農村開発

2009/10/30

  食料への権利に関する国連特別報告者 種子に関する知的所有権の法的扱いの変更を求める

 国連の食料への権利に関する特別報告者、オリビエ・ド・シューテル(オリビエ・デ・シュッター/Olivier De Schutter)は、種子政策は、革新と食料保障そして、農業的な多様性を同時に促進するものでなくてはならず、現在の知的所有権制度は、今日の、食料安全保障を促進するためには不十分であると表明。

 国連総会に提出した報告書において、種子企業の支配的立場の悪用や農民には手の届かない不当な価格設定などを避けるためにも、独占禁止法の適用可能性を検討するように求めている。[1]

 またプレスリリースでは次のような内容について言及。 [2]
 「不安定化する気候の中で、種子政策は収量を増加させるだけではなく、難しい環境下で耕作している貧困農民の収入を増加させ、気候変動への対応力を高め、更に作物の遺伝的多様性の喪失を押さえるものでなければならない」。
 「現在の種子へのアクセスは地域的な交換などによるインフォーマルな種子取引と、公的機関に認証された改良種子市場に分かれているが、農業政策の中での軽視、また現行の知的所有権制度が後者を推し進めていることもあり、前者は消滅しつつある。しかしそれぞれの種子取引にはそれぞれの機能があり、異なるニーズに対応するものでり、農民による種子取引も促進されていかなければならない。」
 「過剰な知的所有権の保護が、技術革新のインセンティブどころか障害になりつつあるという懸念を日々聞かされている。公的な科学者にとって遺伝子材料へアクセスすることは日々難しくなり、研究は豊かな国のニーズに向けられている。」
 「小農民に向けた技術革新を進めるために二つの原則がある。一つは参加であり、小農民の経験と科学を結びつけること、そしてもう一つは農業技術改革を全体的なシステムとして改良していくこと。作物の改良だけではなく、生産的そして抵抗力のある農業システムを生み出していくこと。アグロフォレストリーや生物農薬、間作・混作などは大きなポテンシャルを持っている。」

また関連する国際的な運動としては次のサイトを参照ください。
STOP ‘MONSANTOSIZING’ FOOD, SEEDS AND ANIMALS!
 http://www.no-patents-on-seeds.org/index.php?option=com_content&task=view&id=93&Itemid=56
 NEW ALERT: STOPP MONSANTOSIZING !(10/21発信)
 http://www.no-patents-on-seeds.org/index.php?option=com_mkpostman&task=view&Itemid=52&id=27


[1] Report to the General Assembly (main focus: seed policies and the right to food) 2009 A/64/170
http://www2.ohchr.org/english/issues/food/annual.htm
[2] PRESS RELEASE “Current intellectual property rights regime suboptimal for global food security”, according to UN expert on food NEW YORK (21 October 2009)
http://www2.ohchr.org/english/issues/food/docs/GA_press_release_21102009.pdf

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2009/07/18

排除のために使われる『開発』と主体的な開発を目指す取り組み 

 1980年代初頭、キチェ県イシル地域は政府軍による徹底的な掃討作戦の対象とされました。ゲリラ勢力の活動地域であったこの地域の人々はすべてゲリラと見なされ、村を焼き払われ、虐殺が繰り広げられたのです。多くの人々が山に逃げ、生き延びるために「抵抗の共同体(CPR)」を組織して、山中での生活を続けました。

 内戦も終わり、「抵抗の共同体」を組織していた人たちも山を下り、村の生活に戻りました。しかし歴史を取り戻すための運動を続けている人たちがいます。そうした運動に参加するガブリエルさんは次のように語ってくれました。

「暴力の前から私たちは長老たちを中心に組織されていました。以前は、長老が集まり、何をすべきか、何をしなくてはいけないか、話し合いをしてきたのです。以前はプロジェクトなどありませんでしたが、村の産品を馬で街に出すために必要な道の整備などいついて村の中の話し合いで決めてきたのです。」

「しかし内戦の中で私たちの伝統や文化、私たち自身の開発のあり方は中断されてしまったのです。村人のつながりはずたずたにされてしまいました。多くの村人がゲリラだと言われ、協力しない者は殺されました。」

「でもそうした過去は現在まで続いています。以前は軍を前に、出頭しない者は敵だとみなされました。今は、開発計画を受け入れない者が排除されるのです。政府は私たちを貧困のままに留めたあげくに、私たちの貧困を利用するのです。私たちの自然の富を取り上げるために、あれこれ出してきます。そうした『開発』を受け入れない者は排除され、市民ではないかのごとくに扱われるのです。」

「私たちからの提案は無視され、よそで計画された『開発』が押しつけられ、外からやってきて、申請書を埋め、サインをして、計画に同意することが求められるのです。政府関係機関や政党は、自分たちの仲間になったらトタンや肥料や食糧を渡すというのです。時には村の中で解決できる、不必要なものまで押しつけていくのです。私はこういうやり方には納得できません。」

 一方で、グアテマラの各地で進みつつあるのが住民による「協議」です。これは村人の総会で、学校建設や道路整備、水道整備など、村の開発について総意で決めてきた経験をもとに、鉱山開発や水力発電ダムなどの巨大プロジェクトに対抗する仕組みとして各地で組織されつつあります。自分たちの地域の開発の方向を自分たちで決定していく、そのために村での総会の仕組みが「協議」として使われていっているのです。

 鉱山開発などの巨大プロジェクトは、村人の分断を図るために各地で金をまき散らし、買収や汚職を繰り広げ、村の中での分裂を深めています。その一方で、「協議」に取り組むところでは、地域住民の参加に基づく、民主主義の新しい形が生まれつつあります。これは先住民族による自己決定権行使の一つの形でもあります。グアテマラで制度化されているコミュニティ開発審議会や地方自治体開発審議会などの動きも含め、政党による利益誘導型のこれまでのような地方政治のあり方を見直し、住民の参加に基づく直接民主主義の新しい可能性が秘められているように思います。

 開発と権利のための行動センター
 青西

 

 

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2009/02/15

温暖化対策に関係する問題:メキシコ他

1:CDMの風力発電に土地を追われるメキシコ農民
 1月22日、メキシコ、オアハカ州のフチタン近郊の村ラ・ベントサで風力発電基地の落成式が行われた。[1]この風力発電プロジェクトは地球温暖化対策であるCDM(クリーン開発メカニズム)に登録されているBii Nee Stipa と思われるが、[2]これに対して地域の先住民族の権利を侵害するものだという抗議が続いている。 
 ベントサの農民、テウアンテペク人権センター、フチタンの土地とテリトリー防衛会議などの声明文によると、こうした抗議行動は既にここ何年か続いているもので、土地賃貸の契約はだまされたものであり、このプロジェクトは人々が抱える経済や教育、保健などの問題解決にはつながらない上に、この「開発」プロジェクトで土地は使えなくなり、以前の農民経済に基づく生活より悪化していると訴えている。またこのプロジェクトは十分に情報に基づく協議を経たものではなかったと告発している。[3]

  詳細はよくつかめないが、京都メカニズムが、開発途上国への投資を進め、そのうまみを前に、プロジェクトが十分な協議を踏まえることなく、拙速に進められてきた可能性は否定できないであろう。 
 
[1]http://espanol.news.yahoo.com/s/ap/090123/latinoamerica/amn_tec_mexico_molinos_de_viento
[2]http://cdm.unfccc.int/UserManagement/FileStorage/XEK8BO20M4YPQF3CA1TWZSG67RLNVU
  http://cdm.unfccc.int/UserManagement/FileStorage/B4JV3YNUKHFXF3Y98B4JFJLP6J3LSK
[3]http://www.rmalc.org.mx/principales/manifiesto_parque_eolico.htm
[4]その他関連サイト http://tierrayterritorio.wordpress.com/

2:CDMとダム開発の問題 
 国際的なNGOであるInternational Riversはこれまでも、CDM、特にCDMによるダム開発の問題を取り上げてきていますが、そのサイトではAP発の次の記事を紹介しています。
 China dams reveal flaws in climate-change weapon(2009/1/25)
 http://www.internationalrivers.org/en/node/3780
  http://news.yahoo.com/s/ap/20090125/ap_on_re_as/china_s_golden_dams

3:インドネシアにおける森林管理と農民の土地からの排除
 国際的な農民組織、ビア・カンペシーノはエコシステムの復元という名目で農民が土地から排除されたケースを指摘し、現在検討が進められているREDD(森林減少と森林劣化による排出の削減)も同じような帰結を引き起こすのではないかと懸念を表明している。上記のケースでは大手NGOとローカルNGOが組織したコンソーシアムが、エコシステムの回復のために100年間にわたる一定地域の利用権を認可されたものだという。しかしそこから農民や先住民族が排除され、土地を去ることを認めた文書に署名するように脅迫されたという。
  ビア・カンペシーノは、森は地域住民の手によって持続的に管理されるべきであり、地域の生産を強化し、人々が利用している資源の管理を進めるべきであると提起し、カーボン排出量の取引の中で方向を見失わないように警告している。
 http://www.viacampesina.org/main_sp/index.php?option=com_content&task=view&id=653&Itemid=1
  http://www.viacampesina.org/main_en/index.php?option=com_content&task=view&id=654&Itemid=1

 ちなみにREDDについてはCIFORから次のような報告書が出ている。(紹介のみ)
 Moving Ahead with REDD-Issues, Options and Implications
   http://www.cifor.cgiar.org/publications/pdf_files/Books/BAngelsen0801.pdf


 <思うところ>
 CDMだけの話ではなく、国際社会からの援助資金にしても、民間からの資金にしても、それらは外部から、外部者のスピードに基づいて計画され、投入され、さらに一定期間に結果を出すことを求められる。それが地域に生活してきた人々とマッチすることがないということを十分考えなくてはならない。現場で作業を進めるコンサルタントやプロジェクトを(契約で)実施するNGOは最初から、ドナーや企業との契約期間があってその間に作業をしなくてはならない状況に置かれる一方で、地域の住民にはそのような時間は本来なんの意味も持っていない。
 こうした状況でそもそも誠意ある協議などできると考えることが難しい。外部者がそもそも進めたいという意向をもってやってくるのと対照的に地域の人々にはふってわいた話でしかない。対応しなくてはならない地域の人にとっては、まず何の話かわからないのだから(関心を持ってきた話ではないので、当然「やりたい人」との情報ギャップが大きい)、十分な情報を得るのに1年とか2年とかあるいはもっとかかるであろう。(お金をもらって、仕事としてその分野の本読んだり、視察ばかりできるわけではなく、例えば田畑をみなくてはならないのだから・・・)
 その上で、地域の人たちで相談して、結論を出していく。また1年かかるのか、2年かかるのか?孫子の代まで心配して、決定しなくてはならないのだから、それぐらいの時間をかけて何ら不思議はないであろう。契約期間が終われば、その土地に二度と足を踏むこむことなどない人たちとは大きな違いである。その一方で、3週間で「協議までしてこい」というコンサルタント契約もあるわけで、これがマッチするわけもない。
 先住民族との協議、地域住民との協議、という場合には、その内容だけではなく、その時間を十分尊重することが必要である。
 開発と権利のための行動センター
 青西

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2008/07/16

 グァテマラにおけるバイオ・ディーゼル生産



 バイオ燃料の拡大への危惧が世界的に広がる一方で、バイオ燃料向け生産拡大の動きは続いています。
1)イシュカン地域におけるアフリカン・パーム農園の拡大
 グァテマラの週間ニュース誌であるインフォ・プレス誌の7月11日号は次のようなニュースを伝えています。
テキサスに本拠を置く米国系の「Green Earth Fuels/緑の地球燃料社!」がグァテマラのイシュカン地域にアフリカン・パームのプランテーションの設置記念植栽のセレモニーを実施。Green Earth Fuels社は現地子会社のPalmas del Ixcanを通じて、2万5000ヘクタールのプランテーションを経営する計画であるという。またこの中には4000ヘクタールの契約栽培の計画も含まれているとのことである。インフォ・プレス誌の記事によると、Palmas del Ixcanはプランテーション拡大のために現地の小農民からの土地購入を続けており、かわりに4000人の雇用を生み出すと述べているとのことである。更には3百万ドルの予算を投じて、近隣の原生林を購入して保護区として管理していくことを企業の社会的・環境的な責任として打ち出しているとのことである。
 7月15日付のペリオディコ紙もイシュカンやペテンにおけるアフリカン・パーム生産拡大のニュースを伝えているが、その中で「ペテン・南部の土地対話テーブル」のジョバンニ・ツィンは「アフリカン・パームの生産拡大がコミュニティの消滅を引き起こしている。貧困あるいは強制によって土地を売らざるえない」と伝えている。

関係リンク  
Palma africana se extiende; biodiésel próximo paso(インフォ・プレス誌08/07/11) http://www.inforpressca.com/
Auge de biocombustibles dispara demanda de tierras (ペリオディコ紙08/07/15) http://www.elperiodico.com.gt/es/20080715/economia/61450/
Green Earth Fuels社 http://www.greenearthfuelsllc.com/index.php
Palmas del Ixcán, R. L社 http://www.palixcan.com/index.php?cache=1

 ペテン県などのグァテマラ北部の低地地方では、森林から農地への転換は止まることなく続いており、バイオ燃料生産の拡大はこの動きに拍車をかけるものとなるであろう。土地を売った農民、あるいは耕作地を売った農民は次の土地を探すことになるであろう。また土地なし農民あるいは土地なしの農業労働者を増加させることは、リスクに対して脆弱な層を増加させることとなるであろう。

2)また太平洋岸の低地では小農民向けに、ピニョン(ジャトロファ)を利用したバイオ燃料の精製プラントが設置される計画であるという。
Abrirán una planta para procesar aceite de piñón(080714) 
http://www.prensalibre.com/pl/2008/julio/14/250104.html

 開発と権利のための行動センター
 青西

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2008/03/03

国際的環境NGO:遺伝子組み換え作物についての報告書刊行

遺伝子組み換え作物について

 穀物価格高騰の中で、遺伝子組み換え作物拡大への戦略が広がっています。メキシコでもトルティージャ価格高騰に際して、遺伝子組み換えトウモロコシの導入を進めようという動きがありました。また数日前には「韓国が初めて遺伝子組み換えトウモロコシ輸入へ」というニュースも報道されました。 http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-30529220080227
 またビジネス・ウィークの2007年12月17日号は「遺伝子組み換え作物、事実上の勝利-安全性への懸念をよそに栽培農家は世界中で急増」という記事を掲載したようです。 http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20071214/143127/
  しかし遺伝子組み換え作物の広がりに疑問を呈する動きも続いています。フランスでは遺伝子組み換えトウモロコシの栽培を禁止しました。毎日新聞(2/10)「フランス:遺伝子組み換えトウモロコシを栽培禁止」 
 http://mainichi.jp/select/science/news/20080211k0000m030041000c.html
 農業情報研究所 「フランス政府 新たな科学的事実でGMトウモロコシ栽培禁止へ 長期的影響の一層の評価も必要」 http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/gmo/news/08011401.htm 
 
 こうした中で国際的環境NGOであるFriends of the Earthは2008年2月に「誰がGM作物で利益を得ているのか?」“Who Benefits from GM Crops?”という報告書を刊行しました。(英語・スペイン語・フランス語) http://www.foe.co.uk/campaigns/real_food/news/2008/february/who_benefits.html

 報告書では主として次のような点を取り上げています。
1:世界的なGM作物の栽培に関する概要
2:米国及び南米における農薬利用量の増加及び耐性雑草について
3:インドに焦点をあてた遺伝子組み換え綿花栽培について

 そこでこの報告書の内容を、補足情報も含め紹介します。
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
 この報告書では遺伝子組み換え作物は「環境にも、社会的にも、また経済的にも利益をもたらしていない」という評価を下しているが、以下、この報告書がどのような点を指摘しているかを補足情報も含め紹介する。

1)農薬使用量の減少につながっていない
 報告書によると、米国において、2005年の大豆、綿花、トウモロコシ生産におけるグリホサート使用量は119,017百万ポンドとなっており、これは1994年の7933百万ポンドから15倍という数字になっている。
 また米国農務省のAgricultural Chemical Usage - Field Cropsのデータを利用しつつ、単位面積あたりのグリホサート使用量が増加していることも指摘しており、1994年から2006年において大豆で2.5倍、トウモロコシで2002年から2005年で35%近く増加したことを指摘している。
 このような単一の農薬に依存した農業の危険性の一つが次のような除草剤への抵抗性を持った雑草の出現である。

注)遺伝子組み換え作物の中では「除草剤耐性作物」が広く使われているが、これは、主としてモンサント社が開発した除草剤グリホサート(商品名:ラウンドアップ)という非選択性(多種の雑草に有効)の除草剤に対する耐性を組み込んだ作物となっている。このような遺伝子組み換え作物の利用で「除草剤をまくコストや労力が削減され」「環境にやさしい農業を行うことができます」というのが遺伝子組み換え作物の種子を売り込んでいるモンサント社の宣伝文句である。

注)圃場における使用量の変化については次のサイトからAgricultural Chemical Usage - Field Cropsの元データにアクセスできるので関心のある方はこちらにて確認頂きたい。(英語)
 http://usda.mannlib.cornell.edu/MannUsda/viewDocumentInfo.do?documentID=1560

2) 除草剤-グリホサートへの耐性を持った雑草の広がり
 「除草剤耐性作物」として特定の除草剤に耐性のある遺伝子組み換え作物を栽培し続け、作物には効かないが、雑草には効くという除草剤を散布し続けていることにより、その除草剤では枯れない雑草が増えつつある。
 報告書によると、1976年にグリホサートが導入された後、20年間はグリホサート耐性雑草の報告はなかったという。しかし「ラウンドアップ耐性・遺伝子組み換え作物」の導入以後、急速にグリホサート耐性雑草の報告が増えており、米国では既に8種が報告されているとのことである。
 
注)報告書が引用しているのはWeed Science Society のサイトであるが、ここには除草剤耐性品種のリストが掲載されており、グリホサート耐性の雑草は世界で13種が報告されている。(英語)
  http://www.weedscience.org/summary/MOASummary.asp
注)こうしたグリホサート耐性雑草の拡大については既に農業情報研究所のサイトでも既に報告されている。(日本語)
グリフォサート過剰依存で増える除草剤耐性雑草農業多様化が解決策と豪学者(2005/02)
 http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/gmo/news/05022301.htm
GM大豆はラテンアメリカの”新植民者”ーGM作物導入の影響の包括的新研究(2006/01)
  http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/gmo/news/06031701.htm
-独立行政法人農業環境技術研究所の”GMO情報: 除草剤耐性作物商業栽培10年を振り返る”、農業と環境 No.90 (2007.10)でも取り上げられている。
http://www.niaes.affrc.go.jp/magazine/090/mgzn09008.html
 
3)遺伝子組み換え作物を使っても収量は増加しない。
 これは「遺伝子組み換え作物」の利用が収量の増加を保証するものではないので、ここでは紹介を省略する。

4)種子供給の独占化
 報告書では種子価格の高騰、種子産業の集中、モンサント社による農民への訴訟問題などを取り上げている。

 この報告書ではこの点について十分に掘り下げられていないように思われるが、この点も遺伝子組み換え作物の大きな問題である。農業生産の現場から流通・加工に至まで、独占化、そして画一化が進み、多様性が失われていくプロセスが進行している。
 農業企業体が遺伝子組み換え作物を導入することで、あるいは農民が導入を強いられることで、地域が持っていた種子の遺伝的多様性が失われるとともに、圃場の管理技術も規格化され、在来の農業技術も失われていく。これは世界的な規模で「モノカルチャー」が進行していくことを意味している。既に問題となっている除草剤抵抗性の雑草の拡大もこうした「モノカルチャー」の結果の一つである。世界的な規模で、グリホサート耐性という同じ遺伝子を組み込まれた大豆が栽培され、同じ農薬が散布され続けた時にどのような事態が起こるのか、これは今だかって誰も経験をしたことがない状況である。そして明らかなのは、そうした世界はあまりにリスクが高い世界だということであろう。
 「グリホサート寡占状態は新たな除草剤の研究開発に対するメーカーの投資意欲にも影響するのではないかという指摘もある」、と上記の農業環境技術研究所の報告は触れているが、遺伝子組み換え作物の拡大、それと並行する独占化あるいは寡占化の進行は、種子・技術開発・生産資材・流通といった全ての側面で、市場メカニズムの機能不全を招くとともに、支配とリスクに対抗するための地域社会の人的・社会的な資本も蝕んでいくのである。
 
注)報告書の最初に遺伝子組み換え作物の動向が簡単にまとめられている。また遺伝子組み換え作物の動向については国際アグリバイオ事業団のサイトに世界の遺伝子組み換え作物の商業栽培に関する状況:2007 年という報告書のサマリーが日本語で掲載されている。(この組織は遺伝子組み換え作物の普及を目的としていることを前提として読む必要がある。)(日本語)
 http://www.isaaa.org/Resources/publications/briefs/37/executivesummary/pdf/Brief%2037%20-%20Executive%20Summary%20-%20Japanese.pdf

開発と権利のための行動センター
青西

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2007/11/30

ボリビアで先住民族に土地引き渡し

 ボリビアで先住民族に土地引き渡し
 農奴的な状態に置かれていたチュキサカのグアラニ先住民族のコミュニティに対して、18万ヘクタールの土地が収用され、分配されることとなりました。
 これは昨年制定された新農地改革法(Ley de Reconducción Comunitaria de la Reforma Agraria)で定められた土地収用の初めての適用であり、土地には代償として市場価格(ヘクタールあたり20-40ドル)が支払われるとのことです。
  土地を獲得する14コミュニティには生産資材、また教育・保健などのサービスも提供されるとのこと。
  http://www.laprensa.com.bo/noticias/29-11-07/29_11_07_alfi2.php
   ボリビアのチャコ地方のグアラニ民族は農園に囲い込まれ、農奴として働いているケースが多く見られる。チュキサカ、サンタクルス、タリハの三県に約2000家族が、農園主に従属して生きているという。 
  http://www.laprensa.com.bo/noticias/23-11-07/23_11_07_socd1.php
 
 Centro de Estudios Jurídicos e Investigación Social CEJIS のサイトでもニュースが掲載されています。音声もあり。
   http://www.cejis.org/html/modules/news/ 

 ボリビアの話は近頃追えていないので、ニュースのちょっとした紹介にとどまりますが・・・

  ボリビアではここのところ、制憲議会における憲法改正案の審議を巡って、与野党の対立が再び深化し、スクレでの衝突のあと、サンタクルスなどではストライキに突入しています。与党MAS側は、憲法改正への反対勢力が欠席するのであれば、そのまま新憲法の文面の採択を進める方針とのこと。
  下記サイトなどを参考にしてください。 
   http://www.laprensa.com.bo/noticias/29-11-07/29_11_07_alfi1.php
    http://news.bbc.co.uk/hi/spanish/latin_america/newsid_7114000/7114287.stm

  近年の対立はもうニュースにはならないのか、日本のメディアではほとんど伝えられていないようですが。
 
 <追記>
12/6:もともとMAS/モラーレス政権と対立してきたサンタクルスなどの低地の経済エリート層は、憲法改正を巡って再び対立を深化させている。しかし低地の先住民族組織はサンタクルスのこうしたエリート層に支配されているグループが、自分たちを代表している顔をするなという声明を出していたりする。
 しかし憲法改正案(条項名にとどまっているらしいが)の強行採決以来、徐々にMAS離れが進んでいるようにも思われる。
12/9:制憲議会はオルーロで開催されることになり、いくつかの政党が参加の方向を打ち出しているよう。( 立憲議会をMASの本拠地であるチャパーレで行うという話が流れた)
12/10:もうほとんど憲法改正案は決まっているらしい。11月24日付けの草案がサイトに掲載されているが、これがその時どこまで採択され、その後どう改変されているのかは不明。
http://www.constituyente.bo/index.php?id=60&m=60
 開発と権利のための行動センター
 青西

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2007/11/01

世界銀行「世界開発報告:開発のための農業」におけるバイオ燃料への考え

世界銀行「世界開発報告:開発のための農業」におけるバイオ燃料への考え
 
1)「世界開発報告2008」は「開発のための農業」をテーマにしています。その中でバイオ燃料についても取り上げられています。
 簡単にまとめてしまうならば、先進国のバイオ燃料振興は補助金漬けで市場を歪めるものであり、開発途上国においては、ブラジルを除けば、非常に限られたケースにおいてのみ経済的に見合うものとなりうる。社会・環境へのコストは高く、水や土地を巡る競合も増加する。食用作物価格の高騰は貧困層の厚生を低下させる。第二世代の開発が待たれる。
 このようなことになるかと思われます。

 世界開発報告 全文へのアクセス 
http://econ.worldbank.org/WBSITE/EXTERNAL/EXTDEC/EXTRESEARCH/EXTWDRS/EXTWDR2008/0,,contentMDK:21410054~menuPK:3149676~pagePK:64167689~piPK:64167673~theSitePK:2795143,00.html
バイオ燃料に関するフォーカス
http://siteresources.worldbank.org/INTWDR2008/Resources/2795087-1192112387976/WDR08_05_Focus_B.pdf

2) ODI ”Biofuels, Agriculture and Poverty Reduction"
Natural Resource Perspectives 107, June 2007 Overseas Development Institute
こちらまだ目を通してもいませんが、出てきたのでついでにご紹介
http://www.odi.org.uk/nrp/NRP107.pdf

 開発と権利のための行動センター
 青西

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2006/12/15

ボリビア 農地改革法改正点

 ボリビア農地改革法 改正点概観

 農地改革法(Ley INRA)は1996年10月に施行されたもので、正式には法1715号という。この法律では農地改革国家サービスの組織的構造およびその権限また土地分配制度を定めるものであった。
 今回、2006年11月28日に施行されたのはこの法1715号の改正法であり、法3545号が正式な名称となっている。法3545号では1715号法の条文ごとに、補足、修正を行うという内容となっている。
 
 重要な改正点としては
 第2条において「経済的・社会的機能」を厳密に検証するための規定を追加していること。(旧法第2条の改正)ここには拡大予定地の定義、放牧地の定義、また「環境のための地役権設定」と「経済的・社会的機能」の関係などを定義している。
 第13条において新法の13条では経済的・社会的機能を果たしていない土地の回復の告発を行える主体がこれまで農地監督局だけであったのが、国家農地委員会に所属する農民組織などに幅広く開かれることとなったこと。(法1715号18条第7項の改正)
 第29条において「経済・社会的機能を果たしていない土地」が国有地への回復対象となりうることを明確に記したこと。
 第32条で2年ごとに「経済・社会的機能」の検証を行うこと。
 第34条では、公益のために収用の対象となった土地の分配について、旧法では入札であったものを、「先住民族に限りその要請に基づいて分配するとしている」
また移行措置11項として、「これまでに、また現在実施中の所有権確定手続きにおいて利用可能な国有地とされた土地は先住民族および先住民族コミュニティ、農民コミュニティ、土地なし在地コミュニティあるいは十分な土地を有さない者にのみ分配されるものである、としている。ここでは旧法17条の一般的な土地分配対象規定よりも先住民族を対象とする意向を強めているとともに、originarias sin tierra (土地なしの在地のもの)とすることでoriginariasの定義を狭めているものと考えられる。注:通常Comunidades originariasで先住民族コミュニティを指すものと考えられるが、どうもここでは違う意図で利用されているように思われる。)
 また最終規定2項では農地の取引に関して、INRAに登録すること
最終規定8項では土地所有権の認定に際する、男女の平等も定めている。

 ここまで簡単に改正点を整理してみたが、用語の用法などで慣れない法律用語もあり、間違いもあるかもしれないので、関心のある人は原文で確認頂きたい。まだ間違いなど教えて頂ければ幸いです。

 法律原文はINRAの次のサイトからアクセスできます。
  http://www.inra.gov.bo/portalv2/Docs/Normas/set_normas.aspx
 新法http://www.inra.gov.bo/portalv2/Docs/noticias/uploads/Ley3545.pdf

 開発と権利のための行動センター
 青西靖夫
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2006/12/07

ボリビア 土地問題

 ボリビア:不透明な土地分配の実態が明らかにされつつある

 11月28日夜、「農地改革法(INRA法)」の改正法、「農地改革の共同的再編法: Ley de Reconducción Comunitaria de la Reforma Agraria 」が上院を通過し、翌29日モラーレス大統領によって公布された。
 大統領は「この法律の承認で、ボリビアのラティフンディオは終わった。我々は大地主を終わらせる手段を手にしたが、これは共に歩み、動くことによってのみ前進することができる」、「農地革命は、単なる土地分配ではなく、機械化および市場とともになくてはならない。」、「この闘争は権力と、テリトリーのための闘争であり、先祖たちからの闘争なのだ。トゥパク・カタリ、バルトリーナ・シサそして命を失った多くのリーダーの闘争なのだ」と語ったという。(政府広報 ABI 11/29)
 
 政府広報(ABI)は11月27日に次のようなニュースも発信している。

「INRA法の改正に反対するものは、強い理由を持っている。重複した不法な土地受け取り、非生産的大農園、そして土地取引。ここ10年間INRAが機能する中で築かれた政治-犯罪の輪の一部である。」
 またこのニュースは土地副大臣の発言として、「ボリビアでは政治階級と土地の集中は強い関連性があり、ギテーラス(Guiteras)、ヘッカー(Hecker)、モナステリオス(Monasterios)などの家族が政治に深く関わり、国の未来を決めていたのは、土地を持つことに由来するものである。」と述べている。

 このほか政府広報はいくつかの大土地所有者の状況を列記している。
●ベニ県のブルックナー家は国家農地改革審議会(CNRA)から無償で126,.554 haを受け取る。しかし所有権登記がなされたのは5,714haのみである。INRAの職員が所有権確定手続きを行おうとしたが、武器を持って脅されたということである。
●Sonnenshein家:21,771haを受け取り、481haのみ測量している。
●Hecher 家:12,498haを無償で受け取り、290,000haの所有権確定を求める。
 Hercher 家はパンド県のアマゾン森林地帯およびそこに存在するコミュニティを含め、占有していることとなっている。しかし所有権が確定された面積は1,562 haに過ぎない。
●サンタクルス県、 Saavedra Bruno 家:5054haを農地改革で受け取るが、倍近い9845haの所有権確定を求める。結果として1544haのみ認められる。
 Luís Saavedra Bruno は農地改革で11074haを受け取るが、所有権確定で測量した面積は73000haに上る。そのうち確定したのは15941haである。
●Oswaldo Monastarios:違法な重複受け取りで13,333haの土地を受け取り、56445haの所有権確定を求め、48,000haが認められる。モナステリオス家は8万ha近くを占有している。

 また同じ問題はボリビアの日刊紙プレンサの12月3日の記事でも告発されている。

 この記事によると、INRA(農地改革局)のデータによるとベニ県では10家族に534,795haの土地が分配されたという。パンド県では同じく10家族が59,151haを、そしてサンタクルス県では15家族が512,085haを受け取ったという。INRA所長のフアン・カルロス・ロハスは、これらのケースが少数者の手に土地が集中していることを示しており、INRAはこれらの土地が利用されているかどうかを検証するという役割を持っている、と述べている。土地の集中はこの3県だけではなく、タリハ県やチュキサカ県でも見られるという。
 記事ではそれぞれの地域でどのような家族に土地が集中しているかを書き出しているが、そこには当然のことながら東部の政治的、経済的な有力者の名字をみることができる。サンタクルスでは次の家族(名字)が記載されている。Saavedra Bruno y Saavedra Tardí o (hijos), los Nieme Monasterio, Justiniano Ruiz, Roig Pacheco, Rapp Martínez, Antelo Urdininea, Keller Ramos, Candia Mejía, Castro Villazón, Ovando Candia, Roberto Fracaro, Agropecuaria OB S.R.L., Sánchez Peña, Larsen Nielsen Zurita y Bauer Elsner.

 INRAではこれらの土地が遊休地となっていないか、社会・経済的機能を果たしているかを、新土地法に基づいて検証することとなる、とのことである。
 既に新政権になり、INRAではパンド県で不法に土地を入手していたブラジル人から28,000haが回復されるケース、国有地を不法に占拠していた 所有者から16,000haが回復されるケースなども出てきている。またこのように所有権確定手続きのなかで回復された土地が既に農民グループに分配されているとのことである。
(ここまで、Prensa 2006年12月3日の記事のまとめ)

 土地分配の面積や土地登記のあり方など、狭い日本に住んでいる感覚からは理解しきれないところがあります。しかし独裁政権期などに土地を受け取り、更に周辺の土地を囲い込んでいく、あるいは違法な土地取引を通じて土地を拡大する、あるいは贈与された土地を転がして利益を上げる、そのようなことが繰り返されてきたのだろうと想像されます。その一方で土地なし農民や、農奴のような農民がいることも現実のボリビアの姿なのです。

土地法の承認プロセスや今後の立憲議会の決議方法などをめぐってモラーレス政権と強く対立しているのは、東部低地の大土地所有者、経済的有力者であり、そこを基盤とするPODEMOSなどの議員です。ボリビア東部低地においては、政治権力、経済的実権、そして国政とのパイプはこうした有力者の手に集中しています。
 一方、政府は既にこうした大土地所有を基盤とする議員や有力者の土地所有状況を明らかにしつつ、対抗していく姿勢を強く示しています。

 今回、議会で承認された新土地法とその履行をめぐって、今後先住民族農民の支持を受けるエボ・モラーレス政権と東部低地を基盤とする有力経済者層との対立が深化していくことも想定されます。また今後、この新土地法の履行の上で政治の場でのコンフリクトから、地域での暴力を伴うコンフリクトが高まることも予想されます。

 ボリビアの農地改革の問題はINRAのデータなどをもとにまたあらためて整理したいと考えています。

 開発と権利のための行動センター
 青西

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2006/11/29

ボリビア 農地改革法改正案が議会を通過

ボリビア 農地改革法改正案が議会を通過

 BBCの報道によると11月28日夜、「農地改革法(INRA法)=土地法」の改正案が上院で承認されたとのことである。この法案は11月15日に下院を通過したものの、野党が多数を占める上院の審議停止によって、法案の成立が危ぶまれていたものである。これに対してエボ・モラーレス大統領は上院が否決したときには、行政府の政令によって押し切る可能性もちらつかせていた。しかし、上院における野党の共同歩調が崩れ、議会での承認がなされたようである。
 この改正案の重要な点は土地の「社会経済的機能」の認定にある。土地所有権確定後、2年ごとの調査で、社会的・経済的な機能を果たしていないとされた土地は、国に回収し、土地分配のための用地となされること。また土地取引を毎回INRAに報告することも定められた。しかし大土地所有者側は審査期間を少なくとも5年間とすることを求め、改正案に反対の立場を示していた。そのほか、土地に関する中央政府の関与を大きくした点も大土地所有者側の危惧を強めていた。(現在のところ、メディアの報道による情報であり、法律の文面を見ていないため、正確さを欠くことをお許しください)
  
また先月末からこの法律の採択を求める先住民族によるデモ行進がボリビア各地から進められ、先週末よりラパスに到着しつつあった。こうした社会運動による圧力も今回の上院への承認圧力になった。

BBCスペイン語版WEBサイト、現地新聞Prensa 紙 WEBサイトなどのニュースを元にまとめ。

 開発と権利のための行動センター
 青西靖夫

*久しぶりのボリビア情報ですが、少しボリビアの動きも追いなおそうと思います。

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