食糧・農業・大豆

2014/01/27

UNEPが土地の持続的な利用を目指す報告書

国連環境計画のもとに置かれている「国際資源パネル」の報告書、「Assessing Global Land Use: Balancing Consumption with Sustainable Supply(世界の土地利用評価:消費を持続的な供給と均衡させるために)」が2014年1月24日に公表された。

 この報告書によると、現在のような持続性のない土地利用を続けると2050年までにブラジルの面積に相当する849百万ヘクタールの土地が劣化する危険があると警鐘を鳴らしている。

 報告書のプレスリリースは、人口増加に対応するため、地球上の各地でサバンナや草地、森林から耕作地への転換が進みつつあり、1961年から2007年までに耕作地は11%増加し、現在でもその傾向が続いていることを指摘している。その上で、今後、土地が有限であるという認識に基づき、土地から生み出される生産物の生産・供給・消費についてより効率的であることが必要であること、また2050年までに数百万ヘクタールの土地を守ることための境界を定めなければならいとしている。

 この報告書では、外延的な農耕地の拡大が限界に達していること、同時に非持続的な利用で、土地の劣化が進みつつあることを前に、過剰な消費の抑制、水からの消費のために利用している地球レベルでの土地利用についてのそれぞれの国家によるモニタリングとコントロールの必要性、食料価格と燃料価格の切り離しなどを提起している。また暫定的な指標として一人当たり耕地面積を0.2ヘクタールとしている。

Assessing Global Land Use: Balancing Consumption with Sustainable Supply

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キヌアは庶民の手に届かぬものへ

2年前はリマの市場で7ソルで1キロのキヌアを買うことができたものの、今ではキロ16ソルにまで値上がりし、一部のスーパーでは20ソルするという。(注:16ソルで約580円。日本のスーパーで売っている通常のお米よりも高い)

 ペルーの「ラ・レプブリカ」紙のWEBサイトは1月4日発の記事で、ペルーにおけるキヌアの高騰を伝えている。この高騰の背景に北米や中国、ヨーロッパなどで貴重な食材として取引されていることをあげている。更にFAOが高栄養なキヌアを評価し、2013年を「国際キヌア年」としたこともそれに拍車をかけたという。

ペルーではここ10年で需要が18倍も拡大し、それに伴い耕作面積も拡大しているというが、それでも国際市場での需要から価格が上昇し、庶民には手の届かないものになっているという。

 健康にいい、栄養価も高いと評価される一方で、代々この資源を守り続けてきた生産者はキヌアの消費を減少させつつある。5年前は一人当たり年2.5キロから5キロだった消費量が2013年には0~3キロに減少しているという。

このような状況の中、キヌアは高地から低地にそして森林地帯にも拡大しようとしているという。低地に耕作地を拡大することで現在の10倍の耕作面積を確保することもできると言われているとのことである。

El fuerte encarecimiento de la quinua la aleja de la mesa popular de los peruanos

http://www.larepublica.pe/04-01-2014/el-fuerte-encarecimiento-de-la-quinua-la-aleja-de-la-mesa-popular-de-los-peruanos

 日本が「豊か」と言われていた時代、私たちは世界のあちこちで同じような問題を引き起こし、そして加害者意識にさいなまれた人もいたことだろう。その状況はもちろん変わっていない。私たちはあちこちから食料を買いあさって、うまいものを食べて生きている。しかし、同時に、私たちはうまいものどころかまともな食べ物が食えなくなる時代も思い浮かべながら生きていかなくてはならない。もう既に食費に回せるお金が十分ではない世帯は山ほどあるのだ。

 自由貿易でみんなが豊かに食べられるなどというのは幻想に過ぎない。土地という限られた資源は、みんなにまっとうに食べさせるという論理で、配分されているわけでも、取引されているわけでもない。分厚い財布を持つ人たちのために食料を作り、販売すればいいというのが、今の時代のルールになりつつある。「国際市場の金持ちに向けて、高級な食品を作り、売っていけば儲かるじゃないか」、そんな話しに踊らされてはいけない!

 私たちの子どもたちが、本当のところ将来何を食べて生きていけるのか、そんな危機感を持って、世界の農民と連帯していくことが必要ではないか、と思うのであった。

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2011/12/27

1/19 現地報告!! 「日系バイオ燃料事業とフィリピン農民の直面している課題」

FoEと開発と権利のための行動センターの共催です。

現在、フィリピンで最大規模のバイオエタノール製造事業に日本企業が着手して
います。事業者によれば、「遊休地をサトウキビ栽培用に有効活用」し、また、
「地元での継続的な雇用を創出」することで、地元社会に多大な利益がもたらさ
れるとのことです。

しかし、バイオエタノールの原料になるサトウキビ栽培が、11,000ヘクタールと
いう広大な土地で計画されているなか、地元の農民や先住民族が数十年にわたり
耕してきた田畑の収奪、また、サトウキビ栽培地での労働条件の問題など、地元
の住民は様々な課題に直面してきています。

日本企業の進めるバイオ燃料事業により、今、現地で何が起きているのか――フィ
リピン北部イサベラ州から来日されるドミエ・ヤダオ氏(イサベラ州農民組織
代表)に、現地の状況と問題解決に向けた農民の取り組みを報告していただきま
す。地元農民の生の声をぜひ聞きに来てください。

【日 時】2012年1月19日(木) 18:30~20:30
【場 所】地球環境パートナーシッププラザ(GEOC) セミナースペース
     (〒150-0001東京都渋谷区神宮前5-53-70国連大学1F)
     http://www.geoc.jp/access#geoc
【報告者】イサベラ州農民組織 代表 ドミエ・ヤダオ氏(逐次訳有り)
     波多江 秀枝(FoE Japan委託研究員)
【資料代】 500円(共催団体サポーターは無料)
【申込み】 下記ウェブサイトの申込みフォームよりお申込みください。
      http://www.foejapan.org/aid/land/isabela/evt_120119.html
【共 催】国際環境NGO FoE Japan、開発と権利のための行動センター
【問合せ】国際環境NGO FoE Japan (担当: 柳井・波多江)
      TEL: 03-6907-7217 E-mail: hatae@foejapan.org
【関連サイト】http://www.foejapan.org/aid/land/isabela/index.html
       http://landgrab-japan.blogspot.com/

また前日1/18には次のシンポジウムもあります。

シンポジウム「海外農地投資(ランドラッシュ)の現状とバイオマスの持続可能な利用 ~日本は今後、どう対応すべきか~」開催のご案内

日 時:2012年1月18日(水)13:30~17:00
会 場:国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟102
   (東京都渋谷区代々木神園町3-1)小田急線参宮橋駅より徒歩7分
    http://nyc.niye.go.jp/facilities/d7.html
主 催:NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク、財団法人地球・人間環境
    フォーラム、国際環境NGO FoE Japan
参加費:主催団体会員 無料、一般 1,000円

詳細、お申し込みは下記まで
http://www.npobin.net/apply/

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2011/09/25

土地収奪に反対するダカール宣言への署名が求められています。(10月7日 締め切り)

10月に開催される世界食料安全保障委員会の会議を前に、今年2月に公表され
たダカール宣言への支持が求められています。

これは日本政府などが進める「責任ある農業投資原則:RAI原則」が不十分で
あり、これを拒否すること、また現在べっこに進められている、「土地に関す
る権利及び漁業、森林の責任あるガバナンスのための自発的ガイドライン」の
制定を進めようとする動きの一環です。
http://www.dakarappeal.org

ダカール宣言の訳はこちら
http://landgrab-japan.blogspot.com/2011/03/blog-post_4646.html

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2011/07/13

ボリビア:新農業法について

 6月26日、農牧・共同体的生産革命法(Ley 144)が布告された。この新農業法の原文に目を通したので、その概要について報告する。[1]

 この法律は、先住民族等のコミュニティを中核に据えた自国内での食料生産強化という特徴を持つのと同時に、輸出向け戦略作物を定めて取り組んできた過去の農業振興策の継続性を有する、はっきりしない法律となっている。現実的にはどのように「参加」が実現されていくかによってこの法律の持つ可能性は変わってくるのであろう。

<遺伝子組み換え>
 この法律で大きな議論を巻き起こしていたのが、遺伝子組み換え作物及び遺伝子組み換え種子に関する規定である。先住民族組織であるCONAMAQや環境団体などは第15条、第19条の規定に強く反発していた。[2]
 しかし最終的に定められた法144号は遺伝子組み換え作物の導入に道を開くものとなっている。第15条第2項は「遺伝子資産や生物多様性を脅かすもの、また生命システムの健康や人々の健康に害を及ぼすようなもの、あるいはボリビアが起源あるいは多様性の中心となっているような種に対する遺伝的改変を行った種子を含む農業技術パッケージを導入しない。」と定めている。
「健康や生命システムへの影響」をどのように評価するかにもよるが、東部低地の大規模農業地帯を中心に生産される米、サトウキビ、トウモロコシなどの遺伝子組み換え作物導入に対して道を開いていると理解することは可能である。
 第15条3項では、遺伝子組み換え食品等における表示義務を定め、また第19条第2項2では遺伝子組み換え作物の生産・輸入・流通を管理する規定の制定を定めている。しかしボリビア憲法の第255条は国際条約を批准する時の原則としてではあるが、8項で「遺伝子組み換え作物・食品や健康や環境に害のある物質の輸入・生産・流通を禁止する」と定めており、憲法との整合性に疑問がある。[3]
 また憲法との整合性はさておき、この法律の規定及び今後定められる規定を持って、厳密に遺伝子組み換え作物や食品を管理することができるのかどうか。ボリビア政府がどこまで大規模な食品産業に対抗していけるのかも注目される点ではある。[4] 

<戦略的作物>
 この法律のあちこちに顔をだす「戦略的作物」という用語が、これまでの農業振興政策との継続性を感じさせるものとなっている。これは第7条8項で定義されているが、必ずしも国内消費用の作物だけではなく、輸出向けの作物も含む規定となっている。
 この「戦略的作物」の高品質種子生産を振興し(第13条3項3.(a))、大学等は「国の定めた優先度の枠内で」研究を進めなければならない(第21条3項)とされている。
 また参加の上で定められるはずの食料生産5カ年においても「国が定めた優先的戦略作物」を含まなければならないという、本末転倒とも言える規定が含まれている。(第46条2項1)
 この「戦略的作物」というのがどのように定められ、どのように利用されていくのか、慎重に見ていく必要があるだろう。「母なる大地の恵みに基づく調和と均衡の上での有機的(農業)生産を優先する」(第2条)とされる「農牧・共同体的生産革命」において、農業は地域コミュニティを主体とする多様な農業生態系の確立として実現されるのではないかと思われるのだが、果たしてこれは国レベルで定める「戦略的作物」と両立するのであろうか。

<在来種と改良品種>
 高品質とは何を意味するのか、この法律では「高品質種子の生産・利用・保全・交換」を促進するとする一方で、「先住民族コミュニティ等が維持してきた在来種子の回復、保全、改良、生産、普及の促進」を定めている。(第13条3項)また第39条では独立採算の公的法人として「戦略的種子生産支援企業」を創設し、戦略的産品を優先しつつ、高品質の種子を生産するとしている。
 しかし種子銀行を設立して遺伝子資源を保全していこうという方針は示されているものの、多様な在来種の利用促進はあまり重視されていないようである。

<生産地域保全>
 興味深い点として、第14条では都市化に対して生産適地を保全していこう規定が含まれている。但しこの第14条においても、先住民族等のコミュニティによる領域管理の一貫としての土地利用の決定が、「国の方針に基づく」とされていることに違和感を覚える。先住民族の自治権が先にあるのではないだろうか。

<国内消費/地産地消促進>
 第20条では国内消費促進について定められている。学校給食に先住民族等のコミュニティによる生産物を取り入れていくこと、学校カリキュラムに栄養的・文化的に適切な国内産食品の消費についての教育を取り入れること、地元産や地域の労働者を雇用している生産物に「社会認証(Sello Social)」を行うこと、地元の生産物消費を振興するために、「ボリビア産を買って食べる」キャンペーンを推進するなど、積極的な方向が示されている。

<共同体的経済組織と参加>
 先住民族コミュニティ、通文化的コミュニティ(混在地域と考えられるのか?)アフロ・ボリビア系コミュニティを共同体的経済組織OECOMとして承認し、この組織の参加や融資へのアクセスを保障している。このOECOMが参加の基盤となっていくことが想定されている。しかしその一方で、既存の小規模生産者組織などが排除されるのではないかという懸念が表明されている。[5]

<包括的農業保険>
 第30条から第35条において定められている包括的農業保険はこの法律の最も注目されている内容の一つであり、自然災害等による収穫物の損害を補償しようというものである。

<肥料生産企業>
 第40条では肥料生産のための公営企業の設立も定められている。有機質肥料の生産、廃棄有機物のリサイクルの優先などを定めており、興味深い反面、鉱業・や石油産業から派生して生み出される原料利用も明記されており、どのような企業になるかは現時点では定かではない。

<融資>
第51条から第54条にかけて、共同体的経済組織に対する融資のための基金の設置が定められているが、NGOなどによるマイクロクレジットなどもあるなかでなぜこのような仕組みを今更作らなければならないのかという指摘もある。農民組織等が傘下組織への資金供給の仕組みを作りたかったのかもしれないが、組織的には大きな問題を抱えることになると思われる。第54条で、これらの農民組織などが「社会的管理」を担い、資金回収を支援するというのである。コミュニティや組織の中での分裂・対立につながる危険性が高い。


終わりに
 法律の文面を見るだけでは、どのような方向に向かっていくのか、正直測りかねるところがある。モラレス大統領が語っているように「しっかりとした組織を通じて、あなた方が中心となって、食料主権を確立していく責任があるのです。投資を無駄にしないために、生産者である農民組織は、それぞれの自治体で、何のために、どれだけの金額を生産に振り向けるべきかを決めなくてはなりません」ということなのであろう。[6]

 しかしこの参加が一部の組織だけの利権確保に終わるのか、幅広い参加を実現するものになるのか、ここが問われているように思われる。

 開発と権利のための行動センター
 青西靖夫


[1]LEY DE LA REVOLUCIÓN PRODUCTIVA COMUNITARIA AGROPECUARIA
http://bolivia.infoleyes.com/shownorm.php?id=3120
[2]Pronuciamiento de CONAMAQ(20110617)
http://www.conamaq.org/index.php?option=com_content&view=category&layout=blog&id=3&Itemid=11 
[3]ボリビア多民族国憲法
http://www.vicepresidencia.gob.bo/Portals/0/documentos/NUEVA_CONSTITUCION_POLITICA_DEL_ESTADO.pdf
[4]遺伝子組み換えに関する規定については参考資料として次の記事がある。
¿A qué cultivos transgénicos apunta la Ley de Revolución Productiva Comunitaria?
http://www.bolpress.com/art.php?Cod=2011062707
[5]Ley de Revolución Productiva no garantiza seguridad alimentaria
http://www.aopeb.org/index.php?option=com_content&view=article&id=279:ley-de-revolucion-productiva-no-garantiza-seguridad-alimentaria-&catid=52:noticias-aopeb&Itemid=26
[6] ボリビア:食料主権の確立と小農による有機農業振興を目指して(20110628)
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2011/06/post-cc11.html
[7] その他参考記事として
Ley de Revolución Productiva Agropecuaria para el agronegocio y la banca
http://www.bolpress.com/art.php?Cod=2011070502
Los transgénicos y la modificación genética de la política agraria en Bolivia
http://www.cedib.org/index.php?/transgenicos/los-transgenicos-y-la-modificacion-genetica-de-la-politica-agraria-en-bolivia.html

 農牧・共同体的生産革命法(法144) 部分訳/概要まとめ/仮訳
 LEY DE LA REVOLUCIÓN PRODUCTIVA COMUNITARIA AGROPECUARIA
第1節
第1章
第1条(憲法における位置づけ)
第2条(目標)
食料主権のための農牧・共同体的生産革命のプロセスを規定することを目的とする...母なる大地の恵みに基づく調和と均衡の上での有機生産を優先する。
第3条(目標)
多元的経済に基づく、農牧・共同体的生産革命を通じて、ボリビア人の「善き生き方」のために健全かつ質のよい条件での食料主権の確立を目指すことを目標とする。
第4条(適用範囲) 略
第5条(法の射程)
1. 食料主権の確立のための政策
2. 共同体的経済組織(Organización Económica Comunitaria – OECOM)としての先住民族コミュニティ、多文化コミュニティ、アフロ系コミュニティの承認
3. 食料の十分な生産、加工、流通を保障するために、適切に技術的支援を行えるように、公的機関の構造を見直す
4. 統合的・持続的な農牧生産・開発プログラム及び計画、及び生産戦略の決定のための、コミュニティ及び多元的経済主体の参加に基づく食料戦略計画の策定
5. 適切な研究、革新、技術、情報システム
6. 食料生産、加工、流通における規制システム
7. 投入材、生産インフラ、技術支援、普及へのアクセスの改善
8. 生産プロセスを保障するための水及び遺伝子資源の適切かつ持続的な利用
9. 先住民族等のコミュニティにおける領域的な管理プロセスの促進
10. 伝統的な知見、実践、知識を回復するような通文化的な視点に基づく、先住民族コミュニティ等の生産・加工・流通・金融及び組織的能力の強化
11. 普遍的農業保険
12. 先住民族等のコミュニティに対する資金移転
13. 融資システム

第2章 原則及び定義
第6条(原則)
1. 母なる大地との調和と均衡。必要な食料を充足するための母なる大地の恵みの利用とアクセスは、自然との調和、尊重、その擁護の枠組みで行われるものである。
2. 補完。食料主権は、国家や先住民族等、他の多元的経済主体、住民一般の、政策、原則、イニシアティブの協力によって支えられるものである。(一部略)
3. 共同責任。食料主権は、すべてのレベルにおける政府やすべてのボリビア国民に依拠する国家の義務であり、責任である。
4. 透明性。 (略)
5. 「善き生き方」。多文化的なこの国における一般的な利益の公正さに貢献するような集団的利益に基づくものであり、物質的な財へのアクセスと享受、住民の有効かつ主体的・通文化的・精神的な実現に基づき、また母なる大地との調和及び人類の一致するところの基本的必要性の充足を保障するものである。
6. 互恵性及び連帯。農牧・共同体的生産革命は、すべての住民、特により脆弱で必要性を有する人々の食料と農牧生産を充足させるために、一致、相互尊重、協力、交換、相互かつ等価の報酬といった先住民族等における伝統的価値観の実践を取り入れたものである。
7. 適切な食料。健康的で十分な食料への永続的なアクセスであり、いかなる社会階層や宗教、政治的選択や性別、世代によって差別されないものである。
8. 食料主権。多民族国家を通じてボリビア国民が、生産や流通、消費等について政策や戦略を定めかつ実施するものである。(一部略)
第7条(定義)
1. 技術支援(略)
2.生産基盤(略)
3.コミュニティ(略)
4.共同体的経済。母なる大地との調和と均衡に基づく独自の組織形態を有し、その領域と資源を管理するような先住民族等のコミュニティにおける世界観に基づき、集団の福祉のために、計画し、組織し、生産し、余剰を生みだし、分配するシステムに基づく開発モデル。
5.多元的経済。国内に存在する、共同体的あるいは、国家、民間、社会的協同組合などの様々な経済組織
6.先住民族コミュニティによる領域管理(一部訳)
7.Pirwa (様々な資材で作られている伝統的な貯蔵施設)
8.戦略的生産物。直接あるいは間接的にボリビア国民の食料を構成し、また輸出のための機会や備蓄を構成するものであり、ボリビア国家は、食料主権を実現するために、それを認定し、優先するものである。(一部訳)
9. リスク(略)

第3章
共同体的経済組織

第8条
先住民族コミュニティ、通文化的コミュニティおよびアフロ・ボリビア人コミュニティを共同体的経済組織(Organizaciones Económicas Comunitarias – OECOM)として承認する。これは「善き生き方」のための組織的、生産的、社会的、文化的な中核を構成するものである。
第9条(領域的管理能力)
食料主権と余剰生産のための農牧・林業活動における生産・加工・流通・金融分野における先住民族等のコミュニティの領域管理の能力の承認
第10条(参加の保障)
先住民族等のコミュニティの農牧・共同体的生産革命プロセス、水の持続的利用・管理、森林利用、テリトリー確立、計画における参加の保障
第11条(公的政策の策定)
先住民族等のコミュニティの政策策定への参加の保障とその執行における社会的管理

第二節
農牧・共同体的生産革命法の政策、制度的構造、計画
第1章
農牧・共同体的生産革命のプロセスのために、統合的かつ持続的な農村開発と食料主権に基づく安全保障のために国家が定める政策

第12条(農牧・共同体的生産革命に関する政策)
1. 生産基盤強化に関する政策
2. 生産地域の保全
3. 自然の遺伝子資源の保護
4. 生産振興
5. 集荷、備蓄、加工、産業化
6. 公平な交換及び流通
7. 国内消費の促進
8. 調査研究、革新及び伝統的知識
9. 農牧衛生サービス及び食品衛生管理
10. リスク管理
11. 緊急食料対策
12. 住民への食糧供給の保障
13. 適切な食料・栄養状態の保障
14. 先住民族コミュニティの領域管理
15. 包括的農業保険
16. 移転
第13条(生産基盤強化に関する政策)
-在来・伝来の実践を重視
-灌漑水の流域管理
-植生回復、有機肥料、在来種子の回復、生物多様性の保全
1-土壌
-在来種あるいは導入後適応した種を用いての植生回復
-自然放牧地に対する放牧圧の減少
-自然草地の改善
-有機肥料の利用(有機残渣の利用、斬新的な農薬・化学肥料の代替、排除)
-伝統的な土壌保全技術の利用
-森林と生物多様性の維持
-非木材森林資源の合理的利用、アグロフォレストリー
-共同体レベルでの適切な土壌適正に基づく利用そのための組織強化
2-生産のための水利用
 優先度、潜在力に基づく食料生産のための持続的水利用
a) 知識や技術を回復しつつ、効率的な水利用技術と土壌保全を行い、また最善の集水システムを明らかにしつつ、灌漑設備を改善及び建設
b) 乾期の水確保のために貯水池、ダムによる水確保
c) コミュニティにより伝統的実践などによる水の独自管理システムの強化
d) 生命と土壌を守ることができる適切な水利用についての流域単位での調査
3-種子
 生産のための供給を保障できるように、高品質の種子の生産、利用、保全、交換を促進し、また擁護する。
a) 戦略的作物を優先して、種子生産を振興する
b) 先住民族コミュニティ等が維持してきた在来種子の回復、保全、改良、生産、普及の促進
c) 種子の生産、設備、認証、販促、流通に対する管理
d) 市場を促進しつつ、種子の戦略的な備蓄を生みだし、また保全しうるような種子銀行、種子基金、集荷施設の設置
e) 種子の生産及び集荷に従事する民間セクターとの戦略的連携
4-遺伝子資源
a) 国家農業・森林技術革新局(INIAF)が農業生物多様性や近縁野生種、国内諸環境地域における微生物の遺伝子資源を、野外もしくはその他の土地において保全及び管理を担うものである。これは遺伝子資源の喪失を避け、遺伝的多様性の利用可能に保つことを確実にする目的がある。
b) 国内の遺伝子資源の保護という政策に合致する範囲において、国の食料主権と食料安全保障を強化するために、国は生産あるいは研究目的での遺伝子資源へのアクセスを支援する。
第14条(生産地域の保全)
食料生産を保障するために、中央国家は地方の領域自治組織と調整の上で、生産適地への都市化の進行を避け、農牧業の生産に適した地域を保全するために土地の利用を管理する。
1-農村開発・土地省は、地方の領域自治組織と調整の上で、農牧森林生産のための土地利用計画を策定し、生産適地を把握し、戦略的生産地域を定め、また地方領域組織は国の方針に基づきつつ、その領域計画を策定しなければならない。
2-生産適地を保全するために都市化の境界を定め、居住区域を計画する
3-都市化周辺地域における生産適地を把握し、生産活動を阻害しないように生産地域と新しい居住地域を混在させていくこと。
4-水平的な都市化の広がりに対して、都市部における垂直的な成長を促進する
5-モノカルチャーの拡大を避けるために、代替的な計画・プログラム・プロジェクトの実施を通じて、多様化された農牧・林業生産を促進する
6-先住民族等のコミュニティは、母なる大地との調和ある共存の原則と文化的規範に基づき、食料安全保障ための生産地域に対して予防措置を取りつつ、その領域管理の権利とその行使の枠内で、国の方針に基づき、その空間の利用・占有計画を定めるものである。
第15条(自然の遺伝子資源の保護)
憲法第342条、346条、母なる大地の権利法(Ley Nº 071, de 21 de diciembre de 2010)に基づき、ボリビア多民族国は、食料主権と人々の健康を保障しつつ、生命システムと自然プロセスの維持として生物多様性を保全するものもであり、そのために
1-遺伝子資源に関する担当機関を通じて、野生の近隣種を含め、国の遺伝的資産の保全のために施策を講じるものであり、伝統的な知識や知見の保全のために、派生する利益の公正かつ公平な分配に留意しつつ、新品種や栽培可能な品種の利用を把握しまた促進しつつ、生産を支援するものである。
2-遺伝子資産や生物多様性を脅かすもの、また生命システムの健康や人々の健康に害を及ぼすようなもの、あるいはボリビアが起源あるいは多様性の中心となっているような種に対して遺伝的改変を行った種子を含む農業技術パッケージを導入しない。
3-直接的あるいは間接的に人の消費に向けられるすべての生産物において、遺伝的改変を受けた有機物含む物あるいはその派生物は、そのことを明確に表記しなければならない。

第16条(生産振興政策)
-家族、共同体、アソシエーション、協同組合などによる生産形態に依拠しつつ、伝統的・有機・エコロジカルな生産におけるより高い生産性に向けて振興する。
第17条 (集荷及び貯蔵)
-コミュニティレベルでのPirwanoモデルを促進する
-食糧供給に影響を及ぼしうる事件に備えて、戦略的な食料を確保するために備蓄を促進する
-インフラ整備への支援
第18条 (加工・産業化政策)
-地域ごとの多様化した生産戦略に従う、加工・産業化プログラムの推進
第19条 (交換及び流通)
-流通プロセス及び公正な交換プロセスは互恵性、補完性、生産物の再配分の原則に基づくものであり、人類に奉仕するためのものであり、市場のためではない。
-生産セクターと生産量、輸出量目標について合意を締結する
-国内産農業・食料生産を保護し、輸出入を規制する
-国内生産者への補助金を優先する
-認可された国営企業を通じて、地方の生産者からの正当な価格での購入し、消費者に直接、アクセス可能な価格で提供するための特別な規定を定める
-遺伝子組み換え生産物の生産・輸入・流通を管理する規定を定める
-食品衛生に関する認可システムを教戒する
-国際貿易における不当な扱いに対して、国内生産者を守るための、政策の財政的コントロールや仲裁のための規定を定める
-中央国家の執行府と地方自治体機関は、農業セクターの機関と調整の上で、交換のためのスペース、卸売市場、民衆スーパーなどを設置し、生産者と消費者の結びつきを支援し、正当な価格を保証する
第20条 (国内消費促進).
-ボリビア国民の参加に基づき、生産・加工・流通・責任ある消費の範囲において、独自の食料システムを定める。それは食料主権を実現するための、母なる大地の恵みの適切な利用と整合する自給レベルを定めるものである。
-食料・栄養教育、栄養的にも文化的にも適切な国内産食品の消費の重要性を学校カリキュラムに取り入れる
-学校給食プログラムの拡大
-学校給食や母子補助プログラムへの食料供給者として先住民族等のコミュニティを取り込んでいく
-国内産原料や労働者の利用を認証するための「社会認証(Sello Social)」を行う。
-地元の生産物消費を振興するために、「コンプロ イ コモ ボリビアノ(ボリビア産を買って食べる」を推進する。
第21条 (農牧・林業技術革新政策)
-INIAFを強化しつつ農牧・林業の技術革新を促進する
-技術革新は参加型の視点とモデルのもとで進められ、コミュニティやその他のアクターの参加の上で技術革新の民主化を進める
-大学やその他の技術的機関、コミュニティによる生産技術革新は、国家農牧林業技術システムの方針に沿って行われなければならない。
第22条(機械化・技術利用政策)
-参加型計画の枠組みで、母なる大地の権利を尊重しつつ、またアクセス可能で持続的な形で、国家は適切な機械化を促進、振興する
-機械化された技術へのアクセスを支援し、またその利用へのインセンティブ
-在来、伝統的知識、知見を回復しつつ、農業機械・技術の研究・設計・生産を振興する
-農業機械化を進めるために、国家開発のための軍企業(COFADENA)を強化する。
第23条 (農牧衛生・食品衛生政策)
第24条(予防及びリクス管理政策)
-食料生産に影響する事象のモニタリングと早期警戒
-食糧危機の予防、緩和、及び生産能力の復興、再建
-自然災害に対するコミュニティの対応力強化
第25条(緊急食料対策)
第26条(食料供給の保証)
正当な価格での生産と供給を保証するために、国家は必要な施策を講じる。
第27条(食料・栄養政策)
ボリビアの住民が適切な栄養状態にあること、必要な栄養をカバーする多様な食品の消費を保証すること、そのために文化的に適切な栄養や食品に関するプログラムを定め、また情報提供や教育を行う。
第28条(先住民族等のコミュニティの領域管理への支援政策)
第29条(農牧技術庁の創設)

第二章 
包括的農業保険
第30条(包括的農業保険”パチャママ”)
天候要因や自然災害によって引き起こされた農作物の損害を補償するためのもの
第31条(受益者)
-集団的生産をおこなっている先住民族等のコミュニティ
-個人的生産を行っている先住民族等のコミュニティ
-自然人あるいは集団として農業を行っている者
-”パチャママ”は細則で定める要件を満たしている者のみ対象とする。
第32条(農業保険のための制度)
-農業保険庁(INSA)の創設
-国庫からの支出
第33条(INSAの権限及び機能)
第34条(農業保険の管理会社)
第35条(保険料への補助金)
-貧困層への保険料の補助金


第三章 制度構造
第36条(共同体経済組織)
農牧・共同体的生産革命のための組織基盤は、先住民族等のコミュニティであり、それはこの法を持って共同体経済組織(OECOM's)と定められる。これらは独自の組織構造に基づき、独自の手続きで意志決定、紛争解決、領域管理、そして自然資源の利用を行うものである。
第37条(経済生産審議会)
-多民族国経済生産審議会(COPEP)
農牧・共同体的生産革命に関する政策策定、計画、モニタリング、評価のための参加と調整を行う。ここには大統領、生産関連の大臣、先住民族等の組織代表、国家農牧連盟代表が参加。必要に応じて次のものを招集(略)
-県経済生産審議会(CODEP)
-地域経済生産審議会(COREP)
-ムニシパル経済生産審議会(COMEP)
第38条(農牧・共同体的生産革命のための公的制度)
1.生命のための統合的水管理
2.生命のための統合的土壌管理
3.有機質肥料生産
4.在来種子・改良種子生産、種子生産地域の開発
5.技術支援、農業機械、資材供給
6.集荷・貯蔵
7.加工・産業化
8.共同体的流通。市場の改善
-参加と社会的管理は、既存及び新規の組織において保証されなければならない。
第39条(戦略的種子生産支援企業の創設)
-独立採算の公的法人として戦略的種子生産支援企業の創設
-INIAFと調整の上で種子銀行を設立
-戦略的産品を優先しつつ、高品質の種子を生産する
-中小あるいはコミュニティによる種子生産を支援する
第40条(肥料生産企業の創設)
-独立採算の公的法人としての肥料企業の創設
-有機肥料の生産と廃棄有機物の利用・リサイクルの優先
-廃棄物再利用の取り組みを支援
-鉱業・石油採掘他、国営事業によって生み出される資材の利用
第41条(食料生産支援企業)
-大統領令Nº 29230 (2007/0815)に基づいて設立された食料生産支援企業(EMAPA)を強化
-EMAPAの元に、食料生産グラン・ナショナル社を、混合経済会社として設立し、戦略的な食料生産を強化する。
第42条(農牧統計情報)
-国家統計局(INE)のもとに、農牧情報局を設置し、必要な情報を整備する
第43条(農業環境・生産監視)
-農村開発・土地省のもとに、農業環境・生産の監視機関を設置し、モニタリングを行う。
第44条(農業環境・生産監視の機能)
第45条(農村社会組織への技術支援)

第四章 社会的参加に基づく国家計画
第46条(計画のための制度)
1 すべてのレベルにおいて、経済生産審議会が農牧・共同体的生産革命のための戦略計画を策定する
2 農牧・共同体的生産革命のための戦略計画の枠組みにおいて、執行府は多元的経済審議会と調整の上、食料生産5年計画を策定する。

第三節 
経済・金融環境
第一章 県生産共同基金と条件付き資金供与
第47条(県生産共同基金)
第48条(県生産共同基金に関する規定)
第49条(県生産共同基金の条件付き資金供与)
第50条(条件付き資金供与の方向性)

第二章 融資システム
第51条(共同体融資基金の創設)
OECOMや小規模生産者に対して融資をおこなうための基金を設置する
そのための執行委員会には二名の政府代表(経済省及び農村開発省)多元的経済生産審議会代表、及び二名の農民・先住民族組織の代表が参加する。
第52条(利子)
利子は管理コスト及び財務費用のみを考慮すべきものとする。
第53条(担保形式と代位弁済)
-担保は機械、投入財、現在あるいは未来の収穫物、家畜、あるいはその他の資産によるもの、また保証基金や人的な保証、コミュニティによる保証も含まれる。
第54条(支払いを確実化する仕組み)
農民・先住民族組織であるCSUTCB, CIDOB, CSCIB, CNMCIOB-BS y CONAMAQの傘下にある地域組織による社会的管理を、支払いを確実にする仕組みとして定め、融資の回収を支援するものとする。

第55条(技術支援)
第56条(生産開発銀行:BANCO DE DESARROLLO PRODUCTIVO S.A.M.).
第57条(農業向け融資拡大)

最終規定
移行に関する規定

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2011/06/28

ボリビア:食料主権の確立と小農による有機農業振興を目指して

 6月26日、農牧・共同体的生産革命法(Ley 144)が布告された。食料主権と小農民による農業振興を目指したこの法律は、審議過程において、遺伝子組み換え作物をどのように扱うかで先住民族組織や農民組織の間で大きな議論を巻き起こしていた。最終的に当初法案に反発していた先住民族組織なども含めた「統一協定」に参加した諸組織の立ち会いのもと、エボ・モラレス大統領によって布告されたものである

 大統領は「この先、我々はこの新しい法を履行していく責任があります。それぞれの村から、しっかりとした組織を通じて、あなた方が中心となって、食料主権を確立していく責任があるのです。投資を無駄にしないために、生産者である農民組織は、それぞれの自治体で、何のために、どれだけの金額を生産に振り向けるべきかを決めなくてはなりません」と語ったという。
 
 また大統領官房であるカルロス・ロメロは、この法律が遺伝子組み換え作物を推進すものではなく、ボリビアに存在する伝統的な遺伝子資産の価値を認めていくものであり、先住民族の持つ遺伝子資源の開発を通じて、バイオ・テクノロジーの開発を進めるものである」と語っている。
 この法律の15条は、遺伝子組み換え種子の国内持ち込みを禁止しており、また輸入食料は遺伝子組み換え作物を含むかどうか明記しなければならないとのことである。[1]
 
 しかしながら、6月27日にBolpressのサイトに掲載された記事によると、この法律では、遺伝子組み換え作物を全面的に禁止しているのではなく、ボリビアが起源であるか多様性の中心である、あるいは遺伝子資産や生物多様性、健康を脅かしうるような遺伝子組み換え種子を含む技術パッケージを導入しない、と定めているだけであり、近い将来に遺伝子組み換え稲などが導入されてくるであろうと指摘している。[2]


 このように遺伝子組み換え作物を巡っての対立は解消されていないようである。このほか、この法律では、国家による肥料生産、種子生産、農業保険などについても定めているとのことであるが、まだ制定された法律原文を入手できていないので、今後報告したい。

開発と権利のための行動センター
青西 靖夫
 
[1] EVO MORALES PROMULGA LEY DE REVOLUCIÓN PRODUCTIVA QUE GARANTIZA SEGURIDAD ALIMENTARIA EN EL PAÍS SIN TRANSGÉNICOS http://www.vicepresidencia.gob.bo/Inicio/tabid/36/ctl/noticia/mid/471/code/201106261/Default.aspx
[2]¿A qué cultivos transgénicos apunta la Ley de Revolución Productiva Comunitaria?
http://www.bolpress.com/art.php?Cod=2011062707

注:「統一協定」に参加するCONAMAQは22日の段階でも、遺伝子組み換えに関わる法案の15条などに反発する声明を出しており、そこではCONAMAQとして法案に賛成する署名をした覚えはないと語っている。それ以降どこまで歩み寄りがあったのかは定かではなく、火種は残ったままのようである。

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2011/06/09

6/17 現地報告会 「フィ リピンにおけるバイオ燃料開発と土地収奪」

☆対外農業投資=農地収奪に関する勉強会 第2回のご案内
現地報告!! 「フィリピンにおけるバイオ燃料開発と土地収奪」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
米、コーン、バナナ、野菜、果樹―― 地元の農民や先住民族が数十年にわたり耕してきた畑が、サトウキビ・プランテーションに転換されてしまうかもしれません。 フィリピンで最大のバイオエタノール製造事業を日本企業が実施するのに伴い、11,000haでのサトウキビ栽培が必要とされるためです。

また、企業はこの事業を気候取引(クリーン開発メカニズム:CDM)にも使おうとしています。

現地で何が起きているのか。6月上旬に行なった最新の調査報告も含め、現地の状況を報告します。ぜひご参加ください。

【日 時】2011年6月17日(金) 18:30~20:30
【場 所】JICA地球ひろば セミナールーム401号室
     (〒150-0012 東京都渋谷区広尾4-2-24)
     http://www.jica.go.jp/hiroba/about/map.html
【報告者】開発と権利のための行動センター 青西 靖夫
FoE Japan委託研究員 波多江 秀枝
【資料代】500円
【申込み】下記ウェブサイトの申込みフォームよりお申込みください。
     http://www.foejapan.org/aid/land/isabela/evt_110617.html

【主 催】(仮)対外農業投資・農地収奪を考える会、FoE Japan
【問合せ】◇(仮)対外農業投資・農地収奪を考える会(担当:近藤)
      TEL:03-6807-6717  E-mail: mkykondo@ybb.ne.jp
     ◇FoE Japan (担当: 波多江) TEL: 03-6907-7217  
      E-mail: hatae@foejapan.org
【関連サイト】http://landgrab-japan.blogspot.com/
       http://www.foejapan.org/aid/land/isabela/index.html

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2011/05/12

アルゼンチン:大豆と先住民族

 5月1日にブログに掲載されたダリオ・アランダの記事を紹介する。これはアルゼンチンにおける外国人による農地取得の問題と大豆生産の拡大、コム民族の土地要求を平行しながら検討した記事である。
 長文かつ背景情報を持たないとわからない部分もあり、適切ではないかもしれないが、抄訳かつ整理して紹介する。
Soja sí, indígenas no
http://darioaranda.wordpress.com/2011/05/01/soja-si-indigenas-no/

 クリスティーナ・フェルナンデス政権は、4月27日、外国人への土地売却を規制する法案を議会に提出。一方、首都の(目抜き通りである)7月9日通りではコム民族のラ・プリマベーラ村の人々が4ヶ月にわたって座り込みを続け、先住民族の権利を認めたILO169号条約の履行や憲法第75条の履行、そして老人や女性を含め負傷し、62歳のロベルト・ペレスが死亡した2010年11月23日の弾圧に対する正当な裁判を求めて、48時間のハンガーストを決行中である。

 土地の外国人所有 
 
 アルゼンチンの土地がどの程度、外国人の手に渡っているのかを把握するデータは現在存在しておらず、今回の法案の中心はこの所有者台帳を作るというところにある。
 しかし、これは大規模な大豆生産に代表されるような現在の農業モデルを否定するものではなく、土地集中という農村部における不公正の核心に触れるものではない。
 アルゼンチン農業技術局のデータによると、2%の農園が国土の半分をコントロールする一方で、57%を占める小農民などが有する小農園は3%の土地を有するだけである。また1988年に42万2000存在したこうした小農園は2002年までに24.6%減少して。31万8000となってしまった。それ以降も土地集中が進んでいるが、政府と大農園主の紛争のさなかに行われた2008年のセンサスのデータは信頼できるものではない。
  
 3月1日、議会における大統領の演説は「ブラジルモデルや家族農業」に言及し、期待を抱かせるものであった。ブラジルの法律では、土地の社会的機能にも言及しており、土地の商品化ではなく、食料生産、食料主権を確立するための土地、という方向が打ち出されるのではないか、と期待されたのである。
 しかしながら議会に提出された法案には、土地の社会的機能という言葉も家族農業と言う言葉も含まれてはいなかった。

 外国企業も外国政府も別に土地を買う必要はないのである。


 2010年10月に、リオ・ネグロ州政府は中国と24万ヘクタールの作付けに関する契約を締結。州政府は「歴史に残る重要な一歩である」と賞賛する一方で、各界がパタゴニア地方の「大豆化」につながり、環境問題、社会問題を引き起こすという懸念を表明している。
 またチャコ州政府は2月にサウジアラビアのAlkhorayefグループと「投資基金」について合意を締結。歴史的に先住民族が居住しているものの、近年の大豆生産拡大の中で伐採が進められてきた20万ヘクタールの土地が狙われているのである。州政府は土地を売らなくても、大豆を耕作することはできるのだと主張している。
 こうした取引が進めば、元来の正当な土地利用者である先住民族や小農民の土地へのアクセスが制約されるだけなく、不可逆な森林破壊、土壌流出、農薬や化学肥料による土地の汚染が進行することになる、と「チャコの土地に関する合同フォーラム」は告発している。

 小農民や先住民族にとって重要な問題は「外国人への土地売却」ではなく、近年の農業モデルである。

 アルゼンチンでは2001年における大豆の播種面積は1000万ヘクタールであった。しかし2003年には1200万ヘクタールとなり、その後のキルチネル主義の7年間(ネストル・キルチネル政権2003-2007と2007~のクリスティーナ・フェルナンデス政権)に1900万ヘクタールまで大豆のモノカルチャーはふくれあがったのである。これはアルゼンチンの耕地面積の56%にも達する。これほどまでに大豆生産が広がったことはかってなかったことである。
 そしてその背後で大規模で暴力的な土地からの排除が広がっている。農民先住民族運動(MNCI)は大豆生産地の拡大で20万家族が農村を追われたと推測している。しかし中央政府も地方政府もこうしたアグリビジネスの拡大によってどれだけの紛争が引き起こされているか正確な数字を押さえてはいない。
 
 NGOや社会運動グループ、学者などが参加しているREDAF(アルゼンチン・チャコ地方アグロフォレストリーネットワーク)は2010年に「チャコ地方の土地・環境紛争」[1]について報告書を刊行したが、そこでは800万ヘクタールの土地を巡って164の土地紛争が存在することが明らかにされた。しかしこれはアルゼンチン北部の6州の話に過ぎない。
「土地紛争は、異なる文化を押しつけられたことによる領域空間の利用と管理を巡って引き起こされている」とREDAFの報告書は告発する。89%の紛争は2000年以降に始まっており、この地域の農業フロンティアの拡大を引き起こした大豆輸出モデルの広がりと一致している。
 4月19日、多数の農民組織が一握りの議員とともに、農村部における土地からの排除を止めるための法案を提出した。しかし政権内にこれの法案に向けた政治的意志は見られない。

—————–
 法令125

(2008年に大豆、小麦、ヒマワリ、トウモロコシの4つの産品に対して、国際市場の変動に連動して徴税率が変動することを定めた法令。その後農企業家の連合体による反対運動が続き、撤回される[2])

 大豆輸出の83%はCargill, Noble Argentina, ADM, Bunge, LDC-Dreyfus, AC Toepfer、 Nideraに握られ、大豆油の82%は次の5社、Bunge, LDC-Dreyfus, Cargill, ADG、Molinos Río de la Plataによって占められている。また大豆関連商品の90%は次の6社、Cargill, Bunge, Dreyfus, AGD, Vicentín y Molinos Río de la Plataの手にある。
 しかし法令125、そしてその後の紛争を通じて、これらの企業の利益が危機にさらされたこともなければ、大豆輸出モデルに疑念が呈されたわけでもない。政府にとっても、税収と貿易黒字をもたらす大豆輸出モデルは好都合なのである。

—————–
 共犯関係にある国家

 REDAFは、紛争の解決のための取り組み、あるいはその無策の中心には国家の責任があると指摘する。問題を解決しようという政治的決定の欠如そして免責が存在している。人々の要求を無視し、聞いたかと思えば、それはコミュニティや組織を分断するために利用するだけである。

 すべての紛争は非対称な条件の中にある。企業や経済的資源を有する個人そして国家が先住民族や農民の家族と土地を巡る紛争にあるが、前者は情報をコントロールし、マス・メディアへの影響力を有し、多くの資源と権力との結びつきを有している。しかし国家は先住民族や農民に対してほとんど支援をせず、直接的にせよ、間接的にせよ、紛争の網一方の側についているのである。口先では疑問を投げかけたりするものの、実際には略奪的な生産モデルを支持し、先住民族や農民の生命を危機にさらしているのである。

 環境政治研究グループによって2010年に発行された「アルゼンチン農村におけるアグリビジネスによる暴力」[3]では、農民や先住民族に対する暴力の増加を確認するとともに、犯罪化、軍事化、身体的強要の問題を取り上げている。
「アルゼンチンの農村部において増え続けている暴力は地球規模の農業戦略と国家政策の履行の条件と考えることができる。テリトリーにおいて自然の富を略奪し、消尽していくのである・・・アグリビジネスと、先住民族や農民コミュニティとのテリトリーを巡る紛争、そして暴力は、アグリビジネスが後者に対して展開するものであり、土地集中のプロセスの現れである」と報告書の作成に関わった研究グループの社会科学者は説明する。
「農村部での暴力は土地と先住民族の権利に関する制度の欠如を明らかにするだけではなく、それは国家の対応そのもののようである」という。

 2009年の10月12日にはトゥクマンでハビエル・チョコバルが殺害され、2010年3月13日には、長年生活してきた土地に侵入しようとするブルドーザーに立ち向かった33歳のサンドラ・エリ・フアレスが死亡している。11月23日には、伝統的な土地への権利を求めて道路封鎖をしていたフォルモサのラ・プリマベーラ村においてコム民族のロベルト・ロペスが警察の弾圧で死亡している。これらの殺害事件の責任者は処罰されてもいない。

 社会運動を犯罪化しようという動きも増加している。先住民族人権モニター(ODHPI)はネウケンだけで、マプチェ民族に対して40の刑事訴訟があり、世代を超えて生活してきたテリトリーを擁護したことで犯罪とされて、200人が犯罪者とされている。
 こうした抑圧や犯罪化は、外国人によって引き起こされるのではない。暴力、銃弾、処罰、収監、これらは同国人によって、州政府や司法当局、そしてすべてのアルゼンチン人の協力によって進められているのである。  

—————–
 真摯な国

 外国人の土地取得を規制する法案について説明した際、クリスティーナ大統領は次のように述べている。「既得の権利になんら影響を与えるものではありません。ここは明らかにしておきたいのです。これまでのゲームのルールを変えようというのではありませんし、これまでに正当であった規制に誠実に従って入手したものに損害を与えようというのでもありません。」法律を尊重しない国はまともな国とは言えない、と考えているというのだ。

 しかし、先住民族や農民は彼らの土地への権利を守るための法律を有している。憲法第75条であり、ILO169号条約であり、法26160であり、民法で定められた20年にわたる占有による権利である。REDAFによると99%の土地紛争は、国家や司法当局が、先住民族や農民に対して現行法で定められている土地権を認めないところに起きているという。また93%の紛争は土地の所有権に関連してコミュニティの伝統的な権利を侵害することによって引き起こされているのだ。

—————–
 通告

 2010年5月、国内の先住民族による大規模なデモが繰り広げられた。これは200年の歴史で初めてのことであり、多数の先住民族が5月広場に到着し、行政府の者と対話を行った。
 20数名の先住民族リーダーは大統領と対話を行い、その必要性、特にテリトリーの擁護と大豆や植林モノカルチャー、鉱山、石油開発などの略奪型のモデルを拒否することについて訴えた。しかし大統領は、もし先住民族コミュニティに石油が発見されたなら、移転はできる限り心痛の少ないやり方で行うと応えたのである。
 多くの者が政権を支持していたにも関わらず、先住民族リーダーはこの回答に驚きと失望の入り交じった思いをさせられた。果たして大統領は先住民族の要求を理解したのだろうか、あるいは最初から決定はなされていたのか

 しかし、ラ・プリマベーラ村で起こった事件は、矛盾とはいえないものであった。それは人の命がかかった決定であった。また政府による「2010-2016年の農業・食料戦略」は大豆生産を拡大するものであり、それは農業フロンティアを広げ、それによる社会的・環境的な影響を増加させるものでしかなかった。
 中央政府の決定は、農民や先住民族の土地に更に深く侵入しようとするものなのである。
—————–
 決定

 フォルモサにおけるコム民族への弾圧から5ヶ月、中央政府が州知事と結託していることを否定することはもうできない。
 体系的な人権侵害にも関わらず、クリスティーナ大統領は州知事と固い結束を維持しており、また官房長官は、政府機関で唯一ラ・プリマベ-ラ村の支援を行っていた反差別庁長官の活動を制約した。
 国家先住民族局も、州知事の意向通りに活動しており、多数の有能な職員を抱えるにもかかわらず、コミュニティは何の期待をすることもできず、先住民族の要求を届ける障害となっているに過ぎなかった。
 しかし、最も明確で、そして悲しむべき証拠は、大統領の沈黙である。一度たりともこのテーマについて公式に言及することはなく、殺害されたロベルト・ロペスの家族との面会を受け入れることもなく、7月9日通りにおける長いピケにも、ハンガーストライキにも何ら動きを見せることはなかった。
「先住民族に対する現在のジェノサイドには、もう武器を使うことはない。見えない存在として、無視し、死にゆくに任せるのである。無視によるジェノサイドである」と2008年に最高裁判所の裁判官であったラウル・エウヘニオ・サファロニは語っている。
 「(先住民族)が声を持っていないのではなく、それが聞き届けられることがないのだ」とエドゥアルド・ガレアーノも言う。[4]

—————–
 人権

 誘拐、幼児略奪、拷問、強制収容所、失踪。
アルゼンチンの先住民族は、ナチズムそして軍事独裁政権の被害者と同じ被害を受けてきた。しかし彼らに対するジェノサイドは否定され続けている。
「19世紀末から20世紀初頭にかけて、国民国家の強化のため、先住民族の自治を破壊する軍事活動を展開した統治体制はいまだ倒されてはいない。それは現在まで続いているのである」と歴史家であり、アルゼンチンにおける先住民族政策におけるジェノサイドについての研究ネットワークの共同代表であるバルテル・デルリオは語る。 研究ネットワークは今日においてもジェノサイドの実践プロセスは先住民族を圧迫し続けていると断言している。かっては銃弾、殺害、奴隷化が行われたが、今日はコミュニティ領域への侵入、土地からの排除、抑圧、生存手段の剥奪、飢餓、差別そして忘却によって進められているのである。

—————–

 1976年の軍事クーデターから28年後、秘密の拘置施設として使われた軍工科学校は人権組織の手に引き渡され、「二度と繰り返さない」という記憶のためのスペースとなった。
 しかし砂漠作戦(Campaña del Desierto:アルゼンチン南部の先住民族制圧のために行われた軍事作戦[6])から130年が経とうとしているが、先住民族の歴史的記憶を保つための空間は存在していない。その一方この作戦を指示したフリオ・アルヘンティーノ・ロカ大佐の名前は、いくつもの道路や学校に冠され、記念碑は乱立し、侵略を受けたマプチェ民族のテリトリーの中心に位置するバリローチェの中央公園でも挑発的な姿を見せ続けているのである。(1976年のクーデターを引き起こし多数の人権侵害事件の責任者である)ホルヘ・ラファエル・ビデラの彫像が、(ブエノスアイレスの)5月広場に据えられていることなど想像できるであろうか。

 1994年、24.411法が制定され、国家テロによる被害者への補償が定められた。しかし先住民族への虐殺の被害者に対してはどのような補償も検討すらされていない。

 現在においても、先住民族に対する体系的な人権侵害が世論を揺るがすスキャンダルとなることはなく、知識人や政治家、ジャーナリストによって否定されることすらある。先住民族に対する虐殺の被害者は、都市住民でも中間層でもないからである。

 こうした事実を拒絶する背景には民族的要因、社会階層、そして経済的な要因が存在している。ここ1世紀半の開発モデル、農産物輸出、石油、森林資源、鉱物資源などの開発は、すべて先住民族の伝統的テリトリーの上で行われてきたのである。

 先住民族にとって「二度と繰り返さない」ということはなかったのである。

(まとめ、抄訳 青西 ()は青西付記)

Argentina: soja sí, indígenas no, Darío Aranda
http://darioaranda.wordpress.com/2011/05/01/soja-si-indigenas-no/

付記 (青西作成)
[1]Conflictos sobre tenencia de tierra y ambientales en la región del Chaco Argentino http://redaf.org.ar/observatorio/wp-content/uploads/2009/04/Conflictos-de-Tierra-y-Ambientales-datos-relevados-hasta-Agosto-2010.pdf
[2] Paro agropecuario patronal en Argentina de 2008
http://es.wikipedia.org/wiki/Paro_agropecuario_patronal_en_Argentina_de_2008
[3]La violencia rural en la Argentina de los agronegocios
http://www.iigg.fsoc.uba.ar/sitiosdegrupos/rural/violencia_gepcyd_2010.pdf
[4]Félix Díaz junto a Eduardo Galeano en el acampe de lucha y resistencia QOM.flv
http://www.youtube.com/watch?v=DIWmD5kLLhI
スペイン語で発言内容も記載されています。
[6]Argentina: Estudio sobre “Campaña del Desierto” confirma genocidio contra mapuches
http://servindi.org/actualidad/39484?utm_source=feedburner&utm_medium=email&utm

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2011/03/25

グアテマラ:アルタベラパス県で暴力的な農民排除が続く(3/25追記)

 3月15日から17日にかけて、アルタベラパス県のパンソス県のポロチック川流域で、製糖企業であるChabil Utzaj社と軍、警察によって農民の強制排除が複数のコミュニティで行われた。
 こうした強制排除の中で、ミラル・バージェ村(Miral Valle)においてAntonio Beb Acが銃撃を受けて死亡、その他にも複数の負傷者が出ている。また農民の耕作物は刈り払われ、住居は企業の重機によって破壊され、あるいは焼き払われた。ミラル・バージェ村では51家族の家屋と耕作物が破壊されという。

 詳細は不明であるが、Chibil Utzaj社は農地代金支払いが滞り、少なくとも一部の土地は銀行に差し押さえられていたという。この農園で働いていた農業労働者が、2008年にサトウキビ生産が中断した後、生活を維持するために、農園の土地でトウモロコシなどの作付けを開始したようである。(*)
 これに対して精糖企業が、農民の排除を要求し、地方裁判所が執行命令を下したようである。しかしこの地域の土地は所有権が確定していない地域も多く、農民組織は司法当局が企業に買収されているのではないかと告発している。
 また政府関係機関やコミュニティの代表、精糖企業は強制排除の前日まで、土地紛争解決のための会議を行っていたという。こういう中で今回の暴力的な強制排除が行われたのである。
 農民組織側は、伝統的な土地所有権の回復を掲げるとともに、いくつかの農園では土地所有者との土地購入手続きを進めていたようである。また政府の農地管理機関によって、所有者が不在であると認められていた土地などからも強制排除が進められたという。

 ポロチック川流域は、バイオ燃料ブーム以降、サトウキビ農園が拡大しつつあり、こうした状況を背景に今回の強制排除が進められていると思われる。それぞれのコミュニティの状況、土地利用の経緯などを把握することはできないが、食料を求める農民の権利が、大農園によって踏みにじられていることは明らかである。

 




<現地の土地紛争についての追加情報>
2006年にCarlos Arturo Wohlers Vegaがポロチック川流域の広大な土地を登記
その後Chabil Utzaj社に転売された
強制排除の対象となったコミュニティには、Chabil Utzaj社の土地として登記されていない土地に存在するコミュニティも含まれている。
-Ocho de Agosto村 「国有地」
-Teleman 村    「無主地」
 (法律に基づいた登記がなされていないことから、国有地とみなされる土地)
- Punto Quince村  「無主地」
-Canlún 村    「Samilha協同組合」の土地

現地の先住民族、農民組織であるCONICは、そもそもケクチ民族が利用してきたポロチック川流域が奪われてきたこと、2006年の登記に関しても土地の職権を乱用しての土地の略奪であること、今回の司法当局による強制排除命令がいかに不正なものであるかを訴えている。
CONICのサイト
LOS DESALOJOS CARECEN DE LEGITIMIDAD Y LEGALIDAD (2011.3.22)
(2011.3.25追記)


この記事は農民組織であるCONIC,CUCのサイトからの情報、ACOGUATEからのメール及び、CERIGUA、Prensa Libreのニュースを整理したものである。写真は現地の知人から直接送付されたものもある。
CONIC http://www.mayaconic.org/
CUC http://www.cuc.org.gt/es/
Prensa Libreの下記記事などQueman casas de campesinos desalojados en fincas de Panzós
http://www.prensalibre.com/noticias/comunitario/Continuan-abusos-desalojos-Alta-Verapaz_0_445155762.html
Trasladan expediente de campesino asesinado a la capital
http://www.prensalibre.com/noticias/comunitario/campesinos-desalojo-capital-expediente-Panzos-investigacion_0_446355584.html
Sectores sociales repudian muerte en Panzós, Alta Verapaz
http://www.prensalibre.com/noticias/Sectores-repudian-muerte-Panzos_0_445755444.html?print=1

*この部分の記述は次のサイトの動画から

http://www.youtube.com/user/CANTABAL#p/u/0/pSp-R09YaBc

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2011/03/10

三井物産の子会社であるマルチ・グレイン社が先住民族の土地略奪に加担

5月26日追記
<この記事に関連して、三井物産株式会社に質問書を送付、その回答を5月23日付けで受け取った。回答他は次のサイトにアップしてある
ブラジル マルチグレイン社に関する三井物産社よりの回答  >


 三井物産は2007年からマルチグレイン社に資本参加していたが、2011年1月に88%の株を取得して、子会社化した。[1]しかしこのマルチグレイン社が、先住民族の土地の略奪に関与しているとして告発されている。[2]

シャバンチ民族に属するMaraiwatsede Indigenaの土地は1998年に政府によって認められたが、いまだ大半の土地は農園主によって違法に占拠され、森林が伐採され、大豆が生産されている。こうした違法占拠者の中に、マルチグレイン社と契約を結んでいるCapim Finoグループの一部であるコロンボ農園やマルチグレイン社に対して大豆引き渡しの契約を結んでいたMata Azul e Capim Fino農園が含まれているという。
 そもそもコロンバ農園などはIBAMA(ブラジル環境・再生可能天然資源院 )によって2008年に違法伐採等で差し押さえられた土地で大豆耕作を継続していたという。
 IBAMAは違法に生産された大豆の差し押さえを行ったが、マルチグレイン社はIBAMAに大豆を差し押さえられた被害者だと語っているという。

 まとめ
 開発と権利のための行動センター
 青西
 
[1]世界の食糧需要へ、ブラジル農業生産事業
http://www.mitsui.co.jp/business/challenge/grain/index.html
ブラジル農業生産・穀物物流事業マルチグレイン社株式の追加取得基本合意(子会社化)
http://www.mitsui.co.jp/release/2011/1190969_4047.html
[2]Soja pirata na Terra Indígena Maraiwatsede(2011/03/4) 
http://www.brasildefato.com.br/node/5836
Conexões Sustentáveis São Paulo – Amazônia
Soja pirata em terra indígena
http://reporterbrasil.org.br/conexoes/?p=107(2011/2/11)
Caso: Soja pirata em terra indígena
http://reporterbrasil.org.br/conexoes/wp-content/uploads/2011/02/Resposta-Case-12.pdf

関連資料
No Centro-Oeste, soja é “remédio” contra a indolência(2010/9/28)
http://blogdosakamoto.uol.com.br/2010/09/28/no-centro-oeste-soja-e-remedio-contra-a-indolencia/
Impactos da soja sobre Terras Indígenas no estado do Mato Grosso (2010/7))
http://www.reporterbrasil.org.br/documentos/indigenas_soja_MT.pdf

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