ダム開発

2009/11/05

ペルー:イナンバリにおける水力発電ダム建設計画

 CIDHの公聴会で、その問題が訴えられていたイナンバリの水力発電所建設計画について、少し情報を探してみましたので、紹介します。
 Bank Information Center のサイトに情報が収集されていますので、このサイトの情報を利用して整理しました。
Represa Hidroelectrica Inambari
http://www.bicusa.org/es/Project.10078.aspx
英語サイトの方にも記事見出しの翻訳が掲載されています。

Bibliotecaに含まれていた<Inambari Boletin> のまとめです。
Especial :Hidroeléctrica del Inambari ?Para que?, ?para quien?
-1976~1979にかけて、エネルギー・鉱業省とGTZによる開発可能性調査が行われる
-2008. ペルーとブラジル両国政府は、水力発電開発のために、エネルギー協力協定を締結
-2008.6 水力発電計画のための調査実施のためにEGASURに期限付きコンセッション
-水力発電所は、クスコ州キスピカンチスのカマンティ、マドレ・デ・ディオス州タンボパタのイナンバリ、同じくマヌのウエペトゥエ、プノ州のカラバヤ、アヤパタとサン・ガボンに広がる
-2000メガワットの発電量を見込み、ペルー最大の発電所となる計画
-ロックフィル式のダムで、高さ220メートル
-貯水池面積は410平方キロに及ぶ
-65のコミュニティが影響を受け、移転若しくは補償を必要とする
 (別の資料によると27のコミュニティが強制的な移転を強いられる)

またダム計画に拒否の姿勢を示す先住民族に関する
次のようなニュースも紹介されています。
Pueblos selváticos proponen ingresar a guerra civil
En asamblea se pronunciaron contra hidroeléctrica del Inambari
http://www.losandes.com.pe/Regional/20090911/27003.html

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米州人権委員会がIIRSAについて特別公聴会を開催

 米地域インフラ統合イニシアティブ(IIRSA)の先住民族コミュニティへの影響について、11月2日、米州人権委員会による特別の公聴会が開催された。
 南米の先住民族の代表として、ペルーのCAOI(Confederación Andina de Organizaciones Indígena de Perú )、ボリビアのOICH(Organización Indígena Chiquitana de Bolivia)、CEADESC(Centro de Estudios Aplicados a los Derechos Económicos, Sociales y Culturales de Bolivia)、ブラジルからComunidades Nativas de Pueblos Indígenas de Rondonia de Brasil、また米国のIndian Law Resource Centerが参加して発言を行った。
 この模様は米州機構のサイトにおいてビデオを見ることができる。(スペイン語・一部ポルトガル語)
http://www.oas.org/es/centro_noticias/videos.asp?sCodigo=09-0278&videotype=&sCollectionDetVideo=4

南米の各地を結ぶインフラ整備を目指しているIIRSAに含まれる多数のメガプロジェクトは、先住民族の生活に大きな影響を与えるとして、先住民族組織が抗議を続けている。

Leonardo Crippa(Indian Law Resource Center)
-IIRSAに含まれる502のプロジェクトは、先住民族コミュニティにおける鉱業開発、水力発電開発、アグロ燃料、モノカルチャーなどの様々なプロジェクトの促進につながるものであり、このプロジェクトの実施は、国際法に定められている先住民族の権利を損なうものである。
-IIRSAは、先住民族のBuen Vivirを脅かすものである。
-これらのメガプロジェクトは特に三つの先住民族の権利を侵害するものである。土地への集団的な権利、開発の形を決めるという自決と自己決定の権利、汚染と生物多様性の喪失による身体的統合と健康への権利である。
-ダムで水没が引き起こされる所では、強制的な移転が生じる
-事業の前に人権への影響に関する調査を行うべき。

Rodolfo López(Organización Indígena Chiquitana de Bolivia)
-サンタクルスとプエルト・スアレスを結ぶ道路計画は建設が進んでいるが、31コミュニティの文化、生物多様性、その統合性に直接の影響を与える。
-これまでに行われた建設部分ではコミュニティの分裂などを引き起こしてきた。
-コミュニティへの協議が適切に行われないまま、プロジェクトが進んできている。
-企業は当初の約束を遂行していない。影響の緩和策なども実現されていない。

Narciso Tomicha(Central de Comunidades de Chiquito Turbo)
-サンタ・クルス-プエルト・スアレス間の道路建設の影響を受けている。
-この土地は所有権の確定がなされておらず、このことが補償の受け取りを困難にするであろう。
-森林破壊、道路の整備による外部者の流入による過剰な狩猟圧、水源の汚染などが引き起こされる。
-私たちの文化が失われつつある。

Telma Delgado Monteiro(Associação de Defesa Etno-Ambiental Kanindé)
-マデイラ川の水力発電計画の真の目的は、大豆のモノカルチャーを進めることにある。
-事前の、情報に基づく協議は行われていない。
-百万人という数の強制移住が引き起こされ、生物多様性も回復不能なまでに失われる。

Miguel Palacín Quispe(Confederación Andina de Organizaciones Indígena de Perú )
-先住民族は統合に反対しているわけではない。しかし先住民族は開発を別の見方をしている。「Buen Vivir 良い生き方:人間と自然の調和」こそ、地球温暖化という危機に対処するために、先住民族が貢献できるものである。
-ペルーの3つの港とブラジルを結びつけようという計画は、多国籍企業に対して、自然資源へのアクセスを容易にするためにあり、そのためにアンデス地域の3952のコミュニティと78の低地先住民族のコミュニティが影響を受けることとなる。
-鉱業の振興、森林伐採、アマゾン地域への移民増加、大豆などのモノ・カルチャーの拡大、聖地の破壊などを引き起こし、特に自発的孤立を選んでいる先住民族コミュニティのテリトリーを脅かすものである。
-コミュニティの分裂・消滅、犯罪の増加、先住民族の消滅などを引き起こす。
-Inambari に計画されているダムは46000 haを水没させ、65コミュニティに移転を強いるものである。先住民族のすべての権利を侵害しているのである。
「私たちは『西洋』の開発とは違う考え方をしているのです。これまでの開発は、採掘・蓄積・分裂・個人主義を進めてきました。しかし私たちはコミュニティに生き、集団的な権利に基づいて生活しています。しかしこの権利が侵害されているのです。私たちは常に調和を目指してきました。Buen Vivirを目指してきたのです。しかしこの考え方は理解されず、政策の中に適切に取り入られていません。」

*ビデオ映像及び下記資料をもとに作成

 開発と権利のための行動センター
 青西

<参考資料>
CIDH realizará Audiencia sobre impactos de la IIRSA en los Pueblos Indígenas
http://www.biodiversidadla.org/Principal/Contenido/Noticias/CIDH_realizara_Audiencia_sobre_impactos_de_la_IIRSA_en_los_Pueblos_Indigenas
IIRSA vulnera derechos de los pueblos indígenas y de la Madre Naturaleza
http://www.biodiversidadla.org/content/view/full/52851
Situación de las comunidades indígenas afectadas por el proyecto Iniciativa para la Integración de Infraestructura Sudamericana (IIRSA) Participantes: Solicitante: Confederación Andina de Organizaciones Indígena de Perú (CAIO) / Organización Indígena Chiquitana de Bolivia (OICH) / Centro de Estudios Aplicados a los Derechos Económicos, Sociales y Culturales de Bolivia (CEADESC) / Comunidades Nativas de Pueblos Indígenas de Rondonia de Brasil / Indian Law Resource Center (54'36)
http://www.oas.org/es/centro_noticias/videos.asp?sCodigo=09-0278&videotype=&sCollectionDetVideo=4

<ブログの関連記事>
2008/01/29 アマゾン地域の大規模水力発電計画と先住民族
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/01/post_3d22.html
2008/03/07 IIRSA(南米地域インフラ統合イニシアティブ)とは
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/03/iirsa_f80c.html
2008/03/07 南米の巨大プロジェクトに反発する先住民族組織
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/03/post_0bb9.html
2008/11/14 ブラジル:アマゾンのマデイラ川に巨大ダム
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/11/post-5686.html
2008/12/15 IIRSA(南米地域インフラ統合イニシアティブ)に対する先住民族からの提言
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/12/iirsa-4195.html

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2009/04/05

中南米の先住民族の状況について-サイト紹介

1)パラグアイの先住民族についてアムネスティ・インターナショナルが報告書
 パラグアイのYakye Axaと Sawhoyamaxaが10年以上前に土地を追われ、不安定な生活を強いられています。米州人権裁判所も土地の返還をするよう裁決を出しているにもかかわらず進んでいません。
 アムネスティ・インターナショナルの報告書は次のサイト (英語・スペイン語)
 Paraguay's Indigenous Peoples in peril
 http://www.amnesty.org/en/news-and-updates/report/paraguay039s-indigenous-peoples-peril-20090331
 こちらに12ページのレポートがあります。
http://www.amnesty.org/en/library/asset/AMR45/005/2009/en/adf2e581-3962-426d-91b3-fb0378a385b5/amr450052009en.pdf (英語) http://www.amnesty.org/en/library/asset/AMR45/005/2009/en/e36c487b-31a1-4b69-985c-d1d4511df15a/amr450052009spa.pdf(スペイン語)

2)サバイバル・インターナショナルのサイト
-ブラジル・Enawene Nawe 民族
マット・グロッソ州に住むEnawene Nawe 民族がダム開発に脅かされています。映像もあります。http://www.survival-international.org/tribes/enawenenawe
-ペルー・アマゾン地域での原油開発ブームと先住民族
 http://www.survival-international.org/news/4377
 http://www.survival-international.org/news/4350

3)ブラジルのマデイラ川でのダム計画への反対運動
http://www.omal.info/www/article.php3?id_article=2057
http://www.bicusa.org/es/Article.aspx?id=11077
http://www.redlar.org/noticias/2009/3/19/Comunicados/Represion-a-las-protestas-por-represas-financiadas-por-el-Banco-Santander/  
http://www.gloobal.net/iepala/gloobal/tematicas/?entidad=&id=6826&desde=0

(いちばん最後のサイトはスペインの一自治体が資金を出しているようなのですが、どんな仕組みでこういうサイトが可能になっているのか、関心のある方はこちら。ここから右下のリンクをたどってみてください)
http://www.gloobal.net/iepala/gloobal/hoy/index.php?cajas=info2

開発と権利のための行動センター
青西

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2009/02/15

温暖化対策に関係する問題:メキシコ他

1:CDMの風力発電に土地を追われるメキシコ農民
 1月22日、メキシコ、オアハカ州のフチタン近郊の村ラ・ベントサで風力発電基地の落成式が行われた。[1]この風力発電プロジェクトは地球温暖化対策であるCDM(クリーン開発メカニズム)に登録されているBii Nee Stipa と思われるが、[2]これに対して地域の先住民族の権利を侵害するものだという抗議が続いている。 
 ベントサの農民、テウアンテペク人権センター、フチタンの土地とテリトリー防衛会議などの声明文によると、こうした抗議行動は既にここ何年か続いているもので、土地賃貸の契約はだまされたものであり、このプロジェクトは人々が抱える経済や教育、保健などの問題解決にはつながらない上に、この「開発」プロジェクトで土地は使えなくなり、以前の農民経済に基づく生活より悪化していると訴えている。またこのプロジェクトは十分に情報に基づく協議を経たものではなかったと告発している。[3]

  詳細はよくつかめないが、京都メカニズムが、開発途上国への投資を進め、そのうまみを前に、プロジェクトが十分な協議を踏まえることなく、拙速に進められてきた可能性は否定できないであろう。 
 
[1]http://espanol.news.yahoo.com/s/ap/090123/latinoamerica/amn_tec_mexico_molinos_de_viento
[2]http://cdm.unfccc.int/UserManagement/FileStorage/XEK8BO20M4YPQF3CA1TWZSG67RLNVU
  http://cdm.unfccc.int/UserManagement/FileStorage/B4JV3YNUKHFXF3Y98B4JFJLP6J3LSK
[3]http://www.rmalc.org.mx/principales/manifiesto_parque_eolico.htm
[4]その他関連サイト http://tierrayterritorio.wordpress.com/

2:CDMとダム開発の問題 
 国際的なNGOであるInternational Riversはこれまでも、CDM、特にCDMによるダム開発の問題を取り上げてきていますが、そのサイトではAP発の次の記事を紹介しています。
 China dams reveal flaws in climate-change weapon(2009/1/25)
 http://www.internationalrivers.org/en/node/3780
  http://news.yahoo.com/s/ap/20090125/ap_on_re_as/china_s_golden_dams

3:インドネシアにおける森林管理と農民の土地からの排除
 国際的な農民組織、ビア・カンペシーノはエコシステムの復元という名目で農民が土地から排除されたケースを指摘し、現在検討が進められているREDD(森林減少と森林劣化による排出の削減)も同じような帰結を引き起こすのではないかと懸念を表明している。上記のケースでは大手NGOとローカルNGOが組織したコンソーシアムが、エコシステムの回復のために100年間にわたる一定地域の利用権を認可されたものだという。しかしそこから農民や先住民族が排除され、土地を去ることを認めた文書に署名するように脅迫されたという。
  ビア・カンペシーノは、森は地域住民の手によって持続的に管理されるべきであり、地域の生産を強化し、人々が利用している資源の管理を進めるべきであると提起し、カーボン排出量の取引の中で方向を見失わないように警告している。
 http://www.viacampesina.org/main_sp/index.php?option=com_content&task=view&id=653&Itemid=1
  http://www.viacampesina.org/main_en/index.php?option=com_content&task=view&id=654&Itemid=1

 ちなみにREDDについてはCIFORから次のような報告書が出ている。(紹介のみ)
 Moving Ahead with REDD-Issues, Options and Implications
   http://www.cifor.cgiar.org/publications/pdf_files/Books/BAngelsen0801.pdf


 <思うところ>
 CDMだけの話ではなく、国際社会からの援助資金にしても、民間からの資金にしても、それらは外部から、外部者のスピードに基づいて計画され、投入され、さらに一定期間に結果を出すことを求められる。それが地域に生活してきた人々とマッチすることがないということを十分考えなくてはならない。現場で作業を進めるコンサルタントやプロジェクトを(契約で)実施するNGOは最初から、ドナーや企業との契約期間があってその間に作業をしなくてはならない状況に置かれる一方で、地域の住民にはそのような時間は本来なんの意味も持っていない。
 こうした状況でそもそも誠意ある協議などできると考えることが難しい。外部者がそもそも進めたいという意向をもってやってくるのと対照的に地域の人々にはふってわいた話でしかない。対応しなくてはならない地域の人にとっては、まず何の話かわからないのだから(関心を持ってきた話ではないので、当然「やりたい人」との情報ギャップが大きい)、十分な情報を得るのに1年とか2年とかあるいはもっとかかるであろう。(お金をもらって、仕事としてその分野の本読んだり、視察ばかりできるわけではなく、例えば田畑をみなくてはならないのだから・・・)
 その上で、地域の人たちで相談して、結論を出していく。また1年かかるのか、2年かかるのか?孫子の代まで心配して、決定しなくてはならないのだから、それぐらいの時間をかけて何ら不思議はないであろう。契約期間が終われば、その土地に二度と足を踏むこむことなどない人たちとは大きな違いである。その一方で、3週間で「協議までしてこい」というコンサルタント契約もあるわけで、これがマッチするわけもない。
 先住民族との協議、地域住民との協議、という場合には、その内容だけではなく、その時間を十分尊重することが必要である。
 開発と権利のための行動センター
 青西

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2008/11/14

ブラジル:アマゾンのマデイラ川に巨大ダム

 2009年6月6日 修正
 6月6日にこのダムの最終建築許可が環境省の担当部署から出されたとのことである。 Brazil approves Amazon hydro-power dam
http://www.reuters.com/article/environmentNews/idUSTRE5530D520090604?feedType=RSS&feedName=environmentNews
 11月に出された期間を限定したライセンスが失効し、その後最終建設許可が下りたということのようです。

 下:11月14日 アップ
 アマゾンのマデイラ川に計画されていた巨大ダムに遂に建設許可
 現地からの報道によると、ブラジル政府はマデイラ川に計画されていたジラウ・ダムに対する建設許可を今週中にも行うとのことである。このダム建設については、既に今年5月に入札が行われていたが決定が遅れていたものである。
 このダムは3300MWの発電量を見込む巨大ダムであり、既に入札が終わっているサン・アントニオ・ダムとともに、6450MWの発電を行う計画である。
 しかしこのダム建設には数多くの問題が指摘されており、ブラジル国内また同じ水系の上流に位置するボリビアの環境団体や住民組織から強い反発を招いている。アマゾン流域では数多くの人たちが豊かな川の恵みで生活しているが、これらのダム建設が河川生態系に及ぼす影響は計り知れない。河川を長い距離に渡って回遊する魚種も多々いるのである。
 技術的にも堆砂の問題が指摘されており、公式の計画である50年も利用できないであろうと指摘されている。長くてもたったの50年である・・・更に上流部の金鉱山からの水銀が流入・堆積し、濃度が高まる危険性も指摘されている。
 
 このダムはまた発電用だけではなく、4000キロを超える運送用水路計画とも結びついている。この水路が整備されると、アマゾン地域に深く侵入しつつある大豆の搬出ルートとなることが想定されている。
 また新しい動きなどわかりましたらお伝えします。
 開発と権利のための行動センター
 青西

Brazil to clear contested Jirau hydro dam work

http://www.reuters.com/article/environmentNews/idUSTRE4AC0V820081113
<参考資料・サイト>
International Rivers
Introduction and Article "The Madeira Hydroelectric and Hidrovia project – Cornerstone of IIRSA"
http://internationalrivers.org/files/Madeira%20Article%20English.pdf
Madeira River Fact Sheet
http://internationalrivers.org/files/MadeiraFact.pdf
"Muddy Waters" Executive Summary
http://internationalrivers.org/en/sedimentation/muddy-waters-executive-summary

Bank Information Center のMadeira関連資料サイト
Águas Turvasのポルトガル語全文へのリンクもあります。
http://www.bicusa.org/es/Project.Resources.10138.aspx

行動センターブログ
2008/01/29:アマゾン地域の大規模水力発電計画と先住民族
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/01/post_3d22.html
2008/10/07:中南米におけるダム開発問題
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/10/post-c444.html


 

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2008/11/12

クリーン開発メカニズム(CDM)と水力発電ダム建設-中南米を事例に-

 <はじめに>
クリーン開発メカニズム(CDM)に含まれる水力発電プロジェクトの問題については、これまでもしばしば取り上げられていて、別に目新しい話ではないようです。[1]しかし既にこのブログでも取り上げたように、現在進行形で、CDMの登録を求めるダム開発が地域住民に大きな影響を引き起こしていることが伝えられています。[2]
  そこで少し長くなりますが、CDMについての概要と水力発電ダムについて整理してみたいと思います。

[1]http://www.eic.or.jp/event/?act=view&serial=2562
   http://www.foejapan.org/cgi-bin/climate/doc/030314.html
 望ましくは講演会の案内ではなく、報告のサマリーを、また提言書だけではなく、現場の声をモニタリングして公表し続けていくことが重要だと思うのですが、難しいのでしょう。
[2]「きれいな開発」の名で資金を探すダム建設が世界遺産を脅かす
  http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/09/post-8dbb.html
  国連特別報告官、ダム開発に脅かされるパナマの先住民族に懸念を表明
  http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/08/post_e617.html

<クリーン開発メカニズム:CDM>
 地球温暖化対策に対する取り組みの一つとして、「京都メカニズム」というものが存在します。これは1997年に京都市で開催された国連気候変動枠組条約第3回締約国会議で採択された「京都議定書」において定められたもので、温室効果ガス削減を進めるためにいくつかの経済的な仕組みを定めています。[3]
 日本などの先進国が、それぞれの国に定められた温室効果ガスの排出量削減のための数値目標を達成できないことを想定した上で、開発途上国などにおける削減への取り組みによって相殺しようとするものです。
 そうした仕組みの一つとしてクリーン開発メカニズム(CDM)があります。これは先進国と途上国が共同で事業を実施し、その削減分を投資国(先進国)が自国の目標達成に利用できる制度です。実際にはここで得られるCER(Certified Emission Reduction ) と呼ばれる排出削減分に基づくクレジットは、国際的に取引されるものとなりますので、プロジェクトの投資国だけではなく、温室効果ガスの目標値を達成できない国にとっては、どこのCDMも自国の対策の不足分とつながる可能性があります。
 ですから、次のように言えるかと思います。

「世界中におけるCDMプロジェクトは、全ての潜在的な購入者/消費者と結びついています。また私たち自身が、私たちの税金で、購入することを前提に開発が進められていると考えれば、私たち自身がプロジェクトに対する重い責任を有すると考えることができます。」

<CDMプロジェクトの内訳>
 

 どのような国でCDMプロジェクトが登録されているかを見てみます。2008年11月10日のデータによると1197件中、インドが360、中国 289、ブラジル 146、メキシコ 107 と続いています。次にプロジェクトの中身を見てみますと、エネルギー産業というのが56%を占めています。[4]
 このうちのエネルギー産業には水力発電や風力発電、バイオマス発電などが含まれています。
 例えば中国では今年の8月22日の段階で国連CDM理事会に登録されているプロジェクト数256のうち、100が水力発電、69が風力発電となっています。[5]

[3]京都メカニズムに関する説明はこちら  
http://www.kyomecha.org/index.html
[4]表及び数字は次のサイトより        
http://www.kyomecha.org/graph/graph_of_CDMJI.php
[5] http://enviroscope.iges.or.jp/modules/envirolib/upload/985/attach/china.pdf

<中南米の状況>
 中南米におけるCDMの動きを見ると次のようになっています。
 中南米における登録済みCDMのうち、ブラジル、メキシコの二ヶ国で約67%を占め、その後にチリ、アルゼンチンと続いています。プロジェクトの分野ではエネルギー産業が150、うち水力発電関連が78となっています。水力発電関連が全プロジェクトの20%を占めていることとなります。[6]この水力発電関連の中には、既存の水路利用の発電や既存の水力発電施設の能力改善なども含まれていますが、発電用ダムを造るものも含まれています。
 「先進国は、CDMという名称で、開発途上国でダム造りをせっせと進めているのです」。日本でも次のような資料からその動きを知ることができます。[7]


[6] 次のサイトの11月4日付けデータより作成  
http://www.kyomecha.org/List_of_registered_CDM.php
[7]地球温暖化防止に向けた水力発電によるCDM(クリーン開発メカニズム)事業の着実な推進
 現行国内対策だけでは、京都議定書の目標達成が困難な状況にあり、補足的な仕組みである京都メカニズムの積極的な活用が必要とされている。この中で、水力発電によるCDMは環境にやさしく、わが国の高度で豊富な水力発電技術を活用できるメリットがある。「水力開発の促進、既設水力の有効利用に向けての提言」財団法人新エネルギー財団
  http://www.nedo.go.jp/nedata/17fy/10/a/0010a001.html
  Jパワー コロンビア国水力CDMプロジェクトが国連CDM理事会に登録
  http://www.jpower.co.jp/news_release/news070116.html

<エクアドルの事例>
 ここではエクアドルを事例に、インターネットのみの情報で少し調べてみました。


 例えばエクアドルにおけるプロジェクトで、既にCDM登録済みの12のうち、水力発電関連は半分を占めています。登録されているということは、きっと社会的・環境的にも大きな問題はないと評価されたのであろうと思いますし、プロジェクト・デザイン書でも環境や社会への影響はほとんどないと記されています。
 しかしインターネットで調べる範囲においても、この中のいくつかのプロジェクトに対して反対運動が存在すること、あるいはしたことがわかります。把握できた範囲では、Abanico(アバニコ)水力発電プロジェクト、San Jose del Tambo(サン・ホセ・デル・タンボ)水力発電プロジェクト、Sibimbe(シビンベ)水力発電プロジェクトに対して反対運動があったことががわかりました。[8]
 その一方で気候変動枠組条約のサイトからアクセスできるアバニコ水力発電プロジェクトのモニタリング報告書においては、コミュニティでのプロジェクト実施には触れていますが、反対運動には一切触れていなません。

[8]水力発電計画に対する抗議運動関連サイト
アバニコ水力発電
http://www.pcmle.org/EM/article.php3?id_article=869
http://www.surysur.net/?q=node/2862
サン・ホセ・デル・タンボ水力発電
http://ecuador.indymedia.org/en/2007/06/20222.shtml
http://www.redlar.org/noticias/2007/11/6/Comunicados/no-a-la-represa-San-Jose-del-Tambo/
http://news.infoshop.org/article.php?story=20061113124808189
シビンベ水力発電
 http://www.accionecologica.org/descargas/alertas/otros/alerta%2086.doc


<私たちの社会的責任> 
 石油に依存しない社会を考えたときに、発電ダムを全面的に否定することは難しいと思います。しかし、自分たちの排出する温室効果ガスの穴埋めに、どこか知らない土地にダムを造っているのだとすれば、少なくとも私たちはそのことをちゃんと知るべきではないでしょうか。
 国内で石油を使い続け、温室効果ガスの削減ができない中で、国外でダム建設を進めることは倫理的に正しい判断なのでしょうか?本来、自国にダムを造って、痛みを自ら感じるべきでしょうか。海外に出て行けば、国内でダム開発をするよりコストが安いというのが理由であれば、金の力で地域の人々の、環境への権利や生活への権利を踏みにじっているだけかもしれないのです。
 もちろん、このダム建設の進展には別の要因もあります。開発途上国においても電力需要が広がり、発電ダムが必要とされているのです。つまりどうせ造られるダムなのだという考え方です。そこにCDMというインセンティブを加えて、石油火力などから水力への移行が促進されていると考えられます。
  そこで、こうしたダム建設はそもそも温暖化防止につながっているのか、という疑問が出てきます。日本国内では削減できないから海外でCDMを実施することとなります。そして海外では水力発電事業を進めることで拡大する電力需要に対応し、さらには電力供給に余裕ができれば、電力需要の大きい産業振興も可能になります。そもそも産業向けあるいは輸出向けの電力生産として計画されているダム計画にCDMを利用しているケースもあります。
 石油火力発電が広がったかもしれない未来と較べれば、削減されているのかもしれませんが、実際には温室効果ガスが削減されることはありません。開発途上国における温室効果ガスの排出量が想定よりも緩やかに増加するであろう、という成果にとどまります。
 
<知らなくていいのでしょうか>
 市場メカニズムを利用することで、効率的に温暖化防止が実現できると安易に考えるのではなく、市場メカニズムを利用することで、問題は拡散し、私たちの目の届かないところまで広がり、結局のところは力の弱いところに歪みが押しつけられている危険性があります。市場メカニズムは誰にとっても平等に働くわけなどなく、例えば環境影響評価が甘いとか、補償額が安くていいとか、そういう「低コスト」な地域にプロジェクトが流れ込む危険があります。
  その一方で、今、どこで、どんな形で排出権のクレジットが生み出されつつあるのか、それを把握するのは大変な作業です。一つ一つ、プロジェクトの説明書を英文で読まなければわかりません。
 しかしそのようなことを考えずに、国連機関がお墨付きを与えたのだから、何も問題ない、と考えるべきなのでしょうか。更に日本政府による「京都メカニズム情報プラットフォーム」というサイトもありますが、こちらはCDM促進のための業界向けの情報提供にとどまっています。
 しかし本来自ら解決すべき問題を押しつけている「製造者」としては、ちゃんと、どこでどのようにそのクレジットが生み出されてくるのか、知ることが必要なのではないでしょうか。
 私たちがCDMという仕組みに頼ることで、「世界のどこかにダム開発が押しつけられ、反発している住民がいる」という事実と、それに対する責任を同時に担っていくことも求められていると考える必要があります。
 CDMの温暖化対策としての有効性も含め、京都会議の議長国であった日本の責任は重い。

 開発と権利のための行動センター
 青西


  更に関心のある方へ
 参考資料・サイトなど
1)Failed Mechanism: How the CDM is Subsidizing Hydro Developers and Harming the Kyoto Protocol
December 2, 2007  
http://internationalrivers.org/files/Failed_Mechanism_3.pdf
2)Bad Deal for the Planet: Why Carbon Offsets Aren't Working...and How to Create a Fair Global Climate Accord
http://internationalrivers.org/en/node/2826
3)Generating Conflict:Dams are rejected in America as too destructive. Yet they are still promoted in Latin America. Why?  
 http://www.newsweek.com/id/160039
4)ガーディアン紙のサイトでCDMを検索するとCDMを批判的に検証した記事が多数出てきます。
http://www.guardian.co.uk/
5)Transnational Institute (TNI)
http://www.tni.org/index.phtml?&lang=en
このサイトのEnvironmental Justice
また carbon trade watch  http://www.carbontradewatch.org/

CARB&lang=&text00=&text10=&menu=11c
付記:水力発電ダム以外にも、アグロ燃料振興と大規模プランテーションの拡大など、CDMに関連する問題は多岐に広がっています。またここであげた中南米以外にも世界中で進行中です。この中から今回は水力発電ダムの問題に焦点を当てています。
 

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2008/11/06

パタゴニアにおけるダム開発計画

 チリ南部のパタゴニア地方におけるダム開発について、10月7日に掲載しましたブログ記事「中南米におけるダム開発問題」でもお知らせしました。
 http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/10/post-c444.html

 このダム計画は、パタゴニアのパスクア川とベーカー川の流域に5つのダムを建設し、約2400メガワットの発電量を目指しているものであり、なおかつ、2450キロにわたる送電線で、首都部に電力を供給している中部連結システム( SIC: Sistema Interconectado Central)に結合する計画です。

 しかし10月末にHidroaysen社の水利権の申請が却下されたという情報もあり、ダム開発に歯止めがかかる可能性があります。

 前回紹介以外に、このダム開発に関連するいくつかのサイトを見つけましたので掲載します。

1)アウトドア・ウェアなどのメーカである「パタゴニア」のサイト
  いますぐ行動を起こそう! 
  パタゴニアのダム建設反対キャンペーン
 http://www.patagonia.com/web/jp/patagonia.go?assetid=18771
2)インターナショナル・リバー (英語)
    英語でパタゴニアに計画されているダムの情報にアクセスできます。
 http://www.internationalrivers.org/en/latin-america/patagonia
    スライド・ショーもあります。
    http://www.internationalrivers.org/en/node/2540
   

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2008/10/30

パナマの先住民族、集団的土地所有の権利を求めて米州人権委員会に提訴

 10月28日、パナマの先住民族の代表は、国が先住民族の土地への権利を脅かしているとして、米州人権委員会に対して申し立てを行った。
 28日の公聴会にはパナマの7つの先住民族、ノベ民族、ブグレ民族、クナ民族、ナソ民族、ブリブリ民族、エンベラ民族、ウォウナン民族を代表して、ナソ民族からフェリクス・サンチェス、ウーゴ・サンチェス、ノベ民族からはフェリシアーノ・サントス、エルネスト・ロペス、そしてウォウナン民族からレオニデス・キロスが参加した。
 
 公聴会において、先住民族の代表は、パナマには人口の12%の先住民族が居住しており、5つのコマルカ(先住民族テリトリー)が認められているが、残りの民族及びコマルカ外に住む先住民族に対して集団的な土地所有、コマルカが認められていない問題を訴えた。
 先住民族は土地への権利が侵害されていることに加えて、先住民族の土地におけるコンセッションの問題、政府による先住民族の政治組織への介入、警察の専横といった問題を取り上げた。
  レオニデス・キロスは土地権侵害の問題として次のように訴えた
1)憲法127条において集団的土地所有が認められているにもかかわらず、その権利が十分に保証されていない。
 クナ、ノベ、ブグレ、エンベラ民族、ウォウナン民族に対して5つのコマルカがあるが、ナソ民族、ブリブリ民族は先住民族はコマルカを認められていないこと。また多くの先住民族がコマルカの外に置かれ、こうしたコミュニティに対しては集団的な土地所有が認められていないこと。ウォウナン民族のケースであれば16コミュニティのうち4つのみがエンベラ-ウォウナン・コマルカ内に位置するが残りは外にあること。
2)土地所有権確定の担当機関として農地改革局が指定されているが、これは個人所有地を確定してきた機関であり、先住民族の集団的な土地所有を確定するにはふさわしくない。
3)入植者による先住民族の土地への侵入
 非先住民である入植者が、国の中央地域からやってきて、土地に侵入し、森林を破壊し牧草地にして、大地主に売却している。政府はこうした入植者の権利を認めても、先住民族の権利を認めていないのである。 
4)先住民族は、自分たちの土地を守ろうとするだけで、テロリスト、ゲリラと言われてきた。
 パナマの先住民族は、権利の尊重を求めてきたが、政府は何もせず、その間にも暴力の被害を受けてきた。

  ナソ民族の代表である、フェリックス・サンチェスは、土地のコンセッション、先住民族の文化の侵害、政治機構への介入、警察による暴力といった問題を訴えた。
1)水力発電、鉱山開発、観光にはコンセッションが必要であるが、これらが、先住民族の同意なく与えられ、開発が進められている。ノベ民族、ナソ民族などテリトリーにおいて多国籍企業に対して水力発電開発のコンセッションが与えられた。
2)鉱山開発、健康被害や生命への危険性
3)ボカス・デル・トロスの島嶼部における観光開発による土地からの先住民族の排除
4)先住民族の土地権利の保全が急務である。
5)国家は、先住民族の政治機構に介入し、影響力を行使している。例えばナソ民族の伝統的なプロセスを無視して代表を押しつけようとしている。
6)水力発電ダム建設会社が先住民族の自由な通行の妨害
7)警察による弾圧。また開発側のみの擁護をし、先住民族を弾圧している。
 
 更に先住民族を代表して次の点を要請した。
1)現地において権利を侵害されている先住民族の状況について早急に調査を行うこと
2)パナマの先住民族の状況について調査を行い、報告書を作成すること
3)先住民族の土地権を尊重し、保証すること
4)チャン75ダムに脅かされるノベの状況に対して予防措置を取ること。

 パナマ政府はこれに対して、パナマ政府は先住民族の権利を尊重し、コマルカを設置するとともに、現在集団的土地所有を認めるための法案411について審議をしているところであり、先住民族の代表である議員も参加していると反論。
 更に人口で10%でしかない先住民族に対して既に22%の土地がコマルカとして登記されているのだと述べている。
 またダム開発に関しては、県レベルではなく、国の電力供給の15%を担えるものであること、現在の住民は1968年頃にその土地に生活しはじめたのであり、伝統的に居住していたわけではないと反論。また森林保護区として設定されているのであり、このダム計画地域の土地は、集団的土地所有地とも個人所有地とも登記はできないとしている。手続き的にも法に定められた環境影響評価等の活動を、住民の参加に基づいて実施してきているし、移転に関しても住民の合意を得て、近隣地に行っていると述べている。
  しかし先住民族側は、コロンブスによる侵略以前からこの土地に住んでいたことをあらためて表明。1983年に設定された森林保護区についても、先住民族の同意なく押しつけられたものであり、法案411も先住民族との協議なく作成されたと反論している。またナソ民族は32年前からコマルカを要求していることをあらためて主張している。
<この公聴会の音声はは米州人権委員会の次のサイトよりダウンロードできる>  http://www.cidh.org/Audiencias/seleccionar.aspx
 
 今回のCIDHへの申し立てに関しては、現在次のように考えている。
1)法案411については現在の法案の正確な文面がつかめていないのではっきりしないが、先住民族組織側としては、土地だけではなく、政治的な自治権の確立という点で法案411の問題を捉えているようである。その点でコマルカとして設定するのとは大きな違いが出てくるものと思われる。
2)この法案はこれまでのナソ民族によるコマルカの要求を妨げる、封印するものとなりえるものであり、先住民族の自治権を侵害している。
3)森林保護区としての制定が集団的土地所有も制約するということになると、ナソ民族のテリトリー確立はほぼ不可能となり、ダム開発だけではなく、自然保護区と先住民族の権利という問題も提起されることとなる。
4)警察による暴力的な弾圧、協議のあり方の問題についてはパナマ政府からは正確な反論はなされていない。

 CIDHによる調査が行われることを期待するとともに、先住民族のテリトリーの承認と自治権の確立が必要とされている。

 開発と権利のための行動センター
 青西
 
 開発と権利のための行動センターでもナソ民族の動きを支援するとともに、パナマの先住民族組織の動きとも連携をはじめています。こちらのサイトもご覧ください。
http://homepage3.nifty.com/CADE/campaign/panama/naso.htm
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/07/post_4f31.html

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2008/10/07

中南米におけるダム開発問題

 中南米におけるダム開発が、地域社会や環境に与える影響について、また地域住民組織や環境団体による反対運動についてはこのブログにおいても何度か報告してきた。
 グアテマラで先月開催されたラテンアメリカ水法廷においても、ブラジルのマデイラ川水系やパナマのチャンギノーラ川におけるダム開発の問題が取り上げられている。
1)ブラジル、マデイラ水系のダム開発
 「カニンデ民族・環境を守るためのアソシエーション:ASSOCIAÇÃO de DEFESA ETNOAMBIENTAL KANINDÉ 」はラテンアメリカ水法廷において、南米地域インフラ統合イニシアティブ(IIRSA)の一環としてマデイラ水系に計画されているサン・アント
ニオ及びヒラウの水力発電計画がカリタナ、カリプナ、オロボム、カスパなどの先住民族への間接的な影響を適切に評価していないこと、地域住民の意思決定への参加が考慮されていないこと、広範な面積の水没、流域の漁民や農業への影響、先住民族の歴史的、文化的遺産への影響といった問題などを訴えた。
 この総発電量6.494,4 メガワットが見込まれている二つのダムは、ブラジルの電力の8%を供給する計画であり、送電設備などを含めて269億ドルのコストが見込まれている。
http://www.aneel.gov.br/
http://www.biceca.org/es/Project.Overview.138.aspx
http://www.kaninde.org.br/index.php?option=com_content&view=article&id=91:peticao-para-o-tribunal-latino-americano-da-agua&catid=38:primeira-pagina&Itemid=71

2)ブラジルにおける小規模ダム開発
 同時にブラジルでは、小規模ダムの建設も問題となっている。8月4日付のティエラ・アメリカのサイトは、シング川流域に作られている小規模ダムが先住民族に影響を及ぼすと告発している。これらのダムは小規模であるということでクリーンとみなされ、容易に建設が認可されるとのことである。しかし小規模ダムの建設が回遊性魚種の遡上を妨げることで再生産を阻害しているとシング先住民族公園に住むパウロ・カマイウラは訴えている。このことはが先住民族の食糧を脅かすことにつながっている。
 また南部のサンタカタリーナ州では、小規模水力発電がラフティングなどの観光開発の妨げになると、地元の業者の反発を招いているとのことである。
 この記事ではブラジルでは240の小規模水力発電の計画があり、このうち81は既に建設中であり、1342メガワットの電力を供給が見込まれているとのことであるが、ここで取り上げている小規模水力発電がどの程度の規模や形式のものを含んでいるのかは定かではない。
Alud de pequeñas centrales hidroeléctricas(2008/08/04)
http://www.tierramerica.info/nota.php?lang=esp&idnews=3013&olt=382

3)チリ・パタゴニア
 チリ南部のアイセン地方に計画されている巨大な水力発電ダム建設も大きな問題となっている。BBCの報道によるとパタゴニアに位置するこの地域は、豊かな自然環境を活かして、観光や農牧畜業、水産業を持続的な地域開発の柱に据えてきた。しかしここに32億ドルの投資により、3つの貯水地を有する発電所を建設する計画が持ち上がっている。さらにはこの土地で発電した電力を2000キロ離れた首都まで送電するために、自然保護区を縦断する送電線の設置が計画されている。
 この計画に対し、既に様々な社会組織が集まり「ダムのないチリ・パタゴニアを」というキャンペーンを展開している。運動家の一人はこの電力は、太陽光発電の無限のポテンシャルがある北部の鉱業開発に利用されるものであり、なぜここから電力を運ばなくてはいけないのか」と疑問を呈している。
Chile: controversia por represas    (2008/09/25)
http://news.bbc.co.uk/hi/spanish/business/newsid_7608000/7608422.stm
 「ダムのないチリ・パタゴニアを:Patagonia Chilena Sin Represas」のサイトでは、送電線にによってずたずたにされるパタゴニアの景観の合成写真などを提示し、またそうしたポスターなどもダウンロードできるようにしてある。更にこのキャンペーンのサイトでは、今回のパタゴニアにおけるダム開発問題を通じて、自然への敬意をもった新しい社会のあり方を探るべきだと提起している。そこでは、「チリ株式会社」を、より相互関係と連帯に基づく社会に変換すること、自給的な社会を目指すこと、分権化そして地域ごとの多様な経済のあり方を促進することなどを訴えるとともに、パタゴニアを守ることを通じて、世界に対して過去の証と、自然への尊重と愛に基づく新しい時代の始まりを示すことができるだろうと述べている。
http://www.patagoniasinrepresas.cl/final/
 
4)パナマのダム開発
 パナマにおけるダム開発についても、既にこのブログで報告しているが、地球の友インターナショナルが支援している”Radio Mundo Real ”では、パナマの環境保護団体であるACDのルシア・ラソへのインタビューを聞くことができる。
 パナマでは経済成長に伴う電力需要に対応するために政府がダム建設を進めており、150あまりのダム開発計画があり、そのうち30程のプロジェクトが既に進行しているという。しかしこれらの計画には適切な規制がかけられていないという。6500平方キロほどの(栃木県ぐらい)のチキリ地方では現在40ほどの水力発電プロジェクトが存在し、先住民族の土地からの排除も進んでいると述べている。
Aumenta el rechazo a hidroeléctricas en Panamá(2008/08/12)
http://www.radiomundoreal.fm/rmr/?q=es/node/26082

 開発と権利のための行動センター
 青西

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2008/09/13

パナマ:侵略をうけるナソ民族のテリトリー

 現地からの報告の翻訳です。
「植民地主義のもとにおかれるナソ民族」(08/09/13)

 残念なことに今朝は「Buenos dias」と言うことはできません。私の、ナソ民族は、今、メデジン公企業(EPM)の操業によって深刻な危機に直面しているからです。
 私たちが先祖から引き継いできた土地を奪い取ろうとする、この厭わしく、恥知らずの犯罪者たちは、強引に私たちナソのテリトリーのボノ村に、重機やその他の機械設備を持ち込み、工事を継続しようとしているのです。これは非常に深刻な状況です。EPMは私たち先住民族の人権とテリトリーを侵害しているのです。強い圧力をかけて、私たちが受け継いできたものを奪い去るための歩を進めています。
  
 その一方でこの9月9日、グアテマラのアンティグアでの水法廷において、この企業の責任者たちは、政府、ナソ民族リーダー及びそのアドバイザーと歩み寄るプロセスをとるという決定に署名をしているのです。アンティグアで、9日に署名をし、同意内容を履行することを約束しておきながら、その2日後には、その約束を反故にする行為を取っていることは許し難いことです。

 しかし私たちはこの企業が行っている圧力に対して決して屈しません。私たちの権利を守るために最後まで訴えていきます。ナソ民族は、パナマ政府に対して、この企業に対して、私たちの権利と受け継いできたものをもてあそぶことを許さないということを示していきます。私たちが受け継いできたもの、テリトリーは、取引の対象ではないし、売り物でもありません。安い商品の取引ではなく、私たちの生活そのものなのです。

 エリセオ・バルガス(Eliseo Vargas Jr /Fundación Naso)

 *Empresas Publica de Medellín はラテンアメリカ水法廷の支援で結んだ合意を破っているだけではなく、「パロ・セコ保全林」の利用許可も得ていません。この企業はナソのテリトリーを侵害しているだけでなく、パナマの環境法にも違反しています
  (Alianza para la Conservación y el Desarrollo 付記)

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2008/09/12

「きれいな開発」の名で資金を探すダム建設が世界遺産を脅かす

 パナマの環境NGO、ACD(保全と開発のための連携)は、パナマで建設が進められつつある新しいダムは、CDM(温暖化対策のための京都議定書に基づく「クリーン開発メカニズム」)による資金を受けようとしているが、地域では環境破壊と人権侵害を引き起こしていると告発している。

 米国のAES社によって建設が進められつつある「チャン-75」ダムは、CDMに基づくクレジットを得るための申請を行っているが、環境破壊を引き起こすものである。
 パナマの環境NGO、ACDのオスバルド・ホルダンは「このダム建設は環境を破壊し、地域に住むノベ先住民族の人権を侵害するものである」と告発している。
  またこのダムは「世界ダム委員会」の基本ラインを踏襲したものではなく、更にパナマのボカス・デ・トロに位置する「アミスター生物圏保護区」内にある「パロ・セコ保全林」内に建設されつつあるという。つまりユネスコによって登録されている世界遺産でもあり、コスタリカ、パナマの二ヶ国にまたがる「アミスター国際公園」を脅かすものとなっている。この公園のコスタリカ側、パナマ国境近くでは最近になって3種の新しい両生類も発見されている。
 このダムは、回遊性の魚種やエビ類に深刻な影響を及ぼすとともに、ジャガーやバクまたオウギワシなどにもネガティブな影響を引き起こす可能性がある。

 更にダムはノベ先住民族の人権を侵害している。パナマの環境行政当局であるANAMは影響を受けるノベ民族の同意を得ることなく建設を認可している。このダムによってノベ民族の1000人の自給農民が移転を強いられ、独自の生活を破壊されることとなる。AES社はノベ先住民族の抗議に対して、脅しや賄賂そして警察による弾圧まで、様々な方法で対抗し、ノベ農民に土地を明け渡すよう圧力をかけている。
 「チャン-75ダムはCDMが環境に対して破壊的なプロジェクトへの補助金として利用されている証拠である」とカーボン・トレード・ウォッチのオスカー・レイエスは述べている。「これは二つの重大な喪失の舞台である。他の地域の産業が環境を汚染し続けるためにパナマの民族そして環境が危機にさらされている」(ACD 08/08/06)

Represa que amenaza sitio Patrimonio Mundial de la Humanidad en Panamá-busca dinero como "desarrollo limpio" (ACDから整理)

追記:パナマのチャン-75ダムに脅かされるノベ民族についてはカルチャル・サバイバルがハガキ・キャンペーンを行っています。
http://www.culturalsurvival.org/programs/panama/panama-letter.cfm

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2008/09/04

開発と権利のための行動センターのプロジェクトから/地域の連携の強化

 行動センターでは、自然資源に対する先住民族の権利を確立していくことを目的に、先住民族組織の活動を支援しています。

 現在、グアテマラそして中米諸国では、鉱山開発や水力発電ダムなど様々な巨大プロジェクトが、地域に居住する先住民族の意思を問うこともなく、押しつけられるという問題が各地で起きています。これは昨年国連で承認された「先住民族の権利に関する宣言」に違反するものでもあります。
 しかしその中で、各地で地域住民の主体的な参加による運動が広がっています。地域の先住民族による協議の実施や地域の様々な団体によるネットワークの形成、国際的な運動との連携などが進みつつあります。インターネット・カフェや携帯電話など、地方都市や農村部でも、国内外の機関と直接にコミュニケーションを取れるインフラが確立してきたということも重要な要因だと思いますが、首都を拠点とするNGOや運動体の主導ではなく、問題を抱える諸地域に、様々な運動が生まれ、それらがつながりつつあることは非常に重要な動きだと思います。

  こうした中で、既にこのブログでも紹介しました「ラテンアメリカ水法廷」が9月8日~12日にかけてグアテマラ、アンティグアで開催されます。この中では次のような告発が取り上げられます。
・産業及び生活排水によるアルタ・ベラパス県のチチョフ湖の水質汚染
・エルサルバドルのトロソ川におけるダム建設によるセンスナパン水系への影響
・パナマのボンジック川及びチャンギノーラ川におけるダム建設の問題
・メキシコ、シロチィンゴにおける医療廃棄物問題
・メキシコ、マラバスコ水系の汚染
・グアテマラ、サンマルコス県における露天掘りの鉱山開発によるクイルコ水系の汚染
・ブラジルにおけるマデイラ川巨大ダム建設問題
・ウエウエテナンゴ県のサン・フアン水系の汚染
  このほかにも先住民族と環境、水、テリトリーをテーマにしたフォーラムがいくつも開催されます。

 開発と権利のための行動センターでは、こうした集まりを通じて、各地の先住民族組織が様々な経験や取り組みを共有し、問題解決に向けて取り組む力、その支えとなる様々なつながりを強化していくことが重要だと考えています。
 
 そこで今回のラテンアメリカ水法廷に向けて、開発と権利のための行動センターでは、ダム開発問題を抱えるキチェ県のイシル地域やイシュカンの地域リーダーの参加経費を支援するとともに、パナマの先住民族の代表の参加経費も支援しています。

 日本からも是非参加したいところですが、限られた予算はやはり現地の人々の参加のために向けていきたいと考えています。パナマからも現地の意向で、1名ではなく2名ということで飛行機ではなくバスを乗り継いで参加する予定です。

 是非、開発と権利のための行動センターの活動をご支援ください。
◆郵便振替口座 00230-5-131472
◆口座名 開発と権利のための行動センター
(通信欄にグアテマラと指定ください)


 また今回、日本からの参加者を送る予算がないこともあり、ちょうどグアテマラ滞在中で参加できるというような方がおられましたら報告を頂けるとうれしい限りです。

  ラテンアメリカ水法廷のサイトはこちらです、
 http://www.tragua.com

 行動センターは今年からパナマのナソ民族の支援にも取り組みはじめたところであり、是非ご協力ください。
 パナマでは今回のラテンアメリカ水法廷の報告も含め9月18日から22日にかけて、「反ダム開発全国フォーラム」も開催されます。(詳細は行動センターまでお問い合わせください)

ナソ民族支援についての詳細はこちらのサイトから
「今動けば、ナソ民族の未来は変わるかもしれない!」
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/07/post_4f31.html
またこちらのサイトにも情報を掲載しております。
http://homepage3.nifty.com/CADE/campaign/panama/naso.htm

その他、ダム開発関係の情報はブログのカテゴリー<ダム開発>からお読みください。
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/cat7897563/index.html

  開発と権利のための行動センター
 理事 青西靖夫

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2008/08/22

ラテンアメリカ水法廷

 ラテンアメリカの水に関係する紛争解決を目的として設置された国際的な取り組みである「ラテンアメリカ水法廷」が9月にグアテマラで開催されます。これは市民社会による、独立した、国際的な取り組みで、既に2000年からコスタリカ、メキシコで4回の法廷を開き、42のケースを扱ってきました。
 (これまでの評決は次のサイトから) 
  http://www.tragua.com/es/index.php?option=com_content&task=view&id=72&Itemid=53

 グアテマラでは9月8日から12日に法廷が開かれ、グアテマラ、サンマルコス県の鉱山開発による水系汚染についての告発の他、パナマのボンジック川におけるダム建設、ブラジルのマデイラ川におけるダム計画などの訴えが審議されます。

 開発と権利のための行動センターでは、実施中のプロジェクトにおいても、キチェ県でダム開発問題を抱えるイシル民族の組織の支援にも取り組んでおります。
 またこのブログでもこれまでにダム開発の問題を取り上げてきており、パナマのダム開発問題、マデイラ川のダム開発問題などについても記事を掲載してきました。
 カテゴリー<ダム開発>から
 http://cade.cocolog-nifty.com/ao/cat7897563/index.html
 
 更に今年からはパナマのナソ民族の支援にも取り組みはじめたところであり、今回のパナマのからの参加者の経費支援も行います。是非ご協力ください。ナソ民族支援についての詳細はこちらのサイトから

「今動けば、ナソ民族の未来は変わるかもしれない!」
  http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/07/post_4f31.html
 またこちらのサイトにも情報を掲載しております。
 http://homepage3.nifty.com/CADE/campaign/panama/naso.htm

  開発と権利のための行動センター
 青西

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2008/08/12

グアテマラ:先住民族組織の要求

8月9日の先住民族の日に向けて、グアテマラの先住民族組織、農民組織が政府に対する声明を発表

 西部地域民族審議会、農業プラットフォーム、エンクエントロ・カンペシーノ、ワキッブ・ケフは次のことを要求する。(2008/8/08)
1)先住民族、先住民族コミュニティのテリトリーを尊重し、鉱物資源の探査・採掘のためのライセンスまた大規模な水力発電ダムの計画が損害を与えるものであることを宣言すること。
・国家は、(鉱物・森林・水資源といった)自然資源の探査や開発に関するライセンスの供与に先立ちコミュニティの決定を取り上げ、尊重するために、先住民族への協議に関する法と細則の策定を、農民や先住民族運動とともに開始すること。それによって国家は、ILO169号条約及びその裁定299に定められた先住民族の土地所有権及び占有権を保証する必要な対策を取ること。
・これまでに27の自治体において実施された、そして今後各地で実施されるであろうコミュニティによる協議の結果を尊重し、それを遂行すること。
 また次の点を早急に要求する(抄訳)
a)200以上の鉱物資源探査・採掘ライセンス及び申請の停止。ここ3年間に認可された14県における45のコンセッションの早急な破棄
b)サンマルコス県サンパブロにおけるイシュピル川の50年間にわたる利用を認めた省令2008-121の破棄及びサン・ラファエル・ピエ・デ・ラ・クエスタ、キチェ県のサン・フランシスコ・コッツアル、サン・ペドロ・シャクバルにおける水力発電計画を認めた省令の破棄
c)水力発電計画に影響を受けているサン・マルコス県サンフランシスコ及びサンパブロの土地占有権を認めること
d)チキムラのリオ・グランデにおいて民間企業に水力発電ダム建設の免許を与えないこと
e)河川の切替えのない水力発電計画の推進、また国家の資金との共同出資で、影響を受けるコミュニティを代表する組合と自治体を通じて管理すること。
f)鉱物資源のライセンスのモラトリアム。

2)市場を通じてではなく、社会的視点をもった「土地アクセス」の回路を設置すること。
 略
3)互助を意味する“QO ONIN QIB´”に基づいたプログラムの設置、これに基づいて複雑な問題解決のために整合性のある公的プログラムを展開すること。
 略
 このほか、この声明では農民運動、社会運動を犯罪とみなさないこと、人権の尊重、ラミロ・チョックの解放などを要求している。
原文はこちらへ
 http://www.avancso.org.gt/archivo/1218216076.pdf

 また8月8日のデモに先だって、農民組織の一つであるCONICは8月5日、約3万2千人に上るCONICメンバーへの補助金と融資などを求めるデモを行っている。

 開発と権利のための行動センター
 青西

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国連特別報告官、ダム開発に脅かされるパナマの先住民族に懸念を表明

 国連の先住民族の権利に関する特別報告官、ジェームズ・アナヤ氏は、パナマのボカス・デ・トロ県のチャンギノーラに建設中のチャン75がノベ先住民族コミュニティに引き起こす影響について懸念を表明。
「チャルコ・ラ・パバ・コミュニティのメンバーが、土地からの専横的な移転、家屋の喪失、農作物の破壊などの他、過剰な暴力の行使、女性や子どもを含め、建設に反対するメンバーの拘束などの虐待を受けていることに対して、懸念をもって注視している。また、この地域における武装警官の存在が、状況を悪化させており、チャルコ・ラ・パバ・コミュニティの成員の生活と身体的な統一性が危険にさらされていることに深い懸念を表明するものである。(中略)そこでパナマ政府に対して次の点に対して全ての必要な手段を講じることを要請する。(1)先住民族コミュニティの権利と自由を擁護すること(2)訴えられている人権侵害に関する真摯な調査の実施と責任者の処罰(3)被害者への被害の補償(4)同様の事態が起きないように必要な手段を取ること。」
 「また政治・経済・ビジネスに関係するアクターに対して、人権に関する責任を強化すべく諸機関が行っている勧告を考慮することを求めるものである。特に2007年9月に採択された先住民族の権利に関する国連宣言に政府が注意を払うことを喚起する。特にその10条において「先住民族はその土地もしくはテリトリーから強制的に移転されるべきではないこと。自由な、事前の、情報に基づいた同意無しに、また可能な場合には、帰還のオプションを含んだ、正当かつ公正な補償に関する合意なしに、先住民族の移転はなされるべきではないこと」を定めている。

 2007年の終わりに、AES・チャンギノーラ社はチャン75水力発電ダムの建設を開始したが、これはチャルコ・ラ・パバ・コミュニティ及び周辺の先住民族コミュニティの完全な水没を引き起こすこととなる。しかしこれは被害を受けるコミュニティの、国際的な基準にみあった、事前同意を得たものではない。
 2008年4月8日及び6月3日に特別報告官はチャルコ・ラ・パバの状況に関してパナマ政府に対して緊急アピールを送付している。しかしこれらの通信において表明した疑問と懸念に対して、いまだパナマ政府から返答を受け取っていないことに対して、特別報告官は遺憾に思うものである。

http://www.unhchr.ch/huricane/huricane.nsf/view01/40A49D23F8481D60C125749F003925B6?opendocument

 パナマのダム開発問題については開発と権利のための行動センターのブログでもいくつか報告しています。

 開発と権利のための行動センター
 青西

2008/03/07:中米におけるダム開発問題など(コスタリカ・パナマ)
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/03/post_45fa.html
2008/04/11:パナマ:ダム開発に抵抗するノベ先住民族
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/04/post_7cee.html
2008/07/04:支援要請:今動けば、ナソ民族の未来は変わるかもしれない
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/07/post_4f31.html
2008/08/06:パナマ:ダム開発&鉱山開発への抗議
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/08/post_4d12.html

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2008/08/06

パナマ:ダム開発&鉱山開発への抗議

1)ペタキージャ鉱山開発への抗議声明(2008/7/31):一部訳
 ペタキージャ・ミネラル社は、コロンやコクレ地域の自然資源を破壊し続けている。
 (1)ペタキージャ・ミネラル社は、海外(カナダ)に豊かな鉱物資源を持ち出すために、私たちの森、川、山そしてエコシステムを破壊し続けている...これはスペインの植民地時代の略奪と何ら変わるものはない。
 (2)ペタキージャ・ミネラル社は土地、植物、動物、水、きれいな空気、こうした生活に欠かせないものの破壊し、剥奪しつつづけている。
 (3)ペタキージャ・ミネラル社は国際法、パナマ国憲法、国内の環境法や労働法に違反し続けている。しかし私たち、国民の政府は、鉱山会社を免責しているのである。法は貧者を処罰するために使われるが、金持ちや権力者には履行されないのである。

 ・私たちは、ペタキージャ・ミネラル社がその違法操業を停止するまで闘い続ける意志を持つことを確認する。
  
Comité Pro Cierre de Petaquilla
Coordinadora Campesina por la Vida
Comités Eclesiales de Base de la Costa Abajo de Colón
http://www.panamaprofundo.org/boletin/mineria/comunicado-31-7-2008.htm

2)Chan-75 ダムをCIDHに提訴したケース続報(080730)
 パナマの保護と開発のための連携(ACD)は、チャンギノーラ川におけるチャン75ダムに関する続報を発信している。
これはACDとカルチャル・サバイバルがこのダム開発計画に関して、米州人権機構に対して予防措置を求めて提訴しているものである。
 パナマ政府が、国民に対して果たすべき役割を果たさず、また移転を強いされる住民に対する補償も進んでいないことなどを指摘している。ACDによる声明では、AES-チャンギノーラ社がノベ先住民族の個々人と結んだ合意を無効とし、土地とその他の所有物に関する、個別のノベ及びコミュニティの権利を回復することを要請している。また環境影響評価を新たに実施すること、先住民族の土地の調査・確定作業を進めること、先住民族の土地を保護するため、事前の十分な情報にもとずく、自由な合意を可能とする、伝統に基づくプロセスを定めた法を制定することなどを求めている。
http://www.panamaprofundo.org/boletin/represas/nuevamente-chan-75.htm
チャン75ダム関連の写真などはこちらのACDのサイトから見ることができます。
http://picasaweb.google.com/acdpanama

3)マモニ川におけるダム建設計画への抗議(080728)
 チェポ地方のマリガリータスの住民はマモニ川におけるダム計画に対して反対の声をあげている。
 私たちの川が持つ自然の特徴を破壊するようないかなるプロジェクトに対して、マモニ川を巡って取引をすることはできない。
 関係当局に対し、このプロジェクトが進行しないことをはっきりと表明し、私たちに平和を取り戻すことを要求する。
http://www.panamaprofundo.org/boletin/represas/comite-comunitario.htm
 開発と権利のための行動センター
 青西

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2008/07/04

支援要請:今動けば、ナソ民族の未来は変わるかもしれない!

             パナマのナソ民族は
ダム建設に反対する自分たちの声を伝え、
政府と交渉し、
このダム建設プロジェクトの見直しを要求していく方針です。
 自分たちのテリトリー(コマルカ)への権利を承認させ、
その上で自分たちの未来を
自分たちで決めていくことを求めています。
開発と権利のための行動センターでも、
微力ながらもこの動きを
支援してきたいと考えています。
ご協力お願いします。

   <ダム開発に抵抗するパナマ、ナソ民族>

 もし私たちに権利がないというのであれば、私は家に籠もって、建設機械が私たちのテリトリーをずたずたにしていく姿を泣きながら見ていることでしょう。でも私たちには権利があります。あなた方が私たちの権利を認めていないだけなのです。

 ナソ民族は、コスタリカとの国境沿いの、ボカス・デ・トロ県に居住する約3000人ほどの、パナマでも少数の先住民族集団です。ナソ民族の11コミュニティはテルディ川(Abuela de Agua)流域に生活し、そのテリトリーの多くが自然保護区に含まれています。ナソ民族は1973年より、そのテリトリーの法的な認知(コマルカの制定)を求めていますが、いまだ法的に承認されていません。

 こうした中、テルディ川の支流のボンジック川(Rio Bonyik) に1997年からダム建設の話が動き始め、2004年からは、コロンビアの公営企業であるEmpresas Publica de Medellín (EPM)が建設に向けての動きを本格的に開始しました。この中で、ナソ民族の中に分断が生み出されています。当時の伝統的な権威の長、ナソ民族の王であるティト・サンタナはいくつかの開発事業との引き替えにダム建設を許容する方針を打ち出しました。
 しかしこれに反発した人々は2005年1月5日に民族総会を開催し、ティト・サンタナは役を解かれ、バレンティン・サンタナが新たな権威として任命されました。それ以来、ナソ民族に分裂が生まれ、建設を進めようとする政府や企業側はこの分裂を利用しています。またコマルカの設定に関しても、ダム建設を条件にしようとしているのです。
 
 更に2007年10月からダム建設のための道路工事が開始されたことから、反対派住民との対立が深化しつつあります。道路工事を強行しようという企業に対抗して、反対派のナソ民族は建設機械の侵入に抵抗しています。しかし多数の警官が動員されて反対派が弾圧されるとともに、企業側は武装集団を連れてくるとともに、ナソ民族のダム推進派にも武器を渡し、反対派の住民との対立を煽っています。ナソ民族の内部で暴力的な衝突が危惧される事態となっているのです。民族内部でこのような対立がもたらされたことは、これまでなかったことだと言います。
 また未成年も含めた逮捕、拘束後に一日以上手足に鎖をつけて拘束し、水すら与えないということすら行われました。ナソ民族に対する民族差別が警察当局によって行われています。
 
 ダムだけではなく、道路建設はこの地域に非常に大きな問題を引き起こす可能性があります。まずこの地域は主として河川交通に依存し、車による外部との交通はありませんでした。そこにダム建設に伴い道路を建設することがもたらす地域社会への影響ははかりしれないものがあります。川縁に近い、コミュニティの豊かな土地に道路建設が計画されていますが、そこに居住する世帯が新たにナソ民族のテリトリーの中に土地のなかに得られる保証はありません。また道路ができれば、地域外から放牧地の拡大などが進む可能性も非常に高いものです。
 このように今回のダム建設計画は、ナソ民族の将来に大きな打撃を与える可能性があります。
 
ボンジックの村に住むマルティナさんは、数ヶ月に渡って継続してきた道路封鎖に対して、道路の通行を妨害したとして2008年2月27日に逮捕されました。夫や親戚まで銃口を突きつけられて逮捕され、更には子どもまで拘束されたことに強い憤りを感じています。その際、検事や人権擁護官に対して話したことを思い出しながら次のように語ってくれました。

 もし私たちに権利がないというのであれば、私は家に籠もって、建設機械が私たちのテリトリーをずたずたにしていく姿を泣きながら見ていることでしょう。でも私たちには権利があります。あなた方がその権利を認めていないだけなのです・・・なぜ私たちに権利があるなら、なぜその権利を行使できないのでしょう。先住民族は権利を持っています。ですから政府は私たちの問題を解決するために取り組むべきなのですが、ここにやってきて問題を解決しようとはしていません。
 (ダム建設)のプロジェクトが「開発」だというのなら、私はこんな所で検事を相手に話などしていないでしょう。このプロジェクトのせいで、私は警察に拘束され、娘も拘束され、未成年の拘置所に連れて行かれ、そんなところを知ることになり・・・もし私たちに権利があるのならなぜ、あなた方はそれを尊重しないのですか。
 魚、私たちは魚で生きています。ダムで水は汚染されないというけど、魚はみんないなくなることでしょう。だってボカ・チカ(在来種の魚の一種)はタービンを抜ける事はできません。木だって伐採されます。道路が、地面の下を、木を伐採することなく造られるのいうのですか
 私たちが森を守ってきたのです。政府の環境局(ANAM)ではありません。ANAMは私たちがトウモロコシやフリホールを栽培するために木を切るためにはあれこれ規則を押しつけるのに、今回のプロジェクトでは1200haもの伐採を認めているのです。
 道路ができたらどうなることか。土地を買いに山ほどの人が入ってくるでしょう。そして牧草地も開かれ、森も破壊されるでしょう。
 町の人は、電気代が高い、電気が必要だといいますけど、私たちにその負担を押しつけないでください。私たちには私たちの権利があるのです。私は一度だって、外に住みたいと思ったことはありません。もしそうならとっくにチャンギノーラ(注:近郊の町)に行って、バナナ農園なりで働いていることでしょう。
  私たちはまずコマルカを求めているのです。その後にプロジェクトの話はしてください。
 いくら金が欲しいのだ、と紙をちらつかせました。私たちには何も価値がないみたいに。『インディオ』はまるでお金の前に何でも渡すみたいに・・・お金は今もないし、きっと明日も全然お金などないことでしょう。でも、私たちにはこのテリトリーがあります。ここで私は死んでいくことでしょう。でも子どもや孫はここで生き続けていくのです。私たちがこのプロジェクトを認めてしまったら、若者たちの未来はどうなるのでしょうか。(2008/6/11インタビュー)


  ナソ民族は自分たちの声を伝え、政府と交渉し、このプロジェクトの見直しを要求していく方針です。コマルカを承認させ、その上で自分たちの未来を自分たちで決めていくことを求めています。

            開発と権利のための行動センターでも、微力ながらもこの動きを支援していきたいと考えています。
                            今動けば、ナソ民族の未来は変わるかもしれない!

        ナソ民族の権利確立支援カンパは下記口座までお願いします。
                ◆郵便振替口座:00230-5-131472
           ◆口座名   :開発と権利のための行動センター
                 (通信欄に「ナソ」と指定ください)
 開発と権利のための行動センターの関連サイトはこちら
 http://homepage3.nifty.com/CADE/campaign/panama/naso.htm
 
 開発と権利のための行動センター
 理事 青西

 その他参考サイトとして 

 ビデオクリップもあります。

 http://www.guardian.co.uk/environment/2008/jun/16/endangeredhabitats.conservation

http://www.guardian.co.uk/environment/video/2008/jun/16/naso

こちらのサイトだとTranscriptが入っています。

http://therealnews.com/t/index.php?option=com_content&task=view&id=31&Itemid=74&jumival=1728 

Cultural Survivalのサイト。この中のDam Nationは前半がノベ、後半がナソ民族とダム問題を扱っています。

http://www.culturalsurvival.org/programs/panama.cfm

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2008/06/01

 一方的な開発に対して先住民族の権利を擁護するために(グアテマラ)

 一方的な開発に対して先住民族の権利を擁護するために

 グアテマラでは現在、各地で多国籍企業による鉱山開発、水力発電ダム開発計画などが進んでいます。水力発電ダム中には、地球温暖化の対策としてCDM(クリーン開発メカニズム)の枠組みで計画されているものもあります。更に石油価格高騰の中で、水力発電への注目は高まっています。
 キチェ県においても、イシル地域のチャフルにおけるシャルバル・ダム開発計画、イシュカンのシャララ・ダム開発計画、サン・フアン・コッツアルのパロ・ビエホにおけるダム計画などが進められつつあります。
こうした状況に対して、先住民族組織も、先住民族の権利を擁護するという視点から様々な活動が行われています。

 現在、コナビグア(連れあいを奪われた女性たちの会)では、EUの援助も受けながら先住民族の権利を促進するための情報提供と対応力を強化するためのプロジェクトを実施しています。
 このプロジェクトのコーディネーターであるホルヘ・モラーレスさんの話を紹介します。
 
<プロジェクトの概要>
 このプロジェクトでは先住民族の集団的権利について、国連宣言やILO169号条約などを利用して研修を行うとともに、権利の侵害について、調査を行い、告発するという活動をしています
 特に問題なのは、ダム開発や鉱山開発に際して、地域の先住民族コミュニティに対して全く情報が提供されていないことです。また開発に先立って先住民族と協議をすることが定められているにもかかわらず、協議が行われていません。
 私たちは、生存するという権利だけではなく、自然資源や、長年にわたって居住してきた領域に関する権利も有するのです。そうした権利について情報を提供していく活動を大なっています。

<協議について>
 開発に先立って先住民族と協議をすることが定められているにもかかわらず、協議は行われていません。グアテマラで2番目に大きいダムとなるシャララ・ダムでは、19の村が水没し、2万人が移転を強いられるにもかかわらず、政府は協議を実施していないのです。
 まず協議が行われなくてはなりません。それは単に「はい」か「いいえ」かを言うものではなく、交渉であり、対話でなくてはなりません。まずどのように影響がでるのか、自然資源や社会的、文化的な影響を明らかにし、影響がある場合、文化や自然資源に破壊的な影響がある場合、どうするのか、それをコミュニティが決めていなくてはなりません。
 協議とは、対話であり、まず意見を聞き、様々な考えをだし、交渉し、そして合意を形成することでなくてはなりません。


<脅迫>
 以前は国家が、軍を使ってい行っていた抑圧を、今は多国籍企業が人を雇って行っています。リーダーに対して脅迫や暗殺予告を行い、そうかと思うと2週間後には甘い話を持ちかけて分断を図るのです。今は国家に対してだけではなく、企業や、それらの別動隊に対峙していかなくてはなりません。
 またコミュニティが分断され、不穏な空気が広がっています。

<公共事業を餌に>
 企業は、学校を作る、保健所を作る、道路を整備すると持ちかけてプロジェクトを進めようとします。国や自治体も、鉱山や水力発電を受け入れなければ、何もしないと脅かすのです。しかしそれは本来別の話なのです。国は学校や保健サービスや道路を整備する義務を負っていて、それは開発プロジェクトを進めるための条件ではないのです。
 コミュニティに対してこうした点についても情報を提供することを進めています。

 (5月28日、グアテマラ・シティで行ったインタビューから抜粋))
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 キチェ県のイシル地域では、いまだに和平協定が履行されていないことに対して、地域の諸団体が異議を申し立てています。内戦の原因となった社会経済的な問題に真剣に取り組むことなく、また先住民族の権利に関する国内法・国際法を遵守することなく、一方的に「開発」プロジェクトを押しつけるようなことを進めれば、大きな反発を招くことが予想されます。

 開発と権利のための行動センター
 青西

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2008/04/11

パナマ:ダム開発に抵抗するノベ先住民族

 ノベ先住民族のテリトリーに建設されつつあるチャン75水力発電ダムに対して、先住民族が異議申し立てを進めています。このダムは米国系企業のAESによって、パナマ西部のチャンギノーラ川に建設が進められているものですが、ノベ先住民族は、土地や生計手段を失われること、また工事によって日々の生活が脅かされていることを訴えています。
 ダム開発の影響を調査しようとしたUNESCOの派遣団もこの地域へ入ることを許されなかったという。ノベ先住民族とのコンタクトも制限されているとのことである。
  http://www.culturalsurvival.org/publications/csarticles/csarticles-article.cfm?id=25
  http://www.culturalsurvival.org/programs/panama/damnation.pdf
 この事態に対して、米国に本拠を置く先住民族支援組織であるカルチャル・サバイバルが米州人権委員会に対して、ノベ先住民族への人権侵害についての申し立てを行っている。
  http://www.culturalsurvival.org/programs/panama/IACHR_Petition.pdf
  またカルチャル・サバイバルでは支援を求めるキャンペーンを行っている。
 http://www.culturalsurvival.org/programs/panama.cfm

 上記資料についてまだほとんど目を通せていませんので、とりあえず紹介のみ。
 
 開発と権利のための行動センター
 青西


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2008/03/07

中米におけるダム開発問題など(コスタリカ・パナマ)

 中米におけるダム開発問題など(コスタリカ・パナマ)
 
1)コスタリカの先住民族組織がディキス(Diquís)水力発電計画を拒否
  2009年の着工を目指しているコスタリカのディキス水力発電計画に対して、地域の先住民族は拒否の姿勢を示している。このプロジェクトは中米電力統合の一環であり、中米諸国への電力輸出も視野に入れられている。またこのプロジェクトの環境・影響評価は米州開発銀行が、またファイナンシャル・フィージビリティ・スタディはアメリカ貿易開発局(USTDA)が資金提供することになっている。
 しかし先住民族組織は2月21日に記者会見を開き、このプロジェクトがテラバ、チナキチャの先住民族テリトリーに直接の影響を引き起こし、また間接的にクレ、ボルカ、ウハラ、サリトレ、カバルガの先住民族テリトリーに影響を引き起こすと述べている。また直接また間接的な悪影響に加えて、法的にも国際法、ILO169号条約に違反していることを訴えている。
「協議が実施されていないだけではなく、コスタリカ電力公社(ICE)は、先住民族コミュニティをだまそうとした。彼らはICEの宣伝活動を行い、後にそれが正式な協議であったと言っているのだ」と批判している。
  またテリベ・先住民族文化アソシエーションのリベラ氏は、先住民族にとって聖なるものである歴史的・考古学的遺跡が200カ所以上も水没することになること、また歴史的に営んできた生産活動も継続できなくなることなどを指摘している。
 なおこのプロジェクトは30年ほど前にもボルーカ(Boruca)水力発電プロジェクトという名称で計画されていたが、住民の反対で頓挫した経緯がある。

 関連サイト
Organizaciones Indígenas de Térraba rechazan Proyecto Hidroeléctrico Diquís
http://www.comitespatrioticos.com/index.php/todas/620-organizaciones-indigenas-de-terraba-rechazan-proyecto-hidroelectrico-diquis
Inforpress Edición : 1742 Publicado : 29/02/2008 ”Pueblos indígenas rechazan hidroeléctrica Diquís”
http://www.inforpressca.com      
Costa Rican Archaeology to be Lost?
http://www.costaricaholiday.co.uk/blog/?p=513
米州開発銀行:http://www.iadb.org/projects/Project.cfm?project=CR-T1017&Language=English
アメリカ貿易開発局:
http://www.ustda.gov/news/pressreleases/2007/LAC/Costa%20Rica/CostaRicaHydropower_090507.pdf

2)パナマ:ダム建設に反対する先住民族を逮捕/Arrestos de indígenas Nasos en el Teribe,Changuinola, Bocas del Toro,
 ナソ・テリベ先住民族テリトリーにおけるボンイック水力発電所の建設に反対する先住民族メンバーが逮捕される。
 (2008/02/28)
 http://www.panamaprofundo.org/boletin/represas/arrestos-de-indigenas-nasos.htm

 その他、詳細はわかりませんが、リオ・ガトゥにおける水力発電計画への反対の動きなどもあるようです。
Panamá: rechazan hidroeléctrica en Río Gatú
 http://www.biodiversidadla.org/content/view/full/39254
 http://www.panamaprofundo.org/boletin/mineria/urgente-despacho-de-prensa.htm

 開発と権利のための行動センター
青西

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2008/01/29

アマゾン地域の大規模水力発電計画と先住民族

 ブラジル・アマゾン地域に計画されている巨大水力発電ダム計画がブラジル、ボリビア、ペルーの先住民族の生活に被害をもたらす危険性が指摘されている。
 ブラジルのRio Madeira(Rio Madera)に計画されている水力発電ダム計画に、ボリビアの先住民族組織が反対の声をあげています。ボリビアの先住民族組織は米州人権委員会に予防措置を求めて提訴。
 まだ詳細を調べていませんので、サイトの紹介のみ

1)  Pronunciamiento de la región Amazónica de Bolivia en torno a las represas proyectadas sobre el Rio Madera
  http://www.constituyentesoberana.org/info/?q=rio-madera-inundacion-agua
2) Bolivianos protestan contra las represas en el Río Madera
 http://www.portaldelmedioambiente.com/2007/12/19/bolivianos-protestan-contra-las-represas-en-el-rio-madera/
3) Pueblos campesinos de la Amazonía boliviana demandan al Gobierno de Brasil
 http://www.biceca.org/es/Article.636.aspx
4) Brasil: desplazados por la represa
 先住民族に焦点を当てたものではありませんが、移住を強いられる人々へのインタビュー ビデオ
 http://news.bbc.co.uk/hi/spanish/multimedia/video/newsid_7154000/7154146.stm

関連情報へのアクセスとして次の2つのサイトが重要です。
●  FOBOMADE Foro Boliviano sobre Medio Ambiente y Desarrollo
    http://www.fobomade.org.bo/index1.php
    次の文書もあります。
El Norte Amazónico: Entre el aislamiento y la globalización
    http://www.fobomade.org.bo/rio_madera/doc/libro/rio_madera_bolivia_.pdf

 BICECA
    米国のBank Information Center のプロジェクトとして、南米地域インフラ統合イニシアティブ(IIRSA)などの巨大プロジェクトのモニタリングを行っている。(英語での情報もあります))
    そのサイトでRio Madeiraの情報も集約されている。(下記サイトからBibliotecaのリンクに入る)
Megaproyecto: Conjunto de Sub-proyectos Complejo Rio Madeira
http://www.biceca.org/es/Project.Overview.138.aspx
またComunicados de Prensaに諸団体の声明文もあり。
 http://www.biceca.org/es/PressReleases.aspx


 地図は http://www.biceca.org/es/Project.Overview.138.aspxより転載

 開発と権利のための行動センター
 青西

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2007/10/17

強行されるダム開発(グアテマラ・イシュカン)

強行されるダム建設プロジェクト


Xalalagif

 9月25日、グアテマラのキチェ県北部、イシュカンに建設が予定されているシャララ水力発電所計画の入札が開始された。このダムはチクソイ川にかかるもので、発電量は180メガワット、グアテマラでも2番目の規模となる。また総建設費は4億ドルに上るものと想定されている。入札では外国企業が80%の投資を行うことが求められており、20%をグアテマラの国内企業が負担し、開発業者は30年間にわたって、グアテマラ電力公社に電力を発電コストを元にした金額で販売することとなる。
 (開発業者向けにはご丁寧にも次のサイトまで作ってあるが、どこを見ても水没予定地域もわからなければ、環境や社会への影響などについては言及していない。http://www.inde.gob.gt/xalala/
 またこの計画は国内需要の増加に対応するためという名目ではあるが、当初から中米・メキシコの送電線結合の実現後には海外への売電も視野に入っているものである。(Inforpress 07/04/27, 07/09/28) そして居住権の擁護のための活動を行っているCOHREの報告書によると、ダム建設によって34コミュニティ、約15000人もが水没による影響を受けるプロジェクトなのである。(下記報告書 P76)
http://www.cohre.org/store/attachments/Informe%20de%20Mision.Mexico.Honduras.Guatemala.Jul07.pdf

 しかしこのダム建設は今年4月に地元住民より明確な拒否の声を突きつけられている。地方自治体が実施した「住民投票」には大人も子ども含め、2万人近くが参加し、90%ほどが拒否の態度を示している。成人の参加者に限っても、は選挙人登録者、非登録者を含む成人投票者は11953人で、うち86%が水力発電計画を拒否した。(ちなみに 9月の総選挙での選挙人登録者総数は23372人、投票者数は14481人であった。)またこの住民投票は、グアテマラ政府の人権擁護委員会もその実施プロセスを支援し、かつ地方自治体が主体的に実施したものであり、その正統性は明らかである。
しかし水力発電を管轄する鉱山・エネルギー省は、住民投票を「拘束性」がないとしたこれまでの憲法裁判所の判例をもとに、地域住民の意思表明を無視し、開発を進める方針をとっている。更には今後も住民と協議をするのではなく「意識化」を進めるとしている。(07/09/26 プレンサリブレ紙 http://www.prensalibre.com/pl/2007/septiembre/26/183432.html:なおこれが前回のこのブログの報告におけるフアン・ティネイの憤りにつながっていると思われる。)
 
 グアテマラ政府は、「住民投票」を拘束性がないものとして看過しているが、国内法と同等の性格を有するILO169号条約において、土地からの移転に関しては、「自由かつ十分な情報を受けた上での同意を得た場合のみ行われる」という規定が基本となっている。この点からも政府は果たすべき手続を踏んでおらず、その責任を履行していないと考えられる。
 
行動センターの関連記事はこちらから
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2007/04/post_7a36.html
また上で紹介したCOHREの報告書が法的側面からの検討を行っている。

開発と権利のための行動センター
 青西

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2007/08/12

グアテマラ、イシル地域におけるダム開発

イシル地域におけるダム開発
 インフォプレス紙 1713号(2007/07/20)からのまとめ

グアテマラ国北西部、メキシコにも近いイシル地域はグアテマラ内戦期に地域の先住民族コミュニティが大きな弾圧を受けた地域である。この地域に存在するペルラ農園は19世紀後半から、地域のイシル民族の土地を囲い込み、5850haもの面積を有する大農園となった。内戦期にはゲリラ勢力の一つであるグアテマラ貧民軍がこのペルラ農園の農園主であったホセ・ルイス・アレナスを殺害した。このことはその後この地域で、軍による弾圧が繰り広げられるきっかけとなった。
 現在、このペルラ農園の所有権にあるとされている土地の中にはいくつものコミュニティが存在し、これらは自らの正当な土地所有権を主張し、現在でも土地紛争が続いている。
  
 このイシル地域で2010年の運用開始を目指して、水力発電ダムの開発が進められている。当初計画はペルラ農園の所有者であるアレナ家の者によって進められていたが、土地紛争の中で計画が進まないため、2004年に農園の一部をシャクバル水力社に売却、この会社が計画の実施を担うこととなった。
 しかし地域で活動する農民組織は、この土地は土地紛争を抱えており、地域のイシル民族の土地が横領されたものであること、また建設に関して適切な協議が行われていないことなどを訴えており、この建設計画に不満を表明している。
  
ちなみにこのダム計画も地球温暖化対策の一環であるクリーン・開発メカニズム(CDM)の認可を待つものである。 http://cdm.unfccc.int/Projects/Validation/DB/04U077ODCZ3UXD7L0SICU3TX02VVRA/view.html
 
 開発と権利のための行動センターの関連ブログはこちら
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2006/12/cdm_ce01.html
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2006/12/cdm_a061.html

 開発と権利のための行動センター
 青西靖夫

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2007/04/24

グアテマラ・イシュカンにおける住民自治の展開

イシュカンにおける住民の協議
 
 4月20日、グアテマラの北部メキシコと国境を接するキチェ県イシュカン地区で、地域の住民による「良心に基づく住民による協議」が実施されました。これは既にこのブログでも伝えたことがある、この地域での水力発電開発の是非を問う協議です。
 以下、今回の協議の実施を側面支援したケクチ民族環境会議の声明文の抄訳を掲載します。
 またブログの関係記事は以下の通り。
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2007/01/post_6ba0.html(住民による協議について)
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2006/11/post_29e4.html(イシュカンのダム開発について)

 ケクチ民族環境会議の声明文(抄訳)
 イシュカンの人々による自主的な決定を祝福して。

 4月20日、キチェ県イシュカン地区で、地域住民とイシュカンの自治体当局者によって組織された「良心に基づく住民による協議」が実施された。これは地方自治体法及びILO169号条約で保障された権利であり、今回の協議はこの地域での石油開発及び水力発電施設の設置の是非を問うものであった。
 石油開発や水力発電計画は国内外の資本により計画されているものであり、多くの住民の利益にはならず、地域の人々の宝である自然資源を略奪するものである。

 ケクチ民族環境会議やコバン市の自治体当局者がオブザーバーとして参加する中で、この「協議」が実施されたが、これはグアテマラにおける民主主義のプロセスにおける画期的な出来事として記録されるべきものである。そこではすべての住民、女性も男性も老人も子どもも意志決定に参加し、すべての人の意見が反映されようとしているのである。
 19911人が参加したが、この参加はマルコス・ラミーレス市長に率いられる自治体当局者の明確な支援によって可能となったものである。
 またこの協議には国内外から300人以上のオブザーバーが参加し、そのプロセスの透明性を検証した。

 この民主的な参加型のプロセスを通じて得られた結果は圧倒的なものである。93.84%が石油開発や水力発電計画に対する拒否を示し、その一方賛成はわずかに5.46%であった。
 この正統かつ参加型の民主主義のプロセスをうけ、ケクチ民族環境会議としては、憲法裁判所に対して、憲法、地方自治体法及びILO169号条約に定められているところに基づき、イシュカン地区の住民の決定を尊重する裁定を出すことを要求する。
 また法を遵守するためにも、他の自治体審議会が、このような住民による協議を行うことを要望する。またコバン市に対しても、ケクチ・コミュニティに甚大な影響を引きおこしうるチショイ川への水力発電ダム建設や石油開発に関する協議の実施を要求するものである。このことはコバンの自治体当局者が、住民による自主的な決定や参加型の民主主義、また環境に対して責任を持って取り組んでいることを示すこととなるであろう。その反対であれば、それは歴史によって裁かれるであろう。
 2007年4月22日 ( 1 T´zi) del 2007
 ケクチ民族環境会議
Ixcan11

Ixcan21


 原文は次のサイトに掲載しています。
 http://homepage3.nifty.com/CADE/Espanol/mineriadocumentos.html
Comunicado de la Mesa Ambiental Q’eqchí’

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2007/02/09

一方的な開発に反対するグアテマラ・チョルティ民族

 グアテマラ東部のサカパ県のラ・ウニオンやチキムラ県のホコタン、カモタンなどに居住しているチョルティ民族が、様々な形で押しつけられる開発に反対の声を上げる。

 現地の社会運動系シンクタンクであるAVANCSOによると、チョルティのテリトリーに計画されている、ホコタンのフピリンゴ川における巨大な水力発電ダム建設や露天掘りのダム建設に反対するデモ行進が1月26日にホコタン、カモタンで行われた。既に鉱山探査によって地域の温泉も影響を受け、フピリンゴ川及びグランデ川の水量が減少したという。更にダムが建設されれば、水へのアクセスが危険にさらされることとなるという。

 またチョルティの先住民族諸組織はコミュニティのテリトリーで進められようとしている様々な開発計画を告発している。
1)サカパ県ウニオン市当局が、副大統領府やBCIE(中米経済統合銀行)などと推進しているメレンドン山の保護区設置が自然資源を略取しようとするものであるうえに、コミュニティは計画に際して協議を受けていないこと。さらには内容を知らされていないコミュニティ開発審議会にその実施を強要していること。またこの計画に反対する住民が脅迫されていること。
2)カモタンのチャトゥンシートで、コミュニティの土地がコミュニティ外の人物によって企業に売却され、土地からの退去を迫られていること
3)ALBORA社がエネルギー開発プロジェクトを進めるために土地購入を進めていること。
4)平和定な抗議行動に対して、軍の一部隊が展開し、敵意と不信感を広げたこと。

 チョルティの先住民族諸組織は、「チョルティの農民組織が進めているその生命やテリトリー、自然資源、文化的財産を守るため取組や行動が、政府や多国籍企業、軍部によって抑圧されている」と告発し、住民の決定を尊重することを求めている。

チョルティ先住民族組織の声明文全文は>>>
http://homepage3.nifty.com/CADE/Espanol/datos/0701comunicado%20Chorti.pdf
 AVANCSOのコラムは>>>
http://www.avancso.org.gt/index_actividades.php?id=130

*1月26日付けのプレンサ・リブレ紙は、チョルティの住民組織が水力発電企業と人権擁護事務所のメンバーを人質に取ったという記事を掲載したが、独立メディアのセリグアは人権擁護事務所に確認をとりそのような事件が起きていないこと、住民に呼ばれ水力発電他の対話のオブザーバーに参加したことを伝えている。
 副市長が企業側と住民組織の対話に対して一方的に警察を動員したようであり、記事も開発推進の自治体当局の思惑に乗って流されたようである。この誤報事件からも、地域の先住民族が自分たちの問題を訴えていく難しさを感じる。

http://www.prensalibre.com/pl/2007/enero/26/161800.htmlhttp://www.cerigua.org/portal/modules.php?op=modload&name=News&file=article&sid=7683

開発と権利のための行動センター
青西靖夫

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2006/12/13

グアテマラ地域住民とCDM

グアテマラ地域住民とCDM

開発と権利のための行動センターのブログ(2006/12/07)で既に紹介しましたが、サンマルコス県での水力発電計画が反対する住民の声に直面しています。
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2006/12/post_f8dd.html

 この問題についてインフォプレス1685号(2006/12/8)でより詳細に報告されていますので、そこから抜粋して報告します。
 11月27日、サンマルコス県タフムルコで住民総会が開催され、全会一致でコミュニティに水力発電施設の建設に反対を決議しました。この住民総会はコミュニティ開発審議会(COCODE)の要請に基づいて開催されたもので、1992名が参加したということです。参加者はその議事録をタフムルコの市長に手渡し、地方自治体開発審議会(COMUDE)において、このプロジェクトを拒否し、建設許可証を発行しないことを要請しました。これに対しタフムルコの市長イスマエル・ゴメス氏はこの住民による協議の結果を擁護することを約束したとのことです。
 またサンパブロにおいては、この水力発電プロジェクトに関する住民による協議の開催要請を待つ段階であるとのことです。
 
 現在、サンマルコス県ではトレス・リオス水力発電社がサン・パブロのカヌハ川(ríos Canujá)ネグロ川(Negro) およびタフムルコのクツルチマ(Cutzulchimá )に発電プラント建設計画を持っているとのことである。この計画では流域の9割の水量を取水し、3つの小規模発電施設を通して発電する計画でである。この結果もとの生態系には1割の水量しか残らないこととなるうえに、乾期には更に水量が減ることが予想されている。この建設には約78億円~112億円ほどコストが見積もられている。
 このほかにトレス・リオス社は同じくサンマルコス県のカタリーナとマラカタンの間のカブス川(Cabuz)にも発電計画を持っているという。
 トレス・リオス社はこのプロジェクトの便益として、建設に関わる約260名分の雇用、40名の施設稼働時期の雇用、またこれ以外に約1千万円の基金を財源とする財団法人を設置し、地域の道路整備および開発プログラムを行うとしている。このほかに建設認可に関する支払い、付加価値税、不動産税などを支払うとしている。建設許可に際して、タフムルコには約1700万円の収入が見込まれるようである。
 その一方、サンパブロの人権擁護事務所(PDH)のカルロス・マルティネスによると、サンパブロの40%の住民、タフムルコの25%の住民がこのダム計画から直接に影響を受けるであろうとのことである。
 環境保護団体であるマードレ・セルバのホセ・マヌエル・チャコンによると、このプロジェクトは3つの流域を利用するため3つの環境影響調査を行う必要があるが、一つしかなされていないこと、また政府によって認可された発電量を超えた量について言及しているなどの問題があるという。また下流のマラカタンの住民はこの建設で水がなくなるのではないかと心配しているという。

 11月7日にはサンパブロにおいて、サンパブロ、タフムルコの市長、環境保護団体のチャコン、PDHマルティネス、トレス・リオス社社長、所管のエネルギー鉱山省(MEM)副大臣およびCOCODE関係者などが参加しての会議が開催された。しかしここでは水系の利用の許認可権がMEMにあると主張する副大臣とILO169号条約および分権化法に基づく住民の権利をチャコンの主張がぶつかり協議にはならなかったという。
 更にはサンパブロの市長は、サンパブロの55のCOCODESの代表が参加することを要請したという。
 しかしその後、こうした協議に参加することへ関心を示さず、この問題はコミュニティの代表による活動および住民による協議の開催に向いているという。
 記事は、「この調査においてプロジェクトに関する情報を得ることの難しさ、コミュニティ住民や自治体職員の情報を不足を感じたと記している。」 
 またがコミュニティを危険にさらすことなく、利益を確保できるようにCOMUDEにおいて十分に検討される必要があると結んでいる。

 なお12日のプレンサリブレ紙はこの問題に関する情報不足を避けるために、タフムルコ、サンパブロ、マラカタンでは定期的に住民の会議が開催されることとなったことを伝えている。

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 実はこのトレス・リオスの水力発電計画もCDMのプロジェクトとして認可を待つ段階にあることが判明。CDMプロジェクトとしての認可を得るための有効化(Validation)という手続き段階にあります。
http://cdm.unfccc.int/Projects/Validation/DB/OY4SBJZ1MIRQ90913OEMU50O753U8Q/view.html そのためのプロジェクト・デザイン書は2006年7月に作成されていますが、その中でも住民や地域の自治体の理解が得られておらず、遅れてきていると記されている。実際に情報も不足し、住民の同意も得られていないにもかかわらず、今年3月に始めた情報提供キャンペーンの結果、「こうした障害は乗り越えられつつある」と書き込み、このデザイン書はCDMの承認を得るために既に提出されているのです。

 こうした住民無視の態度がグアテマラにおける「開発」の伝統的あり方だといえるでしょう。そして最後はごり押ししていく。かってのようなあからさまな弾圧がなくなったとしても、一握りのエリートが「開発」のあり方を勝手に決めて、押しつけていく手法に大きな変化はない。

 その一方でグアテマラ各地で、住民の声も高くなりつつあります、鉱山開発をめぐる住民投票や住民による協議、先住民族としてILO169号条約の履行を求める声。COCODEやCOMUDEの設置を定めた分権化関連法の存在も含め、「地方自治」、地域住民が未来を決めていく動きは徐々に力を持ち始めています。

 開発と権利のための行動センター
 青西靖夫


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2006/12/12

グアテマラ CDMと地域住民

 CDMと地域住民

 先のブログで紹介したカンデラリア水力発電プロジェクトは、地球温暖化防止のためのCDM(クリーン開発メカニズム)として登録されているされているようである。
 http://cdm.unfccc.int/Projects/DB/DNV-CUK1158743330.88/view.html 更には日本の「電源開発」もこのプロジェクトには絡んでいる。
 https://www.ghg.jp/cdm/outline.html#006

 グアテマラ東部には小規模CDM関連の水力発電ダム計画がいくつかあるようであり、詳細な分析が必要であろう。

 グアテマラではそもそも水に関する権利が法的に明確に規定されておらず、大土地所有者が自らの土地にプラントを建設することで、地域住民との同意プロセスを考慮せずに、水力発電などが計画されている可能性がある。
 既に報告しているキチェ県北部のイシュカンにおけるダム計画、サンマルコス県におけるダム計画、そしてアルタベラパス県と水資源開発が地域住民との紛争を引き起こす可能性も高まっていると言えるだろう。

 トレセ・アグア農園の元農園労働者(農園に囲い込まれてしまった地域住民!!!)には既に補償はなされたと言われているが、詳細は定かではない。少なくともCDMの名の下に、農民が住んでいた土地を離れざるを得なくなったことは間違いはない。

 地域の開発が、農園主や経済エリートの手ではなく、地域住民の声と判断の上でなされる時代が必要とされている。

 開発と権利のための行動センター
 青西

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自然資源の開発が住民退去と貧困を招く

自然資源の開発が住民退去と貧困を招く
 グアテマラの週間紙インフォプレスの12月8日号は次のような記事を掲載している。(記事の一部を整理したものである 青西)

 ベルシェ政権下において、巨大プロジェクトが集中する地域や、石油、鉱物資源、水力発電開発、プランテーションなど財界が投資を目論む地域において住民の暴力的な排除が行われてきた。その中で被害を受けてきたのは先住民族や農民であり、こうした排除の中で家や収穫そして家畜を失ってきたのである。自由貿易を促進するための抑圧的な政策の一環であり、そのために人権を侵害し、株式市場での投機のために自然資源を開発しているのであると、アナリストたちの見解は一致している。
 
 2006年3月28日に公表されたアムネスティ・インターナショナル(A.I)の報告書ではいくつもの暴力的な強制排除に関する報告がなされているが、その中に2004年のアルタ・ベラパス県セナウのトレセ・アグア農園での強制排除のケースもある。ここはトレセ・アグア川の流域に位置し、1998年からセカカオ水力発電会社、そして2006年5月からはカンデラリア水力発電会社が操業している。A.Iの報告書によると2001年にトレセ農園はケクチの農民を500人解雇した。うち410人は解雇の代償として劣悪な土地を受け取ったが受け入れなかった90家族は現金での解雇に対する補償を求めて農園内の土地に残ったとのことである。そして2004年5月19日に約500名の警官による暴力的な強制排除が行われた。
 (注:2004年に続発した強制排除に関しては開発と権利のための行動センターでも緊急キャンペーンを展開 >>>http://homepage3.nifty.com/CADE/campaign/Guatemala%20desalojo.htm
このトレセ・アグア農園は70年代に現在の所有者の手に渡り、地域で最も大きい農園の一つであり、コーヒーや輸出向けの植物生産、木材生産などを行っていた。住民は40年以上もこの地域に住んでいたが、農園が取得されたことで農園労働者へと転嫁する。
 
 暴力的な強制排除は警察や軍によって行われているが、これは国家が自由貿易推進を目指す少数のエリートに支配され、先住民族や農民運動が排除されていることを意味している。
 その最も最近の事件がエストールにおけるケクチ住民約500家族の強制排除である。人々は9月17日より平和的な占拠を行っていたが、そこにはグアテマラニッケル会社が採掘免許を受けた土地も含まれていた。
 (注:この件に対し、開発と権利のための行動センターでは緊急の声明文を発表した)

*アムネスティの報告書は “Guatemala: ¿Tierra de injusticia? Casos de llamamiento”


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2006/12/07

グアテマラ ダム開発に反対の声

サンマルコス県で水力発電ダムの建設に反対

 サンマルコス県のマラカタン、タフムルコ、サンパブロの約29コミュニティの住民は
トレス・リオスに計画されている水力発電ダムが、これらのコミュニティを水を枯渇させるとして反対の意向を示している。
 ダムはクツルチマ川(Río Cutzulchimá)の9割の水を集めて、パイプで発電装置を設置するクナハ川まで流す計画であるという(Río Canujá)。開発業者は地域にはコミュニティは存在せず、この利用で影響を受ける人はいないはずと述べている。
このプロジェクトは既に設計段階を終えており、建設許可を得るばかりとなっている。しかしサンパブロの住民は、ダムを求めるかどうか、住民による協議を実施することを計画しているとのことである。
 プレンサリブレ紙 12月6日より抄訳

http://www.prensalibre.com/pl/2006/diciembre/06/157911.html

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2006/11/14

イシュカンにおけるダム開発の問題(中米 グアテマラ)

イシュカンにおけるダム開発の問題

10月31日、行方不明となっていた電力公社(INDE)の「地域広報担当者」であったオルドン・タセン(Ordón Tazen)が死体で発見された。このタセン氏の死に関しては詳しい情報はなく、適切な捜査がなされ、法的な措置が執られるべきであることはもちろんであるが、ここではここ数年のイシュカンにおけるダム開発の動きを簡単に見直しておく。

 キチェ県北部低地、メキシコとの国境線近くのイシュカンは内戦の中で激しい弾圧が行われたところである。その傷もまだ癒えきらない中で、地域にダム開発という紛争の種が蒔かれた。この地域におけるダム開発は80年代、内戦の時代に計画されたが、内戦の中で先送りにされていた。
 しかしINDEは2006年3月のラテンアメリカリーダーフォーラムにおいて、イシュカンのシャララ(Xálala)におけるダム開発計画を公表、また既にコンサルタント会社と契約して実現可能性調査を行っているとのことである。グァテマラのNGOであるSERJUSによるとこのダムで約7000人、37のコミュニティが影響を受けるとのことである。
 一方、2005年7月に組織された「ダムに反対するグァテマラ人戦線」の代表は、昨年9月に政府に対してダム開発の利害について説明を求めたがいまだ何ら回答はないという。
 
 カトリック教会や野党であるURNG(グァテマラ民族革命連合)に属する市長も含め、コミュニティや市民組織がダム建設に反対する中で、ダム開発推進派と反対派の亀裂が深まっていた。こうした中で、ダム反対派を切り崩すために、コミュニティに入ってダム推進のための説明をし、また反対派の動向を探っていたのがINDEが雇用していたのが「地域広報担当者」であった・・・  

 内戦の時代に政府軍によって数多くの村が焼き払われ、人々が虐殺されたこの地域では政府への不信感は根強いものがある。更にグァテマラの人々は、チショイダムの建設に絡んで400名以上の住民が虐殺されたという暗黒の経験すら有するのである。そしてそのチショイダム被害者に対する補償すらなされていないのである。
またイシュカンでは土地所有権を裏付ける法的書類を欠く住民も多く、そのこともまた建設に同意しても補償を受け取れないのではと危惧する声もあるという。

 いずれにせよ、これまでの歴史を踏まえれば、グァテマラにおける国家による「開発」と地域社会のあり方は更に深く考えなおされるべきであろう。

 開発と権利のための行動センター
 青西
 情報源はInforpress 1681, 1651 y 1655また第二回ダム被害者および水の擁護のための国民戦線の報告(http://chiapas.mediosindependientes.org/print.php3?article_id=121374)

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