バイオ燃料

2011/12/27

1/19 現地報告!! 「日系バイオ燃料事業とフィリピン農民の直面している課題」

FoEと開発と権利のための行動センターの共催です。

現在、フィリピンで最大規模のバイオエタノール製造事業に日本企業が着手して
います。事業者によれば、「遊休地をサトウキビ栽培用に有効活用」し、また、
「地元での継続的な雇用を創出」することで、地元社会に多大な利益がもたらさ
れるとのことです。

しかし、バイオエタノールの原料になるサトウキビ栽培が、11,000ヘクタールと
いう広大な土地で計画されているなか、地元の農民や先住民族が数十年にわたり
耕してきた田畑の収奪、また、サトウキビ栽培地での労働条件の問題など、地元
の住民は様々な課題に直面してきています。

日本企業の進めるバイオ燃料事業により、今、現地で何が起きているのか――フィ
リピン北部イサベラ州から来日されるドミエ・ヤダオ氏(イサベラ州農民組織
代表)に、現地の状況と問題解決に向けた農民の取り組みを報告していただきま
す。地元農民の生の声をぜひ聞きに来てください。

【日 時】2012年1月19日(木) 18:30~20:30
【場 所】地球環境パートナーシッププラザ(GEOC) セミナースペース
     (〒150-0001東京都渋谷区神宮前5-53-70国連大学1F)
     http://www.geoc.jp/access#geoc
【報告者】イサベラ州農民組織 代表 ドミエ・ヤダオ氏(逐次訳有り)
     波多江 秀枝(FoE Japan委託研究員)
【資料代】 500円(共催団体サポーターは無料)
【申込み】 下記ウェブサイトの申込みフォームよりお申込みください。
      http://www.foejapan.org/aid/land/isabela/evt_120119.html
【共 催】国際環境NGO FoE Japan、開発と権利のための行動センター
【問合せ】国際環境NGO FoE Japan (担当: 柳井・波多江)
      TEL: 03-6907-7217 E-mail: hatae@foejapan.org
【関連サイト】http://www.foejapan.org/aid/land/isabela/index.html
       http://landgrab-japan.blogspot.com/

また前日1/18には次のシンポジウムもあります。

シンポジウム「海外農地投資(ランドラッシュ)の現状とバイオマスの持続可能な利用 ~日本は今後、どう対応すべきか~」開催のご案内

日 時:2012年1月18日(水)13:30~17:00
会 場:国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟102
   (東京都渋谷区代々木神園町3-1)小田急線参宮橋駅より徒歩7分
    http://nyc.niye.go.jp/facilities/d7.html
主 催:NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク、財団法人地球・人間環境
    フォーラム、国際環境NGO FoE Japan
参加費:主催団体会員 無料、一般 1,000円

詳細、お申し込みは下記まで
http://www.npobin.net/apply/

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2011/06/23

ホンジュラス:オイル・パームによって引き起こされる人権侵害

 このブログでもこれまでに2回にわたって報告してきたホンジュラス北部とオイル・パーム・プランテーションによる農民弾圧、強制排除などの状況について、詳細な報告書が公表された。
 食料への権利確立のために取り組んでいるFIAN他が公表した報告書
” Honduras: Violaciones de Derechos Humanos en el Bajo Aguán Informe Preliminar de la Misión de Verificación Internacional Realizada del 25 febrero a 4 marzo de 2011(西語)”及びプレスステートメント”Honduras – Bajo Aguan: International Networks Denounce Ongoing Killings and Severe Human Rights Violations”(英語)は現地で継続する人権侵害について詳細に報告している。

 報告書によるバホ・アグアン地域において今年の4月から6月15日の間に組織に参加している農民が9名殺害され、5月、6月で少なくとも6名が重傷を負い、失踪や誘拐事件なども発生しているという。
 また昨年1月から、この地域で25名の農民が農地紛争に関連して殺害されているとのことである。更には殺害予告、誘拐、拷問など多数の人権侵害事件が報告されている。しかし25名の殺害事件のうち、9件に関しては立件されるどころか調書すら存在していないとのことである。

 その一方で、農民側は様々な名目で162件も立件されているとのことであり、更に多数の違法な強制排除が行われてきたことを明らかにしている。
 また4月に結ばれた政府と農民組織の合意文書の履行にも進展はみられないとのことである。

 このような現地調査を踏まえ、FIANなどのNGOは連名にて、人権侵害に対する適切な調査の実施、農民に対する抑圧の中止、これまでの合意の履行、土地収奪を引き起こす農業モデルからの転換、国内、国際的基準に基づく人権の尊重特に司法へのアクセスと、食料・住居・教育の権利の履行、企業の私兵/ガードマンの活動監視・調査、軍事基地の撤退農民殺害事件の調査などを求めている。

報告書のサイト
http://www.fian.org/news/press-releases/honduras-2013-bajo-aguan-international-networks-denounce-ongoing-killings-and-severe-human-rights-violations
行動センターの記事
ホンジュラス:オイルパームを巡って繰り返される農民虐殺 2010/11/18
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2010/11/post-96f4.html
ホンジュラス:土地紛争・人権侵害・RSPO 2010/07/02
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2010/07/rspo-1bba.html

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グアテマラ:開発事業に脅かされるポロチック川流域のケクチ民族

 農民組織リーダーの暗殺やコミュニティの強制排除が相次ぐポロチック川流域は、様々な開発事業に脅かされています。
 地域コミュニティによるの抵抗運動を支援している「民衆の抵抗」のサイトにはポロチック川流域で進められつつある鉱業開発、水力発電、オイルパーム、サトウキビ農園など農民や先住民族への脅威となっている開発事業が示す地図が掲載されています。いかに農民や先住民族が追い込まれているかがはっきりとわかります。

http://resistenciadlp.webcindario.com/ 
地図は次のサイトより転載
http://noticiascomunicarte.blogspot.com/


 6月4日にはパンソスのパラナ村のコミュニティ・リーダーであり、ケクチ民族のテリトリーの擁護のために闘ってきたマリア・マルガリータ・チュブ・チェ(María Margarita Chub Ché)さんが暗殺されるという事件がありました。武装した複数の男がオートバイでやってきて、中庭にいたマルガリータさんは二人の幼い子どもの面前で殺害されたということです。マルガリータさんは5月29日に「パンソスの虐殺」から33年目の追悼集会に参加したばかりでした。しかし弾圧はいまだ続いているのです。
 この事件は、チャビル・ウツア製糖工場の要請で3月15日に始められた農民排除の一環であり、農民は武装ガードマンの攻撃にさらされていると告発しています。 [1]
 5月21日にはカンルン村においてサトウキビ農園の私兵集団が農民を襲撃するという事件が発生、その中でオスカル・レイエス(Oscar Reyes)が25発近くの銃弾を浴びて殺害され、複数の負傷者が出る事件が発生しました。この土地は元々はツァラミラ協同組合の土地であり、サトウキビ農園に囲い込まれてしまいましたが、その土地で農民は耕作し、土地の回復を目指してきましたのです。[2]
 3月15日に行われた農園主とその私兵部隊による暴力的な強制排除の中では、警察や軍、そして検察の面前でアントニオ・ベブ・アク(Antonio Beb Ac)が殺害され、12名が負傷しています。 [3]

 ポロチック川流域はケクチ民族やポコムチ民族が居住してきました。1800年代後半以降、コーヒー栽培の導入とともに、共有地が奪われていったのです。地域の人々はそれに対抗する形で、農地改革の制度を利用して、土地へのアクセスを確保し、回復しようとしてきました。

 こうした中で1978年に5月29日に土地へのアクセスを求めてパンソスの庁舎前に結集した何百人という農民に対して政府軍が発砲したのです。このパンソスの虐殺で少なくとも53名が死亡したと真相究明委員会の報告は伝えています。[4]

しかしパンソスの虐殺はいまだ過去のものとはなっていません。土地を求め、テリトリーの回復を求める先住民族や農民と、地域の資源の略奪を狙う企業との対立は続き、企業の私兵が暴力を行使し、弾圧し、政府は直接、そして間接的にそれを支援しているのです。

 開発と権利のための行動センター
 青西靖夫

[1]Otro campesino asesinado y cinco heridos en el Valle del Polochic(2011/5/25)
http://www.albedrio.org/htm/otrosdocs/comunicados/cuc-055.htm
[2]CONDENAMOS Y REPUDIAMOS LA INSTALACIÓN E INSTITUCIONALIZACIÓN DE LA REPRESIÓN EN EL VALLE DEL POLOCHIC (2011/6/07)
http://www.cuc.org.gt/es/index.php?option=com_content&view=article&id=334:pronunciamiento-ante-la-constante-violencia-y-asesinatos-en-el-valle-del-polochic-&catid=34:contenido&Itemid=53
[3]グアテマラ:アルタベラパス県で暴力的な農民排除が続く(3/25追記)
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/cat1516756/index.html
[4]CASO ILUSTRATIVO No. 9 LA MASACRE DE PANZOS
http://shr.aaas.org/guatemala/ceh/mds/spanish/anexo1/vol1/no9.html

<参考情報>
動画:DESALOJOS EN EL POLOCHIC‏
 ポロチック流域で続けられる農民の強制排除についての動画
 歴史的な背景についても解説しています
Desalojos en el Polochic (1a parte)
http://www.youtube.com/watch?v=S2zH5Ckz1G4
Desalojos en el Polochic (2a parte)
http://www.youtube.com/watch?v=uTytP058MlE
Desalojos en el Polochic (3a parte)
http://www.youtube.com/watch?v=u89aOnEaE9Y

WEB サイトValle del Polochic
http://www.valledelpolochic.net/?page_id=16
ここにこの地域に関連する資料などが集められています。
-EL MERCADO DE LOS AGROCOMBUSTIBLES
Destino de la producción de caña de azúcar y palma africana de Guatemala
-Enfoque No 16. Valle del Polochic: El poder de dos familias. Por Luis Solano
など

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2011/06/15

フィリピンにおけるバイオ燃料プロジェクトが引き起こす社会紛争



17の報告会で詳細はお話しさせて頂きますが、とりあえずの報告です。

 青西


2010年4月、伊藤忠商事および日揮は、フィリピン共和国のルソン島北部イザ
ベラ州でサトウキビを原料とするバイオエタノール(54,000kl/年)の製造・
販売事業、およびサトウキビ残渣(バガス)を燃料とする火力発電(最大19MW)
による電力販売事業を開始することを公表した。[1]
 このプロジェクトはイサベラ州のサン・マリアーノ町を中心に計画されてお
り、来年3月の操業開始を目指してプラントの建設が進められつつある。原材
料となるサトウキビはサン・マリアーノ町の「遊休地」での借地契約を中心に、
11000haでの生産を目指しているものである。
 しかし現地ではこのプロジェクトに対する抗議行動が本格化し、2011年2月
には現地の農民組織などが調査団を派遣し、抗議声明を発表するとともに、関
係省庁との協議も開始されている。[3]
更に、2011年5月30日より6月3日にかけて、食料主権に関する人民連合
(PCFS)、イボン財団・国際部、アジア農民連合(APC)、フィリピン農民連
合(KMP)、また、イサベラ州農民組織(DAGAMI)などは、国際NGO 現地調査
団を派遣し、更に現地の状況を調査した。[3]

 今回、この調査団に参加する機会を得たので、現地の状況について概要を報
告する。


<遊休地>
 現地法人であるグリーン・フューチャー・イノベーション社(GFII)またそ
の子会社でありサトウキビ供給を担うエコ・フュエル社は、このサン・マリア
ーノ町をプロジェクトサイトに選んだ理由を、「マージナル・ランド」の存在
であると述べている。
 しかしながら、この「遊休地」とは、山裾の丘陵地帯において、人々が生活
し、自給用のトウモロコシやバナナ、あるいはキャッサバなどを生産している
土地であった。時に野火や台風などによって一時的に耕作が放棄されていると
しても、それは現在の世代、あるいは未来の世代の生計を安定させるための重
要な手段である。

 <土地紛争>
プロジェクト予定地では、サトウキビ生産をきっかけに土地問題が各地で勃
発している。サトウキビ生産のための借地契約が、耕作者に占有権を認めてき
た慣習地土地利用のあり方と調和しないこと。現地のエコ・フュエル社が実施
した土地測量調査が、土地の所属を巡る紛争を顕在化させるといった問題が起
きている。また今後、サトウキビ生産のための借地契約が広がれば土地所有に
関する手続きにアクセスできる人とできない人の間での社会的な格差の拡大も
広がっていくものと思われる。
 
 <不明瞭な土地所有権>
 プロジェクト対象地は複雑な土地所有権のもとに置かれている。サン・マリ
アーノ町の面積の約半分は森林と定義された国有地である。このほかにこうし
た森林地域から分割され、国有の「可処分地」と定義されている土地が存在す
る。しかしその区分は不明瞭である。
 更にサトウキビは「森林」地帯にも侵入し、国有地である「可処分地」にお
いても借地契約が進められている。これまで土地利用者に利用権が与えられて
きた、慣習的な土地利用のあり方が大きく揺さぶられているのである。更に借
地契約が行われている、あるいは行われようとしている土地の所有権が定かで
なく、今後問題が更に深刻化していく可能性がある。
 またこの地域で2000年代前半に発生した土地分配及び登記を巡る詐欺事件の
被害者を中心に、土地権を喪失するケースが多々起きており、大きな問題とな
っている。この問題を解決することなく、この地域で借地契約等を広げること
は問題を深刻化する危険があるとともに、サトウキビ生産拡大の中で土地集中
につながる危険性がある。

 <気候変動対策としての貢献?>
 このプロジェクトは直接的にはフィリピン政府の「バイオ燃料法」に基づく
自動車燃料へのバイオ・エタノール混合政策による新しい市場を狙ったもので
あるが、伊藤忠はCDMによる炭素クレジット入手も目指している。CDMについて
は今のところ十分な情報は開示されていないが、このプロジェクトでは耕作地
を排除した形でCDMの認可を狙っているようである。
 しかしながら、経済産業省の報告書によるとバイオ燃料生産において二酸化
炭素削減に実際に貢献しうるレベルは、ブラジルの既存農地におけるサトウキ
ビ生産だけだと言われている。[4]
 今回の地域のように、草地や時として林地からの転換、分散し、道路状況の
悪い斜面に位置する耕作地からの搬出に関わる燃料消費、転換された農地の代
償としての森林地への農業フロンティアの拡大などを考慮すれば、温暖化効果
ガスの排出量削減につながることはあり得ないであろう。
 
 終わりに

 伊藤忠商事による今回のバイオ燃料プロジェクトは、土地利用と所有を巡る
不安定な環境の中で進められている。現地の農民組織は事業の撤退を求めてい
る。
 それでも事業を進めるのであれば、地域社会に対する深いコミットメントが
求められるであろう。それは森林政策、農地改革、土地登記というフィリピン
政府によって長年置き去りにされてきた、非常に困難な課題に取り組む責任が
求められるのである。

[1]フィリピンにおけるバイオエタノール製造・発電事業について (2010/4/8)
http://www.itochu.co.jp/ja/news/2010/100408.html
[2]サン・マリアノ町の農民および先住民族 大規模な土地収奪に強く反対
http://www.foejapan.org/aid/land/isabela/pdf/20110223.pdf
[3]イサベラ州サン・マリアノ町における国際NGO現地調査団声明(2011/6/6)
http://www.foejapan.org/aid/land/isabela/pdf/20110606a.pdf
[4]「バイオ燃料導入に係る持続可能性基準等に関する検討会」報告書につい

http://www.meti.go.jp/press/20100305002/20100305002.html

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2011/03/04

バイオ燃料とランドラッシュ

NPO法人バイオマス産業社会ネットワークが発行したバイオマス白書2011において「バイオ燃料とランドラッシュ」というテーマが取り上げられています。

コラムでは「土地収奪に直面するコミュニティ」としてカンボジアの事例が紹介されています。

バイオマス白書2011 ウェブサイト版
NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク 2011年2月作成
http://www.npobin.net/hakusho/2011/
内容はリンクより確認ください.
1. 再生可能エネルギー電力全量固定価格買取制度(FIT)
2. バイオマスの熱利用
コラム1;バイオマスボイラーの導入事例
3. 国産材の需要と供給を結ぶには
トピックス;バイオ燃料とランドラッシュ
1. エネルギー供給構造高度化法とバイオ燃料の持続可能性基準の施行
2. 開発輸入の問題
3. ランドラッシュへの懸念
コラム2;バイオ燃料をめぐる国際動向;2010年
コラム3;土地収奪に直面するコミュニティ
2010年の動向
1. 国際的動向
2. 国内の動向
コラム4;総務省緑の分権改革および東京都の総量削減義務と排出量取引制度
3. マテリアル利用の動向

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2010/07/02

ホンジュラス:土地紛争・人権侵害・RSPO

WWFが土地紛争と人権侵害で揺れるホンジュラスのパームオイル企業と提携

 WWF(世界自然保護基金)が、人権侵害の責任者としても名指しされている企業家のミゲル・ファクセ(Miguel Facussé)に率いられるディナント社とRSPO(持続可能なパームオイルに関する円卓会議)の認証取得のために協力していくという協定を結んだことに対して疑問の声があげられている。
 ミゲル・ファクセが率いるディナント社は1990年代よりホンジュラス北部のアグアン川とレアン川の流域でオイル・パーム生産を開始し、現在グループで、パームオイル生産から輸出まで行っている巨大な企業体である。このディナント社とWWFは、環境に配慮した経営に移行するために協力して取り組んでいくための覚え書きに5月25日署名した。
5年間にわたる協力関係を通じて、ディナント社はRSPOの認証を取得することを目指している。[1]
これに対して、ホンジュラスのガリフナ系組織であるOFRANEH(Organización Fraternal Negra Hondureña )はホンジュラス北部のバホ・アグアン地域で社会紛争が深刻化している時にこうした協定に署名を行うWWFに疑念を呈し、またオイル・パーム・プランテーションでは大量の農薬を使用し、沿岸の生態系に被害を出しているのは周知の事実であると非難している。
 また協定が「善意に基づくものであろうと」、RSPOが果たしている役割には深い疑問があると述べている。パプア・ニューギニアにおいても、RSPOは企業のイメージを良くするために利用されているが、法的な枠組みを持たず、報告も曖昧で、パプア・ニューギニアではRSPOに登録されている12のうち11の企業が規定を遵守していないという。WWFはサンゴを守る意識はあっても、この国の社会紛争を無視している。またファクセは、この国をすべてオイル・パーム・プランテーションに変える夢をもっているのだと告発している。[2]

 このミゲル・ファクセはホンジュラス有数の企業家であり、その資金力を使って強い政治的影響力を持つといい、エンビオ誌は「ホンジュラスのマス・メディアもファクセに対する批判を一日以上続ける力は持たない」と記している。またファクセに対する告発は山ほどありながらも、すべて葬り去られるか、無実で結審する一方、ファクセが告発する小農民や労働者はそのほとんどが有罪とされてしまうと伝えている。[3]
 このファクセが大規模なオイル・パーム・プランテーションを有するのがアグアン川流域であるが、この地域は現在、深刻な土地紛争の中に置かれている。 セラヤ大統領時代に土地交渉を行っていたMUCA(アグアン農民統一運動)が、セラヤ政権の転覆によって、それまでになされていた合意が履行されないのではないかと考え、2009年12月にファクセのオイル・パーム・プランテーションの土地占拠に入ったのである。[4] 

 1990年代のファクセによる土地集積のプロセスや土地所有の正当性については把握できないが、この土地紛争を巡って、地域では武装組織による暴力が頻発しており、今年1月から4月までで10人が殺害されたとFIANの報告書は伝えている。またファクセによる告発で100人以上に対して土地横領の疑いでの逮捕状が出されているという。
 更に4月17日にMUCAと政府との間で合意に達したにも関わらず[5]、バホ・アグアン地域では紛争が続いており、6月5日の報道では衝突の中で警官に死者が出る事件が起きている。また20日にはMUCAを構成するコミュニティが警察と軍によって襲撃され、16才のオスカル・ジョバンニ・ラミレスが殺害され、他5名が拘束されたという。記事では、このような事件が発生しても訴えるところすらないと伝えている。[6]
 またジャーナリストへの抑圧も頻発しており、3月14日にはアグアンの土地問題の調査を取材していたテレビ・ディレクターであるナウム・パラシオスが暗殺された他にもジャーナリストに対する脅迫も続いている。[7]

 OFRANEHが指摘するように、社会紛争が広がり、人権侵害が広がる中で、WWFはディナント社と、環境面だけに焦点を当てた協定を結んだのである。

 ファクセが現時点においてなにがしかの法的な処罰の対象になっているわけではない。将来的にディナント社が自然環境に配慮した経営を行い、RSPOの認証を受けることもありえる話である。しかし認証の付いたパーム・オイルが、生産地のややこしい社会問題も含めて伝えてくれるわけではなく、認証は逆にその可能性に封をするものになるかもしれない。

 開発と権利のための行動センター
 青西靖夫

追記1:この報告は、Radio Mundo Real の記事「Maquillaje verde:Denuncian acuerdo entre la WWF y cuestionado empresario en Honduras」をきっかけに、インターネットの情報を利用して整理したものです。
 http://www.radiomundoreal.fm/Maquillaje-verde?lang=es
 この記事ではミゲル・ファクセとの土地問題を抱えるホンジュラス南部のサカテ・グランデにおけるファクセのガードマンや警察による人権侵害、コミュニティ・ラジオへの弾圧についても触れていますが、ここでは割愛しました。
 サカテグランデの関連記事はこちら
http://www.defensoresenlinea.com/cms/index.php?option=com_content&view=article&id=819:pobladores-de-zacate-grande-denuncian-nueva-estrategia-de-miguel-facusse-para-quitarles-la-tierra&catid=54:den&Itemid=171

追記2:これらの社会紛争とも関連して、農民組織が武装している、コロンビアのゲリラ組織であるFARCと関係しているといった中傷記事も流されている。一方、ホンジュラス軍は麻薬対策という名目でコロンビア軍との連携を強めつつあり、既に北部大西洋岸でもコロンビア軍がホンジュラス軍と行動をともにしているようである。またクーデター期にコロンビアのパラミリタリーがホンジュラスに動員されたという話もある。
クーデター以降、ホンジュラス北部は、地元有力者と結びついた軍、警察、民兵などによる無法地帯になりつつある。

参考資料
[1]GRUPO DINANT Y WWF FIRMAN ALIANZA PARA CULTIVO SOSTENBLE DE LA PALMA(20105/5/27)
http://www.dinant.com/noticias.php?noti_id=85&start=0&categoria_id=&prede_id=0&arcyear=&arcmonth=
Palma africana ecológica: Honduras compite con grandes productores mundiales responsables con el ambiente
http://www.dinant.com/noticias.php?noti_id=86&start=0&categoria_id=&prede_id=&arcyear=&arcmonth=
[2] WWF blanquea imagen del palmero de la muerte, Miguel Facusse.(2010/5/26)
http://www.albatv.org/WWF-blanquea-imagen-del-palmero-de.html
更にWWFはサンゴを守るという善意はあるのだろうが、この国の社会紛争を無視していると、コチーノス島嶼帯における観光開発の問題にも言及し、飛行機などによる温室効果ガスの排出を忘れているのだとしている。
  参考記事はこちら
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2007/04/post_0fa2.html
パプアニューギニアの話は次の記事が背景情報にあるようである。
PNG: Greenwashing the palm oil industry
http://pacific.scoop.co.nz/2010/03/png-greenwashing-the-palm-oil-industry/
[3] Miguel Facussé avanza por la isla del paraíso(2005/05)
http://www.envio.org.ni/articulo/2889
[4] 土地紛争の詳細はFIANの報告書を参考のこと
Situación de los Derechos Humanos en el Bajo Aguán, Honduras(2010/05)
http://hondurashumanrights.files.wordpress.com/2010/06/situacion-de-los-derechos-humanos-en-el-aguan-informe-a-31-mayo.pdf
[5]政府がファクセの所有するオイル・パーム農地を3000ha購入し、他3000ヘクタールを耕作地として提供するという合意であったようだが、価格で折り合わない中で農地改革庁長官が土地所有に関する証書の提示を求め、また収用の可能性にも言及する中で、大農園主と対立の兆しがある。
[6]Policías y militares asesinan otro campesino en el Aguán y detienen a cinco más
http://www.defensoresenlinea.com/cms/index.php?option=com_content&view=article&id=807:policias-y-militares-asesinan-otro-campesino-en-el-aguan-y-detienen-a-cinco-mas&catid=42:seg-y-jus&Itemid=159
[7]Honduras: Further information: New threats against journalists in Honduras
http://www.amnesty.org/en/library/asset/AMR37/008/2010/en/1348038c-ce1f-4f7e-88a5-deab04c97d36/amr370082010en.html
Ricardo Emilio Oviedo, presidente de la Asociación de Comunicadores de Colón objeto de persecución y amenazas permanentes
http://hondurasenlucha.blogspot.com/2010/04/ricardo-emilio-oviedo-presidente-de-la.html

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2010/03/03

アフリカの水と大地を奪うバイオ燃料

 地球の友-ヨーロッパとアフリカの地球の友グループが行った調査報告書が2010年2月に刊行される予定となっている。(3月3日現在、まだWEB上には掲載されていないようである)この報告書の一部を整理した報告がスペイン語にていくつかのサイトに紹介されているので一部抄訳の上、整理して報告する。[*]

 アフリカでアグロ燃料(バイオ燃料)のための土地囲い込みが進む

GRAINの報告書[1], del Relator Especial de Naciones Unidas para el Derecho a la Alimentación Olivier De Schutter[2]の報告書、Instituto Internacional para el Medio Ambiente y el Desarrollo[3] (IIED)の報告書などでも既に取り上げられているが、この「新植民地化」とも言える現象が深化する中で、テリトリーの<外国化>、コミュニティの排除などが進みつつあり、これは<反農地改革>の不気味なプロセスともと言える。

 地球の友の調査報告書<Africa: up for Grabs. The Scale and Impact of Land Grabbing for Agrofuels>[4]がこの2月に刊行され、WEBサイト上でも公開されるはずであるが、この調査ではアフリカ大陸におけるアグロ燃料(バイオ燃料)の生産による土地囲い込みの広がりとそのインパクトについて、またヨーロッパ系の企業が果たしている役割に焦点をあてて分析している。(3月3日現在、まだWEB上には掲載されていないようであるhttp://www.foeeurope.org

 Angola, Camerún, la República Democrática del Con-go, Etiopía, Benin, Ghana, Kenia, Mozambique, Nigeria, Sierra Leona, Tanzaniaといった諸国の状況を調査している。報告書によると土地の囲い込みはそれぞれの状況や国内法などによって、土地購入、借地、契約栽培の3つのタイプが存在する。
 アフリカにおける土地の重要性は「それは単なる経済的な資産や環境的な資産というのではなく、社会的・文化的なそして存在に関わる資源である。社会的なアイデンティティや宗教的な生活の組織、文化の生産と再生産における重要な要素である」ということにある。[5].
 2006年以来アフリカでは900万ヘクタールの土地が買われ、そのうちの少なくとも500万ヘクタールがジャトロファ、オイル・パーム、甘み種のソルゴーなどアグロ燃料を生産するために利用されていると思われる。しかしモザンビークだけでも480万ヘクタール(農耕可能面積の9分の1)が求められているというので、数字はもっと大きいものであろう。
 アフリカ諸国の政府は、土地が失われ、コミュニティが土地を奪われているという事態を認識し、またこうしたプロジェクトが国内向け食料需要を充足する能力に対して引き起こす影響を憂慮している。更に海外投資家による土地購入、<金融商品化>という問題が加わっている。[6].

 誰が背後にいるのか:公的な情報は限られているが、多くの場合に民間企業が背後にいることは間違いないであろう。しかしそれ以外にアフリカ諸国の政府、国営企業、投資会社などが存在している。
 アグロ燃料(バイオ燃料)が近年の土地獲得の重要な原動力となっている。ヨーロッパ連合による<再生可能資源>からできた燃料を混合するという政策が忌まわしい役割を果たしている。保証された市場と安価な土地と労働力へのアクセスが、ヨーロッパ企業にとって、アグロ燃料を魅力ある儲け話にしているのである。
 バイオ・テクノロジー関連企業もアフリカにおけるアグロ燃料推進に関心を示している。遺伝子組み換え品種への市場を開発することを狙っているのである。アフリカの作物開発に1億2千万ドルを差し向け、遺伝子組み換え品種にも特別の基金を設けようというFundación Bill y Melinda Gates や「アフリカの緑の革命のための同盟:AGRA」という重要な仲間も見つけている。

 インパクト:開発のためにはエネルギーへのアクセスが重要であるが、引用されているFAOの調査[7]によるとエチオピアでも、ガーナでも、マダガスカルでも、そしてマリでもいかなるアグロ燃料用の作物も国内消費にはむけられず、輸出されているとのことである。 
 政府や企業は、<マージナルな土地>だけを利用し、水の消費やエロージョンも少なく、地域内ので消費や雇用、経済開発、温室効果ガス削減に貢献すると喧伝しているが、実際には逆の状態である。

*温室効果ガスの排出は増加。更に土地利用の改変が更なる温室効果ガスの大気中への放出につながる。

*水と土地が脅かされている。アフリカでは多くの可耕地が未利用に置かれ、それらが<マージナルな土地>とされている。公的には<マージナル>とされている土地は、私有化されておらず、しばしばコミュニティでの生活や生態系に重要な役割を果たしている。それは時に共有地であり、放牧や自給用作物の生産や薬用植物の採集などに使われ、また湿地や山地であったりする。土地に関する地域での諸権利は不透明で、土地登記プロセスへのアクセスも欠けているし、生産的利用のための用件も定義されていないなど、法的な隙間がある。
 重要なこと公式に誰が所有するかではなく、誰がその土地に依存しているのかという点にある。土地を巡る競争は、食料主権という課題に問題を投げかける。「食料援助に依存している国が、アグロ燃料のために豊かな土地を売るということが許されるべきなのか?」

 アフリカでは水は貴重なものであるが、アグロ燃料生産は大量の水を要求し、更に農薬類によって水系が汚染される。

*限られた雇用創出。多くのアグロ燃料向け作物は多くの労働力を要求しない。整地と収穫前の除草ぐらいである。機械化された場合には更に雇用は少ない。仮に仕事があっても報酬は低く抑えられている。

*誤った期待。ジャトロファの契約栽培に対して、ザンビアのある農民は綿花栽培のことを思い起こす。「山ほど金を稼げると言われ、トウモロコシをやめて、綿花を生産した。しかし売る段になれば、価格は安く、伝統的なトウモロコシを軽視したせいで空腹を抱えることとなった。[9].

*環境の悪化。機械的な農業は、森林破壊や湿地の喪失、土地の劣化、水資源の汚染と枯渇など様々な問題を引き起こす。
 更に、社会的・文化的な影響がある。カメルーンではコンゴ川流域の自然林に代わってオイルパームプランテーションが拡大しているが、森に依存するコミュニティの生活に大きな影響を引き起こしている。

結論:どん欲な外国投資がアフリカ諸国でアグロ燃料を進めている。これはEUの目標値を達成するために進んでいる。
 アフリカ社会は、自分たちの自然資源が外国企業によって、外国の利益のために開発されてきた歴史を知っている。どうして同じく外国企業に進められる今回のアグロ燃料については異なるといえるのだろうか。はっきりしていることは、既にコミュニティは社会的・環境的・文化的な影響を被っているということである。

 望ましい行動
・土地の囲い込みをやめ、アグロ燃料への需要を増加させる政策目標を撤廃する。
 アグロ燃料のための土地獲得と投資を中止する。
・ローカル・コミュニティ主導の農業者にも環境にも配慮した農業を促進する
・エネルギー消費を減少させるような持続的な社会のための投資を促進する。
・投資家にたいして、その活動によって生じる影響を考慮した明確かつ、拘束力を持つ、法的な規則を設定する。
・土地の売買・借地に先立つコミュニティに対する事前の自由な情報に基づく同意を得ること
・コミュニティや先住民族の慣習法の保護
・農業労働者の権利の、人権の保護

 以上 まとめ 青西

1 GRAIN (octubre 2008) ¡Se adueñan de la tierra! El proceso de acaparamiento agrario por seguridad alimentaria y de negocios.
Ver: http://www.grain.org/briefings/?id=214. Ver versión abreviada en Biodiversidad, sustento y culturas, núm 60.
2 Informe del Relator Especial sobre el derecho a la alimentación. Mayor capacidad de respuesta: un marco de derechos humanos para la seguridad alimentaria y nutricional mundial, p.13, septiembre de 2008, http://daccess-ods.un.org/access.nsf/Get?Open&DS=A/HRC/9/L.15&Lang=S
3 Cotula, L., Vermeulen, S., Leonard, R. and Keeley, J., 2009, Land Grab or Development Opportunity? Agricultural Investment and International Land Deals in Africa, IIED/FAO/IFAD, Londres/Roma. http://www.fao.org/docrep/011/ak241e/ak241e00.htm
4 África: crece la usurpación. Escala e impacto del acaparamiento de tierras para agrocombustibles.
5 Unión Africana (marzo 2009) Framework and guidelines on land policy in África. http:// ww.pambazuka.org/aumonitor/images/uploads/Framework.pdf
6 Ibídem.
7 Op. cit, nota 3.
8 Ustulin, E. J. & Severo, J. R. (2001): Cana-de-Açúcar : Proteger o ambiente e continuar gerando empregos. http://www.cna.org.br/Gleba99N/Set01/cana01.htm
9 African Biodiversity Network (julio 2007) Agrofuels In Africa-The Impacts On Land, Food And Forests.

* Acaparan tierras en África en pos de agrocombustibles
REDES-Amigos de la Tierra Uruguay
Grain    http://www.grain.org/biodiversidad/?id=468
Ecoportal http://www.ecoportal.net/content/view/full/91122
SERVINDI http://www.servindi.org/actualidad/22308
など

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2010/02/25

アルゼンチンにてバイオ燃料混合の義務化が始まる

 供給問題から遅れていた、バイオ燃料混合政策がアルゼンチンで今年から始まった。現在5%で始まっている混合比率は2015年までに20%を達成することが目指されている。
 アルゼンチンではガソリンよりもディーゼルが中心に利用されており、車両燃料の66%を占めている。そこで米国やブラジルのようなエタノールではなく、バイオ・ディーゼルが必要とされている。特に大豆を燃料としたバイオ・ディーゼル生産が目指されている。
バイオ燃料法(26.093)では生産者と結びついた中小企業から供給することを要求しているが、実際にはそれでは供給が間に合わず、7割近くが大企業から供給されることとなる。
 Reportajes:Arrancan los agrocombustibles argentinos(Tierraamerica 2010/02/15)
 http://www.tierramerica.info/nota.php?lang=esp&idnews=3539

 アルゼンチンはバイオ・ディーゼルの海外への輸出量を増やしつつあり、2007年には16万トンであったのが、2009年には150万トンとなり、輸出の2%を占めるに至っている。この背景には米国やヨーロッパにおける混合政策がある。
 El biodiesel despega en Argentina (BBC-Mundo 2010/02/23)
http://www.bbc.co.uk/mundo/america_latina/2010/02/100223_0130_biodiesel_economia_argentina_jaw.shtml

 バイオ・ディーゼルの利用拡大によって、大豆油の輸出が減少する可能性がある。
 Biodiésel limitaría ventas de aceite soja de Argentina (2010/02/11)
http://www.biodieselspain.com/2010/02/11/biodiesel-limitaria-ventas-de-aceite-soja-de-argentina/

 一方で、アルゼンチンにおける土地問題、農民の土地からの排除、大農園による囲い込みといった問題も指摘されている。
LINK TV (映像)
Argentina's Food Farmers Trumped by Soy (Sep 1, 2009)
http://www.linktv.org/latinpulse/20090901/argentinas-food-farmers-trumped-by-soy

Change on the Pampas: Industrialized Farming Comes to Argentina
(Aug 27 2009)

https://nacla.org/node/6079
ARGENTINA:Expansion of Agricultural Frontier Endangers Native Communities
BUENOS AIRES, Aug 30 (IPS) - Encroached upon by the expanding agricultural frontier and facing the indifference of the state, indigenous communities in the northeastern Argentine province of Chaco have problems of access to water, food and their natural medicines, and are heading towards extinction.
http://ipsnews.net/news.asp?idnews=39087

CINCO MILLONES DE HECTAREAS EN DISPUTA Y 600 MIL PERSONAS AFECTADAS EN EL NOROESTE DEL PAIS : Los desplazados por la soja y la minería(pagina / 12, 2010/02/22)
http://www.pagina12.com.ar/diario/elpais/index-2010-02-22.html
こちらの続きはまた今度

 開発と権利のための行動センター
 青西

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メキシコ:チアパス州で、環境保護区からの農民排除が続く

 メキシコ南部のチアパス州に位置するモンテス・アスーレス生物圏において、連邦政府とチアパス州政府による農民排除が続いている。

 州政府はこの事件について、上記生物圏に2003年の時点で43の<非正規集落>が存在しており、既に対話によって32が移転に合意し、4つが対話が尽きた後に、平和的に退去を受け入れ、7集落が執行を待っている状況との説明を行った。更に、州政府側は「主要な課題はモンテス・アスーレス生物圏の保全であり、保全政策は、世界的な論理を持っており、それをチアパスにおいても実現していくだけである」と述べるとともに、州知事は、セルバ・ラカンドナ地域において、森林伐採を止めるために、アフリカヤシの生産を進めることを目指していることに言及。また国家保護区委員会の地域担当官は、<非正規集落>の存在が生態系悪化の主因であるとしている。[1]

 しかし人権団体、環境団体はこうした農民の排除に強い抗議の姿勢を示している。チアパス州で活動する人権団体はこの強制排除に関して声明を発表し、人権侵害を告発している。声明文は次のように伝えている。[2]
1)1月21日にラグーナ・エル・ススピーロ(エル・セメンタル)のコミュニティに、複数(3-4機)のヘリコプターが飛来。ヘリコプターで60名ほどの警官が到着。強制的にマリア・コルテス・ペレスとマグダレーナ・ガルシア・コルテスをヘリコプターによって連行。事前の告知、文書の提示、説明もなされぬままに行われた。
2) 1月22日には、サパティスタ民族解放軍の支援コミュニティでもある、ラグーナ・サン・ペドロに4機のヘリコプターが飛来。250名ほどの警官が、連邦政府の命令であると言いつつ、子どもを含めた12名をヘリコプターに乗せるとパレンケまで連行。そこにて検察に連行され尋問を受けた。しかし弁護士も通訳も用意されなかった。更に、内容もわからないままに署名を強要された。

またこの事件について、サパティスタ民族解放軍の<よき政府評議会>は声明を発表し、ラグーナ・サン・ペドロのコミュニティにおいて、強制排除が行われ、家々が焼かれ、生活必需品や農具が失われたことを告発するとともに、「チアパスの先住民やメキシコ人から土地を奪う一方で、なぜ他の国からのエコツーリズムのために土地を使わなくてはならないのか」と訴えている。[3]

また地球の友-インターナショナル、地球の友-メキシコ、地球の友-南米・カリブは、この強制排除とつながるものとして、オイル・パームの植林計画に言及している。[4]
事件に先立つ1月12日、チアパス州議会はセルバ・ラカンドナ地域にパーム・オイルの精製工場を建設するための信託基金の設置に同意した。これはモンテス・アスーレスを含む、セルバ・ラカンドナ地域の周辺にオイル・パームのモノカルチャーを進める計画と結びついたものである。[5]そこで地球の友では、この計画に伴って土地からの排除が進んでいることに加え、バイオ燃料政策が温暖化対策として望ましくないことなども含め批判している。

 セルバ・ラカンドーナ、そしてモンテス・アスーレス生物圏の土地問題は、非常に複雑であり、土地問題の背景は十分には把握できていない。地域の住民間の土地問題もあり、ある住民グループから、エコツアー開発のための、<非正規集落>の排除を求める要請も出ていたとのことである。[6] 1972年に行われた大統領令による土地提供も問題の背景にあるようである。[7]
また3月6日、7日にはモンテス・アスーレス社会フォーラムが開催されるとのことであり、この地域の抱える課題について議論が行われるようである。[8]

 開発と権利のための行動センター
 青西

[1]Arduo trabajo de los tres niveles de gobierno en la defensa, protección y conservación de la Biósfera de Montes Azules(2010/01/26)
http://www.comunicacion.chiapas.gob.mx/documento.php?id=20100126055032
[2] Desplazamientos forzados en la reserva de Montes Azules(2010/02/04)
http://cencos.org/es/node/22599
[3] La Junta de Buen Gobierno de Garrucha denuncia represión y despojo en el poblado Laguna de San Pedro por parte del gobierno federal y estatal (2010/01/29)
http://enlacezapatista.ezln.org.mx/denunciasjbg/2894
[4] ALTO AL DESPOJO DE LAS TIERRAS Y TERRITORIOS DE LOS PUEBLOS EN LA SELVA LACANDONA, CHIAPAS, MEXICO
http://www.otrosmundoschiapas.org/docs/ati_lacandona.pdf
[5]Aprueba congreso fideicomiso para la selva lacandona(2010/01/13)
http://www.chiapashoy.com/notashoy/estado_html/2750.html
[6]Comunidad lacandona reclama desalojo en la selva
http://chacatorex.blogspot.com/2010/01/comunidad-lacandona-reclama-desalojo-en.html
[7]EL CASO DE LA RESERVA MONTES AZULES EN LA SELVA LACANDONA,
CHIS, UN EJEMPLO DEL REITERADO FRACASO DE LA POLÍTICA “CONSERVACIONISTA” DE LAS ÁREAS NATURALES EN MÉXICO.Y DE LOS
INTERESES CREADOS QUE SE ESCONDEN DETRÁS DE ELLO.
(APUNTE CUASI SINTÉTICO).(2003)
http://www.maderasdelpueblo.org.mx/pdf/montesazules.pdf
[8]Foro Social de los Montes Azules por la Defensa de Nuestros Derechos a la Vida y el Territorio
http://otrosmundoschiapas.org/index.php/resistencias/69-resistencias/614-foro-social-de-los-montes-azules-chiapas.html

*この地域のニュースが集約されているサイトとして次のものがある。
Noticias de la Selva Lacandona
Compilación informativa sobre la situación sociopolítica de la Selva Lacandona y seguimiento de las agresiones contra las comunidades campesinas.
http://noticiasdelacandonia.blogspot.com/

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2010/02/18

アフロ・コロンビア系のコミュニティに対する土地からの排除に警告

 国連のマイノリティの問題に関する独立専門家、ゲイ・マクドゥーガル氏は2月1日から12日にかけてコロンビアを訪問し、アフロ・コロンビア系のコミュニティの状況を調査。調査終了時の12日にボゴタで記者会見を開催した。コロンビア憲法をはじめとして、法的な整備について評価する一方で、土地からの排除が続いていること、特に大規模な経済開発事業によって、コミュニティの土地からの排除が続いていること、またアフロ・コロンビアの女性に対する暴力や差別が深刻であることを告発した。

 2月12日に公表された報告書の草稿では次のような点が取り上げられている。(抄訳かつ記載順とは無関係に整理している)

-奴隷としてコロンビアに連れてこられたアフリカ系の人々は、逃亡すると、人目につきにくい、条件の悪い、大西洋や太平洋岸の沿岸地方に逃げざるを得なかった。孤立した中でコミュニティを形成してきた。

-コロンビア国は、こうした土地へのアフロ・コロンビア住民の権利を認めている。憲法やいくつもの法律は制定されているが、現在においても、奴隷制の遺産、人種差別は消しがたく残されている。
-憲法において差別の禁止、全ての市民の平等、民族的・文化的な多様性の尊重、政治的参加の促進と議席の保証などを定めている。
-法70号では黒人系のコロンビア人コミュニティの集団的土地所有権と伝統的な資源利用の保護などを定めている。
 しかし法は適切に執行されていない。

-コロンビアにおける極度の貧困層の分布とアフロ・コロンビア住民の分布は重なっている。
-2005年センサスによるとコロンビアにおけるアフロ・コロンビア系住民の人口は10.62%とされているが、コロンビアの人権擁護事務所によると25%近いであろうという。

-武装グループによる暴力の問題、土地からの強制的な移転、農企業、「メガプロジェクト」などによる土地からの排除が続いている。
-政府は既に内戦は存在せず、パラミリタリーも解体されたというが、コミュニティのリーダーの暗殺、土地から逃げざるを得ない話などを多々聞かされている。
-コロンビアでは公式には300万人、市民組織の推定では400万人の国内難民が存在するといわれ、これは世界でも2番目に多い。
-土地に戻ったコミュニティがいくつか存在するが、戻ってみると土地が他の者の手に渡っているケースがある。
-アフロ・コロンビア系のコミュニティは、安全を求めているが、警察や軍の展開は、ゲリラや他の武装勢力の仕返しを引き起こすことになると恐れている。
-人権擁護事務所は、コミュニティの危険に対する早期警戒と評価システムを構築しており、コミュニティの人々は信頼している。しかし、この警戒連絡が治安組織の委員会で排除されることがある。 
-土地からの排除されることによって、生計の手段を奪うだけでなく、文化や伝統の保持も危機に瀕する。

-アフロ・コロンビア系の女性への暴力が続いている。アフロ・コロンビア系であることからの差別、女性に対する差別、国内難民に対する差別、貧困者への差別など様々な差別が折り重なっている。
-男性が誘拐されたり、殺害されたりした後に女性たちがコミュニティのリーダーとして活動してきても、評価されない。
-ゲリラや武装グループによる子どもの強制的な徴発。貧困、脅迫、武装グループの存在、資金提供の約束などによって、子どもがゲリラや他の武装グループの徴発の対象になりやすい。
 
-土地からの排除は暴力と脅迫によって行われているが、コカの違法栽培や麻薬の密売関連などだけではなく、最近ではオイル・パームやバナナ、鉱山開発、林業、放牧など、マクロ・経済開発計画に関連する理由からの排除も多い。
-経済的な利害やメガプロジェクトは、コミュニティの土地所有権を邪魔なものと見なしている。
-ILO169号条約に定められた事前協議は、その実施の規定が明確に定められてない。協議なしで開発が進められている。
-政府はオイル・パームのモノカルチャーなどを進めようと計画している。しかしアフロ・コロンビア系から奪われた土地も融資の対象としているとも言われている。
 
-政治参加、意志決定への参加が遅れている。国会で2議席が保証されているが、その声が政治に反映されているとは言えない。

Minority issues: UN expert calls on Colombian authorities to focus on Afro-Colombians’ plight http://www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=9824&LangID=E

 このサイトから次の文書にアクセスできます。
Statement by the United Nations Independent Expert on minority issues, Ms Gay McDougall, on the conclusion of her official visit to Colombia, 1 to 12 February 2010

Declaración de la Experta Independiente de las Naciones Unidas sobre Cuestiones de las Minorías, Señora Gay McDougall
Conclusiones Preliminares de su visita oficial a Colombia (1 al 12 de febrero) Bogotá D.C., 12 de febrero de 2010


 開発と権利のための行動センター
 青西靖夫

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