先住民族

2009/11/13

ご案内:チッタゴン丘陵和平協定を求める世界同時キャンペーン

チッタゴン丘陵和平協定を求める世界同時キャンペーンの事務局であるジュマネットから協力要請が届いています。
 ネット署名・現地詳細などは次のサイトからどうぞ。
http://cht-global-voices.jp/index.php

 以下、キャンペーン事務局からの文書の転載

最近のCHTの政治状況
 バングラデシュ政府(アワミ連盟シェイク・ハシナ首相)と先住民族政党の間で1997年に結ばれたチッタゴン丘陵和平協定(略CHT和平協定)は、締結から10年以上ほとんど実施されず、多くの人権侵害が放置されてきました。
 2008年12月末のバングラデシュ総選挙で、マニュフェストにCHT和平協定の完全実施を掲げたアワミ連盟が政権に返り咲きました。同年6月にCHT問題解決のために国内外の専門家で構成された国際CHT委員会が再結成され、バングラデシュ政府関係者、軍関係者、各政党、各国の援助機関、先住民族グループや入植者団体、そしてバングラデシュ国内のメディアや市民グループと対話を重ねてきました。
2009年バングラデシュ新政府はCHT和平協定実施のための国会常設委員会、土地委員会、難民・国内避難民生活再建タスクフォースなど重要な委員会を次々と立ち上げています。さらに、7月に実質的にチッタゴン丘陵を支配している陸軍の一連隊と35の駐屯地の撤退を発表し、その実施が開始しました。この軍の一部撤退は、バングラデシュ国内に大きな衝撃を与えました。
長年放置されてきたCHT問題は、いま、和平構築の最大のチャンスを迎えており、チッタゴン丘陵に住む先住民族、ジュマ11民族はまさに民族の最後の生き残りをかけたチャンスを迎えています。非公式会談で首相は、この難題を乗り切るために国際社会からの支持と支援が必要不可欠と訴えています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

パラグアイ:先住民族に対して農薬散布-大豆生産地の拡大を狙 ったものか

 南米パラグアイのアルト・パラナ県において、11月6日、アバ・グアラニ
民族のコミュニティに対して、飛行機で農薬散布を行うという事件が発生した。
この地域ではアバ・グアラニ民族と拡大を続ける大豆生産者との間で土地をめ
ぐる争議が続いている。
 この事件に対して既に政府も調査に動いており、報道によると、保健相はこ
の地域の5つのアバ・グアラニ民族のコミュニティに対して、飛行機による農
薬散布が行われ、約200人が吐き気を催すなど農薬による急性中毒の被害を
受けたと告発。またパラグアイ先住民族庁は、伝統的な土地への権利を要求す
る先住民族を排除するために意図的に大豆生産者が農薬を散布したものである
との見解を表明している。[1]
 国際的な人権擁護組織であるアムネスティ・インターナショナルによると、
事件当日の11月6日には、当初、先住民族に対する強制的な排除が行われる
予定であったという。しかしその排除命令が無効とされた後、ブラジル系農業
者が、約50人の男性を伴って、実力行使によって先住民族を土地から排除し
ようとして衝突になったとのことである。その後、軽飛行機により、コミュニ
ティ上空から農薬散布が行われたという。この農薬散布によって、健康被害だ
けではなく、飲料水の水源も汚染されたとのことである。[2]
アムネスティ・インターナショナルでは、今回のアバ・グアラニ民族のケー
スだけではなく、ヤクエ・アシャなど、パラグアイの先住民族が伝統的に利用
してきた土地への権利を認めるように、国際的なキャンペーンを展開している。
[4]
(青西靖夫 2009/11/13)

[1]Indigenas paraguayos afectados por la fumigacion(2009/11/10)
http://www.agencianova.com/nota.asp?n=2009_11_12&id=12743&id_tiponota=8
[2]Paraguay: Comunidades Indigenas se enfrentan a represalias
http://www.amnesty.org/es/library/info/AMR45/049/2009/es
[3] COMUNIDADES INDIGENAS SE ENFRENTAN A SU DESALOJO
http://www.amnesty.org/es/library/asset/AMR45/048/2009/es/70ad9e33-30d9-40e7-ae5d-9406668d6a8f/amr450482009es.html
パラグアイ:「私たちは、私たちの土地を返してほしいだけ」
http://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=2547

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/11/05

資料紹介:先住民族の権利

169号条約がどのように適用されているか
Aplicacion del Convenio Num. 169 de la OIT por tribunales nacionales e
internacionales

中南米各国の事例などが扱われています
http://pro169.org/res/materials/es/general_resources/Aplicacion%20del%20C169%20por%20tribunales%20en%20America%20Latina.pdf
Pro169というサイトで英語版を探してみましたがないようです。

他にも最近発行されたばかりの次のガイドもありました(英・西・仏)
Indigenous & Tribal Peoples’ rights in practice.pdf
A guide to ILO Convention No. 169

http://es.pro169.org/

アイヌ民族の話も取り上げられています。(西語版ではP23))

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ペルー:イナンバリにおける水力発電ダム建設計画

 CIDHの公聴会で、その問題が訴えられていたイナンバリの水力発電所建設計画について、少し情報を探してみましたので、紹介します。
 Bank Information Center のサイトに情報が収集されていますので、このサイトの情報を利用して整理しました。
Represa Hidroelectrica Inambari
http://www.bicusa.org/es/Project.10078.aspx
英語サイトの方にも記事見出しの翻訳が掲載されています。

Bibliotecaに含まれていた<Inambari Boletin> のまとめです。
Especial :Hidroeléctrica del Inambari ?Para que?, ?para quien?
-1976~1979にかけて、エネルギー・鉱業省とGTZによる開発可能性調査が行われる
-2008. ペルーとブラジル両国政府は、水力発電開発のために、エネルギー協力協定を締結
-2008.6 水力発電計画のための調査実施のためにEGASURに期限付きコンセッション
-水力発電所は、クスコ州キスピカンチスのカマンティ、マドレ・デ・ディオス州タンボパタのイナンバリ、同じくマヌのウエペトゥエ、プノ州のカラバヤ、アヤパタとサン・ガボンに広がる
-2000メガワットの発電量を見込み、ペルー最大の発電所となる計画
-ロックフィル式のダムで、高さ220メートル
-貯水池面積は410平方キロに及ぶ
-65のコミュニティが影響を受け、移転若しくは補償を必要とする
 (別の資料によると27のコミュニティが強制的な移転を強いられる)

またダム計画に拒否の姿勢を示す先住民族に関する
次のようなニュースも紹介されています。
Pueblos selváticos proponen ingresar a guerra civil
En asamblea se pronunciaron contra hidroeléctrica del Inambari
http://www.losandes.com.pe/Regional/20090911/27003.html

| | コメント (0) | トラックバック (0)

米州人権委員会がIIRSAについて特別公聴会を開催

 米地域インフラ統合イニシアティブ(IIRSA)の先住民族コミュニティへの影響について、11月2日、米州人権委員会による特別の公聴会が開催された。
 南米の先住民族の代表として、ペルーのCAOI(Confederación Andina de Organizaciones Indígena de Perú )、ボリビアのOICH(Organización Indígena Chiquitana de Bolivia)、CEADESC(Centro de Estudios Aplicados a los Derechos Económicos, Sociales y Culturales de Bolivia)、ブラジルからComunidades Nativas de Pueblos Indígenas de Rondonia de Brasil、また米国のIndian Law Resource Centerが参加して発言を行った。
 この模様は米州機構のサイトにおいてビデオを見ることができる。(スペイン語・一部ポルトガル語)
http://www.oas.org/es/centro_noticias/videos.asp?sCodigo=09-0278&videotype=&sCollectionDetVideo=4

南米の各地を結ぶインフラ整備を目指しているIIRSAに含まれる多数のメガプロジェクトは、先住民族の生活に大きな影響を与えるとして、先住民族組織が抗議を続けている。

Leonardo Crippa(Indian Law Resource Center)
-IIRSAに含まれる502のプロジェクトは、先住民族コミュニティにおける鉱業開発、水力発電開発、アグロ燃料、モノカルチャーなどの様々なプロジェクトの促進につながるものであり、このプロジェクトの実施は、国際法に定められている先住民族の権利を損なうものである。
-IIRSAは、先住民族のBuen Vivirを脅かすものである。
-これらのメガプロジェクトは特に三つの先住民族の権利を侵害するものである。土地への集団的な権利、開発の形を決めるという自決と自己決定の権利、汚染と生物多様性の喪失による身体的統合と健康への権利である。
-ダムで水没が引き起こされる所では、強制的な移転が生じる
-事業の前に人権への影響に関する調査を行うべき。

Rodolfo López(Organización Indígena Chiquitana de Bolivia)
-サンタクルスとプエルト・スアレスを結ぶ道路計画は建設が進んでいるが、31コミュニティの文化、生物多様性、その統合性に直接の影響を与える。
-これまでに行われた建設部分ではコミュニティの分裂などを引き起こしてきた。
-コミュニティへの協議が適切に行われないまま、プロジェクトが進んできている。
-企業は当初の約束を遂行していない。影響の緩和策なども実現されていない。

Narciso Tomicha(Central de Comunidades de Chiquito Turbo)
-サンタ・クルス-プエルト・スアレス間の道路建設の影響を受けている。
-この土地は所有権の確定がなされておらず、このことが補償の受け取りを困難にするであろう。
-森林破壊、道路の整備による外部者の流入による過剰な狩猟圧、水源の汚染などが引き起こされる。
-私たちの文化が失われつつある。

Telma Delgado Monteiro(Associação de Defesa Etno-Ambiental Kanindé)
-マデイラ川の水力発電計画の真の目的は、大豆のモノカルチャーを進めることにある。
-事前の、情報に基づく協議は行われていない。
-百万人という数の強制移住が引き起こされ、生物多様性も回復不能なまでに失われる。

Miguel Palacín Quispe(Confederación Andina de Organizaciones Indígena de Perú )
-先住民族は統合に反対しているわけではない。しかし先住民族は開発を別の見方をしている。「Buen Vivir 良い生き方:人間と自然の調和」こそ、地球温暖化という危機に対処するために、先住民族が貢献できるものである。
-ペルーの3つの港とブラジルを結びつけようという計画は、多国籍企業に対して、自然資源へのアクセスを容易にするためにあり、そのためにアンデス地域の3952のコミュニティと78の低地先住民族のコミュニティが影響を受けることとなる。
-鉱業の振興、森林伐採、アマゾン地域への移民増加、大豆などのモノ・カルチャーの拡大、聖地の破壊などを引き起こし、特に自発的孤立を選んでいる先住民族コミュニティのテリトリーを脅かすものである。
-コミュニティの分裂・消滅、犯罪の増加、先住民族の消滅などを引き起こす。
-Inambari に計画されているダムは46000 haを水没させ、65コミュニティに移転を強いるものである。先住民族のすべての権利を侵害しているのである。
「私たちは『西洋』の開発とは違う考え方をしているのです。これまでの開発は、採掘・蓄積・分裂・個人主義を進めてきました。しかし私たちはコミュニティに生き、集団的な権利に基づいて生活しています。しかしこの権利が侵害されているのです。私たちは常に調和を目指してきました。Buen Vivirを目指してきたのです。しかしこの考え方は理解されず、政策の中に適切に取り入られていません。」

*ビデオ映像及び下記資料をもとに作成

 開発と権利のための行動センター
 青西

<参考資料>
CIDH realizará Audiencia sobre impactos de la IIRSA en los Pueblos Indígenas
http://www.biodiversidadla.org/Principal/Contenido/Noticias/CIDH_realizara_Audiencia_sobre_impactos_de_la_IIRSA_en_los_Pueblos_Indigenas
IIRSA vulnera derechos de los pueblos indígenas y de la Madre Naturaleza
http://www.biodiversidadla.org/content/view/full/52851
Situación de las comunidades indígenas afectadas por el proyecto Iniciativa para la Integración de Infraestructura Sudamericana (IIRSA) Participantes: Solicitante: Confederación Andina de Organizaciones Indígena de Perú (CAIO) / Organización Indígena Chiquitana de Bolivia (OICH) / Centro de Estudios Aplicados a los Derechos Económicos, Sociales y Culturales de Bolivia (CEADESC) / Comunidades Nativas de Pueblos Indígenas de Rondonia de Brasil / Indian Law Resource Center (54'36)
http://www.oas.org/es/centro_noticias/videos.asp?sCodigo=09-0278&videotype=&sCollectionDetVideo=4

<ブログの関連記事>
2008/01/29 アマゾン地域の大規模水力発電計画と先住民族
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/01/post_3d22.html
2008/03/07 IIRSA(南米地域インフラ統合イニシアティブ)とは
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/03/iirsa_f80c.html
2008/03/07 南米の巨大プロジェクトに反発する先住民族組織
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/03/post_0bb9.html
2008/11/14 ブラジル:アマゾンのマデイラ川に巨大ダム
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/11/post-5686.html
2008/12/15 IIRSA(南米地域インフラ統合イニシアティブ)に対する先住民族からの提言
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/12/iirsa-4195.html

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/11/04

グアテマラ:鉱山開発を拒否-クネンでの住民による協議

 キチェ県のクネンで10月27日、住民による協議が行われました。これは地域における鉱山開発の是非を問うために71のコミュニティで開催されました。また国内外から約200人のオブザーバーも参加。
 この協議は、9月23日付けの自治体の合意文書に基づいて、「クネン・コミュニティ協議会:Consejo de Comunidades de Cunén)」によって調整・実施されたもので、クネンの町と農村部の実施されました。
 午前中に農村部で、午後にはクネンの町で協議が開催され、19116人がクネンにおける、国内外の企業による自然資源の開発に拒否の意志を示しました。(2002年総人口の74%であり、72のコミュニティのうち71で開催されたとのことです)
 今後サクアルパやウスパンタンでもこうした協議を行う計画があるとのことであり、ウエウエテナンゴ県に続き、キチェ県でも鉱山開発に反対する住民の意思表明が続くものと思われます。

 グアテマラ在住の石川さんも現地を訪問されたとのことです。石川さんによると、この協議を中心に進めたのはクネンの72のコミュニティを8地域に分けたミクロ・レヒオンの代表によって構成されるクネン・コミュニティ協議会であり、環境団体のマドレ・セルバや人権組織のCALDHなどが実施の支援を行ってきたということです。CALDHでは半年ほど前から、関連法についての研修などを行ってきたということです。
 
 当日は、村ごとに住民総会を開催し、「鉱山・水などの自然資源を企業が開発することに賛成か」というような質問に対し、同意か、非同意かを表明してもらうという形で実施。参加者は、8歳から17歳の未成年者、身分証を有する成人、選挙人登録を行っている成人、身分証を有するが、選挙人登録を行っていない成人というカテゴリーに分けられた上で、それぞれに質問に対する票を集めたとのことです。 (2002年センサスによると、クネンの人口は25595人。マヤ民族が90%)

 ちなみにクネンでは数年前に警察を追い出し、現在自治体による警官(Policia Municipal)は存在するものの、住民によって4年任期の治安審議会が各村で組織されているとのことです。

<関連サイト>
ビデオ
Rechazo masivo contra explotación minera en Cunén, Quiché, Guatemala.(2009/10/30))
http://www.youtube.com/watch?v=5MDoe2T_JFI

4o Asamblea de las Comunidades de Cunen(2009/09/23)
http://www.youtube.com/watch?v=MkBNlZLa7ng

協議に関わる総会決議
http://www.scribd.com/doc/21413149/Memoria-de-La-Cuarta-Asamblea-de-Las-Comunidades-de-Cunen-22-09-2009

Boletín de prensa No. 5
FINALIZA CONSULTA COMUNITARIA, RESULTAODS CUNEN DICE NO A LA MINERÍA DE FORMA MASIVA. http://chiapas.indymedia.org/article_170949
成人が11116人、未成年が8千人参加したとのことです。

<上記他次のニュースを参照>
CUNEN DICE NO A LA PRESENCIA MINERA EN SU TERRITORIO Boletín de Prensa Waqib’ Kej(2009/10/29)
11000 dicen 'No' en consulta comunitaria en Cunen (Roble 26号)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/10/21

協議に関する報告:先住民族の権利に関する国連特別報告者

  今年の国連人権理事会に提出された、「先住民族の人権状況と基本的自由に関する国連特別報告者」であるジェームズ・アナヤ(James Anaya)氏の報告書は、主要テーマとして「協議を行う義務」について取り上げている。[1]
 「協議」はグアテマラをはじめとして、中南米の先住民族運動においても非常に大きな課題となってきているので、ここでこの報告書の内容について少し整理する。
 報告書の全57項のうち、第36項から第57項までがこのテーマに費やされている。
36.国家は、先住民族に影響を与える決定について、先住民族に協議を行わなくてはならないという義務を適切に履行していない。適切な協議の欠如が先住民族との対立的な状況を引き起こしている。
<法的基盤>
38.「先住民族の権利に関する国際連合宣言」では次のように記されている。
「国家は先住民族に影響を及ぼし得る立法的または行政的措置を採択し、実施する前に、彼/女らの自由で事前の情報に基づく合意を得るため、その代表機関を通じて、当該の先住民族と誠実に協議し、協力する」
39.同様に国際労働機関の第169号条約においても、先住民族に影響を及ぼしうる計画やプロジェクトに際して、合意を得るために、誠実な協議を行うことを求めている。
40.国連の人種差別撤廃委員会も各国の政府に、先住民族に対する協議を行うように要請している。この他、米州人権裁判所も、米州人権条約に基づいて、協議を行う義務を明確にしている。
41.協議を行うという義務は、先住民族の自己決定権という根源的な権利、また民主主義そして人民主権に関連する原則から派生するものである。自己決定の権利は、先住民族が自らの権利を全的に行使するためには不可欠のものである。
 先住民族に影響を与える恐れのある決定のプロセスに際して、先住民族と協議を行うという国家の義務は、決定プロセスから排除されてきた歴史的なパターンに幕を引くものである。またこの先、先住民族に対して重要な決定が押しつけられないようにするものであり、先住民族の人びとが、その文化とともにこれまで根付いてきた土地での、異なる民族としての生活を繁栄させていくことを可能にするものである。
42.国家の決定が、先住民族の特有の利益に影響を与える場合には、先住民族の異なる文化的・歴史的特質に基づき、特別の、様々に異なる協議の手続きが必要とされる。政治的な舞台から阻害されてきた先住民族にとって、通常の民主的手続きや代表制は、先住民族特有の関心に対応するためには不十分である。

<協議を行う義務を適用する状況>
43.協議は、国家のある決定が、社会の他の個人には感じられないような形で、先住民族に影響を及ぼす恐れがあるときに、適用されなくてはならない。例えば土地や資源に関する法律は、一般にも影響を及ぼすが、先住民族の伝統的な土地所有形態や関連する文化に対しては、特別な形で影響を及ぼすものである。そこでこうした場合には協議を行わなくてはならない。
44.協議は、既に認められている権利や法的な権限がおびやかされる時に限られるわけではない。ダム開発や自然資源の採掘などによって影響を受ける先住民族の土地が、既に国内法によって認められている時に限って協議が必要だ、と考える国家があるが、そうではない。先住民族の特別な利益がおびやかされる時に、協議が必要とされるのであって、その権利、土地への権利などが法的に承認されているかどうかは問われるものではない。(ここではグアテマラにおけるILO169条約に関する裁定を引用している)
45.テリトリーにおける自然資源の採掘など、特定の先住民族や先住民族コミュニティに影響を及ぼす事業に際しては、影響を受けるグループの積極的な参加を保証し、また人びとの関心への特別に配慮した協議プロセスが必要である。

<合意に達するための、あるいは同意を得るための、誠実な協議の実施に必要とされるもの>
46.協議とは合意を得るために行うものであり、影響を与える決定に対する「拒否権」ではない。ある決定の前に、相互に受け入れられる合意に至るための交渉であり、既に行われた決定、あるいは決定されつつある事項に関して、情報を提供するためのものではない。
47.先住民族に対して、直接的に、かなりの影響がある場合には、協議だけではなく、合意を得なくてはならない。宣言においても、二つのケース(強制移住と有害物質の貯蔵・廃棄)において合意を得ることを義務としている。米州人権裁判所でも、スリナムのサラマカ民族のケースにおいて、民族のテリトリーに大きな影響を及ぼす開発計画に際して、協議を行うだけではなく、事前の、情報に基づく自由な合意を得なければならないという判断を下している。
48.先住民族が、開発プロジェクトに対して拒否権を持つのかどうか、という議論ではなく、全ての利害関係者の合意を得るために、可能な全てのことを行うための協議手続きを策定する必要がある。
49.国家の協議を行う義務というのは、これまで先住民族に決定を押しつけてきた歴史的なモデルと、先住民族の生存の危機を終わらせることにある。協議と合意の原則は、それぞれが自分の意志を相手に押しつけるのではなく、相互に理解することに努め、合意によって決定を下すことにある。

<合意に向かうための信頼醸成のための要素>
50.国家にとって、合意による決定のための誠実なる取り組みは、「手続きについて、合意を得るために努力をし、またそれについて幅広く情報を提供し、信頼感を構築することである」。更に、国家や企業などと比べ、先住民族は一般的に、政治的影響力や資金、情報へのアクセス、教育などの点で不利益を有している。
51.信頼感を醸成するためには、協議のプロセスもまた合意の結果でなくてはならない。また国家は、先住民族に対して、資金や技術的な支援を提供することを通じて、権力の不均衡を乗り越えなくてはならないが、同時に、そうした支援を通じて、先住民族の協議に対する立場に影響力を行使しようとしてはならない。
52.先住民族の独自の代表制度とその決定を尊重しなくてはならない。また先住民族も独自の制度を改善し、協議のプロセスを容易にするような代表制度を整備する必要があるであろう。
53.先住民族の土地に影響を与えるような開発プロジェクトや自然資源の採掘などの場合に、先住民族が情報に基づく、自由な決定を下すためには、プロジェクトが引き起こす影響なども含め、客観的かつ完全な情報を受け取る必要がある。どのような結果が予想されるのかを知ることができるよう、国家が社会・環境影響調査を行う必要がある。影響を受ける先住民族グループは、協議の最初の段階でこの調査結果を知る必要があり、またその結果を理解し、意見を表明し、憂慮される点について情報を得るための十分な時間がなくてはならない。またこうした事業における、合意のための協議プロセスにおいては、被害による補償や緩和策だけではなく、利益の公正な配分についても検討されなくてはならない。

<協議を行う義務と企業の責任>
54.民間企業などによって自然資源の採掘などが行われる場合も、協議を保障し、それを実施する責任は国家にある。国家こそが、協議の実施を含め、先住民族の人権を保障する義務を負うのである。よって民間企業やその他の機関にその義務を委ねることはできない。また協議はできる限り早い段階から行われなければならず、民間企業にコンセッションを与える前に実施されねばならない。  
55.実際には民間企業に協議の実施を行わせるというケースが多々存在している。
56.企業のポリシーとして、先住民族、特に協議に関する国際的な規範に、その活動を適合させるべく努めるべきである。
57.多くの企業が、先住民族の権利に関する国際法について適切な理解を欠いている。また企業は、国家の怠慢による、協議の不履行など、先住民族の権利への侵害などに荷担しないようにすべきである。また国家も企業活動が、先住民族の権利を完全に尊重するよう、常に監視しなくてはならない。

[1] PROMOCION Y PROTECCION DE TODOS LOS DERECHOS HUMANOS, CIVILES, POLITICOS, ECONOMICOS, SOCIALES Y CULTURALES, INCLUIDO EL DERECHO AL DESARROLLO
Informe del Relator Especial sobre la situacion de los derechos humanos y las libertades fundamentales de los indigenas, James Anaya

A/HRC/12/34 
http://daccessdds.un.org/doc/UNDOC/GEN/G09/145/85/PDF/G0914585.pdf?OpenElement
英語 
http://daccessdds.un.org/doc/UNDOC/GEN/G09/145/82/PDF/G0914582.pdf?OpenElement

 グアテマラだと、「協議」は、拒否権の発動というよりは、とりあえず「拒否」のアピールとして行われている感じがあります。法的には拘束力がないと憲法裁判所で裁定が下されても、とりあえず、協議に関する国内法の整備は進まない中で、意思表明をしておかなければ何が起こるかわからないという、という中で、コミュニティが主体的に「協議」を行っています。
 
 グアテマラでは、「環境影響調査」にしても、住民がアクセスできるような状況にはなく、それこそ専門家でなければ読んでもわからないような中身で、かつ意見書提出の期限は限られ・・・という状況です。
 それでもコナビグアの集団的権利プロジェクトの担当者は、そういうのも見て行かなくては・・・と真摯な発言をしていましたが、
 村にいても、ちゃんと地域の言葉で説明を受けられ、じっくり考え、村の中で意見交換をできるような状況+時間が提供されるのが本来の姿だろうと思います。
 
 19世紀にベラパスの土地が首都で公示にかけられ、持ち主が現れなければ大農園主に売ってしまいますよ・・・という手続きが行われたころと現在は大差ありません。

 開発と権利のための行動センター
 青西

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/10/16

ニカラグア:第2回先住民族女性フォーラム

 第2回先住民族女性フォーラムが10月1日から4日にかけてニカラグア大西洋岸のワスパンで開催されました。
 メキシコや中米などからも参加者があったようですが、ニカラグアの先住民
族女性の声としていくつか興味深い点がありますので、声明文から一部抜粋し
ます。
DECLARACION DE WASPAM
Segundo Foro de Mujeres Indigenas del Wangki: unidas construimos
nuevos caminos, dignas, fortalecidas y felices para vivir bien

 

1)家族やコミュニティにおける「良い生活」を可能とするような法・公共政策を
2NGOの開発プロジェクトにも事前協議を
 政府や国際機関だけではなく、NGOに対しても、開発プロジェクトに際して、国際法に定められた事前の情報に基づく協議を要求しています。
3)暴力のない生活を送る権利があることを伝えよう。
女の子も、男の子も、若者たちも、女性も男性も、暴力のない生活を送る権利を持っているのです。

 1993年に国連で採択されている「女性に対する暴力の撤廃に関する宣言」の流れを引くものなのかもしれませんが、中米やメキシコにおける最近の若者たちの暴力や地方にまで広がる暴力の問題を考えると、より広範に「暴力から自由な生活/VIDA LIBRE DE VIOLENCIA 」というのが求められているのではないかと思います。

 「良い生活/Buen Vivir」=「まっとうな生活」を求める声や、暴力のない生活を求める声は、いろいろな垣根を越えて共有されるべき課題となっているように思います。
 私たちにとっての良い生活とはいったいどういうものなのか。経済成長とそこからの分配に依存し続けるのではない、安定的・静態的かつ生態的な生活のあり方を提示しないといけないのかと思います。

Nicaragua: Mujeres indigenas acuerdan movilizarse para una vida libre
de violencia

http://www.fondoindigena.org/notiteca_nota.shtml?x=17964 
スペイン語/英語ですがこのサイトも訪問してみてください。
http://es.madre.org/index.php?s=4&news=219
さて、話は全く変わりますが、
UNA VIDA LIBRE DE VIOLENCIA Y DISCRIMINACIÓN で検索をかけたところ、今年3月に公表された米州人権委員会の「EL DERECHO DE LAS MUJERES A UNA VIDA LIBRE DE VIOLENCIA Y DISCRIMINACIÓN EN HAITÍ」という報告書が引っかかってきました。今度ちらちらと眺めてみようと思います。
http://www.cidh.oas.org/countryrep/Haitimujer2009sp/Haitimujerindice.sp.htm

THE RIGHT OF WOMEN IN HAITI TO BE FREE FROM VIOLENCE AND DISCRIMINATION
http://www.cidh.oas.org/countryrep/Haitimujer2009eng/HaitiWomen09.toc.htm

開発と権利のための行動センター
青西

| | コメント (0) | トラックバック (0)

先住民族の抵抗の日

 先住民族の抵抗の日:10月12日、中南米各地で先住民族の権利回復を求める運動が展開されました。
 それぞれの地域での動きの詳細をお伝えするには情報量が多いので、いくつかサイトなどを紹介します。

1º reporte de las Jornadas de Movilización Continental - 12 de octubre 2009
GRITO MESOAMERICANO
こちらのBoletim 85号です。
http://www.gritodelosexcluidos.org/index.php?option=com_docman&Itemid=4

Grito de los Excluidosのサイトはこちら
http://www.gritodelosexcluidos.org/index.php

La Minga Global por la Madre Tierra
 コロンビアの先住民族組織などを中心に計画されたもの。
http://movimientos.org/defensamadretierra/

 開発と権利のための行動センター
 青西

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/10/03

エクアドルで先住民族と警官隊の衝突

 9月28日よりエクアドル先住民族は、議会で審議中の水法に対して抗議行動を開始していたが、水曜日30日、アマゾン地域のモローナ・サンティアゴ州のアラピコス近郊で警官隊と衝突。シュアル民族出身のボスコ・ウィルマ (Bosco Wizuma)が死亡したほか、他2名も死亡したと伝えられている。また40人ほどの警官が負傷したとのことである。
 シュアル民族は仲間の死を受けて、態度を硬化させ、道路封鎖を継続し、コレア大統領自ら対話のために現地を訪問することを要求しているとのことである。
大統領は金曜日に先住民族組織と対話を開始するとしていたが、来週に持ち越された。
 エクアドルのコレア大統領は、蜂起当初から水法は水管理の民営化に向かうものではなく、先住民族の蜂起は右派に操られたものだというコメントを繰り返している。(2009/10/03 青西)

 声明文等へのリンクはこちらに数多くあります。
http://ecuador.indymedia.org/

 水法の法案等
 Ley Orgánica de los Recursos Hídricos, Uso y aprovechamiento del agua
 http://www.senagua.gov.ec/index.php?option=com_content&view=article&id=104&Itemid=138

 批判http://www.biodiversidadla.org/Principal/Contenido/Documentos/Ecuador_los_10_pecados_capitales_de_la_Ley_de_Agua

 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧