自然保護区

2011/02/12

グアテマラ:保護区・麻薬・人権侵害

 前回の記事に加えて、ラグーナ・ラチュア国立公園で起きている人権侵害、社会紛争について検討する記事を紹介する。

Termine con el Estado de Asedio en Alta Verapaz, Guatemala
http://theesperanzaproject.org/es/2011/01/termine-con-el-estado-de-asedio-en-alta-verapaz-guatemala/ (抄訳)

2010年12月19日に、アルバロ・コロム大統領はメキシコから侵入してきた「ロス・セタス」などの麻薬組織の一斉取り締まりを名目に、アルタベラパス県に非常事態宣言を発令。「ロス・セタス」はアルタベラパス県で広範に支配を広げていたという。
 この非常事態宣言の中で多数の武器も押収されたということであるが、基本的人権が制約される中で、麻薬取引人以外が攻撃の対象となるケースとなる事件も勃発。
 CONICによると、麻薬とは何ら関わりのないケクチ民族コミュニティの Se’Job’Cheにおいて1月10日、コミュニティが軍の侵入を受け、住民が逃亡。その間に作物や所持品が破壊されたという。
 CONICは「1月10日、40の軍の兵士及び2名の警官、森林局の資源保護管20名がコミュニティのカルダモモやトウモロコシ、フリホールの栽培地に侵入。対話もないままに射撃を開始。住民は逃亡。部隊はおよそ15ヘクタールのカルダモモ栽培地、15ヘクタールのフリホールなどを破壊。」
「カルダモモの間に隠れていたAdelina Yaxcalに対して、政府機関の代表として来ていたHéctor Arnulfo Ruizが暴行を加えようとし、また森林局のFermín Ayalaがコミュニティ住民に対して、耕作物の保護と引き替えに6000ドル相当の賄賂を要求」
「この事件で20羽の七面鳥と20羽のニワトリ他、個人の所持品が失われたという」

 グアテマラ連帯プロジェクト(Guatemala Solidarity Project :GSP)によると大地主や国際的な企業が、「土地をきれいにするために」この機会を利用しているという。
「1月20日に、Saquimo Setano村は、地主のBenjamin Sotoの家族のものに襲撃し、暴力を加え、家に火をつけ、そこで働いていた米国籍のボランティアにも脅迫を加えた」
 GPSはそれ以来、このコミュニティとの連絡を取れずにいる。

 GPSは「コミュニティは大地主であるBenjamin Sotoとその妻Maria Elena Garcia Icalによって土地を奪われようとしている。昨年の8月31日から9月2日にかけて、コミュニティを襲撃し、家々を焼き払い、脅迫を行った。政府はこうした行為を止めようとはせず、逆にコミュニティのリーダーやGPSを不当に非難している」
 またGPSによると米国政府の資金を受けているバイオ・ディーゼル生産企業の民間ガードマンがMiralvalleコミュニティを襲撃したという情報もあるという。


 このWEB記事に対して、次のようなコメントが寄せられている。
「Jobche(Se’Job’Che)はコミュニティではなく、ラグーナ・ラチュア国立公園内に近年なされた土地占拠地である」
「ANDRES CHUB 他は保護区の担当者を脅迫した」
「Salacuinに家を持っていて、保護区内にカルダモモを植え付けるために侵入した」

 一方のGPSは以下のような反論を掲載。
「CONICともSe’Job’Che’村とも直接関係はなく、上記の事件について証明できるものはないが、他のコミュニティにおける類似の経験から共通するものを感じる。・・・保護区が存在する前から森を守ってきたコミュニティが存在する一方で、保護区の中に政府高官や軍人の農園が存在するケースを山ほど見てきた・・・多国籍企業が保護区の水や森を破壊するケース、ラグーナ・デル・ティグレのように石油開発を認めるケース・・・私たちが一緒に働いてきたケクチ民族コミュニティが政府よりもより適切に森林や環境を守ってきた・・・この非常事態宣言はアルタベラパス県の住民の基本的人権を侵害してきた。直接の暴力的事件だけではなく、集会や表現の自由を侵害している」
「アルタベラパス県では何千人という人々が土地や教育、そして大規模プロジェクトに対して協議を求める権利などについて運動を行ってきた。しかしこの非常事態宣言はこうした先住民族運動を妨げるものとなっている」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 先の2月8日の声明文も含め、現地の状況を詳細に分析することは現在ではできない。
しかし、麻薬対策の中で、麻薬とは関係のない、保護区から居住者排除等の動きが進んでいることは明らかであろう。
 前回の記事で紹介した、CUCのサイトにみられた大地主との土地紛争も存在している。 先住民族コミュニティとの間で様々な社会紛争が存在する中で発動されている「非常事態宣言」が、社会運動の抑圧につながっていることは否定できないであろう。

 次のサイトには人権団体の記者会見も掲載されている。
Guatemalan Human Rights Leaders Oppose State of Siege.wmv
 http://www.youtube.com/watch?v=6tkxltObOpE&feature=player_embedded

 今回の非常事態宣言は一ヶ月延長され、2月18日まで継続されている。

 まとめ
 開発と権利のための行動センター
 青西

Saquimo Setanoでの紛争については次の動画もある。地主との土地問題、リーダーの誘拐に加えて、今回の非常事態宣言が、集会の権利などを侵害している問題も指摘している。

SaquimoSetanoStrugglesAgainstDisappearanceJan242011.wmv
http://www.youtube.com/watch?v=v1EcqpDng9k&feature=related

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2011/02/10

グアテマラ:コバンで自然保護区とコミュニティ住民との紛争

グアテマラの先住民族組織であるCONICの声明文によると、アルタベラパス県のコミュニティで自然保護区とケクチ民族系のコミュニティ住民との紛争が起きているとのことです。

 声明文には明記されていないのですが、ラグーナ・ラチュア国立公園内に位置すると思われるサラクイム(SALACUIM )において2月8日、85人の警察、45人の軍及び森林局の資源保護官が、Félix Cuc Xocに暴行を加えた上に、拘束し、その後現在までのところ消息がつかめないとのことである。
 更に警察と軍はサラクイムのコミュニティに停滞し、コミュニティの人々は恐怖心を抱いて過ごしているとのことである。
 資源保護官のリーダーであるHéctor Arnulfo Ruizはこの1月に、暴行未遂事件を起こし、更に警察と軍は、カルダモモを略奪するという行為を働いたという。

 この地域では、伝統的にこの土地に居住してきた先住民族を、不法占拠と名指し、犯罪者として排除しようという動きが続いているという。政府の農地問題局が問題解決のために取り組んできていたが、自然保護区審議会(CONAP)が先住民族コミュニティを排除しようとしている、と声明文は訴えている。農地問題局は、コミュニティが歴史的に存在してきたことを明らかにする報告書を作成したにもかかわらず、その後に保護区として制定したという。またコミュニティは1965年に政府の土地改革局が発行した証書も有するという。

 この周辺では、昨年4月にも地域の住民リーダーが逮捕される事件があり、また1月には近郊のSaquimó Setañaにおいて、コミュニティ住民の排除の動きがあったことがCUCの声明文で伝えられている。

 詳細はわからないが、この地域では「ラチュア・モデル林」というプロジェクトも動いているようである。またオイル・パーム・プランテーションも周辺部では広がりつつあるということであり、社会紛争が高まっている地域と考えられる。
参考資料

EJERCITO Y POLICIA NACIONAL CIVIL, CON LOS GUARDARECURSOS, SIGUEN
SEMBRANDO EL TERROR EN SALACUIM COBAN ALTA VERAPAZ(CONIC 2011/2/8)
AMENAZAS DE DESALOJO EXTRAJUDICIAL EN CONTRA DE LA COMUNIDAD SAQUIMO SETAÑA, COBAN ALTA VERAPAZ (2011/1/21)
http://www.cuc.org.gt/es/index.php?option=com_content&view=article&id=286:amenazas-de-desalojo-extrajudicial-en-contra-de-la-comunidad-saquimo-setana-coban-alta-verapaz&catid=36:noticias&Itemid=57
Lachuá Model Forest
http://www.imfn.net/index.php?q=node/184

記事作成後次のサイトを見つけたので、確認の後また記事の追記修正を行います。
Termine con el Estado de Asedio en Alta Verapaz, Guatemala
http://theesperanzaproject.org/es/2011/01/termine-con-el-estado-de-asedio-en-alta-verapaz-guatemala/ 

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2011/01/18

資料紹介:生物多様性条約 COP10報告

生物多様性条約締約国会議(COP10)の報告が掲載されているニュースレター等の紹介

1)オルタ 1-2/'11 特集 まちがいだらけの「魚食文化」
  アジア太平洋資料センター(PARC)
 「生物多様性条約会議への先住民族運動の挑戦」
  細川弘明
 http://www.parc-jp.org/alter/index.html

2)インパクション 177号
特集2 COP10という偽善
* COP10という偽善 越田清和
* 生物多様性条約と先住民族の権利 ギャム・シムレイ(越田清和訳)
* 「CBD-COP10開催国日本の開発行為に対するNGO共同宣言」
* なぜ、「環境」、「平和」、「人権」か 沖縄の生物多様性の危機 高里鈴

* CBD市民ネット沖縄地域作業部会のポジションペーパーから
* COP10開催国の環境政策を問い直す 三石朱美(インタビュー・越田清和)
* CBD-COP10開催国日本の開発行為に対するNGO共同宣言
http://www.jca.apc.org/~impact/magazine/impaction.html

3)アーユス仏教国際協力ネットワーク 95号(2010/12)
特集 生物多様性を豊かにする暮らし
* インタビュー 
 プラサート・トラカンスパコンさん(タイ・カレン民族)
* 先住民族と生物多様性-生物多様性条約と人権・開発・環境
 上村英明
http://www.ayus.org/index.html

4)先住民族の10年ニュース 
*生物多様性と先住民族(現在、連載16回目)
細川弘明
http://indy10.sakura.ne.jp/



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2010/11/04

先住民族の参加という点から保護地域に関するCOP10の評価

COP10における作業部会の会合決議案は、科学技術助言補助機関(SBSTTA)で作成されたものであり、その中で取り上げられ今回の会議に提起されていたのは次のような点である。
1)持続的な資金供給
2)気候変動
3)効果的なマネージメント
4)海洋保護地域
5)保護地域の費用・便益の評価
6)作業計画 第二部門(ガバナンス、参加、公平、利益配分)に関する事項 (注1)
7)国別報告書の形式に関して

 この中で、先住民族に主として関連するのは6)作業計画 第二部門(ガバナンス、参加、公平、利益配分)に関する事項であった。

注1)保護地域に関しては、2004年開催のCOP7において、4つの作業計画が定められており、 この中の第二部門の目標2.2で、「先住民族・地域共同体及び関連ステークホルダーの関与を確保し、また強化すること」と定めており、「2008年までに国内法及び国際的な義務への合致及び関連するステークホルダーの参加の上で、先住民族・地域共同体の権利の尊重、責任の認識に基づき、保護地域の管理、設置における完全かつ効果的な参加」をターゲットとしている。
http://www.cbd.int/protected/pow/learnmore/intro/?prog=p2

 上記6)に関して、決議案28項で「先住民族及び共同体保護地域(IICAs)の承認と、支援のための適切なメカニズムを開発すること、そのために特に、共同体の土地と資源への権利を法的に承認し・・・、そのメカニズムはICCAsが長年維持してきた慣習的なガバナンスのシステムを尊重し」と記載されていたものの、最終的にはCOP9文書(第6項a-e)(注2)を踏襲する形となり、「共同体の土地と資源への権利」、「慣習的なガバナンスのシステム」といった文言は削除され、先住民族及びコミュニティ保護地域は、共同管理(co-manegement)及び民間保護地域と併記される形となっている。

注2)http://www.cbd.int/doc/decisions/cop-09/cop-09-dec-18-en.pdf
 しかしCOP9の時点で「国内法及び適応可能な国際的な義務に合致する中で、保護地域のガバナンスにおいて、先住民族・地域共同体の権利の完全な承認と尊重の上で、十全かつ有効な参加に基づく効果的プロセスを確立する」と記載されており、それは繰り返されている。

 残念ながらCOP10における議論のプロセスにほとんど参加することはできなかったが、Earth Negotiacions Bulletinを見ても、今回は保護地域に関する言及は少なく、大きな議論は引き起こされることはなかったように思われる。保護地域に対する先住民族の参加という点では、COP7で作業計画を定めたものの、格段の前進はなく、COP10においてもCOP9の記載を繰り返すにとどまっている。先住民族保護地域の確立はまだ難しそうである。

開発と権利のための行動センター
青西靖夫

●10月27日にパナマのクナ民族のオネル・マサルドゥレ(Onel Masardule)さんに、COP10の結果を聞きました。

 保護地域に関して課題として残っているのは、保護地域に関する先住民族の参加を定めた作業計画の履行や、各国の報告書の内容に先住民族からの参加(評価)を入れていく点などです。これまでのCOPにおいてAkwé:Kon(アクウェ:コン) ガイドラインの採択など、先住民族の要求が実現してきたこともありますが、まだまだ足りません。
 保護地域に関して、締約国が報告書の作成する際に先住民族が参加できるようにしていくというのは、より正しい報告書を作成させていくために不可欠です。
 補償の問題もあります。保護地域の設置による先住民族へのネガティブな影響に対する補償は明確にされていません。私たち、先住民族は正当な補償を求めていかなければなりません。
 先住民族の参加については、まず保護地域の設置が検討される際には、先住民族に対する自由で事前の情報に基づく協議が行われ、合意を得るべきだと考えます。また先住民族が独自の保護システムを有していることを認めることが必要です。国家保護地域システムが、「保護」にだけ焦点をあてるのとは異なり、私たちは、保護地域は、文化的、環境的、精神的な視点を含め、より総合的なシステムで管理されるべきと考えます。

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2010/06/17

グアテマラ:自然保護区の管理を先住民族の手で

 グアテマラのイサバル県、シエラ・サンタ・クルス自然保護区計画地区では、現在、地域の住民アソシエーションによって、「自分たちの手で、自分たちのテリトリーを守っていこう」という動きが進んでいます。
 国内外の環境保護団体に任せるのではなく、この地域に住む先住民族の手で、自分たちの組織を通じて、この地域の自然を守り、テリトリーを守っていこうとしています。

これまでの経緯などは当会のパンフレットをご覧ください
http://homepage3.nifty.com/CADE/201004leafCADE.pdf
これまでのプロジェクトの流れについては次のサイトにも情報をまとめてあります。
http://homepage3.nifty.com/CADE/guatemala/Guatemala%20indigena%20y%20medio%20ambiente.htm

<森の守り人>アソシエーションがさらにつながって地域連携体を組織

 開発と権利のための行動センターでは、これまでアソシアシオン・イロル・キチェ(Asociacion Ilol K'iche':AIK <森の守り人>の意)の組織強化を支援してきましたが、現在このAIKが中心となって、更に地域の住民アソシエーションをつないでいこうという動きが進んでいます。
 
 最も重要な動きは、シエラ・サンタ・クルス地域の4つの住民組織の連携が動き始めていることです。この動きは2008年2月に地域内の2つの住民組織の連携準備のための会合を開催したことから始まります。ここで2つの住民組織AIKとAj Awinel の連携の動きが始まります。2009年11月からは2組織ではなく、Cerro1019とAPIDHの4つの組織の連携会議を開催してきました。この中でそれぞれの組織は自然保護区の問題にとどまらず、土地問題や地域開発の問題についての取り組みを共有し、地域開発に協同して取り組んでいく方向性を固めつつあります。更に、会議を通じてシエラ・デ・サンタ・クルス先住民族組織コーディネーターを設置し、継続的に連携のための会議を開催しています。

 全体で100コミュニティもが参加する地域住民組織の協力関係は、地域開発に重要な役割を持つこととなるでしょう。重要なことはこうした動きが「地域住民のイニシアティブ」によって生まれていることです。

 行動センターではプロジェクトの一環として、会議の開催を支援してきていますが、その実施はAIKが調整し、会議の内容はAIKやその他の住民組織が考えながら進めています。既に連携の動きは独自の歩みを進めており、会議を設定し、行動センターでお願いしてきたアドバイザーにも直接連絡を取り、会議への参加を要請し、必要であれば謝礼も自分たちで支払っています。また4組織の代表が集まって、首都で議員と交渉するという取り組みも行われています。

 今後、地域住民の組織が十分に力を持っていることを示し、首都のNGOを介在してプロジェクトが実施されるのではなく、地域にむけられるべき資金が直接、地域の住民組織に向けられ、また地域開発についての議論を進める際にも、住民の声をしっかりと取り入れるように要求していこうという方向で活動が続けられています。

 こうした中で、地域のコミュニティや住民組織が集まって、声明文を作成しています。環境NGOなどが主導で「管理」を進めるのではなく、自分たちが主体としてやっていけるのだ、という意思表明です。
 
 開発と権利のための行動センター
 青西靖夫   

以下、声明文

   シエラ・サンタ・クルスの
   ケクチ民族コミュニティの声明

私たちの果実を奪い、枝を打ち払い、幹を焼き払っても、
私たちの根っこを殺すことはできなかった。 (Chilán Balam)

 1854年、私たちの兄弟である「赤い肌」の先住民族の土地を買い上げたいという米国の大統領に対して、彼らはNOと答えた。「この大地のすべてのものは、私たちにとって聖なるものなのです。荘厳な松の木や、羽音とともに生まれた小さな虫たちまで、私たちにとって聖なるものなのです。私たちの死者たちは、このすばらしい大地を忘れることはないでしょう。それは赤い肌の母なのです。私たちは大地の一部であり、また大地は私たちの一部なのです。花々は私たちの姉妹であり、シカやウマやワシは私たちの兄弟なのです。岩肌を見せる頂、草地の匂い、子馬の身体から立ち上る熱気、そして人々、みな同じ家族なのです。」
 
 マヤのケクチ民族のコミュニティの私たちは、私たちの先住民族テリトリーで様々な環境保護団体、国内外の企業や組織が活動し、自然資源、私たちの母なる自然の要素に対して目を光らせていることを知っている。それは経済的な利益を求めるものであり、私たちが長年被ってきた脆弱な状況をさらに悪化させるものである。
 
 国内外の諸組織はこれまで様々な言辞を弄してきた。民主的な参加の強化、決定への参加、共有する力、持続的開発、司法や教育、保健などのサービスへのアクセスなどなど。そして更に、コミュニティを自然資源を破壊した責任者として名指しし、経済的資源の確保を正当化しようとしてきたのである。

 私たちが現在住んでいるマヤ・ケクチ民族のテリトリー、イサバル県リビングストンに位置するシエラ・サンタ・クルス地域を自然保護区として制定しようとする強い意向が存在することを知っている。
 
 そこで、2010年3月20日、リビングストンのルベル・ホ村に集まった27コミュニティの代表は次のように宣言する。

1. グアテマラ国憲法第33条に基づく組織する自由と第35条の思想の自由の保障に基づき
2.世界人権宣言の第19条に定められている「すべて人は、意見及び表現の自由に対する権利を有する。この権利は、干渉を受けることなく自己の意見をもつ自由並びにあらゆる手段により、また、国境を越えると否とにかかわりなく、情報及び思想を求め、受け、及び伝える自由を含む」権利に基づき、
3. 現在私たちが生活するこの土地を自然保護区として宣言することに反対の意思を表明する。
4. 国内外の諸組織が、私たちの自然の構成要素を保護し、利用し、管理するためとして、輸入してきたモデルを実験しようとすることや、文脈を無視した指導や指示を行おうとすることを拒否する。それらは私たちの経験や伝統的な生活を排除し、無視している。
5. 私たちの伝来の原則や価値観は、母なる自然の尊重を促進するものであり、自然資源、母なる自然の構成要素の合理的な利用と保護を進めるものである。
6. 国内外の諸組織に対して、私たち自身に、現在私たちが住んでいるんでいる私たち先住民族のテリトリーを「管理する」能力があることを断言する。
7. 私たちは、金儲けのためではなく、母なる大地への尊重を進めようという考え方でつながっている。

 政府に対して次のように要求する。
a. 私たちが現在住んでいるシエラ・サンタ・クルス地域のコミュニティの土地を自然保護区とする法制化を拒否すること
b. コミュニティの土地の土地登記を進めること
c. シエラ・サンタ・クルスのケクチ民族コミュニティが自然保護区を管理する能力があることを認めること。それはコアゾーン、多目的利用ゾーンや特別な配慮地区を含むものである
d. 法制度化を通じて、コアゾーン他の管理・利用・保全を私たちに委ねること

 国内外の諸機関に対して
a. 裏で利権を探りつつ、自然資源の保護や先住民族の権利の擁護をちらつかせてた情報をもってコミュニティを欺き、操ろうとしないこと
b. 私たちは母なる自然の擁護と共通の富のために同意に基づく戦略を築くためであれば、対話に開かれていることを宣言する。

母なる自然のために
シエラ・サンタ・クルスのコミュニティと住民組織から
リオ・デュルセ、リビングストン、イサバル、2010年3月

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2010/02/25

メキシコ:チアパス州で、環境保護区からの農民排除が続く

 メキシコ南部のチアパス州に位置するモンテス・アスーレス生物圏において、連邦政府とチアパス州政府による農民排除が続いている。

 州政府はこの事件について、上記生物圏に2003年の時点で43の<非正規集落>が存在しており、既に対話によって32が移転に合意し、4つが対話が尽きた後に、平和的に退去を受け入れ、7集落が執行を待っている状況との説明を行った。更に、州政府側は「主要な課題はモンテス・アスーレス生物圏の保全であり、保全政策は、世界的な論理を持っており、それをチアパスにおいても実現していくだけである」と述べるとともに、州知事は、セルバ・ラカンドナ地域において、森林伐採を止めるために、アフリカヤシの生産を進めることを目指していることに言及。また国家保護区委員会の地域担当官は、<非正規集落>の存在が生態系悪化の主因であるとしている。[1]

 しかし人権団体、環境団体はこうした農民の排除に強い抗議の姿勢を示している。チアパス州で活動する人権団体はこの強制排除に関して声明を発表し、人権侵害を告発している。声明文は次のように伝えている。[2]
1)1月21日にラグーナ・エル・ススピーロ(エル・セメンタル)のコミュニティに、複数(3-4機)のヘリコプターが飛来。ヘリコプターで60名ほどの警官が到着。強制的にマリア・コルテス・ペレスとマグダレーナ・ガルシア・コルテスをヘリコプターによって連行。事前の告知、文書の提示、説明もなされぬままに行われた。
2) 1月22日には、サパティスタ民族解放軍の支援コミュニティでもある、ラグーナ・サン・ペドロに4機のヘリコプターが飛来。250名ほどの警官が、連邦政府の命令であると言いつつ、子どもを含めた12名をヘリコプターに乗せるとパレンケまで連行。そこにて検察に連行され尋問を受けた。しかし弁護士も通訳も用意されなかった。更に、内容もわからないままに署名を強要された。

またこの事件について、サパティスタ民族解放軍の<よき政府評議会>は声明を発表し、ラグーナ・サン・ペドロのコミュニティにおいて、強制排除が行われ、家々が焼かれ、生活必需品や農具が失われたことを告発するとともに、「チアパスの先住民やメキシコ人から土地を奪う一方で、なぜ他の国からのエコツーリズムのために土地を使わなくてはならないのか」と訴えている。[3]

また地球の友-インターナショナル、地球の友-メキシコ、地球の友-南米・カリブは、この強制排除とつながるものとして、オイル・パームの植林計画に言及している。[4]
事件に先立つ1月12日、チアパス州議会はセルバ・ラカンドナ地域にパーム・オイルの精製工場を建設するための信託基金の設置に同意した。これはモンテス・アスーレスを含む、セルバ・ラカンドナ地域の周辺にオイル・パームのモノカルチャーを進める計画と結びついたものである。[5]そこで地球の友では、この計画に伴って土地からの排除が進んでいることに加え、バイオ燃料政策が温暖化対策として望ましくないことなども含め批判している。

 セルバ・ラカンドーナ、そしてモンテス・アスーレス生物圏の土地問題は、非常に複雑であり、土地問題の背景は十分には把握できていない。地域の住民間の土地問題もあり、ある住民グループから、エコツアー開発のための、<非正規集落>の排除を求める要請も出ていたとのことである。[6] 1972年に行われた大統領令による土地提供も問題の背景にあるようである。[7]
また3月6日、7日にはモンテス・アスーレス社会フォーラムが開催されるとのことであり、この地域の抱える課題について議論が行われるようである。[8]

 開発と権利のための行動センター
 青西

[1]Arduo trabajo de los tres niveles de gobierno en la defensa, protección y conservación de la Biósfera de Montes Azules(2010/01/26)
http://www.comunicacion.chiapas.gob.mx/documento.php?id=20100126055032
[2] Desplazamientos forzados en la reserva de Montes Azules(2010/02/04)
http://cencos.org/es/node/22599
[3] La Junta de Buen Gobierno de Garrucha denuncia represión y despojo en el poblado Laguna de San Pedro por parte del gobierno federal y estatal (2010/01/29)
http://enlacezapatista.ezln.org.mx/denunciasjbg/2894
[4] ALTO AL DESPOJO DE LAS TIERRAS Y TERRITORIOS DE LOS PUEBLOS EN LA SELVA LACANDONA, CHIAPAS, MEXICO
http://www.otrosmundoschiapas.org/docs/ati_lacandona.pdf
[5]Aprueba congreso fideicomiso para la selva lacandona(2010/01/13)
http://www.chiapashoy.com/notashoy/estado_html/2750.html
[6]Comunidad lacandona reclama desalojo en la selva
http://chacatorex.blogspot.com/2010/01/comunidad-lacandona-reclama-desalojo-en.html
[7]EL CASO DE LA RESERVA MONTES AZULES EN LA SELVA LACANDONA,
CHIS, UN EJEMPLO DEL REITERADO FRACASO DE LA POLÍTICA “CONSERVACIONISTA” DE LAS ÁREAS NATURALES EN MÉXICO.Y DE LOS
INTERESES CREADOS QUE SE ESCONDEN DETRÁS DE ELLO.
(APUNTE CUASI SINTÉTICO).(2003)
http://www.maderasdelpueblo.org.mx/pdf/montesazules.pdf
[8]Foro Social de los Montes Azules por la Defensa de Nuestros Derechos a la Vida y el Territorio
http://otrosmundoschiapas.org/index.php/resistencias/69-resistencias/614-foro-social-de-los-montes-azules-chiapas.html

*この地域のニュースが集約されているサイトとして次のものがある。
Noticias de la Selva Lacandona
Compilación informativa sobre la situación sociopolítica de la Selva Lacandona y seguimiento de las agresiones contra las comunidades campesinas.
http://noticiasdelacandonia.blogspot.com/

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2010/01/13

エクアドル:アマゾンの森を守る取り組みは頓挫するのか

ニューインターナショナリストの2009年12月号が「アマゾンの森を石油開発から守る保証書とは」という記事を掲載している。
 http://www.ni-japan.com/report/onlineRep/topic428.htm
(特別にオンラインで公開されているレポートです。ほかにも興味深い記事があるので購入をお勧めする)

 これはエクアドル・アマゾンのヤスニ地区における石油開発を見送る代わりに、国際社会から基金の提供を受けて、保護区の維持、持続的な開発を実現していこうというアイディアであった。
 この提案に対して、すでにスペイン、ドイツ、ベルギーが資金提供を約束し、12月のコペンハーゲンの気候変動会議にて基金の設置について署名を行う計画となっていた。(1)

 しかしコレア大統領は、基金の管理に関して疑念を呈し、署名を先送り、さらに2010年1月9日に、「交渉は主権を侵害する恥ずべきものであり、ドナーが条件を押しつけようとしている」と発言。さらに、6月にはヤスニにおける石油開発を進めると発言しているという。(2)
 この発言に対して、1月11日に交渉の責任者であったロケ・セビージャが辞任(3)、続いて12日に外務大臣のファンデル・ファルコニが辞任。(4、5)すでに辞任していたヨランダ・カカバゼ委員(6)も含め、交渉役不在の事態となってしまった。

 基金の管理に関する取り決めがどのようなものであったのか詳細が把握できていない。コレア大統領の述べるように主権を侵害するようなものであったのか、あるいは石油開発会社の圧力が存在したのか。果たして石油開発の見送りと基金の設置という取り組みはこのまま頓挫してしまうのだろうか。

 青西

(1)La Iniciativa Yasuní se quedó sin equipo
http://ww1.elcomercio.com/noticiaEC.asp?id_noticia=328138&id_seccion=8
Falconí renunció por el ITT
http://ww1.elcomercio.com/noticiaEC.asp?id_noticia=328192&id_seccion=3
ほか
(2)BBC-Mundo  Se resquebraja el proyecto Yasuní
http://www.bbc.co.uk/mundo/ciencia_tecnologia/2010/01/100112_yasuni_proyecto_pea.shtml
Ecuador: Correa considera "vergonzosas" las condiciones del fideicomiso del proyecto ITT
http://www.infolatam.com/entrada/ecuador_correa_considera_vergonzosas_las-18322.html
(3)辞任したロケ・セビージャへのインタビュー 
http://www.ecuadorinmediato.com/Noticias/news_user_view/roque_sevilla_presidente_correa_ya_conformo_un_fideicomiso_para_iniciativa_yasuni_itt_audio--119679
(4)外務大臣辞任についての声明
http://www.mmrree.gov.ec/2010/com001.asp
(5)ヨランダ・カカバゼ委員はニューインターナショナリストのインタビューを受けているが、この騒動のさなか1月12日にWWF・インターナショナルの代表に就任。(昨年5月より決まっていたようであるが・・・)
http://www.panda.org/what_we_do/footprint/climate_carbon_energy/climate_deal/news/?uNewsID=185981
(6)その他 
憲法制定議会の元議長 アルベルト・アコスタ氏へのインタビュー(音声)
http://ww1.elcomercio.com/multimedia.asp?id_multimedia=4058

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2009/07/18

グアテマラでのプロジェクト調整作業

 現在グアテマラでは自然資源に対する先住民族コミュニティの権利確立というテーマでのプロジェクトを二つ動かしています。それに加えて去年開始したキチェ県のコッツアルにおける若者グループ支援のフォローアップ、さらに新しい活動として、先住民族法の必要性に関する理解喚起というプロジェクトも始めることとなりました。
 とは言っても、総額200万円にもいたらないような金額のプロジェクトたちです。その上、先住民族の自然資源への権利、なんていうーマは日本では余り受けないのか、ほとんど寄附金も集まりません。しかし欧米系のNGOなどでは結構関心を持ってやっているところもあるようです。
 
 さて、実際に何をしているかといいますと。
 先住民族の自然資源への権利というテーマではイサバル県とキチェ県で活動しています。厳密に言うと今年の4月~9月は見直し期間としてちょっとプロジェクトをお休みして、今後の展開を再検討しているところです。

 イサバル県では自然保護区(及び計画地区)における、保護区管理への地域住民の主体的参加を支援するプロジェクトを行っています。特に地域のケクチ民族コミュニティが集まって組織したイロル・キチェ・アソシエーション(AIK)の組織強化を支援しています。
 この保護区では、首都に事務所を置くある環境NGOが海外のドナーや政府機関の窓口になってしまっているのですが、住民参加は謳いつつもほとんど何もできていません。相変わらず自分たちだけでプロジェクトを計画し、ドナーから資金を取り、プロジェクトを実施しています。地域の人たちはいつまで経っても「受益者」のままです。
 確かに植林補助金を取ってきたりで、コミュニティの収入が増加したという成果もありますが、先の道筋が見えません。将来的にはAIKや他の住民組織と合弁体を形成して共同で保護区の管理に取り組むというのですが、AIKがどうしたら対等のパートナーになれるのかを真剣には考えているとは思えません。このままでは、住民参加を謳い文句にドナーから資金を確保する一方で、住民組織と環境NGOが合弁体に対等な立場で参加することは難しいだろうと思います。
 既に同じ環境NGOが設置した類似の合弁体では、地域のアソシエーションは理事会も開催できないほど弱体化し、合弁体は空洞化しています。ドナーはどうかというと、現場の状況は環境NGOを通じての情報だけで、現場の状況を把握することも、地域住民の声を聞くこともないようです。
 
 今回の訪問ではドナーや環境NGO含めあちこち訪問し、上に書いたような話を聞いて回り、今後の展開について考えるということをやっています。AIKとの活動については理事会の自主的運営のための支援を行っていく予定ですが、それに加えて、地域の住民組織の意見交換・連携・ドナーとの交渉会議の設定などを行っていく必要があると考えています。

 キチェ県のイシル地域(ネバ、コッツアル、チャフル)でも活動を行っているのですが、ここは難しいところです。30以上にも及ぶという水力発電計画があるのですが、どこでも住民は蚊帳の外に置かれ、あるいは買収され、脅され、「開発」が押しつけられています。こうした中で人々は情報提供、地域住民との協議、意思決定への参加を求めています。
 行動センターでは、このような課題に取り組む地域の人々の動きを踏まえ、域内の連携や協力関係の形成を支援していこうと考えています。しかしなかなかこれが難しい。あちこちで話を聞き、あちこちで対立、不仲の話を聞かされ、という状況で少々行き詰まり気味です。
 しかしそれでも真摯に取り組むグループの話を聞き、そうした人たちと詳細の詰めを行うというのがキチェ県での作業でした。

 ケクチの人たちにしても、イシルの人たちにしても、日々の生活も大変だし、豊かな生活をしているわけでもありません。それでも何かしていかなくてはと、取り組んでいる人たちがいるのです。
 行動センターでは「貧しい人たちへの支援」や「植林への支援」をお願いすることはやっていません。地域の人たちが自分たちで政府の植林補助金にアクセスする力をつけること、そういう制度がなければ、制度を作るように働きかける力をつけること、そういうことが重要だと考えています。

 また活動実施のための寄付金もお願いしておりますのでよろしく
お願いします。
郵便振替口座 00230-5-131472
口座名 :開発と権利のための行動センター

 開発と権利のための行動センター
 青西靖夫(代表理事) 

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2009/05/21

ホンジュラス:ガリフナ民族の食糧と協議への権利

 エコ・ポータルのサイトに、ホンジュラスのガリフナ民族と自然保護区の問題についての続報が載っていたので紹介します。
 この地域の話は既に二度ほどこのブログでも紹介しています。
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2007/11/post_d536.html
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2007/04/post_0fa2.html

Honduras - El derecho a la alimentación y la consulta de los garífunas
http://www.ecoportal.net/content/view/full/85899
 4月30日、カヨス・コチーノス(コチーノス島嶼帯)において、カヨス・コチーノス財団とネイチャー・コンサバシーによって「カヨ・コチーノ諸島自然海洋モニュメントの利用計画」が公表されました。しかしこの計画はチャヤチャウアテの住民からは新しい排除の装置であると指摘されています。カヨス・コチーノス財団によると「利用者の参加に基づく見直しと承認を受けた計画」とのことであるが、チャヤチャウアテの地域住民は異なる意見を表明しています。
http://otrahonduras.blogspot.com/2009/04/comunicado-comunidad-de-chachauate.html
http://www.scribd.com/doc/14223535/comunicado-chachauate
<交渉テーブルのあり方を変え、住民皆が参加できるように/財団の監査を要求/訪問者からコミュニティが料金を徴収する/利用計画を知らないので知りたい/全てのプロジェクトはコミュニティとともに実施すること/ゴミ収集を毎週行うこと/利用計画は漁民への補償がある際に履行されると記載すること/外洋において旅行者から料金徴収のために停船を行うことには合意しない?/同意なしにこれ以上規制や税金を定めることには合意しない (09/04/08)>
 カヨス・コチーノスあるいは周辺の影響を受ける地域の大半のガリフナ住民は、コミュニティの住民のいないところで作られ、珊瑚礁を保護するという名目で、在来漁業をエコツーリズムに取って変えようという生産システムに変化を引き起こすこの利用計画の内容を知りません。

 珊瑚礁の白化を気候変動、堆砂、そして過剰漁獲のせいにし、カヨス・コチーノスを何世代にもわたって利用してきた住民に圧力をかけています。この海洋モニュメントはパパロテカ川の河口に面し、その川は森林伐採がひどく、泥が島嶼にむけて流されてきます。海藻を摂取し、珊瑚と海藻の均衡を維持するのに欠かせないペス・ロロ(ブダイの仲間)の減少が漁業の規制の口実とされますが、だいぶ前からペス・ロロは増えている回遊性の魚種に捕食されてきました。珊瑚の生態系の均衡は非常に複雑で、カリブの場合には80年代からの海藻を摂取するエリゾ・ネグロ(ウニの仲間)の減少から均衡が崩れ始めたのです。またカヨ・コチーノは川から運ばれてくる堆積物の影響を受けていて、更にこの水には大量の農薬や肥料が含まれていて富栄養化につながっています。更には海洋の酸性化の問題もあります。
 
 カヨス・コチーノス財団は自然保護より旅行代理店と化しています。自然保護よりも「エコ投資」の見方に毒されているのです。またたびたび人権侵害を引き起こしてきました。また新しいアクター、ネーチャー・コンサバシーの登場も問題を解決するどころか、逆に働くでしょう。日に日にカヨス・コチーノス財団の商業主義は明らかにされつつあるのです。一方ILOの169号条約や先住民族の権利宣言に定められた協議の権利への尊重は無視され続けています。新しい利用計画も住民の支持を受けてはいないのです。
(Honduras - El derecho a la alimentación y la consulta de los garífunas 10-05-09, Por OFRANEH の抄訳に、チャヤチャウアテ住民の声明文の整理をつけました)

原文にはカヨス・コチーノス保護区と先住民族の権利に関連する研究へのリンクなどもあります。

 開発と権利のための行動センター
 青西

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2009/02/13

グアテマラ:ラグーナ・デル・ティグレ国立公園における衝突 他

  1:ペテン県、ラグーナ・デル・ティグレ国立公園における農民と警察及び軍の衝突
  1月26日、ペテン県のラグーナ・デル・ティグレ国立公園において、警察及び軍と農民との衝突が起き、2名が死亡し、40名以上が逮捕されるという事件が起こった。
  ペテン県の県知事は、農民によって拘束されていた国家自然保護区審議会(CONAP)の保護管の解放のためであったと今回の介入を正当化し、「農民の大半は武装し、450ヘクタール余りの森林を破壊しての農園設置を請け負っていた」、「逮捕された40名のうち25名は土地分配を受けたにもかかわらずその土地を売却して、土地への侵入を続けている」 と語っているとのことである。[1]
  [1] http://www.prensalibre.com/pl/2009/febrero/03/292807.html 2009/02/07

  一方、農民組織は声明文において次のように告発している。
  1990年に設置されたラグーナ・デル・ティグレ国立公園に存在する37コミュニティの一つであるエル・ベルヘリトは、1月20日に焼き払われ、160家族が家を失った。翌21日、この損害に対する補償とこの地域の問題を根本的に解決するための対話を求め、この放火に関与したCONAPの2名の保護管を拘束。しかし対話は拒否され、26日朝6時、担当判事の命令もないままに、ヘリコプターや装甲車が進入し、発砲し始めた。明らかに過剰な武力の行使である。こうした軍事的介入によって、ロベルト・ディアスとフェルミン・ガルシアが死亡した。このほかにも複数の死者・負傷者がいたが、警察がどこにつれていったのか不明である。またこの26日に44名が逮捕された。
  農民組織は、農民を麻薬密売組織や犯罪者呼ばわりすること、武装していたといった指摘を拒否し、15年以上にわたってこの地に住んでいると明言。一方「保護区」というが、メキシコの伐採業者が、当局と結託して希少な木材を伐採し、考古学的遺品を略奪し、また石油企業が開発を進めていることを指摘。
「トウモロコシを作っている農民がなぜ<保護されている>という土地から追われ、迫害されなくてはならないのか」、国家の最大の責任は「国民を守ることではないのか」と問いかけている。[2]
[2] LAGUNA DEL TIGRE, AREA PROTEGIDA, PARA QUIEN? , CONIC, 2009.2.3

  ペテン県小教区ではカトリック教会はこの事件について次のような声明を発表している。
  社会司僕会と人権擁護事務所では昨年から対話テーブルの設置を助け、政府関係機関と保護区内にあるコミュニティとの対話を促してきた。しかし政府側は対話の意思を見せてこなかった...保護区内に定着した住民を、麻薬密売やテロリズム、誘拐者、不法侵入者と一概に決めつけ、無差別な弾圧を正当化することは許されない。これは過去の弾圧政策の論理となんら変わるものはない...政府自体が組織的暴力に対抗する力がないことを認めつつ、貧困な農民家族に向かっては暴力を発動するのである。ヘリコプターや装甲車を動員し、警察や軍が人々に銃口を向け、商店を略奪し、家々を焼き払い、人々を殺害する。このような行為はいかなる理由を持っても正当化することはできない。
 このような行為を許可した政府に対して、責任者の罷免、自然保護区内のコミュニティに関する対話テーブルの設置、また関係機関に対して、持続的な開発のためのオータナティブを模索することを求めるものである。[3]
COMUNICADO DEL VICARIATO APOSTÓLICO DE PETÉN ANTE LA BRUTAL INTERVENCIÓN DEL ESTADO DE GUATEMALA EN LA LAGUNA DEL TIGRE EL 26 DE ENERO 2009 (2009.1.27)
http://chiapas.indymedia.org/article_161845

 また人権団体の連合体である la Convergencia por los Derechos Humanosは、 死亡したロベルト・ディアスは軍の腹ばいになるようにという命令に従わなかったことで銃殺されたと告発。更に、複数の政府当局関係者や治安関係者、大農園主、コミュニティメンバーや偽リーダーが麻薬密売組織との関係としているとの証言が得られていると伝えている。
 人権組織は、政府に対して今回の事件に関する十分な調査、組織犯罪への対応、環境保護団体や社会組織に対して、対話を進めることなどを要請している。[4]
[4] Comunicado emitido por la Convergencia por los Derechos Humanos(2009.2.10)

2:アルタ・ベラパス県、トゥクルにおける強制排除
 2月11日、アルタ・ベラパス県のサン・ミゲル・トゥクルのロス・ピノス農園において、300人の警察の鎮圧部隊と100人の軍隊が動員され150家族が強制的に排除された。彼らは2007年3月より借地農として居住しており、当初は農園の土地を購入するという話になっていたのを農園主側が一方的に破棄したものであるという。
 この排除で1名が死亡し、複数名が銃撃によって負傷したという。農民組織は十分な調査もなされないままに、排除命令が出されたことを非難し、またグアテマラ軍が先住民族コミュニティの弾圧に関与していることを告発している。
CONIC CONDENA ENERGICAMENTE EL DESALOJO DE LA COMUNIDAD LOS PINOS, SAN MIGUEL TUCURU(2009.2.11)

 軍隊も出動しての暴力的な弾圧に対して強く抗議していく必要があると考えます。

 開発と権利のための行動センター
 理事 青西

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