治・国際

2014/02/05

グアテマラ:チクソイダム建設に対する補償がやっと実現か

チクソイダム建設に対する補償がやっと実現か+米国の国際金融機関政策

 1月17日にオバマ大統領によって署名された2014年統合予算法(Consolidated Appropriations Act of 2014)に基づき、米国政府は1970年代から80年代にかけて、大規模な強制移転と殺害を引き起こしたチショイダムの被害者への補償が動き出すこととなる。

 予算法の1240ページには、「財務長官は、世界銀行と米州開発銀行の米国代表理事に対して、2010年4月の補償計画の進捗について報告を求めること」と記されている。

 内戦の中で、この二つの銀行の融資に基づいて行われたこのダム建設によって、3000人以上のマヤ-アチ民族が移転を強いられ、更にリオネグロでは440人の先住民族が虐殺された。このプロジェクに関連して5000人以上の死者が生み出されたと言われている。

 長年の被害者による運動の成果として2010年に生み出された補償計画書には、1.5億ドルにのぼる補償が含まれているというが、今後補償がどのように実現していくか、注目されるところである。

 この予算法はこれ以外にもいくつか重要な規定を含んでいる。米国政府が国際的な金融機関に単独で影響力を持ちすぎることは問題ではあるが、今後の方向性としては重要であろう。注1

※貧困な人々の初等教育やプライマリーヘルスケアの有償化につながる融資や政策には反対すること (1239)

※IMF理事に対しIMFによる重債務貧困国の保健や教育予算の維持や増加を妨げるような融資やプロジェクトに反対すること

※融資等によって引き起こされる人権侵害や強制移転などについて、監査機関の勧告に従い、補償などを行うこと。

※熱帯林・一次林における企業レベルでの伐採につながる事業に対して反対すること(1361)

※巨大ダム建設に対して融資をしないこと

これらをどのような文脈において理解すべきか、私の手には負えないが、米国との協調融資となっている事業などについては日本政府の資金の動きに対して圧力をかけるツールにもなるのではないかV

注1 http://docs.house.gov/billsthisweek/20140113/CPRT-113-HPRT-RU00-h3547-hamdt2samdt_xml.pdf

(ページは上のリンクの文書に基づく)

<参考>

ダム補償関連が先の2つ。

Guatemala's indigenous communities boosted by landmark reparations bill

http://www.theguardian.com/global-development/2014/jan/17/guatemala-chixoy-dam-reparations-bill

US Congress takes strides toward reparations for Chixoy Dam survivors

http://www.bicusa.org/us-congress-takes-strides-toward-reparations-for-chixoy-dam-survivors/

Reparations for the Maya Achi Chixoy Dam Affected

http://www.internationalrivers.org/blogs/233/reparations-for-the-maya-achi-chixoy-dam-affected

<米国の国際金融機関政策>

US Congressional legislation threatens IMF and World Bank plans

http://www.brettonwoodsproject.org/2014/01/us-congress-threatens-imf-world-bank-plans/

U.S. pushes for outside oversight of World Bank, opposes push toward ‘big hydro’

http://www.washingtonpost.com/business/economy/us-pushes-for-outside-oversight-of-world-bank-opposes-push-toward-big-hydro/2014/01/24/fb41bb7c-8516-11e3-8099-9181471f7aaf_story.html

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2014/01/29

ボリビア:TIPNISの動きの確認

記事としてまとまっているものではないのですが、とりあえず現状を把握し直すために整理した情報です。ガルシア・リネラ副大統領が、TIPNISの道路建設の戦略的な意味について何度も発言しているのが気になりました。

主目的は国家統合、多民族国家である多様性より、国家の地理的・経済的統合が必要だと強く思っていることがわかります。

イシボロ・セクレ先住民族テリトリー自然保護区(Territorio Indigena y Parque Nacional Isiboro Secure, TIPNIS)を分断する道路建設とそれに対する反対運動について、2012年初頭までこのブログでも取り上げてきました。
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2012/02/tipnis-35e1.html

それ以後の動きを整理しておきたいと思います。

2012年2月7日:ガルシア・リネラ副大統領:「TIPNISで動員されていたのは他の地区のリーダーたちであり、環境NGOやUSAIDの支援を受けていたのだ・・・アマゾンと高地を直接結ぶことで、サンタクルスのオルガルキーの支配を抜け出して、直接高地と低地の資源を結びつけることができる。」

El pueblo boliviano vive la mayor revolución social
http://www.jornada.unam.mx/2012/02/07/politica/002e1pol

-2012年4月:道路建設を受注していたブラジル企業OASとの契約破棄についてモラレス大統領言及

http://www.bolpress.com/art.php?Cod=2012041008

-2012年7月29日:ボリビア政府による協議プロセスの開始。12月6日まで実施。

-2012年11月29日~2012年12月14日:カトリック教会、ボリビア人権会議(APDHB)、国際人権連盟(FIDH)による協議プロセスの検証のための調査。36コミュニティの報告。30コミュニティが道路建設に反対。
http://www.cedib.org/documentos/consulta-tipnis-compendio-de-informes/

Verificación de la consulta en el TIPNIS (APDHB, Caritas, FIDH)
http://www.territoriosenresistencia.org/noticias/verificacion-de-la-consulta-en-el-tipnis-apdhb-caritas-fidh

-2012年12月27日:ガルシア・リネラ副大統領、海外からの融資を得るまで道路建設を再開することはないと表明
http://www.eldeber.com.bo/gobierno-descarta-carretera-por-el-tipnis-hasta-conseguir-financiamiento/121227163533

-2013年1月6日:選挙管理委員会が協議の報告書公開
http://www.oep.org.bo/oep/tipnis_consulta.aspx

選挙管理委員会は協議の実施プロセス支援と監視の役割を担っていた。

-2013年1月:契約破棄に関連するボリビア政府のブラジル企業OASへの補償金額が確定。この契約はブラジル社会開発銀行が融資を行う予定であった。
http://www.la-razon.com/nacional/Bolivia-OAS-indemnizacion-cancelacion-TIPNIS_0_1765023553.html

-2013年3月15日:米州人権機構での公聴会(Video)

http://www.youtube.com/watch?v=mapm_YD3RRc 
RD5 - Situation of Human Rights of the Indigenous Peoples Inhabiting Indigenous Territory in the National Park Isiboro Sécure (TIPNIS) in Bolivia

Indígenas del TIPNIS denunciaron ante la CIDH que el Estado actúa de mala fe, con presiones y desinformando
http://otramerica.com/radar/indigenas-tipnis-denunciaron-ante-la-cidh-estado-actua-mala-fe-presiones-desinformando/2868

-2013年4月2日:公共事業・サービス・住居省、議会に最終報告書提出

※http://www.oopp.gob.bo/index.php/informacion_institucional/INFORME-FINAL-TIPNIS,851.html

協議を受けたコミュニティの80%が道路建設を受け入れ、82%が法180号で定められた「触れてはいけない」という定義を拒否

-2013年6月27日:ガルシア・リネラ副大統領:「今後、20年、50年100年間はTIPNISに道路を作ることはない」と表明(しかしそうとは聞こえない。積極的に動いていくのではないだろうか。既に「事前協議」を手に入れている。)参考3)

-2013年9月21日:ガルシア・リネラ副大統領:TIPNISの道路は分離主義に終止符を打ち、国家統合をすすめるもの

Álvaro García Linera: Carretera por el TIPNIS pondrá fin a pretensiones separatistas y consolidará la unidad
http://www.fmbolivia.tv/alvaro-garcia-linera-carretera-por-el-tipnis-pondra-fin-a-pretensiones-separatistas-y-consolidara-la-unidad/

-2013年9月25日:2年前の先住民族行進弾圧における責任者の処罰は行われていない。
http://www.somossur.net/bolivia/economia/no-a-la-carretera-por-el-tipnis/1273-chaparina-a-dos-anos-730-dias-de-impunidad.html

-2013年1月:先住民族組織は、TIPNISの道路建設に中国の資金が入るのではないかと懸念を表明

<参考>

(1)道路建設に反対する先住民族運動などの情報

Somos Sur
http://www.somossur.net/bolivia/economia/no-a-la-carretera-por-el-tipnis.html

Territorio y Resitencia
http://www.territoriosenresistencia.org/

Fundacion Tierraのニュース集約サイト
http://www.ftierra.org/index.php?option=com_content&view=category&id=174:tipnis&Itemid=242&layout=default

(2)先住民族組織による「事前協議」の問題点

1.「事前」協議ではなかった

2.自由ではなかった。協議の前に、贈り物があったり、プロジェクトの提供話があったりした。道路建設を拒否したケースでは引き渡した贈り物を取り上げたり、学校建設を中止した。

3.良心に基づいたものではなかった。「intangubilidad」の説明において、狩猟も漁猟も、薪を捕ることも許されなくなると説明

4.情報提供がなかった: 道路建設に関する社会・環境影響評価を提示されることもなく、単に「エコロジカルな道路」の写真として、森の下のトンネルや樹上を通る道路のモンタージュ写真が見せられた

5. 適切な手続きでは行われていない。コミュニティの正統な評議会が開催されない、伝統的権威が参加していない

La “CONSULTA PREVIA” en opinión de los pueblos indígenas (2013/12)
http://www.somossur.net/bolivia/economia/no-a-la-carretera-por-el-tipnis/1317-la-consulta-previa-en-opinion-de-los-pueblos-indigenas.html

(3)アルバロ・ガルシア・リネラ副大統領の発言関連

・El pueblo boliviano vive la mayor revolución social
http://www.jornada.unam.mx/2012/02/07/politica/002e1pol

・Conferencia de Álvaro García Linera en el Centro Cultural
http://www.youtube.com/watch?v=JmpPmrwc4ys
http://www.youtube.com/watch?v=bhn91kXI4To

・García dijo que vía por el TIPNIS no va más, si se hace será en 20 ó 100 años
http://erbol.com.bo/noticia/politica/03012014/garcia_dijo_que_por_el_tipnis_no_va_mas_si_se_hace_sera_en_20_o_100_anos#sthash.ZlFitFuc.dpuf

・El Vicepresidente descarta carretera por el TIPNIS
http://www.paginasiete.bo/nacional/2014/1/4/vicepresidente-descarta-carretera-tipnis-10441.html

・Para García Linera, la integración es el proceso revolucionario de hoy (2013/7/01)
http://www.diputados.bo/index.php/prensa/ejecutivo/item/517-para-garcia-linera-la-integracion-es-el-proceso-revolucionario-de-hoy

・Álvaro García Linera: Carretera por el TIPNIS pondrá fin a pretensiones separatistas y consolidará la unidad(2013/9/21)

http://www.fmbolivia.tv/alvaro-garcia-linera-carretera-por-el-tipnis-pondra-fin-a-pretensiones-separatistas-y-consolidara-la-unidad/

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「自然の権利に関する国際法廷」

 エクアドルの首都キトーにおいて1月17日、「自然の権利に関する国際法廷」が開催された。

 自然の権利に関する国際アライアンス( GLOBAL ALLIANCE FOR RIGHTS OF NATURE)によって組織されたこの民衆法廷では、エクアドルにおけるブリティッシュ・ペトロリアムによる石油開発、ヤスニ開発、遺伝子組み換え、気候変動などの問題が取り上げられた。

 また「裁判官」としてはバンダナ・シバ、アルベルト・アコスタ、パブロ・ソロン(元ボリビア国連大使)、なども参加していた。

 取り上げられたケースは、今後法廷で審議していくことになるという。また次回は2014年12月にリマで開催するとのことである。

First International Tribunal on Rights of Nature:Inaugural session in Ecuador admits nine cases

http://amazonwatch.org/news/2014/0121-first-international-tribunal-on-rights-of-nature

Arranca el Tribunal Ético Mundial por los Derechos de la Naturaleza

http://www.lamarea.com/2014/01/23/arranca-el-tribunal-etico-mundial-por-los-derechos-de-la-naturaleza/

GLOBAL ALLIANCE FOR RIGHTS OF NATURE

http://therightsofnature.org/rights-of-nature-laws/rights-nature-tribunal/

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2014/01/27

国際的な批判に右往左往する世界銀行グループのIFC

 このブログでも何度かお伝えしたホンデュラスにおけるオイルパームプランテーションにおける人権侵害。このプランテーションへの世界銀行グループのIFCからの融資に対し、2012年、世界銀行内部のオンブズマン制度であるCAOが調査を開始。

 2013年12月20日付けの報告書を公表。この中でIFC が土地問題やそれにかかわるリスクについて適切な調査を実施していなかったこと、適切な環境・社会評価を行っていなかったことなどを指摘。これに対して、IFC1月3日付けで、この報告書の内容に同意という記載を含む回答を行った。

 これに対し1月20日にホンジュラス国内及び国際的な市民組織の70団体が連名で声明を発表。

 その後、22日、23日付けでIFCが批判を受け入れて方針を転換するという報道がなされている。

 詳細は把握できておらず、CAOの報告書もさっと眺めただけであるが、CAOの報告書はどのような点から世界銀行の融資にチェックを入れていくかという点からも参考になるのではないかと思う。

参考サイト

1)Honduras / Dinant-01/CAO Vice President Request

http://www.cao-ombudsman.org/cases/case_detail.aspx?id=188

http://www.cao-ombudsman.org/cases/document-links/documents/IFCResponsetoCAOAuditofDinant_Jan32014.pdf

2)World Bank arm under fire on project with group linked to killings(1/10)

http://www.ft.com/intl/cms/s/0/5db01062-79d0-11e3-a3e6-00144feabdc0.html

3)World Bank's Lending Arm Linked To Deadly Honduras Conflict(1/10)

http://www.huffingtonpost.com/2014/01/10/world-bank-honduras_n_4577861.html

4)World Bank funding a company implicated in human rights abuses in Honduras(1/10)

http://oxf.am/wYZ

5)IFC fails to act on human rights abuses in Honduras (1/24)

http://www.brettonwoodsproject.org/2014/01/ifc-fails-act-human-rights-abuses-honduras/

6)World Bank's private-sector arm accepts Honduran company loan criticism(1/22)

http://www.reuters.com/article/2014/01/22/honduras-worldbank-idUSL2N0KW1EH20140122

7)World Bank lending arm forced into U-turn after Honduras loan row(1/23)

http://www.theguardian.com/global-development/2014/jan/23/world-bank-ifc-forced-uturn-honduras-dinant

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UNEPが土地の持続的な利用を目指す報告書

国連環境計画のもとに置かれている「国際資源パネル」の報告書、「Assessing Global Land Use: Balancing Consumption with Sustainable Supply(世界の土地利用評価:消費を持続的な供給と均衡させるために)」が2014年1月24日に公表された。

 この報告書によると、現在のような持続性のない土地利用を続けると2050年までにブラジルの面積に相当する849百万ヘクタールの土地が劣化する危険があると警鐘を鳴らしている。

 報告書のプレスリリースは、人口増加に対応するため、地球上の各地でサバンナや草地、森林から耕作地への転換が進みつつあり、1961年から2007年までに耕作地は11%増加し、現在でもその傾向が続いていることを指摘している。その上で、今後、土地が有限であるという認識に基づき、土地から生み出される生産物の生産・供給・消費についてより効率的であることが必要であること、また2050年までに数百万ヘクタールの土地を守ることための境界を定めなければならいとしている。

 この報告書では、外延的な農耕地の拡大が限界に達していること、同時に非持続的な利用で、土地の劣化が進みつつあることを前に、過剰な消費の抑制、水からの消費のために利用している地球レベルでの土地利用についてのそれぞれの国家によるモニタリングとコントロールの必要性、食料価格と燃料価格の切り離しなどを提起している。また暫定的な指標として一人当たり耕地面積を0.2ヘクタールとしている。

Assessing Global Land Use: Balancing Consumption with Sustainable Supply

続きを読む "UNEPが土地の持続的な利用を目指す報告書"

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2012/03/08

エクアドル:3月8日から水と生命、尊厳を求める行進

 3月8日から22日にかけて、エクアドルで、水と生命そして諸民族の尊厳を求める大規模なデモ行進が行われます。このデモ行進は、8日にエクアドル各地を出発し、首都キトーでの合流を目指しています。
 
 このデモ行進は、エクアドル各地で進められようとしている鉱山・石油開発、また自然の権利の尊重や水や土地への権利を求めて闘う活動家がテロリストであると告発されることに対して抗議の声を上げていくことを目的としています。
http://marchaporlavida.net/

 エクアドルでは先日、ペルー国境に近いコンドール山脈において銅の露天掘りを目指す「エル・ミラドール」プロジェクトがエクアドル政府と中国系企業との間で契約されており、これに反対する環境活動家が、3月5日在エクアドル中国大使館において平和的な抗議を行ったところ暴力的に排除されるという事件も起きています。
http://www.youtube.com/watch?v=_19yqsSnG9A&feature=player_embedded

 一方、エクアドル政府は先住民族組織や環境団体によって組織されている今回のデモ行進を、極右や極左に扇動されている、利用されている、政権打倒を目指すものだ、と中傷を繰り返しています。

 開発と権利のための行動センター
 青西

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2012/02/19

「協議法はTIPNISの先住民族への恐喝だ」

 フンダシオン・ティエラの代表へのインタビュー記事の部分訳 (2012/02/12)

-この「協議法」はどのような危険を意味するのですか?

 この法律は適切なものではなく、憲法が定める事前の情報に基づく、誠実なる協議を履行するものではありません。
 この法律はTIPNISの一部の中間組織(CONISUR)の要請によるもので、地域のコミュニティの意志を飛び越えたものであり、TIPNISの領域により大きな紛争を引き起こすでしょう。たとえば、コカ農民の連合体は、TIPNIS内に耕作地を広げつつあり、今回のCONISURの構成員が居住する第7区は10万ヘクタールほどの面積を有し、いまだ国立公園の中ではありますが、先住民族テリトリー(TCO)を構成してはいません。
 つまり、この法律はコカ農民のために道路建設を進めるための国家的支援であり、それは(TIPNISに)深く浸透するための道路となります。

-協議はどのように、誰と行われるべきですか?


 国家が対話し、協議プロセスを進めるべき相手は、昨年の行進に参加し、(道路建設に反対している)TIPNISの先住民族コミュニティ(地区連合Subcentral)の代表であるフェルナンド・バルガスです。
 この法は、誰と協議を行うかについて曖昧な部分があり、第7区にも(法に記されている)チマネ、モヘーニョ-トリニタリオス、ユラカレ民族が住んでいますが、多くはコカ農民組織に所属しており、誰に協議を受ける権利があるのか、というのが判然としません。そこで紛争が起きる可能性もあり、それを政府は承知していることでしょう。

-法律は憲法の枠内にあるのですか?
 2011年に法第180号として結実したTIPNISのコミュニティの意志を無視するものであり、またその組織の意向を聞かずに中間組織の要請で協議を定めるという点で違憲であり、169号条約にも違反しています。

-道路建設についてのフンダシオン・ティエラの見解は?
 
 建設に対してフンダシオンとしての見解はありません。政府に対する疑念は、先住民族の権利を尊重するための手続きの履行に関するものです。

 もう一つの深刻な問題は「Intangibilidad/触れることはできない」という用語の利用にあります。昨年10月に先住民族出身の議員によって提起された用語ですが、その後議会で削除され、そして改めて政府によって取り込まれた制約です。外部からTIPNISを守るための楯として使われたこの用語が、先住民族を抑圧する剣になっているのです。これは先住民族に対する恐喝です。「触れてはいけない」という定義のままでいくのか、そうではないのか協議にかけようと。

-どこが恐喝なのですか?

 現在、(法180号のもとで、「触れてはいけない」とされ)先住民族が自然資源を利用していくことが制約され、一方で道路建設が禁止されています。そこで政府は先住民族に対して、この「触れてはいけない」という条項を続けるのか、あるいはやめるのか、つまり、人々の自然資源の利用を認めるとに道路建設を進めようというのです。

 政府の戦略は、「触れてはいけない」という用語を利用して、道路建設を認めるように先住民族を屈服させようとしているのです。議員たちはこの点についてわかっていないようですが、これは悪意に基づく協議であり、わながかけられています。「食べたければ道路も一緒に受け入れろ」ということなのです。

 協議は「事前に」そして「誠実に」行われなければいけませんが、既に法律によって道路建設の資金が認められており、事前とは言えませんし、中立性や透明性という点からも政府が「誠実に」振る舞ってきたとは言えません。

-政府の環境政策に対する意見は?

 政府は母なる大地の擁護者としてのラディカルな姿勢をあっという間に投げ出してきたように思われます。ラパスに到着したデモ行進において、人々は大統領に対して「母なる大地の擁護者でもなければ、先住民族の権利の擁護者でもない」と言い放ちました。今や政府もこうした言説は使いもしません。
 実際に政府はCSUTCBの要請を受け入れ、TCOの設置プロセスを停止しました。それどころか、農民や入植農民の提案を受け入れ、TCO内の所有権を見直し、土地を分配しようとしています。

-協議に関する全般法はどのようなものであるべきなのでしょうか?


 それは共同体的民主主義とリベラルな民主主義を求めるニーズに応えるものでなくてはなりません。先住民族の住む国々において、共同体的民主主義とリベラルな民主主義の共存を目指す取り組みなのです。

“La ley de consulta es un chantaje a los pueblos indígenas del TIPNIS”
Domingo, 12 de Febrero de 2012 10:39 | Escrito por Pagina Siete |
http://www.ftierra.org/ft/index.php?option=com_content&view=article&id=8626:rair&catid=164:fundacion-tierra-en-los-medios&Itemid=242

2)モラレス大統領は誤った約束を認めるべき

 ボリビア元国連大使は、「モラレス大統領はコカ農民と、誤った約束をしてしまったことを認めるべき」と発言。道路建設をあくまで推し進めるのは、国際的な背景も、企業の利害でもなく、選挙キャンペーン時の約束に原因があると指摘。

 もしTIPNISの先住民族コミュニティが受益する道路を造るというのであれば、それは今の計画とは異なるはずだと言う。

Solón: Evo debe reconocer que hizo una promesa equivocada a cocaleros

http://www.erbol.com.bo/noticia.php?identificador=2147483955311

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先住民族テリトリーをダム開発から守るために立ち上がるノベ・ブグレ民族

 1月31日、パナマ北部のチリキ県のサン・フェリックスにおいてノベ及びブグレ民族は道路封鎖を開始した。
 先住民族は審議中の第415号法案に、ノベ・ブグレ自治区における鉱業開発、水力資源開発に対する特別措置、鉱業開発免許、水力発電計画のキャンセルを含めることを求めていた。もともと法案の第5条として含まれていたこの条項は、2011年における紛争の結果として結ばれた合意を反映したものであった。

 道路封鎖の排除を目指した警察は2月2日、トレにて先住民族グループと衝突、そして2月5日にはサン・フェリックスで大規模な衝突が起き、1人(あるいは2人)が死亡、多数が負傷。7日夜になって、政府と協定が結ばれ、逮捕者の解放、弾圧の停止、治安部隊の撤退、交渉の条件などが定められた。

 しかしコマルカにおける鉱業開発、水力発電開発に関する法審議は延期を重ね、今後の動きは定かではない。

 ノベ民族、ブグレ民族は未来の世代のために、自然を、生活を守っていくために、鉱業開発、ダム開発に反対する姿勢を堅持している。

 また今回の抗議行動では、先住民族女性リーダーたちの動きが目立っている。

英文記事も出ているようなので、英語の得意な方はお読みください。
Panama's village leader Silvia Carrera defies a president
http://www.guardian.co.uk/world/2012/feb/19/panama-protest-silvia-carrera

 2月7日にはアムネスティの緊急行動も出されている。 
http://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=4484

 開発と権利のための行動センター
 青西

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2012/02/12

協議-TIPNIS-モラレス政権

 ボリビアの状況を整理しようと思っているのですが、なかなか進みません。
 昨年秋以降の動きもお伝えしていなかったことに気づき、そのへんも含め書いていたのですが、今日は時間切れということで
 
 ここまで
 
 青西


 イシボロ・セクレ先住民族テリトリー自然保護区(Territorio Indigena y Parque Nacional Isiboro Secure, TIPNIS)を分断する道路建設に反対し、首都ラ・パスを目指して昨年8月15日に開始された第八回先住民族行進は、9月25日、警察による弾圧を受ける。この先住民族グループと警官隊の衝突の後、モラレス大統領は道路計画の停止と、国民的対話の呼びかけを行う。その後10月1日になり、ラ・パスを目指す先住民族行進は再開され、10月19日、様々な社会組織の歓迎の中、ラパスに到着した。

 先住民族グループはモラレス大統領との直接対話を望み、22日に実現。一方、議会では既に TIPNISの道路建設を中止する法案の審議が進んでおり、10月11日に法案が議会で採択されている。ここには道路計画を停止し、事前協議を行うこと、代替の道路案の調査を行うことなどが盛り込まれていた。しかしモラレス大統領は当初案を拒否し、21日に法案に対する意見書を送り、24日に法180号が議会で採択され、大統領によって公布された。法第180号には、ビジャ・トゥナリとサン・イグナッシオ・モホスまたその他の道路が、TIPNISを通過することはない、と定めるとともに、TIPNISを「触れることのできない“INTANGIBLE”」ものと定められた。
 モラレス大統領は、当初案を拒否した際に、先住民族組織の提案にあったこの言葉を入れるように指示したとする記事もあるが、先住民族出身の議員の提案との報道もありはっきりはしない。しかし与党の議員また、交渉にあたっていた先住民族リーダーもこの言葉には懸念を持っていたようであるが、細則において、定義を定めればいいという議論になっていたようである。
 
 ところがモラレス政権は法に盛り込まれた Intangibleを利用して、TIPNISの先住民族を締め上げにかかっていた。地域の住民が行っていたエコツーリズムの免許を取り消しという事態も発生していた。地域に居住する先住民族がその資源を利用する権利を制約し始めたのである。
 
 それとは平行してモラレス大統領は道路建設に前向きな姿勢を示し続け、「道路建設を実現できるどうかは、地域住民の手にゆだねられている」とサン・イグナシオで語り、建設推進のための運動を鼓舞しているのである。

 こうした中でConsejo Indigena del Sur (Conisur)のメンバーによって、道路建設を求める行進が行われた。12月20日に出発したCONISURは1月30日にラパスに到着。同日モラレス大統領と対談。その後、議員との会議などを踏まえ、CONISURは「協議」を求めるという方向を打ち出し、議会も「協議」法の制定に踏み込み、2月10日にはモラレス大統領によって「イシボロ・セクレ先住民族テリトリー自然保護区の先住民族への協議法/法第222号」が公布されたのである。

 協議を行い、地域の先住民族が道路建設の是非を決めればいい、と聞けば正統な判断であるかに思える。しかしここでモラレス政権が定める道路計画は既に定まったものであり、事前の協議ではなく、代替案を検討するものでもない。この「協議」法は「TIPNISを、INTANGIBLEな地域とするのか、あるいはそうではなく、開発事業やビジャ・トゥナリとサン・イグナッシオ・モホス間の道路建設の実現を可能とするのか 」という二者択一を強いるものとなっているのである。
 これは「協議」の名を借りた脅迫にすぎない。放置されることを選ぶのか、鉱山開発を選ぶのか、と迫ったある国の大統領の発言を思い出させるものである。

 未定稿。もう少し時間をとって、加筆修正する予定


開発と権利のための行動センター

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2012/02/11

TIPNISを巡って迷走を続けるモラレス政権

 昨年の先住民族行進の後、TIPNISを横断する道路計画は中止され、先住民族テリトリーは守られていく方向が定められたはずであった。しかしその決定の直後からモラレス大統領は、自らの決定を覆すような発言を繰り返していた。

 その後、政権の支持を受ける先住民族グループConsejo Indígena del Sur (Conisur)のメンバーが再度行進を行い、今度は道路建設を要請。

12月20日に出発したのメンバーが1月30日にラパスに到着したことを受けて、ビジャ・トゥナリとサン・イグナッシオ・モホスを結ぶ(既存の)道路を認めるか、法180を維持するかの協議を行うべきという話しが浮上した。モラレス政権は協議の実施、そして道路建設に前向きである。

低地の先住民族組織の連合体であるCIDOBはこの法案に反対の姿勢を示すとともに。この動きに警戒を強めている。CIDOBは、昨年の行進を実施する前に、協議の実施などを求めていた経緯も踏まえ、それを無視しておいて、国民の広範な支援を受けて、道路建設が中止となった後に協議を行うのかと反発している。

 モラレス大統領は「協議」を行うことを拒否することはできないであろうと考えているようであるが、この「事後協議」を政権の介入を含めて実施するならば、地域の先住民族組織の代表性などを含め、地域内に深刻な対立を持ち込むことは間違いないであろう。

 

 先住民族テリトリーにおける自治を進めるという方針のもと、既存の道路計画を白紙に戻した上で、地域のコミュニティの手で、開発の方向性を定めていく道筋を作るべきであろう。

未定稿。もう少し時間をとって、加筆修正する予定

開発と権利のための行動センター

青西

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